働き方改革

ジョブローテーションの効果とは?人材育成のための戦略的人事異動

現代企業がもつ課題を実現するための施策として、ジョブローテーションがあります。自社の未来を担うリーダー人材育成の一環として、導入している企業も多いです。変化の著しい現代、高い組織力を維持しながら、存続できる企業になるための戦略施策。ジョブローテーションの概要やその効果、人事担当者に必要な視点を確認しましょう。

ジョブローテーション

2018年05月28日更新

RELO編集部

ジョブローテーションとは

ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、1人の社員に、自社内に存在するさまざまな部署や業務を経験させていく制度です。人材育成、職場にある業務の属人化回避などを目的として、多くの企業に取り入れられています。

ひとつの業務に携わる期間や、ジョブローテーションの対象人材の定義は、企業の方針などによってそれぞれ異なっているようです。たとえば、新入社員の配置決めの前に、数週間から数ヶ月単位の短期周期で各業務を体験させる企業もあります。

また、将来的に自社を担う経営層育成をメインの目的としたジョブローテーションを行っている企業もあります。この場合は、1年や3年などの長めのスパンでの異動となることが多いようです。

通常の人事異動との違い

さまざまな業務に携わるジョブローテーションですが、通常の人事異動と似ていますが、主旨は異なっています。

従来は、人事異動の存在が社員の競争力を生み出し、組織力の強化に貢献していました。それがかつての人事戦略として有効だったのです。しかし、近年のビジネス環境においては、その機能は低下しています。異なる側面から競争力をつけることが、現代企業は求められるようになりました。

社員の成長をバックアップしつつ、自社事業を横断的に理解した人材に育て上げる必要が出てきているのです。つまり、未来の自社を担うリーダーを育てる重要性が増しているということです。

特定の職種に精通するスペシャリストでは、企業全体をけん引する力に劣ります。この見解から、ジョブローテーションを取り入れている企業が増えているのです。

ジョブローテーションに期待できる効果・メリット

ジョブローテーション
ジョブローテーションによって期待できる効果やメリットをご紹介します。企業の規模、業界、業務スタイル、そしてジョブローテーションの進め方によって、得られる効果やメリットが異なってくるということを前提に、ご確認ください。

適材適所

適材適所の配置は、人事業務の柱ともいえる課題です。企業の組織力にも関わってくる重要な要素だと思います。

ひとつの業務に固定せず、自社内にある性質の異なる業務を経験させることで、どの業務に適性があり、どの業務が苦手なのかが明確になります。自己の強みを存分に発揮してもらう適材適所の配置の精度が高まります。また、気付かなかった適性を発見する機会にもなっているようです。

業務の属人化の回避

あらゆる業務を経験している社員がいると、業務が属人化してしまうことを防げます。特定の人でないと進まない業務が組織の中に存在することは、企業にとってはリスクとなります。その特定業務を行う社員の負担が軽減される機会がないからです。退職となれば、その業務を行う人材を1から教育する必要性も出てきます。

その業務が可能な人が複数いることで、業務の分担が可能になり、社員のワーク・ライフ・バランスも整いやすくなるでしょう。

仕事のマンネリ化防止

同じ仕事を続けていると、次第にマンネリ化してきます。ジョブローテーションを取り入れることで、仕事に対する新鮮な姿勢が保たれます。

安定したころに、他の業務を覚えるという不安定さを好まない社員もいるでしょう。しかし、総じて新しいことへの挑戦、変化への適応力をつけることに有効のようです。

会社の事業への横断的な理解

各部署や各職種には、実際に携わってみて初めてわかる内情や状況があります。企業の一部分だけをどれだけ深く理解しても、将来自社を担っていくことはできません。ジョブローテーションは、自社の情勢や動向までを、俯瞰できる人材を育成できます。

他部署間連携の活性化

ひとつの職種に携わるとき、他部署とのコミュニケーションが限られてきます。各部署、各職種を経験することで、関わる人たちの範囲は自然に広がるでしょう。

部署や職種が変わっても、将来的に連携がとりやすくなります。部署や職種についての理解も深まっていることから、その連携も適切になるはずです。結果的に、各部署がもつ強みや能力を最大限に活かすことにもつながります。

特定人材への注力

社員のすべてを、全体的に底上げしたいという意識が強いのが日本です。将来的に自社を担う有力人材は、特定注力して育てていくという視点も必要になってきています。ジョブローテーションによって、それを実現することができます。

ジョブローテーションの懸念点・デメリット

ジョブローテーション
では、ジョブローテーションの懸念点やデメリットについて確認しておきましょう。

専門職を育成しづらい

ジョブローテーションは、さまざまな業務を経験します。それぞれの部署や職種で、限られた期間の中で、基本概念や基礎を学びます。熟練といえるレベルに達するには、相応の長い期間が必要となるものです。

ジョブローテーションでは、専門的なスペシャリストの育成は難しくなります。特定技術や高度な専門知識を要する事業や職種には向かない制度といえるでしょう。

従業員の希望と沿わない場合の退職リスク

それぞれの社員の適性や強みは異なっています。ある部署や職種に携わるとき、「自分に合わない業務」が出てくるでしょう。まずこの点で、退職を考えてしまうことがあるようです。

ジョブローテーションでは、慣れたころに異動することになります。すべての職種で習熟度が浅いため、その職種での手応えを感じられないまま異動となることも多いです。その状態が続くとき、やりがいや自分の価値を見出せない社員も出てくるようです。

社員の希望を汲み取る機会を定期的に設けることをおすすめします。

業務効率の低下

ジョブローテーションで、新しい仕事を始めるとき、業務効率が下がります。一時的ではあっても、チームや部署にとっては少なからず負担やリスクが発生するでしょう。社員にとっても、慣れない仕事では心理的な負担も大きくなります。変化への対応という能力も必要ですが、組織ぐるみのサポートや体制管理が必要です。

人事面接で確認すべきこと

ジョブローテーション
ジョブローテーションが、有効な企業の人事戦略だったとしても、それを望まない社員もいます。人事担当者は面接などを行って、社員の意向を理解しておくことが大切です。

どんなに優秀で期待のもてる人材でも、強制しては退職リスクを高めてしまいます。ここで、人事担当者が社員に確認しておきたい内容をご紹介しましょう。

キャリアビジョン

社員自身がどのようなキャリアビジョンをもっているかを把握することが重要です。人材育成は、企業が先生になることではありません。企業と社員がタッグを組み、双方の繁栄につながるプランを一緒に考える必要があります。

社員の意向を無視した育成では、本物の育成にはつなげられないでしょう。社員のキャリアビジョンに沿う形で、Win-Winとなる提案をしていくことが大切です。

ジェネラリスト(ゼネラリスト)志望かスペシャリスト志望か

社員がジェネラリスト志望かスペシャリスト志望かという確認をしましょう。キャリアビジョンの把握の一環となりますが、総合的な力をまんべんなく身に付けるジェネラリストを目指している場合には、ジョブローテーションは有効です。その意向があれば、ジョブローテーションでの業務の取り組みも前向きになるでしょう。

もし、スペシャリスト志望の場合は、ジョブローテーションを適用しないことが得策かもしれません。デメリット項目としてもお伝えした通り、熟達には向かないシステムだからです。無理にあてはめても、スペシャリスト志望の社員には不満が募ることになるでしょう。

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