【総務人事担当者向け】社宅について徹底解説!企業の課題やよくあるトラブルの改善方法とは

【総務人事担当者向け】社宅について徹底解説!企業の課題やよくあるトラブルの改善方法とは

企業が運用管理をする従業員向け住居、いわゆる「社宅」は、従業員向けの福利厚生制度としてはポピュラーな存在です。従業員が住む住居という特性上、企業運営や利益に直接関わることがほとんどなく、企業が「何となく運用している」というケースも珍しくありません。

そのため、企業によっては「正しく運用管理できているのか」「社宅制度に課題はあるのか」が不明瞭となるケースもしばしばです。

そこで今回は、社宅を持て余している企業の経営者・総務人事担当者、または社宅の見直しを検討しているご担当者に向けて、企業による社宅運営のコツやポイント、課題の改善方法を解説します。当コンテンツをご覧いただくことで、現状の社宅運営における課題点の改善方法を把握できます。

■合わせてよく読まれている資料
福利厚生代行サービスを選ぶ時のポイントと比較表」も合わせてダウンロードいただけます。

社宅制度の基礎知識についておさらい

社宅制度の基礎知識についておさらい

社宅とは、企業が「従業員向けの住居」として所有・貸付を行う物件のことです。「従業員の満足度向上」や「転勤対策」、「節税対策」など、社宅を所有する目的は企業によって異なります。その多くは一般的な住居よりも賃料が安い、勤務場所から距離が近いのが特徴です。従業員にとっては、住居費の節約や通勤時間の短縮などにつなげやすいメリットがあります。

「貸し手が企業、借り手が従業員」というだけで、学校が所有する学生寮とおおまかな仕組みは同じといえるでしょう。企業と従業員のそれぞれに恩恵があることから、社宅を保有・運用を行う企業も少なくありません。

なお、社宅のことを「社員寮」と呼ぶケースもありますが、社宅と社員寮の使い分けに明確な定義はありません。混同を避けるため、当コンテンツでは「社宅」の表記で統一をします。

「社有社宅」と「借り上げ社宅」、それぞれのメリット・デメリット

「社有社宅」と「借り上げ社宅」、それぞれのメリット・デメリット
社宅の種類
社有社宅 土地や物件をまるごと企業が保有する社宅
借り上げ社宅 土地や物件を企業が借り上げたうえで従業員に提供する社宅

社宅には、土地や物件をまるごと企業が保有する社有社宅と、土地や物件を企業が借り上げたうえで従業員に提供する借り上げ社宅の2種類があります。社宅を導入している企業の経営者・総務人事担当者であれば、それぞれの特徴やおおまかなメリット・デメリットを把握しておきましょう。

社有社宅のメリットとデメリット

社有社宅のメリット・デメリット
メリット デメリット
社宅そのものを「企業の資産」として扱える 初期費用や管理コストが高額になりやすい
従業員やその家族同士で親睦を深めやすい 従業員に提供できる住居の種類が少なくなりやすい

社有社宅は、自社所有物件となるため、社宅そのものを「企業の資産」として扱うことができます。必要に応じて、社宅以外の用途(一般的な賃貸物件など)でも利用が可能です。企業の従業員だけを入居させるケースがほとんどですので、従業員やその家族同士で親睦を深めやすいメリットがあります。この他、後述する借り上げ社宅よりも、地価高騰による賃料の値上げなどの負担が発生しにくいという利点もあります。

一方、社有社宅は企業が所有するという特性上、維持費や管理費、固定資産税などを企業でまかなう必要があります。社宅の老朽化が進めば、建物の修繕費が発生することもしばしばです。おまけに社有社宅は、間取りや内装が同じ設計で建てられている物件が多くなっています。一般的な賃貸物件よりも、住居としての選択肢が狭まる分、従業員にとっては社宅が魅力的に映らないケースも少なくありません。

導入や管理面で大きな費用が発生しやすいため、社有社宅は大企業向けといえます。

借り上げ社宅のメリットとデメリット

借り上げ社宅のメリット・デメリット
メリット デメリット
初期費用や管理コストを抑えやすい 家賃支払いや契約書類確認などの手間が発生する
従業員にさまざまな種類の住居を提供しやすい 部屋の空き状況によっては費用負担が大きくなる

借り上げ社宅は、企業が借りている物件を従業員に提供する社宅です。自社所有物件ではない分、建物の維持費や固定資産税などを企業で負担する必要がなく、社有社宅と比べて管理コストが発生しにくいメリットがあります。

また、複数の賃貸住宅と契約をすることで、従業員が好みの物件や場所を選びやすくなります。選択肢が増える分、社有社宅よりも従業員の満足度向上にもつなげやすいでしょう。管理コストが低いため、借り上げ社宅は中小企業でも導入や運用がしやすいのが特徴です。

ただし、借り上げ社宅はあくまで、「企業が物件の所有者から借り入れた住宅を従業員に貸し出す」という社宅です。所有者と従業員の間で企業が橋渡し役となり、家賃の支払いや部屋の規定確認、契約書類の確認などの管理業務を担います。借り上げ社宅を運用する企業の中には、この管理業務が総務や人事の大きな負担となっているケースも珍しくありません。

ちなみに、借り上げ社宅のように「物件の所有者」から借り入れた住宅を別の方に貸し出す(また貸し)ことを「転貸借(てんたいしゃく)」と呼びます。

結局どちらの社宅がよいのか

社宅の特徴
種類 導入コスト 管理の手間
社有社宅 高い 発生しにくい
借り上げ社宅 低い 発生しやすい

社宅の見直しを考えている場合、両方の特性を見極めたうえで検討をしてください。それぞれのおおまかな特徴を挙げれば、同じ社宅でも社有社宅と借り上げ社宅は相反する関係性にあります。そのため、どちらが一概に良いと論じるのは困難です。

また、すでに社宅を導入している企業の場合、社有社宅か借り上げ社宅の「いずれか一方に切り替える」というのも、現実的に難しいでしょう。したがって、社宅のメリットを最大限に享受するには、「現在運用している社宅の課題をどのように解決するか」が何よりも大切となります。

以下の項からは、企業の経営者・総務人事担当者に向けて、社宅におけるよくあるトラブルについて解説をします。

社宅におけるよくあるトラブルや企業側の課題

社宅におけるよくあるトラブルや企業側の課題

社有社宅や借り上げ社宅における、主なトラブルは以下の通りです。

  • 騒音や人間関係のトラブル:上の階の生活音がうるさい、企業での立場があり苦情を入れにくい等
  • 設備不良や不備のトラブル:家電が壊れて使えない、シャワーのお湯が出ない、トイレが詰まった等
  • 家賃支払いや契約まわりのトラブル:家賃の値上がりが発生した、転居したいが部屋が見つからない等
  • 退去時の原状回復:原状回復費が高すぎる、不明瞭な請求をされた等

一般的な賃貸住宅にもよくあるトラブルですが、社宅は「企業の従業員が住まう」という特徴があります。そのため、社宅で人間関係のトラブルが生じた際などは、企業内の部署やチーム内の軋轢に発展するケースも珍しくありません。

これらのトラブルを「いかに迅速に対応、解決するか」が、社宅を運用する企業側の課題となります。

発生したトラブルを放置しておくと、円滑な企業運営に支障をきたす可能性があります。反対に、トラブルなく社宅を運用管理できれば従業員満足度も向上しやすくなり、業務効率アップや利益の拡大につなげることも夢ではありません。

社宅をより良いものにし、課題を解決するには

社宅をより良いものにし、課題を解決するには

社宅におけるトラブルを把握できたところで、現在の社宅に課題を感じている企業担当者に向けて、改善すべきポイントについて解説します。おおまかな手順は以下の通りです。

  1. 社宅の運用目的を明確にする
  2. トラブル発生の予防に務める・解決策を作る
  3. 管理代行に依頼をする

1. 社宅の運用目的を明確にする

従業員の転勤対策や福利厚生制度の充実など、企業ごとに社宅の目的はさまざまです。社宅の課題を解決するには、最初に「なんの目的で社宅を運営しているのか」を改めて明確にしてください。目的が明確になることで、企業で取り組むべきこともハッキリしやすくなります。

例えば、「企業の福利厚生制度を充実させたい」「企業アピールとして社宅をプッシュしたい」という目的であれば、設備の充実性や快適性の向上を目指すのがおすすめです。さまざまな従業員が暮らしやすい社宅があれば、企業アピールや採用力強化につなげやすくなります。

この、最初に社宅の運用目的を決めることは、社宅の導入を検討する企業にとっても欠かせない工程となるでしょう。目的が明確であれば、どのような社宅を選べばよいか選択がしやすくなります。

2. トラブル発生の予防に務める・解決策を作る

社宅におけるトラブルは先に述べた通りですが、円滑な社宅運用をするには、これらのトラブルを未然に防ぐことが不可欠です。

具体的には「従業員に合わせて物件や部屋の割り振りに配慮する」「トラブル時の連絡先を明確にしておく」などの取り決めが必要となります。特に連絡先の明確化は、社宅での従業員同士の軋轢を防ぐためにも重要です。

万が一、社宅で問題が発生した時に備えて、従業員向けにマニュアルを作っておくのも良いでしょう。この他、物件の所有者と従業員とのトラブルを防ぐために、所有者と従業員の間に入って仲介役を設けるのもよい対策です。

3. 管理代行に依頼をする

所有者と従業員の間に入って仲介役を設けるのが難しい、総務人事の手間を削減したい企業であれば、社宅の管理代行に依頼しましょう。物件の手配や賃料の支払い業務、契約更新時の手続きといった社宅の管理業務をアウトソーシングで依頼できます。

社宅管理のノウハウがない企業にはもちろんのこと、管理の煩雑化を避けたい企業にもおすすめのサービスです。サービスを提供する企業によって、管理する範囲や費用などが異なるため、比較検討をしたうえでの導入をおすすめします。

従業員にとって「魅力的な社宅」とは?

従業員にとって「魅力的な社宅」とは?

社宅は企業アピールや採用強化につながるため、福利厚生の一環として注力する企業が多くなっています。そのため、他社との差別化ができないと、従業員にとって魅力的な社宅とはならず、企業アピールにつながらないこともしばしばです。

おすすめの家具・家電付き社宅

従業員によって、社宅に求める要素や重視するポイントなどは異なりますが、中でも「家具・家電付き賃貸物件」などは、高い快適性から社宅の中でもおすすめの物件です。

家具・家電付きの社宅にすることで、新入社員も安心でき、引っ越し費用を削減できます。企業アピールや採用強化を目的に社宅を運用するのであれば、「従業員の希望や要望をしっかり反映した社宅」にすることを心掛けましょう。

こんなお悩みありませんか
  • 所有する社宅に家具や家電を設置したい
  • 社宅に住まう従業員からの連絡窓口を一本化したい
  • 社宅管理を行う総務・人事担当者がいない

上記のようなお悩みを抱えている方、社宅の管理代行サービスを探している方であれば、「リロエステートの転貸借契約」を検討してみてはいかがでしょうか。リロエステートが提供する転貸借契約は、社宅の物件紹介や契約更新などの管理業務をアウトソーシングできるサービスです。

リロエステートの転貸借契約なら、家具・家電付き賃貸物件を選べる他、住みたい物件に家具・家電を付けられます。冷蔵庫や洗濯機、テレビ、テーブルなどを自由に選べるうえ、リース契約で必要な「搬入・搬出料金」や中途解約違反金なども発生しません。従業員の満足度向上に貢献でき、企業は「家具・家電付きの社宅物件」をアピールして、採用力強化につなげることが可能です。

このリロエステートの転貸借契約について詳しく知りたい中小企業の経営者・総務人事担当者であれば、以下のページをご参照ください。サービスの具体的なメリットや家具・家電の設置例、ご契約の流れなどをわかりやすく紹介をしています。

リロエステート

社宅へ入居する際の注意点

社宅へ入居する際の注意点

社宅制度の基礎知識や企業側の課題、課題の解決方法などを紹介できたところで、最後に「社宅へ入居する際の注意点」について解説します。従業員が社宅に入居するにあたって、どのような点に注意させるべきか、しっかりと把握しておきましょう。

社宅によっては入居条件が設けられている

社宅は、「従業員であれば必ず住める」というわけではなく、入居をするうえで条件が備わっていることがあります。「単身者の従業員」「入社から○年目までの従業員」など、社宅ごとに条件はさまざまですが、引っ越しを検討する際は、条件に当てはまるか否かを確認するのが不可欠です。

転職や退職に併せて引越しを検討する必要がある

社宅は、転職・退職に合わせて退去する必要があります。具体的な退去日や、返却すべきものなどは企業(または代行業者)から提示されるので、事前に引っ越しの準備を進めておくのが理想です。

入居時に転職や退職を意識するのは難しいかもしれませんが、社宅はあくまで従業員向けの物件という点を留意しておきましょう。

これら入居時の注意点は、総務や人事担当者の方ではなく、企業の従業員向けの注意点となります。ですが、事前の情報共有を怠ると、後々トラブルに発展するケースもあるため、社宅の貸付を行う場合は企業から事前に共有することが大切です。

まとめ

社宅まとめ

今回は、社宅の解説や、企業の課題・よくあるトラブルの改善方法について詳しく解説しました。当コンテンツのおおまかなまとめは、以下の通りになります。

  • 社宅は、企業が「従業員向けの住居」として所有・貸付を行う物件のこと
  • 社宅を所有する目的は、従業員の満足度向上や転勤対策など企業ごとにさまざま
  • 社宅には「社有社宅」と「借り上げ社宅」があり、双方でメリットやデメリットが異なる
  • 社宅をより効果的に運用するには、企業の課題を明確にして解決をすることが大切
  • 企業の課題を解決には、社宅の運用目的を明確化や、管理代行への依頼が効果的
  • 家具・家電付き社宅や食事付き社宅は、従業員の満足度向上につなげやすい
  • 社宅へ入居する際の注意点は、事前に従業員へ共有することが重要

社宅は企業と従業員の両方にメリットがある一方、魅力的な社宅でないとそのメリットを上手く享受できません。場合によっては、管理の負担だけが増すことも多く、企業運営の足かせとなってしまいます。

繰り返しになりますが、企業で社宅を所有する際は、管理の煩雑化を避けつつ、従業員に喜ばれる物件にすることが大切となります。

とはいえ、「働き方改革」という言葉が普及した現代では、人によって勤務スタイルが大きく異なります。従業員ごとに勤務時間などが異なれば、社宅管理を専門に行う担当者を作るのも困難です。社宅における相談窓口などが不在になれば、トラブルを円滑に解決するのも難しくなるでしょう。

社宅管理の方法や従業員配置に悩んでいる企業担当者の方であれば、社宅管理代行への依頼を推奨します。

当コンテンツで紹介したリロエステートが提供する転貸借契約なら、住みたい物件に家具・家電を付けられるので、従業員の満足度をはじめ、物件選択の自由度向上にも大きく貢献します。

社宅の管理代行サービスを探している方であれば、「リロエステートの転貸借契約」を検討してみてはいかがでしょうか。