退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

退職する従業員から企業側に伝えられる退職理由は、ほとんどの場合”本音”ではありません。そうなると企業は従業員の退職の真の原因を突き止めることができず、人材を流出し続けてしまいます。では、どう対処すればよいのでしょうか。退職する従業員の”本音”と”建前”を踏まえ、無駄に退職者を増やさないための対策を教えます。

退職の本当の理由は伝えられない

退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

企業にとって従業員は大切な経営資産ですから、「従業員の退職=資産の流出」といっても過言ではありません。そのため、退職の原因が企業側で解決可能なものであれば、退職を考えている従業員を引き止めたいというのが雇用主側の本心です。

そこで気になるのが、退職者が企業側に本当の退職理由を伝えているかどうかです。

結論、本当の退職理由は伝えない

退職理由の伝え方には個人差がありますが、本当の退職理由を企業側に正直に伝える人はあまり多くありません。

「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントを対象にした調査(2019年)によると、転職者の2人に1人は5割以上異なる退職理由(つまり本当の理由ではない)を企業側に伝えています。

退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

出典:エン 人事のミカタ

企業側に伝える退職理由としては「家庭の都合」や「ほかにやりたいことがある」「資格取得のため」などがよくあり、「一身上の都合」という”建前”に集約されています。

企業側も個人的な事情だと引き止めにくく、そのまま退職を受け入れているケースがほとんどです。また、そもそも一人ひとりの退職理由にあまり関心がなく、去る者は追わずというスタンスの企業もあります。

なぜなら円満退職を望む人が多い

本当の退職理由を伝えないのは、「円満に退職したい」という退職者の気持ちがあるからです。本当は今の職場にいろいろな不満があって退職を決断したとしても、できれば「辞めるときは波風を立てずに去りたい」というのが去る側の本心です。

退職を決意した人の意識は未来に向いていますから、もう気持ちが離れた企業に悪い印象を残したり、余計なトラブルを起こしたりはしたくないと思うのは当然です。

企業が聞き出せない退職する人・したい人の”本音”

企業が聞き出せない退職する人・したい人の本音

では退職理由の”建前”の裏には、どのような”本音”が隠れているのでしょうか。

日々転職者と相対する転職コンサルタントを対象に、転職者が企業に伝えるホンネとタテマエを聞いたところ、転職・退職理由の”本音”としては以下のような項目が上位にあげられました。企業側にはあまり伝えられることがない”本音”=本当の退職理由を確認しましょう。

給与や評価への不満

“本音” 報酬をあげたい(57%)、評価に納得できない(48%)

転職者が企業に伝えるタテマエとホンネで多いもの上位1-2

出典:エン 人事のミカタ

給与や評価に対する不満が、本当の退職理由です。成果を上げてもほとんど昇給しなかったり、ボーナスに反映されなかったりすると「ここにいても正当に評価してもらえない」と考えるようになってしまいます。また、人事評価の基準があいまいな場合もモチベーションに悪影響を及ぼします。

ただし、不満をぶつけたところで給与が上がり評価がいいほうに変わるわけではありません。もし、不満を訴えることで給与や評価が即座に変わるようなことがあれば、そんなにあいまいなことはありません。

転職市場に出れば、今よりも高く評価をしてくれる企業があるかもしれません。企業側としても、一個人の不満のために給与体系や評価制度を変えることは、そうありません。

給与や評価への不満が本当の退職理由だとしても、“本音”を伝えたところで何も変わらないので、辞めるときはオブラートに包むことが多いです。

従業員のモチベーションアップにつながる社内表彰制度のメリット

上司との相性、職場の人間関係の問題

“本音” 上司と合わない(48%)、職場の人間関係が合わない(48%)

転職者が企業に伝えるタテマエとホンネで多いもの上位2

出典:エン 人事のミカタ

「気軽に相談しにくい」「上司のハラスメントが黙認されている」「同じ職場の人間が働かない、非協力的」など上司や職場の同僚との人間関係が悪いと、ストレスが溜まって労働意欲低下につながります。

このストレスの原因である職場の人間関係の悪化が、本当の退職理由です。人間関係の問題はデリケートですので、本当の退職理由としては伝えないことが多いです。

しかし、上司や職場の人間との距離は配置転換によって変えることができます。ですので、本当にそれだけが退職の理由であれば、上司や人事に訴えてみる価値はあります。

にもかかわらず、この”本音”を聞き出せない状態をつくり出しているのは、企業側に問題があります。日頃のコミュニケーション不全問題です。

給与や評価の不満は、そう簡単に変わりません。一方、人間関係の不満は配置・配属を変えれば変わります(別の問題が発生するかもしれませんが)。人間関係を理由に優秀な人材が退職してしまうのは、止められたかもしれない退職ですので、非常にもったいない人材流出です。

パワハラとは?6つの行為類型と社内での再発防止方法

企業の将来に対する不安

“本音” 会社の将来に不安を感じる(37%)

退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

出典:エン 人事のミカタ

この退職理由は、企業に伝える”建前”と本当の退職理由”本音”の差が小さいのが特徴です。つまり、企業側に”本音”(37%)を正直に伝えている(28%)といえます。

不安とはどことなく感じる恐怖ですので、漠然としています。ですので、具体的に何が不安なのかを明確にすることはできないのですが、企業の先行き不安が本当の退職理由です。

事業を取り巻く外部環境の変化スピードに不安を感じているのかもしれません。新しい価値を生み出すための企業力不足に不安を感じているのかもしれません。

いずれにしても、未来永劫絶対安定の企業は存在しません。”本音”を伝えたところで不安が完全に消えることはありません。企業側としても、とにかく変化をする組織であり、産業の未来を描いている姿勢を伝えることしかできません。

それでも不安があるということで外に出ていくことは、その人の可能性や仕事の領域を広げるきっかけになるので、これは止めることはできない前向きな退職です。

企業に求められること

退職の本当の理由は?従業員の本音を聞き出せない企業側に求められること

退職者が円満に退職したいという気持ちを強くもてば、本当の退職理由を企業側が聞き出すことは難しいです。

とはいえ、”建前”としての退職理由から企業が教訓にできることは何もありません。今後、後ろ向きな理由を伝えずに退職する人を減らすには、退職者が伝えない”本音”の部分に目を向けて、以下のような対策を考えていく必要があります。

”本音”を話しやすい風土をつくる

本当の退職理由を聞き出せないのは、話したところで何かが変わるわけではないので話さない場合と、話しづらい雰囲気や環境をつくり出している場合があります。

いずれの場合も、円満退職を望む退職者心理によって”建前”に置き換えられます。ただし、後者の場合は職場環境の改善により、”本音”を聞き出せる可能性があります。

日頃からコミュニケーションが活発で、上司や同僚に相談しやすい職場なら、仕事や人間関係に対する不満がまだ小さいうちに解決につなげられるかもしれません。

最近では日頃のコミュニケーションを大事にするために、上司と部下が定期的に面談をする「1on1ミーティング」や、年齢の近い先輩従業員が仕事の悩みを聞いてくれる「メンター制度」などを導入する企業が増えています。

意図的に職場の交流機会を設けて仕事や人間関係に関する困りごとや不満点を共有すれば、よりよい職場環境に変えていくきっかけになるでしょう。

コミュニケーションが向上する!福利厚生で人気の社員食堂のメリット

管理職の研修・意識改革

「上司と合わない」という退職の本当の理由を直接上司に伝える人は、まず存在しないでしょう。そもそも上司との人間関係が悪ければ、退職の本当の理由を聞きだすことは難しくなります。

組織で仕事をする以上、上司が退職の理由(原因)になるのは完全に企業側に落ち度があります。管理職として部下を育てて組織を強くしなければならない立場の人間が部下をつぶして退職させることは、組織の弱体化につながり、企業にとって損失でしかありません。そのような人間を管理職を任命し、教育してこなかったのは企業側の問題です。

このような問題を起こさないためにも、管理職の意識改革に取り組むのも一案です。上司がコンプライアンス意識を高くもち部下の働き方への理解を深めることができれば、退職の本当の理由で2番目に多かった上司との人間関係の問題を少しでも解消することにつながります。

意識改革で必要な7つのSとは?導入のメリットや進め方の注意点

労働条件や評価制度を見直す

労働条件や評価制度を見直すことは、退職の本当の理由で一番多かった給与や評価への不満を解消することにつながります。特に、勤怠管理制度や人事評価制度は安定した企業経営に欠かせない土台のようなものです。

労働時間と成果の基準が明確にわかるからこそ、対価としての賃金にも納得感を醸成しやすくなります。ダラダラと長時間労働をしている人が頑張っている(貢献をしている)といった主観的な評価はやめて、成果を出している人が正当に評価をされる環境に変えることです。もちろん、成果とは何かの定義を付けてです。

失敗しない人事評価制度の作り方。よくある失敗例や運用に必要なポイント

これは、企業が率先してやっていかなければなりません。なぜなら、従業員側から”本音”の意見として給与や評価への不満は出てきづらいからです。不満が出ていないから見直す必要はないと考えていては、他の条件のいい企業への優秀な人材の流出は止められません。

安く人を使おうとするのは、雇用主側の都合でしかありません。都合よく労働者を使っていると、無駄に退職者を増やすだけです。

福利厚生を充実させる

従業員満足度を高めることで退職のリスクを抑えたい場合は、福利厚生を充実させるのも効果的です。従業員にとって福利厚生は、この職場で働くことで得られる賃金以外の報酬、サービスです。

今すぐに給与体系を見直す(給与を上げる)ことが難しいのであれば、まずは福利厚生というカタチで従業員に分配するのも一案です。福利厚生を充実させることで、すこしは給与に対する不満解消につながります。

いきなり給与を増やすとなると企業側の負担が大きくなりますが、福利厚生費は非課税対象ですので企業側の負担は比較的小さくなります(一部、課税対象)。非課税対象の福利厚生であれば、企業負担を最小限に抑えながら従業員満足度を高めることが可能です。

給与と福利厚生費の違い。給与増よりも福利厚生の充実のほうがトクか?

重要なことはPD「C」A

すでに退職を決意した従業員から退職の本当の理由を聞き出すことは難しいでしょう。”本音”を聞き出して退職の真の原因を突き止めることに時間と労力を費やしても、無駄です。

それよりも”本音”がいえない環境をなくす努力や退職につながっているであろう労働条件や労働環境を見直したほうが、退職が減る可能性が高まります。

日本企業の離職率の平均は?離職率を下げるための職場の改善方法

退職には理由があります。企業にとっては、この退職の本当の理由を知ることが目的ではなく、無駄に退職者を増やさないことが目的です。採用にもPDCAが必要です。無駄に退職者を増やしている状況は、チェック(Check)ができていない証拠です。

P(Plan) = 採用計画を立て、
D(Do) = 採用活動をして、
C(Check) = 定着しているか退職したかを把握、それは何故かを点検し、
A(Action) = チェックを踏まえた労働条件、労働環境の改善と次の採用活動に向けた改善

退職者を出してしまうことは、企業にとって失敗かもしれません。大切なことは、この失敗から学び、気が付くことです。失敗をすることを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたほうがいいです。

退職者を出したとしても、社内の問題点を真剣に見直していけば、無駄に退職者を増やすことは自然となくなるでしょう。

離職防止ならリロクラブにご相談ください
人材定着に効果的な福利厚生、あります
人材定着でお悩みなら
福利厚生のリロクラブまで