新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークの普及が進む今。組織内での意思疎通や、部署を横断した情報共有が難しいと感じていませんか?そのような中、価値を見直されているのが社内報です。
紙媒体のイメージが強い社内報ですが、コロナ禍では、Webやアプリなどオンライン配信の社内報が広がっています。社内報でできること、目的に合った配信方法、コロナ禍に届けたい社内報のネタの選び方など、社内報作成のヒントを解説します。
目次
今、なぜ社内報なのか?社内報の重要性

テレワークの普及で増えるWeb社内報
社内報とは、企業や経営トップの考えを現場に伝えたり、従業員のコミュニケーションの機会をつくったりするツールのひとつです。新聞や冊子にして全社員に配布する形が主流でしたが、インターネット環境の発達に伴い、Webやアプリなど、配信媒体も多様化しています。
特に、新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが拡大すると、従来は紙媒体のみの社内報だった企業も、オンライン配信と紙の併用が増えてきました。
年に1回、社内報企画を表彰する国内最大級のアワード「社内報アワード」を実施するウィズワークス調査によると、Web社内報を発行している企業は4割強(2020年調査)。
ブログの記事作成ができる程度の知識で発信できる社内報アプリの登場などもあり、企業規模を問わずWeb社内報の導入企業が増えています。

社内報とは、人と組織のエンゲージメントを高めるツール
そもそも、企業経営において社内報にはどのような意味があるのでしょうか。社内報を発行する目的は企業によってさまざまですが、参考までに主なものを挙げると、次のようになります。
発行目的1.経営者と従業員間の相互理解を深める
企業の経営理念・方針、事業戦略を的確に分かりやすく伝えるとともに、従業員に対しては経営者の考えを、経営者に対しては従業員のもつアイデアや考えを伝えることにより、経営者と従業員間の相互理解を深める。
発行目的2.課題解決のための行動を促す
企業が目指すべき方向を明らかにし、目的達成のためには従業員は何を考え、どのように行動して行けばよいかを導き出し、課題解決のための行動を促すきっかけを与える。
発行目的3.従業員同士の相互コミュニケーションを促進する
多くの従業員の考えや、元気に働く姿を丁寧に拾い上げることで、仕事に対する誇りとモチベーションを向上させ、従業員同士の相互コミュニケーションを促進する。
発行目的4.公式情報を収集・共有・保管する
経営者や従業員が知るべき公式情報(経営情報、経営戦略など)の共有を進めるとともに、事業の公式記録の収集、保管の一翼を担う。
以上です。それぞれの発行目的を見てみると、社内報は、組織内のコミュニケーションや情報共有を通じて、組織課題の解決に向けた重要な役割を果たすことがわかります。
先述のウィズワークスでは、社内報を次のように定義しています。
企業における「タテの関係」(=上司と部下、使用者と労働者)、「ヨコの関係」(=従業員同士、部署間、拠点間など)、「ナナメの関係」(=仕事で接点のない関係)をつなぐ「コミュニケーションインフラ」であり、「会社を構成する人と組織のエンゲージメントを高め、持続的に企業価値を向上させるツール」。
テレワークの普及で組織内での意思疎通が難しくなる今、自社にふさわしい社内報を発行することは、企業の発展、ひいては、従業員の働きがいや幸福度の向上に寄与します。
社内報は紙、Web、アプリのどれがいい?それぞれの強み・弱み

では、どのような社内報がのぞましいのでしょうか。
社内報のオンライン化(ペーパーレス化)が進んでいますが、依然として紙媒体も発行している企業がほとんどです。「PCを利用しない従業員に届きやすい」「OBやOGにも読んでもらいたい」といった場合には、紙媒体も有効です。
紙・Web・アプリ社内報のどれがいいか。これを検討するには、各媒体を以下3つの視点で比較検討すると、特性をつかみやすくなります。
- 共感(ストーリー性・到達度)
- 時間(速報性・保存性)
- 空間(双方向性・携行性)

紙社内報の強み・弱み
紙社内報の強み
紙社内報は、ストーリー性・到達度・携行性に強みがあります。
紙は手にとってじっくりと読むため、読者に思考を促すことができます。紙はデザインの幅が広く、ストーリー性をもたせるのにぴったりです。
また、Webやアプリでは自ら接続しないと読めないのに対し、紙社内報は従業員に直接手渡せるため、情報の到達度も高くなります。
紙社内報の弱み
とはいえ、企画、取材、原稿作成、デザイン、印刷……と、1冊の社内報が完成するまでに時間がかかってしまうのは大きな弱みです。すぐに伝えたい情報の掲載には向きません。読者同士の交流が生まれにくいのも弱点です。
Web(イントラ)社内報の強み・弱み
Web(イントラ)社内報の強み
Web(イントラ)の強みは何よりも速報性です。紙に比べて適切なタイミングでスピーディーに情報を発信できるのは、Webならでは。また、Web上に記事が蓄積されていくため、データベースの役割も果たせます。
そのほか、ページ数に制限がなく、必要な情報を必要なだけ記事化できるのも強みです。記事に関連リンクをつけたり動画とリンクさせたりすることで、情報の深度を高めることができます。
Web(イントラ)社内報の弱み
しかしながら、Web(イントラ)社内報は業務中にパソコンで閲覧されるケースが多く、携行性は低いです。また、イントラは他の多くの社内情報に社内報が埋もれる可能性があり、到達度も低い傾向にあります。
アプリ社内報の強み・弱み
アプリ社内報の強み
アプリ社内報の強みは、なんといっても携行性の高さです。スマートフォンで常に持ち歩け、電車移動中などの隙間時間に社内報を読めるため、忙しい従業員にはぴったりです。プッシュ通知機能を使って読んでもらいたい記事に誘導することで、情報の到達度も高められます。
さらに、コメントや「いいね!」機能がついている場合、SNS感覚で利用しやすく、従業員参加型ツールとして活発に運用できます。
アプリ社内報の弱み
アプリ社内報は、短時間でサクサク読むツールのため、ストーリー性の高い記事を読むことにはあまり適していません。長い記事は文中に写真をなるべく多く差し込むなど、長くても読み進めやすくなる工夫が必要です。
ターゲットやコンテンツに応じたすみ分け

以上のように、3つの配信媒体にはそれぞれ強み・弱みがあります。したがって、ターゲットや配信したいコンテンツの内容によってそれぞれ配信媒体を分けることで、効果的な配信ができます。
紙社内報が適しているターゲット・コンテンツ
紙社内報は、従業員の家族・OB・OG・内定者など、社内イントラを閲覧できない層を含め、幅広くターゲットにできます。
配信コンテンツは、従業員の家族も参加できる社内のイベント情報を掲載したり、転勤が多い企業では、各事業所の暮らしレポート、キャリアパス紹介などもよいでしょう。
- 家族も参加できる社内のイベント情報
- 転勤先の暮らしぶりレポート
- 育児や介護との両立にかかわる経験談
- 1日の仕事や働きぶりを紹介するレポート
- 従業員のキャリアパス紹介
- 企業の歴史の振り返り
Web(イントラ)社内報が適しているターゲット・コンテンツ
閲覧範囲を限定しているイントラ環境は、情報セキュリティが万全です。配信対象を自社の従業員に限定したい場合は、Web(イントラ)社内報が向いています。
特に、速報性・機密性の高い情報発信にはイントラ環境が便利です。適したコンテンツとしては、次のようなものが挙げられます。
- ニュース
- 展示会速報
- 人事情報
- 従業員の慶弔情報の掲載
アプリ社内報が適しているターゲット・コンテンツ
携行性が高いアプリ社内報は、社外にいることが多い従業員、若い世代に向いています。工場や店舗などの現場にいてイントラを利用しづらい従業員でも、スマートフォンを活用することで、隙間時間に社内報を読むことができます。
若い世代を主役にした企画を立てるのも効果的で、従業員の参加度も高められます。
情報の速報性も高いため、新商品の情報など、速く・深く届けたいコンテンツが向いています。社内の「今」を知ってもらうだけでなく、新商品の情報や開発のきっかけ、豆知識など定期的に記事化するなど、タイムリーで深度の深い発信が可能です。
「いいね」やコメントが得られやすいよう、共感性を意識したコンテンツづくりを意識することが大切です。
- 新商品にまつわる開発のエピソード
- 全社活動に関する拠点毎の定期レポート
- 各事業拠点のお仕事紹介(写真を多用)
- マイオフィス紹介
- 社内イベントのタイムリーなレポート
- 若手従業員の対談記事
- 現場に届いた「お客様の声」
コロナ禍で特におすすめしたい社内報コンテンツ

社内報で取り上げられるコンテンツはますます多様化しています。伝えたい情報は同じでも、動画など多様な手法でメッセージを届けることができるようになりました。
そして今回の新型コロナウイルスの感染拡大。不安を払しょくし、社内の一体感を高め、組織の発展につながるよう、長引くコロナ禍でおすすめの社内報コンテンツを紹介します。
経営トップから従業員に想いや現状、将来の方向性を丁寧に伝える
社会的に不安定な状態が続くほど、経営トップが何を考え、どのように対応しようとしているのかという情報を従業員は知りたがります。日々刻々と情勢が変化する中で、タイムリーな内容を継続的に発信することが重要です。
特に状況が長期化している今、経営トップは次の飛躍への土台固めにつながる強いメッセージや姿勢を示す必要があります。社会的に危機的な状況を経営トップがどうとらえ、チャンスに変えていこうとしているのか。その姿勢を発信することで、経営の求心力を高めることができます。
- 動画によるトップメッセージの定期配信(2分半~3分の短めがおすすめ)
- トップからの寄稿記事(1000字程度、ブログのような親近感ある配信を心がける)
- トップと有識者対談(外部有識者の視点から、コロナ禍における自社の経営を客観視する)
感染症対策の取り組み事例やお役立ち情報を伝える
感染状況や対策には、地域差があります。拠点が多い企業では、他の拠点でどのような取り組みをしているのか気にしている従業員も多いはずです。事務所や工場での取り組み事例のほか、顧客、取引先の情報なども丁寧に伝えるとよいでしょう。
海外に拠点をもつ企業は、感染拡大状況の違いやその国独自の対策も発信しましょう。また、「ウイルスに感染した場合に勤務先への連絡はどうするか?」といった従業員が知っておくと役に立つ情報も喜ばれます。
- 事務所や工場など他拠点のテレワーク・感染症対策事情
- 顧客や取引先のテレワーク・感染症対策事情
- ウイルスに感染しない・させないための基本情報
- これさえ読めば感染症対策のすべてがわかるまとめ記事
「もし感染したらどの部署に連絡すればよい?」「子どもの学校が休校!勤務先にはどう報告する?給料はどうなるの?」など、従業員が知りたいコロナ関連のあれこれを掲載する
次の時代に向けた前向きなチャレンジを紹介
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化すれば、感染が収まるのをただ待つだけではなく、新しい時代に向けたチャレンジをしていかなければなりません。
経営トップの経営方針を受けて、各事業所で行われている新たな挑戦や、テレワーク普及による働き方改革の実現など、将来への希望を感じるネタをぜひ取り入れていきましょう。
- 「あの人のテレワーク」(社内で注目されている人の働き方を紹介)
- Withコロナに向けた新製品開発への取り組み
- 在宅勤務に対する従業員アンケート(どこに改善点があるかを提示し、新しい時代の働き方改革へとつなげる)
- 「コロナ禍の社会に〇〇(社名)ができること」(社会の不安感が増す中で何ができるか、従業員や各拠点で実践された取り組みを特集)
社内の一体感を高める参加型コンテンツ
テレワークが増え、対面の機会が減るなかで、社内の一体感を高めるには、参加型のコンテンツが有効です。多様な切り口で意見を募集して、社内の声を伝えます。
- 「今、私たちにできること」事業改善につながる取り組みやアイデアを募集する
- 「ちょっとうれしかったこと」離れて働く同僚との何気ないやり取り、感謝の言葉、上司に褒められたこと、この状況下で新商品の開発に成功したエピソードなどを募集する。
- 「おうち時間のすごし方」おすすめおうち時間のすごし方を募集し、紹介。おすすめ映画、おすすめ本、など、より細かい切り口で募集してもよい。
- 「エールを送ろう」離れて働く同僚や後輩、先輩などにメッセージ
ウィズワークスが運営する「社内報ナビ」には、社内報アワード入賞企業のコンテンツが多数紹介されています。参考にしてみてください。
おすすめの「社内報アプリ」

年に一度、国内最大級の社内報表彰イベント「社内報アワード」を開催するウィズワークスは、社内報をはじめインターナルコミュニケーションの先駆的企業です。四半世紀にわたり420社以上の取引実績があり、アワード参加企業も合わせると2,200社以上との関係、10,000以上の企画事例を蓄積しています。
紙社内報、Web(イントラ)社内報、アプリ社内報、動画社内報のすべてをトータルでサポートしていますが、なかでも同社の「社内報アプリ」は使い勝手のよさが好評です。
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まさに、社内報専門会社としてのノウハウを詰め込んだ、現場の広報担当者が本当に使いやすいアプリです。
料金は、導入に関する提案・サポートに対する初期費用に加え、ユーザー数ごとに異なる月額費用となっています。
参考:特別公開【その2】「社内報アワード2020」ゴールド賞受賞企業のコロナ関連企画