人材・組織開発

成功者に共通するグリットとは?やり抜く力を鍛える方法

「グリット」という言葉がよく聞かれるようになりました。ここでは、グリットの意味と、人の成功とグリットとの関係性を紐解いていきます。ビジネスや教育における「育成」を考えるときにも、このグリットの存在は、無視できないもののようです。やり抜く力は、いつからでも鍛えることができます。社員のグリットを鍛えるには、どのような働きかけが有効なのか、ぜひご一読ください。

グリット

2018年06月01日更新

RELO編集部

グリットとは?

グリット
グリットとは、何かを成し遂げるために粘り強く、どんなに長い時間がかかっても最後までやり抜く力のことです。グリットをもつ人は、ものごとに対する情熱がある人とも言えるでしょう。

仕事には、最後まで完遂する能力、目標を達成する能力が必要です。これらの能力がグリットという言葉として、注目されるようになっています。

成果主義文化が根付いているアメリカ。成功は、その種類は人それぞれ違っても、誰もがもつ願いのひとつです。人が成功するために必要な要素は何かという論議が繰り返されます。必要なのは才能だという説もあれば、努力だという説もありました。

そして現代、さまざまな分野での成功者が著名になっています。さらに、研究開発の技術や知識も発展してきました。研究者たちは、著名な成功者がもつ能力の共通項を探ることで、成功に必要な要素を探ろうと試みます。このことが、今日「グリット」が注目されるきっかけとなったのです。

成功者とグリットの関係

グリット
心理学者アンジェラ・リー・ダックワースも、成功要因は何かという研究に取り組んだ1人です。彼女は経営コンサルタントから教師に転職します。数多くの生徒を指導し、評価をする段階で彼女はあることに気付きました。

  • 成績上位の生徒が必ずしもIQが高いわけではないこと
  • 成績が下位の生徒が必ずしもIQが低いわけではないこと

できるようになる(成功)ことにIQ数値は関係がないという仮説の確信を得たのです。

その後、ダックワース氏は心理学者となり、複数の専門的な調査と研究によってそのことを証明します。研究や調査の対象となったのは、以下のような人たちです。

  • 軍事教育学校の入隊者のうち、厳しい訓練に耐え切る人と中途退学する人
  • 英単語スペル暗記大会(スペリング・ビー)で勝ち残る生徒たち
  • 過酷な環境の中で働く教育現場の先生
  • 一般企業の営業担当者

それぞれの調査において、途中でやめてしまう人、最後まで完遂する人がいます。さらに、成果を出す人、成果を出せない人たちがいます。

アメリカの成功者に共通しているものは、やり抜く力「グリット」が高いという結論に行き着きます。言い方を変えると、成功を左右するものは、学歴、家庭環境、外見、IQ、身体能力、天賦の才能などではないということが分かったのです。

参考リンク
アンジェラ・リー・ダックワース 「成功のカギは、やり抜く力」
TED Talks Education
https://www.ted.com/

グリットが心身にもたらす影響

グリット
グリットは、心理や身体との関係も深いことが研究で明らかにされています。悲観主義者か楽観主義者か、健康かそうでないかということが、グリットとどのようなつながりをもっているのかを見ていきましょう。

楽観主義者のほうがグリットが高い

悲観主義者よりも楽観主義者のほうがグリットは高いという結果が出ています。物事を悲観的に捉えやすい人よりも、楽観的に捉える人のほうが、持久力があるようです。楽観的に捉える人は、障害があっても「なんとかなるさ」「他にも方法はある」と考えることができ、成し遂げたいことに向かい続けられるのです。

悲観的に捉える人は、その心理プロセスの中で無力感を学んでしまうのだそうです。その無力感が、まだできないことにチャレンジすることや、到達のための行動の継続を難しくします。

グリットが高い人のほうが健康

多くの調査や研究の結果では、グリットが高い人のほうが、より健康であるということもわかっています。グリットが高ければ、達成を経験します。達成を積み重ねることで自己の能力を高めていくでしょう。間接的とはいえ、生活水準が上げられます。

プロセスの中でも、達成の瞬間を味わいます。幸福を感じる頻度が高いことが健康にも影響していくようです。健康に寄与する行動を習慣化することにも、継続力は役立つものと考えられます。

社員のグリットを鍛える方法

グリット
グリットは、特定の才能のある人だけに与えられた能力ではありません。誰もが鍛えて伸ばすことのできる能力です。どんな働きかけが、社員のグリットを鍛えることに役立っていくのかをご紹介します。

グリットスケールで自身のグリットを測定する

グリットを高めたいとき、まず自分がどれくらいのグリットをもっているのかを知ります。それを簡易測定できるのが、「グリットスケール」です。ビジネスにも十分に応用できる内容となっていますので、試してみてください。

10個の質問について、1から5までの数値で評価し、その平均スコアを出していきます。5つが情熱を測る質問で、残りの5つが粘り強さを測る質問です。質問に答えることで、自分のことをどう見ているかに気付くこともできるでしょう。これが、グリットの強弱に関係してくるものかもしれません。

 全く当て
はまらない
あまり当て
はまらない
いくらか
当てはまる
かなり
当てはまる
非常に
当てはまる
1新しいアイデアやプ口ジェクトが発生すると、 ついそちらに気を取られてしまう。54321
2私は挫折してもめげない。
簡単には諦めない。
12345
3目標を設定しても、すぐ別の目標に乗り換えることが多い。54321
4私は努力家だ。12345
5達成まで何ヶ月もかかる作業に、ずっと集中して取り組むことができない。54321
6一度始めたことは、必ずやり遂げる。12345
7興味の対象が毎年のように変わる。54321
8私は勤勉だ。12345
9アイデアやプロジェクトに夢中になっても、 すぐに興味を失ってしまったことがある。54321
10重要な課題を克服するために、 挫折を乗り越えた経験がある。12345
引用元:「やり抜く力 GRIT(グリット)」アンジェラ・ダックワース(著)/神崎 朗子(翻訳)

当てはまる箇所の数字にマルをつけていき、合計して10で割った数値がグリットスコアとなる。
※情熱を測る質問=奇数の質問(1,3,5,7,9)
※粘り強さを測る質問=偶数の質問(2,4,6,8,10)

日々の目標を立てさせる

日々の目標を立て、毎日取り組んでいくことでグリットは鍛えられていきます。目標は、何かを成し遂げるために行動していくことのきっかけをもたらすものです。毎日、取り組むことは小さなことでも構いません。

ただ、数日で達成できてしまうものよりも、目標値は、数ヶ月や数年といった長い期間を要するもののほうがグリットを鍛える上では有効のようです。

難しいと思える目標を掲げ、それを細分化して日々の目標に落とし込みます。日々の目標を掲げることで、毎日の目標に対して達成感を味わうこともグリット強化をサポートするでしょう。

良いプロセスを見つけさせる

何かを成し遂げたいとき、それを達成するための方法はひとつではないはずです。

ひとつのやり方に固執すると、もし間違ったやり方だった場合、いつまで経っても到達できないでしょう。自分に合わない方法を続けると、常に苦痛が伴ってしまいます。継続することだけに視点を向けると、この状況に陥りやすくなります。

続けることは大切ですが、グリットを高めるには達成経験がとても重要です。他の方法を探ったり、今の方法をより良くしたりといった視点をもち、方法を切り替えることで達成率が高まります。目標を掲げたときに、そこに至るまでのプロセスにはいくつもの方策があることを認識させましょう。

まださまざまな方策の可能性を探るレベルにない段階であれば、こちらから提案します。それを実践させることでいろいろな術があることや、やり方は工夫できるということを実感させます。これにより、自分に合う、やりやすい、面白い方法を模索する習慣がついていくでしょう。このスキルは、グリットが必要などんな場面にも応用できると考えます。

楽観視トレーニング

グリットを鍛えるには、物事を楽観的に捉えるマインドをもつことも役立ちます。前述しましたが、グリットの高い人は、楽観主義者に多いのです。楽観的に捉えなければ、行動に移されないことばかりになってしまいます。「やってみよう」「やってみなければわからない」と思えるマインドセットは必須です。

うまくいかないときに、楽観視できるか、悲観視するかで生まれる心理や行動が変わってきます。楽観視はポジティブに考えることではなく、ニュートラルに保つことです。無理にポジティブに考えてしまうと、強制や義務感に囚われます。

やってもうまくいかないこともあるけれど、やってうまくいくこともある。

この「やってみたらうまくいった」という経験の頻度がグリットを支え、同時にグリットを鍛えていきます。

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