2017/12/01
働き方改革

働き方の健康診断 第1回

 

株式会社ワーク・ライフバランス   新井セラ

 

第1回「とにかく忙しい」というあなたへの処方箋

 

はじめまして、ワーク・ライフバランスコンサルタントの新井セラと申します。「そんな職業があるんだ!」とよく言われるこの職業ですが、きっと「ワーク・ライフバランス」という言葉は皆さまどこかで耳にしたことはあるのではないでしょうか。私たちの会社名、実は「ワーク・ライフバランス」という名前です。まだこの言葉が耳慣れなかった2006年の創業当時から11年、ワークもライフも充実できる、そんな働き方が出来る人を増やそうと、私たち自身も残業ゼロ、有給消化100%を達成しつつ、働き方改革一筋でやってきた会社です。この連載では「働き方の健康診断」として、900社以上の企業や組織の変革のお手伝いをしながら見えてきた、個人でもすぐに取り組めるコツをお伝えしていきたいと思います。

●「忙しい」のは仕方がないと思っていませんか
私たちが企業でのコンサルティングにお邪魔すると、よく出会うのがとにかく毎日忙しい、でも振り返ってみると一日何に時間を使っていたのかよくわからない、とおっしゃる方。私も前職時代、そんな経験があり、とてもよくわかります。振り回された疲労感と、やろうと思っていたことが終わらなかった未完了感に追われ、ストレスがたまるので夜も頭がさえてあまり眠れず、身体の疲れは取れても心の疲れが取れないままに翌日また同じ一日を迎えていたものです。

そんな方におすすめしているのが、5分程の時間を使って本気で1日の時間の使い方を思い出してみる、というものです。昨日の始業から終業まで、何にどれぐらいの時間を使い、どんな順番でどんな仕事をしましたか?図のようなワークシートで書き出してみると、いろんなことが見えてきます。

本当はもっと時間をかけるべきなのに、全然時間をかけられていないことがあるかもしれません。会議がいつも長引いているかもしれません。途中で話しかけられたり電話に出たりしなくてはならず、集中して作業が出来なかった時間があるかもしれません。長期的に考えていかなくてはいけないことに関して、時間が取れていないのかもしれません。あの資料のテンプレ化、いつもやろうと思っているのに出来ていないんだった、と思い出すこともありますね。その振り返りを元に、理想的な昨日を組み立てるとしたら、あなたはどんな計画を立てますか?

●実態を見てみましょう ~まずは朝夜メール!~
昨日をやり直すことはできませんが、昨日と同じ失敗を今日繰り返さないために工夫することはできますね。そのためにお勧めなのが、朝メール。始業から終業まで、スケジューラーに既に入っているアポイントや打合せの他、進めようと思っていた作業などを、どの時間に、どれぐらいの時間をかけてやるのかを書き出し、チームで共有するものです。ToDoリストをつけていらっしゃる方はよくいらっしゃいますが、ToDoリストに時間をセットで入れたようなものです。この会議は本当に1時間必要だろうか、この資料は何分で作るのが適切だろうか。慣れないうちは時間を見積もることが難しく感じられるかもしれません。逆に日頃から時間を見積もって計画を立てている方には簡単な作業です。
これを終業前に少し時間を割いて振り返るのが夜メール。予定どおりにできたもの、できなかったもの、どちらもあると思いますが、なぜうまくいったのか、いかなかったのかを振り返ることが大切です。うまくいった点を再現し、うまくいかなかった点についてはやり方を変えてみるのが次のステップ。繰り返していくことで、業務のコントロールがしやすくなり、やりたかったことを進めていける仕事の仕方に変えていくことができます。
この朝夜メール、自分にだけ送ってももちろん効果的ですが、さらに効果的なのはチームで共有すること。うまくいったこと、いかなかったことがチームの人数分蓄積していき、共有知になっていきます。私たちも毎日朝夜メールをつけて、社内で共有しています。ハードな一日の時には仲間から応援の返信が来たり、時には仕事の話だけでなく、ライフに関する話もコメントとして送り合い、仕事を楽しくする工夫をしています。

振り返ることの効用とは
ここまで読んで、どうでしょうか?楽しそう、やってみよう!と思われた方、ちょっと面倒くさそうだな~と思われた方、どちらもいらっしゃるかもしれません。ハーバードビジネススクールで行われた実験結果(※)が面白いので、ご紹介しますね。あるコールセンターでの研修中での実験です。研修中の従業員たちをふたつのグループにわけ、ひとつのグループは時間いっぱい研修を受け、もうひとつのグループは最後の15分は学んだことの振り返りに使いました。研修自体は15分短いにもかかわらず、振り返りに時間を使ったグループは1か月後、平均22.8%も成績がよかったのです。振り返ることで22%もの成長が出来るのだとしたら、振り返らないのはもったいないと思いませんか?明日の仕事を少し楽にするための振り返り。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
※出典:https://hbr.org/2015/04/the-remedy-for-unproductive-busyness
“The Remedy for Unproductive Busyness (Harvard Business Review)” by Francesca Gino and Bradley Staats


【新井セラさんのプロフィール】
ホテル業従事後、STR-RS (現UL-RS)で日本全国及びアジア各国の工場でのサプライチェーン監査と監査人の育成を担当。「働き方の健康診断」として、国際基準と該当法令をわかりやすく解説し、監査人としての指名多数。延べ5000人以上の工場経営者、従業員との対話を重ねた。日本では長時間労働と業務の属人化を解消できずに取引先としてのリスク判定が上がっていく企業が多いことから、日本企業の競争力をさらに高めるためにこそ働き方改革が必要だと実感。
2015年株式会社ワーク・ライフバランスに参画。前職の経験や知識を活かし、世界基準での働きやすい職場としてのきめ細かな観察をしつつ、相手の強みをさらに引き出すコンサルティングをしている。複雑なプロセスを分解し、誰でも瞬時に理解、行動できる仕組み作りを得意とし、会話を通して本質的な課題を引き出していることから、コンサルティング・講演でも顧客から高い評価を得ている。
ニュージーランド人の父と日本人の母を持つ。ライフでは、「違いが格差を生むのではなく、豊かさを生む社会へ」向けて活動する一般社団法人kuriyaを監事、プロボノメンバーとしてサポートしている。自身が地方出身・在住の為、地方企業への思いが強い。
詳しくはこちら⇒ https://www.work-life-b.com/consultants/arai