働き方改革

労使協定の種類と届出の必要性|知らなかったでは済まされない基礎知識と罰則

会社に勤務している人、特に労働組合に所属している人は聞いたことがある「労使協定」。労使協定とは会社(事業所)内での労働者の規則や、労働環境に関わるとても大事な協定です。会社で定められている就業規則だけでは、労働時間などの運用が立ち行かなくなる場合があります。そういったときに、労働基準法に基づいた労使協定によって、法定時間外での労働が行えるようになるのです。今回は、労働者の労働環境を管理する上で非常に重要な「労使協定」についてご説明していきます。

労使協定

2018年06月22日更新

RELO編集部

労使協定とは

労使協定
労使協定とは、労働者と会社間で取り交わされる約束事を書面契約した協定のことです。労使協定には様々な種類があり、代表的な協定に「36(さぶろく)協定」があります。「36協定」は、労働基準法第36条に関する労使協定を結ぶことから「36協定」と呼ばれています。時間外や休日労働に関する協定届のことです。

労働者と会社側で「36協定」を締結することで、時間外労働や休日労働をする際に、労働基準法違反に問われず法定時間を超え、罰則を受けずに労働を課すことが可能です。しかし、時間外労働や休日労働にも限度があるので注意しましょう。

基本的に会社は、労働基準法を元に就業規則や社内ルールを定めます。しかし、労働基準法を元にした規則にも限界があり、例外の規則を設けることもあります。そうした例外的な規則を、労働者と使用者(会社側)の間で締結し、「労使協定の締結」と「就業規則の規定」を併せて行うことで、法的義務の免除や免罰の効果があります。

就業規則とは

会社の労働条件を決定したものを就業規則といい、就業規則は労働基準法に定める基準以上で、合理的な条件のものでなければなりません。その条件に従い就業規則を作成し、会社側が労働者に知らせることで、就業規則は効力を発揮します。また、常時10人以上の労働者を雇用している会社は就業規則を作成し、届出をする義務があります

就業規則は会社の基本ルールです。まずは労働者が基本ルールを守るように様々な方法で、周知し組織としてのまとまりを高めることが必要です。その上で、労働者側と会社側が協力し合えるよう、努力しましょう。

そうすることで労働者の労働意欲が向上し、残業や休日出勤の削減につながり、結果的に労働基準法の範囲内の時間で1日の業務を終了させることができます。

労使協定の種類

労使協定
労使協定には様々な種類があり、それぞれが労働基準法に関連したものです。また労使協定には労働基準監督署に届出が必要なものと不要なものがあります。

届出が必要な労使協定(条件により不要の場合もあり)

  • 労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合の労使協定
    労働基準法第18条に関連
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制に関する労使協定
    労働基準法第32条の2に関連
    (就業規則に定めている場合には届出は不要)
  • 1年単位の変形労働時間制の労使協定
    労働基準法第32条の4、第32条4の2、施行規則第12条の2、第12条の4、第12条の6、第65条、第66条に関連
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制の労使協定
    労働基準法第32条の5に関連
  • 時間外・休日労働に関する労使協定
    労働基準法第36条、第133条、施行規則第69条に関連
  • 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定
    労働基準法第38条の2に関連
    (事業場外労働が法定労働時間内の場合は不要)
  • 専門業務型裁量労働制に関する労使協定
    労働基準法第38条の3、4に関連

届出が不要な労使協定

  • 賃金から法定控除以外にものを控除する場合の労使協定
    労働基準法第24条に関連
  • フレックスタイム制の労使協定
    労働基準法第32条の3に関連
  • 休憩の一斉付与の例外に関する労使協定
    労働基準法第34条に関連
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
    労働基準法第39条、第135条に関連
  • 年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合の労使協定
    労働基準法第39条第5項に関連
  • 育児休業及び介護休業が出来ない者の範囲に関する労使協定
    育児介護休業法第6条、第12条に関連
  • 看護休暇適用除外者に関する労使協定
    育児介護休業法第16条の3に関連
  • 継続雇用制度に関する労使協定
    高年齢者雇用安定法第9条に関連

このように労使協定には様々なものがあります。知らず知らずのうちに労働基準法違反をしないよう、きちんと労働者と使用者(会社側)との間で労使協定を締結し、就業規則を管理しましょう。

労使協定の罰則

労使協定
もちろん労使協定に違反すると罰則が科せられます。今回は労使協定の代表的な例として、「36協定」について見ていきましょう。

36協定違反

労働基準法では基本的に、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超える労働は認められていません。法定労働時間を超える場合には「36協定」を労働者側と会社側で締結し、届出を出す義務があります。

会社によっては、労働時間や休日の調整をすることで、法定労働時間内におさめることも可能です。しかし繁忙期や決算月など、業務が忙しくどうしてもたくさん残業せざるを得ない状況もあるでしょう。そういった時に届出を忘れたり、残業の限度時間を超えたりして36協定違反にならないよう、注意が必要です。

また違反すると、罰則が科されることがあります。労働基準監督署に注意を促されるだけですむ場合もあり、いきなり罰則を科されることは稀かもしれません。しかし罰則を科されると、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」など軽くはありませんので、36協定違反にならないように気をつけましょう。

時間外労働・休日労働の限度

しかし、無制限に時間外労働や休日労働ができるわけではありません。時間外労働の限度は「労働時間の延長の限度等に関する基準」により、基本的に1ヶ月に45時間、1年間では360時間が限度とされています。

労働基準監督署の監督官が、タイムカード等の労働時間を管理している帳票を確認し、時間外労働や休日労働が限度時間内におさまっているかを確認します。

もちろん限度時間内におさまっていなければいけませんが、それでも一時的に限度時間におさまらない月がある場合には、「36協定」を締結する際に「特別条項」として明記しておけば、いくらかは限度時間を超えることが可能です。

「特別条項」は納期が迫っていたり、大規模なクレーム対応などの、特別な事情により限度時間を一時的に超える場合に限られます。また一時的なものに限るので、限度時間を超える月は1年間の内6ヶ月以内におさめなければいけないので注意しましょう。

使用者、上司が罰則の対象

残業時間が労働基準法で決められた制限を超過した場合、36協定違反となり、罰則の対象になります。そして、罰則の対象になるのは違反した本人ではなく、使用者(会社側)や上司です。ですので、労働者を監督している使用者(会社側)や上司がしっかり労働時間を管理しなければいけません。

もし違反した場合の罰則は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。また会社が違反した事実を黙秘していると、会社側に「30万円以下の罰金」が科せられます。

労働者本人が、残業代欲しさに隠れて残業している場合などもあるので、上司や人事部の方は労働者の勤務時間をきちんと管理し、違反しないように監督することが重要です。

届け出義務違反

使用者(会社側)が「36協定」の締結を届け出ずに、労働者が法定労働時間を超えて業務をしていた場合、労働基準法第32条・35条の違反になり、これを「届け出義務違反」と言います。この場合にも、罰則として「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。

「36協定」や、その他の労使協定にも届出が必要なものがあるので、協定を締結した際には必ず届け出の必要があるかないかの確認をしましょう。

「有害業務」の時間外労働

また時間外労働の中には、ある一定の制限がかかるものがあります。それが「有害業務」です。「有害業務」とは、有機溶剤などを使用している業務や、耳栓をしなければいけないほどの機械の騒音がある職場環境での業務などがあります。

基本的に、有機溶剤が気化して口や鼻から吸い込まないように防毒マスクや溶剤対策された保護メガネを使用する、騒音には耳栓をするなど対策はしていますが、これらの業務に関しては1日2時間を超える時間外労働はできないものとされているのです。それ以上の時間外労働をさせていた場合、罰則を科せられることがあるので注意しましょう。

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