働き方改革

インクルージョンの導入方法|多様な個性とスキルを活かす全員参加型仕事術

今やダイバーシティ(Diversity)やインクルージョン(Inclusion)という言葉が、ビジネスの世界ではよく使われるようになりました。企業を組織として成長させるために、このダイバーシティやインクルージョンはとても有用なものです。ダイバーシティは多様性のある組織を作るために導入されており、インクルージョンは企業全体で1人1人の個人を尊重する考え方です。しかし具体的にどういった効果があるのか、どうやって導入すればいいのかなどの疑問もあるでしょう。今回はその中でもインクルージョンについての概要や、どういった背景で求められるようになったのか、導入方法などを紹介していきます。

インクルージョン

2018年06月08日更新

RELO編集部

インクルージョンとは

インクルージョン
インクルージョン(Inclusion)とは、1人1人の意見を尊重しつつも、その意見やアイデアをまとめて組織の一体感を高める成長戦略のひとつです。直訳すると包括・包含という言葉で、組織内の考えの違う人達が対等に関わり合い、最終的には意見をまとめ合うことで、組織として一体感を作るものになります。

組織内の誰にでもビジネスの成功に貢献する機会はあり、組織で動かしているビジネスを個人のスキルや経験、考え方などを活用し進めていくことも、インクルージョンの考えに当てはまります。

またインクルージョンが使われる以前から、ダイバーシティという言葉がありました。ダイバーシティとは、多様性のある人材戦略として使われているのが現状です。多様性とは、人種・国籍・年齢・性別・学歴などの様々な違いのことを指しています。そしてその違いに柔軟に対応し、個人を尊重することがダイバーシティの考えとされています。

ダイバーシティで多様性のある意見・アイデア・人材を尊重し、インクルージョンでそれら人材の意見をまとめ、尊重することで、より良い相互成長を促すことができます。

多様性のない組織を1から育成するときは、ダイバーシティを行うことで暗黙的な排斥・区別を減らし、インクルージョンで人材1人1人が、組織に貢献できる機会を与えられる環境を構築するといったプロセスもあります。

インクルージョンとダイバーシティの違い

インクルージョン
インクルージョンとダイバーシティは、ビジネスの世界では似たような意味合いで使われています。多様性を尊重するということは同じですが、その多様性を個々で生かすという意味合いで使われるのがダイバーシティで、多様性を組織としてまとめるといった意味合いがあるのがインクルージョンです。

元々ビジネスの世界では、ダイバーシティがよく使われていました。個人の多様性を尊重し適材適所で人材を配置することにより、企業の業務などを円滑に回していくことが可能となります。しかし1人1人の多様性を重視することで、意見の衝突により組織としてまとめあげることが難しくなったり、その人材にあった雇用環境や作業環境の整備にコストをとられるなどの問題もあげられます。

そういった中、個人の意見を尊重しつつも組織として意見をまとめるといった考えのインクルージョンという言葉が出てきました。多様な意見やアイデアを出し合い企業に刺激を与えるという意味で、ダイバーシティはとても能動的な考えであるといえます。それに対してインクルージョンは、多様性という能動的なダイバーシティの意見やアイデアを聞きいれ、まとめあげるという点では受動的なものといえるでしょう。

インクルージョンが求められる背景

インクルージョン
元々、インクルージョンとは社会・福祉分野の面で社会的一体性という意味で使われていました。障害をもつ子供が教育・社会に参加できるよう支援や取り組みを行うことが目的です。

近年では、高齢者や犯罪の前科がある人が社会に参加できるよう取り組みを行なっている「インクルージョン社会」、IT技術を使用した誰もが社会に参加できる取り組みの「e-インクルージョン」などがあり、インクルージョンという言葉はそういった概念としても使用されています。

そして元々、社会・福祉分野で使われていたインクルージョンという言葉は、ビジネスの分野にも取り入れられるようになりました。

ビジネスの分野ではダイバーシティという考えが導入され、人材の多様化にスポットが当てられるようになります。ダイバーシティを企業が取り入れるようになったことで、企業としては人材の教育面ではとても意味のあるものとなっています。しかしダイバーシティには多様性による弊害もあります。

企業内での人材の多様化により、意見などの衝突や対立が引き起こされるという弊害です。そうしたデメリットの対策として、インクルージョンが取り入れられています。

インクルージョンの導入方法

インクルージョン
インクルージョンを導入するには、以下のポイントが重要です。

企業が組織としてインクルージョンの機会を提供する

組織として多くの人材が活躍できるように、個人の意見を尊重する働きかけを行うことが重要になってきます。

会議や話し合いを行う際にも、一部の部署の人間だけでやるのではなく、様々な部署や人材を参加できるようにし、多様な意見・アイデアを取り入れることでインクルージョンの考えを浸透させることができます。

組織に貢献できるよう、人材1人1人が先のビジョンについて考え、意見できるように務める

ただ作業のように仕事をしているだけでは、人材の教育にはなりません。従業員が組織に貢献できるよう常に考えることで組織として成長・発展していくことにつながるというのがインクルージョンの考えです。そのため組織がどのようになりたいのか、何を目指しているのかを明確に伝えることは、人材1人1人が考え、成長することにつながります。

またそういった組織のビジョンについて話し合う機会を設けることで、1人1人が自覚をもつことにもつながるのです。

暗黙的な排斥・区別を作らない

例えば、「お客様第一」という考えがあったとします。その考えに対して、自分のプライベートを犠牲にしてでもお客様のことを考えるようにという考えが浸透してしまうと、暗黙の了解ができてしまい、誰かにとっては働きにくい組織になってしまうこともあります。

特に上司や先輩が、部下や後輩にそういった考えを押し付けてしまうと、その後もそういった考えが浸透し続け、行動パターンが固定化されてしまいます。浸透した意見に異を唱える人材が現れても、1つの意見として取り入れられず意見した人の評価や組織に貢献する機会を減らしてしまうことにつながるのです。

人材1人1人がある種のメタ認知能力*をもつことで、多様性のある意見やアイデアが生まれることにつながります。

*メタ認知能力:自分の認知活動を客観的にとらえて、評価した上で制御できる能力。つまり、自分のことを客観的に観察し、相手への気配りができる能力。

人材1人1人がインクルージョンの意識をもつことが大事

排斥や区別を無意識に行ってしまっていることもあるでしょう。そういったことは、自然と組織や人材育成の成長の妨げになっていることがあります。

また、この人は優秀だ、この人は優秀ではないなどの区別をしたり、この人とは一緒に仕事できないと判断してしまうと、仕事がやりにくかったり意見を出しづらくなってしまうのです。そういったことを意識してしまうと、普段の声かけや言葉使いにも反映されてしまいます。

1人1人が多様性のある意見を取り入れやすくするための取り組みを行うことで、そういった無意識の排斥や区別を減らすことができるでしょう。意識づけるためには、習慣的に話し合うことや周知することで少しずつインクルージョンの考えを浸透させる方法もあります。

インクルージョン導入時の注意点

インクルージョン
インクルージョンを導入する際の注意点は、きちんと段階を踏んで導入するという点です。

インクルージョンを導入するには、ダイバーシティの導入も不可欠です。まずはダイバーシティを行うことで、多様性のある人材を適確なポストに置き、様々な意見やアイデアを生み出す仕組みを作りましょう。ダイバーシティを行うことにより、組織としての活性化を図ります。そしてインクルージョンはその多様性の受容体になることで、真価を発揮します。

いきなりインクルージョンを導入すると、何も生み出していない状態で受容をすることになるので結局何も生まれません。

どんな制度を導入するにしても準備は必要です。まずは、組織の1人1人にその制度や考えの受け入れ態勢を整えることが重要になります。そのためにも、企業の目指している目的やビジョンを明確に伝えるようにしましょう。

企業の経営理念や企業理念を具体的に信条や行動指針として伝える方法として、クレドを導入するということも有効です。企業の目的やビジョンを従業員全体で考え共感し、1人1人が主体的に考えて行動するクレドの導入は、ダイバーシティやインクルージョンの考えに、とても相性がいいといえます。

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