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年次有給休暇の取得率を向上させる工夫│基本的なルールのおさらい

貴社の年次有給休暇は順調に消化されているでしょうか。人手不足の深刻化と短時間労働の推奨という相反する状況が並行する中での、有給休暇取得率の向上は難しい課題でもあります。年次有給休暇の取得率の向上のために、人事担当者が注意しておきたいポイントをご紹介します。また、社員の有給休暇の取得を促す対策にも触れていきます。

年次有給休暇

2018年05月28日更新

RELO編集部

年次有給休暇の基本的なルール

年次有給休暇
年次有給休暇の付与は法律による定めがあります。仕事の開始日(入社日)から6ヶ月以上勤続し、労働日の8割以上の出勤があれば、必然的に年次有給休暇取得の権利が発生するというものです。年次有給休暇の付与日数は、勤続年数によって異なり、長くなるほど増加します。

上記の要件を満たすフルタイムの労働者であれば、下記の表1があてはまります。

参考文献 年次有給休暇|厚生労働省

[表1 年次有給休暇の付与日数(一般の労働者)]
勤続年数6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

年次有給休暇は、雇用形態が異なっていても適用されるものです。労働日数の少ないパートタイムやアルバイトなどにも付与されます。

週30時間以下の労働者の場合は、下記の表2にある日数が適用されます。

[表2 年次有給休暇の付与日数(週所定労働時間が30時間未満の労働者)]
週所定
労働日数
年間所定
労働日数
勤続年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
4日169~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48~72日1日2日2日2日3日3日3日

これが年次有給休暇の最低基準となります。この基準日数を超える日数を付与することも可能です。

次年度への有給休暇繰越のルール

年次有給休暇は、6ヶ月後から1年ごとに付与されます。付与されてから1年間のうちに使い切れない有給休暇もあるでしょう。残っている有給休暇の日数は、次の1年間まで繰り越すことができます。

つまり、有効期限は2年間です。この有効期限を超えると、時効消滅することになります。

年次有給休暇について人事担当者が注意したいポイント

年次有給休暇
年次有給休暇の取得率を向上させることを課題に掲げる企業も増えています。年次有給休暇について人事担当者が注意しておきたいポイントを見ていきましょう。

繰越日数を確認する

年次有給休暇は、入社後半年経ってから発生するため、実際の勤続年数カウントのタイミングとずれることになります。従業員にとって意識しにくいものです。繰り越しや消滅のタイミングは、人事側が意識して伝える必要があるでしょう。

個々の従業員の入社日が異なると煩雑になることは否めません。企業によっては、この誤差や煩雑さをなくすため、入社日から付与して統一を図っているところもあるようです。

理由記載の強要をしない

年次有給休暇の取得は、労働者の権利であり、本来、理由は必要ありません。有給休暇の取得申請の際に、理由がなければ承認されないとするのは間違いです。休暇取得に理由が必要となると、取得率を下げてしまうことになります。理由の記載を強要しないようにしましょう。

社員間の取得率の差を注視する

人事担当者は、個々の社員の取得率の差や部署ごとの取得率の差を注視します。目立った差がみられる場合、個々の社員に対する仕事の負荷分配や、人員配置数が適切でない可能性があります。上司に対して仕事の割り振りの調整の相談、場合によっては組織編成が必要になると考えられます。

ネガティブイメージの払拭

有給休暇に対して、怠けるイメージや、取得権利があってもないのと同じというような意識が根付いていると、消化しにくい環境が続いてしまいます。休むことは悪いことではなく、むしろ、仕事の一環と捉えられるのが理想です。休暇と仕事の関連性についての意識教育も必要となるでしょう。

時間短縮だけを求めない

企業にとって、労働時間の短縮の施策は、従業員に働きやすさを提供することも目的のひとつでしょう。ただ、仕事時間が短くなるだけでは、働きやすさの提供はできません。残業削減や有給休暇取得だけを求めれば、社員は遂行すべき仕事の責任との間で苦しみます。社員が抱えている仕事を調整する取り組みも必要です。

年次有給休暇の取得率を向上させる工夫

年次有給休暇
国会では、年次有給休暇の取得義務化が審議されています。2019年4月には、年次有給休暇5日間の取得という法律が施行される予定です。それでも、国レベルで考えると、日本の休暇取得は、まだ低水準が続いています。年次有給休暇の取得率を向上させるために、どんな工夫ができるのでしょうか。

企業内一律の有給休暇を設定する

企業内で一斉の有給休暇を設定することで、取得率は上げられます。強制的で有給休暇の主旨に反するように思えますが、メリットは多いです。

まず、全員が休みになるので取得の抵抗はありません。それぞれに休暇をとる場合に必要になる引き継ぎや、代理対応も不要です。残って消滅する有給休暇があるくらいなら、強制消化は有効でしょう。また、社員もあらかじめ休みだとわかっているため、休暇の計画も立てやすいはずです。

チーム内で交代制で有給休暇を取得

チームや部署内で交代制で取得するようにすると、公平に取得させることができます。仕事の特質や社員の性格により、有給休暇を取る人、取らない人がいるものです。交代制にすることでその偏りをなくすことができます。有給休暇を取ることが当たり前の風土も築かれていくでしょう。

時間単位の年次有給休暇

社員のライフスタイルやライフステージはさまざまです。まとまった休暇よりも、日々、短い時間で消化していきたいという人もいます。1日単位ではなく、半日や時間単位での取得を認めることで、消化率は上がるでしょう。

育児や介護などは別途の制度が設けられているかもしれません。しかし、それらは用途が限られています。有給休暇には理由は必要ないのですから、幅広い有効活用が期待できます。

年次有給休暇の計画的付与

1年ごとに付与される有給休暇のうち、数日間については、事前に計画させ予定を申告させる方法もあります。いつでも取る権利があるといっても、日々の忙しい仕事の中で取得タイミングを見出せない人は多いです。

この計画的付与のメリットは、事前に計画することでその休みに合わせて仕事が進められることです。また休暇の準備にも十分な時間がかけられます。準備は早いほどコストは下げられますし、休暇の充実度も高められるでしょう。

この施策は、本来の有給休暇取得の仕方のモデルとして、有意義な取得のためのトレーニングといえるかもしれません。

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