特定健康診断を企業経営に活かせていますか?男性がウェスト周囲85cm、女性が90cmを超えてかつ、高血圧・高血糖・脂質異常の3項目のうち2つに当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されてしまいます。メタボリックシンドロームは急速に動脈硬化を進行させるため、注意が必要です。健康問題により生産性を低下させないためにも、企業にとって特定健康診断の結果は重要な意味をもってきます。今回は、メタボリックシンドロームの診断基準の詳細と対策の事例を紹介します。

メタボリックシンドロームの基礎知識

メタボリックシンドロームの基礎知識
メタボリックシンドロームは、様々な生活習慣病を引き起こす原因とされています。内臓脂肪の蓄積過多によって動脈硬化が進行し、脳卒中や糖尿病のような生活習慣病の前段階にいる状態を指します。

メタボリックシンドロームというと軽く見られがちですが、危険性を十分に認識する必要性があります。

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪症候群とも呼ばれており、内臓脂肪の蓄積の常態によって高血圧、脂質異常、高血糖となる状態のことです。

企業で実施をした健康診断の結果で、痩せているのにメタボリックシンドロームと判定されたのでこれはおかしいという問い合わせを受けることもあると思いますが、メタボリックシンドロームは太っているかどうかではなく腹囲(ウェストサイズ)が基準となり判断されています。

メタボ検診(特定健康診査)の実施義務

メタボ検診(特定健康診査)の実施義務

2008年よりメタボ検診(特定健康診査)の年に1回の実施義務ができました。条件は在籍する40歳から74歳までの従業員が対象で、受診者が少ない場合には健康保険組合に対して財政的なペナルティが課されることとなります。

具体的なペナルティとしては、健康保険組合に対して、高齢者医療の拠出金負担を増やし、従業員の健康保険料の負担率が増大する可能性があります。同時に報奨金も設けており、基準に達している場合には、高齢者医療の拠出金負担を減らすという措置が検討されています。

メタボリックシンドロームと診断される基準

メタボリックシンドロームと診断される基準
メタボリックシンドロームと診断される基準としては、腹囲、高血圧、脂質異常、高血糖の項目が挙げられます。

腹囲

メタボリックシンドロームの判定には、腹囲が大きく関係しています。腹囲は、内臓脂肪の蓄積状態を知るためのひとつの目安になるからです。腹囲に関しては男性が85cm以上、女性が90cm以上でメタボリックシンドロームの疑いがあるという判定を受けます。

高血圧

高血圧もメタボリックシンドローム判定の基準として大きく関係しており、高血圧の場合は生活習慣病を引き起こす可能性が高いとされています。以下のいずれか、もしくは両方が該当すると高血圧と診断されます。

  • 最高血圧が130mmHg以上
  • 最低血圧が85mmHg以上
  • 脂質異常

    脂質異常については、以下のいずれか、もしくは両方が該当すると脂質異常と診断されます。

  • 中性脂肪150mg/dL以上
  • HDLコレステロール40mg/dL未満
  • 高血糖

    血糖値については、空腹時血糖値110mg/dL以上で高血糖と診断されます。

    企業でできるメタボ対策の事例

    企業でできるメタボ対策の事例
    従業員のメタボリックシンドロームを解消するために必要なことは、適度な運動と、栄養のバランスのとれた食事です。まずは従業員の運動時間の確保を行うようにしましょう。特に事務系の従業員はメタボリックシンドローム予備軍となっている傾向があります。事務系に限らず、比較的運動量の少ないデスクワーク中心の従業員のために、自主的に運動できるような仕組みを構築しましょう。

    企業で運動不足に対する有効策は、福利厚生の一環として、スポーツジムなどと法人契約を行うことです。仕事帰りに通えるスポーツジムと契約をして従業員に活用してもらうことです。

    企業規模が大きい場合には、全国展開しているようなスポーツジムと一括契約を行います。企業規模が小さい場合には、事業所近くにあるスポーツジムと従業員各人で直接契約をしてもらい、そのスポーツジムの年会費を企業負担にする形の方が事務処理の手間が省けます。

    最も手間なく導入できる方法は、すでに全国各地のスポーツジムやヨガスタジオなどと契約し、福利厚生のサービスとしてパッケージで提供している福利厚生代行サービス企業と契約をすることです。

    また、従業員が適度な運動をする機会をつくれるように、ノー残業デーを設定するのも有効です。せっかくスポーツジムと契約をしたのに、残業のせいで通えないとなってしまっては本末転倒です。

    福利厚生代行サービス企業について詳しくは、こちらの「福利厚生代行サービス活用のメリットとその選び方。代行サービス企業4選」もあわせてご覧ください。

    社内にランニングマシンやトレーニング機器を設置

    社内で空いているスペースにトレーニング設備を設置することも従業員の健康増進のためにできることの一つです。休憩設備にトレーニング用のマシンやバランスボールを設置することも有効です。

    ソーシャルネットワークサービスを展開するココネには社内にトレーニングジムがあり、従業員であれば誰でも利用ができます。また、ジムには健康士やトレーナーが常駐しており、アドバイスを受けることができます。

    懸念点は、もしもトレーニング中に怪我をした場合に労災が発生したときのコストです。業務中ではないので、労災の扱いには基本的にはなりませんが、保険に加入するようにしておきましょう。そのため、社内にトレーニング設備を設置する際には、許可制にして設備を利用する従業員を事前に把握しておくことが大切になります。

    社員食堂や弁当屋を活用して、バランスのとれた食事を提供

    社員食堂や弁当屋を活用して、バランスのとれた食事を提供
    次に栄養のバランスのとれた食事ですが、社員食堂がある場合には、栄養士とメニューの内容を検討する給食委員会を設置します。参加者は、人事担当者・栄養士・調理場の職員、労働組合がある場合には、労働組合の書記長・執行委員(職場の代表者)を選出しましょう。

    社員食堂の運用で難しいことは、栄養のバランスを重視しすぎると味が薄いメニューや食べごたえのないメニューになってしまい、一部の従業員が不満をもつ可能性があることです。給食委員会では、社員食堂のメニューについては、栄養士の助言を聞くと共に、そこで働く従業員の意見もよく取り入れ、バランスのとれたメニューにしましょう。

    社員食堂がない場合にはパートナーとなる弁当屋を選び、そこの調理師・栄養士に従業員のための栄養のバランスがとれたメニューの導入が可能か否かを相談しましょう。

    弁当屋に依頼する場合には、社員食堂に比べて融通が利かない傾向にあります。ですので、しっかりと企業としての基準を伝えることが大切です。値段、味、カロリーなどについては、企業としての基準を示して弁当を作ってもらえるように交渉しましょう。

    また、栄養のバランスを考慮したお惣菜を提供している手軽なオフィス常駐型の配送サービスを利用することは、手間をかけずに栄養バランスのとれた食事を提供する有効策です。「オフィスでやさい」や「オフィスおかん」といったサービスです。

    社員食堂やオフィス常駐型の配送サービスについて詳しくは、こちらの「コミュニケーションが向上する!福利厚生で人気の社員食堂のメリット」もあわせてご覧ください。

    メタボリックシンドローム対策の食事メニュー提供

    メタボリックシンドローム対策として有効な食事メニューは、栄養のバランスに偏りのないことが大前提です。主食・主菜・副菜をバランスよくそろえることを徹底しましょう。

    主食は炭水化物を多く含む、脳のエネルギー補給のために必要なものを中心に献立を考えます。ごはん・パン・うどんなどがこれらに該当します。取り過ぎれば栄養過多となってしまいますので、定量を決めるようにしましょう。

    主菜は、魚・肉・卵のようなタンパク質を含んだ食品を指します。人間の体を機能させるためには必要な食品なので、必ずメニューに加えるようにしましょう。あまりにもたくさん摂取すると、コレステロール値などが高くなりますので、注意しましょう。

    副菜は、野菜を取り入れるようにしましょう。特に、野菜はビタミン摂取のために必要不可欠です。食物繊維がたっぷり入っているので満腹感の維持にはうってつけです。できるだけたくさんメニューに入れるようにしましょう。

    以上です。40歳以上の従業員は、企業にとって重要なポジションに就いていることが多いでしょう。この大切な労働力が生活習慣病によって欠けることは、企業にとって大きな損失です。そうならないためにも、従業員の健康状態を診断によって知ること、データをとることが何より重要です。

    データによって従業員の健康状態を把握することができれば、大病を患う前段階で対策を打つことが可能です。増えない労働資源の中で生産性を上げていくためにも、従業員の健康状態を把握し、できる範囲で投資をすることが企業に求められる時代になってきています。