【総務人事担当者必読】育児休業給付金とは?育児休業給付金の基礎知識

【総務人事担当者必読】育児休業給付金とは?育児休業給付金の基礎知識

育児休業給付金は受給資格を満たせば、育児休業中の労働者に給付金が支給される制度です。育児休業給付の申請手続は事業主経由で行うことが原則ですので、事業主側の担当者は制度の内容を押さえておく必要があります。

今回は企業の総務人事部門の担当者に向けて、育児休業給付金の制度について基本的なことを詳しく解説します。

育児休業給付金とは

育児休業給付金とは

育児休業給付金とは、育児休業を取得する被保険者が受給資格を満たすと支給を受けることができる給付金です。育児休業給付金の支給対象者になるには、さまざまな支給要件が定められており、労働者全員が受給できるわけではありません。

育児休業給付金に関する改正 2021年9月施行内容

  • 被保険者期間の要件の一部変更(産休開始日を起算点とする)

原則、育児休業給付の対象となる労働者の被保険者期間は “育児休業開始日” を起算点としていました。2021年の改正により、その起算点が “産前休業開始日等” に変更になりました。育児休業開始日が2021年9月1日以降の被保険者が対象です。

この変更により、これまで育児休業給付の要件を満たさなかった勤務期間が1年程度の被保険者が支給の対象者になる可能性があります。

育児休業給付金に関する改正 2022年10月施行内容

育児休業給付金に関する改正 2022年10月施行内容

さらに2022年10月からは、育児休業給付制度が大きく変わります。育児休業の分割取得ができるようになるのと、産後パパ育休(出生時育児休業)に対応した育児休業給付が受けられるようになります。

育児休業の分割取得

これまでの制度では、同一の子についての2回目以降の育児休業は、原則として育児休業給付金の支給対象になりませんでした。それが、1歳未満の子どもがいる場合、原則2回の育児休業まで育児休業給付金を受給できるようになります(2022年10月から)。

産後パパ育休

2022年10月から産後パパ育休(出生時育児休業)制度が創設されます。育児休業とは別に子の出生後8週間以内に4週間まで、産後パパ育休を取得できるようになります(2022年10月から)。この産後パパ育休も育児休業給付金の対象です。

その他、法改正の詳細は厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのパンフレットをご確認ください。

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育児休業給付金の支給対象

育児休業給付金の支給対象

育児休業給付金の支給対象者になるには、さまざまな支給要件があります。その要件を満たさないと給付金を受け取れないので注意してください。

なお、以下の要件を満たしていれば、パートや契約社員として働いている人でも育児休業給付金の支給対象者になります。

要件1.雇用保険に加入している被保険者

雇用保険に加入していないと育児休業給付金の支給対象者になれません。

要件2.1歳未満の子どもがいる

育児休業給付金が申請できるのは、生まれてから1歳未満の子どもがいる間だけです。延長事由がある場合には1歳6ヶ月または2歳に達するまで支給対象期間を延長できます。

要件3.産休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある

産前休業開始日等を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就業日数)が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あることが支給要件になっています。正規雇用契約で働いている人ならこの要件を満たす場合がほとんどです。気を付けなければいけないのはパートや契約社員として働いている有期雇用契約の非正規労働者です。

11日以上の完全月が12ヶ月以上ない場合は、完全月で賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヶ月として算定します。

要件4.育休期間中の1ヶ月あたり、休業開始前の1ヶ月の賃金の80%以上が支払われていないこと

例で説明すると、毎月20万円の賃金をもらっていた被保険者に対して、育児休業中に毎月16万円以上(80%以上)の賃金が支払われていると、育児休業給付金は支給されません。

要件5.育休期間中に就業している日数が1ヶ月あたり10日以下であること

育児休業中に1ヶ月10日(80時間)を超えて働いていると、育児休業給付金は支給されません。

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金は、支給額が定められています。

支給額の計算方法

1ヶ月あたりに受け取れる支給額の計算は

被保険者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日) ×67%
(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)

つまり、 賃金月額×67% となります。なお、育児休業給付金の支給上限額は301,902円(各支給単位期間ごと)で、6ヶ月経過後の支給上限額は225,300円です*。
* 2022年7月31日までの額

育児休業開始時賃金日額とは、事業主の提出する休業開始時賃金月額証明書にある金額の休業開始前の6ヶ月の賃金を180(6ヶ月×30日)で割った金額のことです。

その金額と育児休業を取った日数をかけた賃金月額の67%が1ヶ月あたりの支給額です。

直近6ヶ月の賃金月額が20万円の場合
20万円×67%=13万4000円

6ヶ月経過後は
20万円×50%=10万円

となります。

育休期間中に賃金が支払われている場合

育児休業期間中に賃金が支払われていると、育児休業給付金の支給額が変わってきます。

育休開始から6ヶ月間
育休期間中の賃金給付金支給支給額の計算式
賃金月額の13%以下満額支給賃金日額×支給日数×67%
13%を超えて80%未満差額支給(減額)賃金日額×支給日数×80%相当額と賃金の差額を支給
賃金月額の80%以上なし

13%を超えて80%未満である場合、平均月収の80%相当額から受け取った賃金を差し引いた額が支給額となります。

    例:直近6ヶ月の賃金月額が20万円の場合

  • 育児休業期間中に2万円(10%)の賃金が支払われていた場合、満額支給(13.4万円)
  • 育児休業期間中に10万円(50%)の賃金が支払われていた場合、減額支給(6万円)
  • (20万円×80%-10万円=6万円という計算により)

  • 育児休業期間中に18万円(90%)の賃金が支払われていた場合、支給なし

育休開始から6ヶ月経過後

育休開始から6ヶ月経過後
育休期間中の賃金給付金支給支給額の計算式
賃金月額の30%以下満額支給賃金日額×支給日数×50%
30%を超えて80%未満差額支給(減額)賃金日額×支給日数×80%相当額と賃金の差額を支給
賃金月額の80%以上なし
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育児休業給付金の支給申請

育児休業給付金の支給申請

育児休業給付金の支給を受けるためには、いくつか手続(書類の提出)を行わなければなりません。事業主が提出するものがほとんどですが、希望すれば受給者である被保険者本人が提出することも可能です。

手続については事業主(企業)と被保険者でよく相談して決めてください。

支給申請に必要な書類

育児休業給付金の支給申請に必要な書類はいくつかあります。申請を事業主側と被保険者本人どちらが行っても違いはなく、同じ書類が必要になります。

支給申請手続の前段階である育児休業給付受給資格の確認手続は事業主が行わなければならないので、支給申請手続も事業主が行うほうがスムーズに進みます。

手続に必要な書類としては雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、払渡希望金融機関指定届があります。

また支給申請書の内容を証明する添付書類として、賃金台帳や出勤簿、育児の証明をする母子健康手帳などの写しも必要になってきます。

事業主側が用意をする書類

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 *
  • * 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書は事業所の所在地を管轄しているハローワークから交付されます。

添付書類として賃金台帳や出勤簿等が必要になります。

被保険者側で対応が必要な書類

  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書*
  • 払渡希望金融機関指定届

* 現在ではマイナンバーの記載も必要です。

他には育児の証明のために、母子健康手帳の写しを用意する必要があります。

申請の流れ

事業主が受給資格確認手続と育児休業給付金の初回支給申請手続を同時に行う場合。

  1. 受給予定の被保険者が事業主に育児休業の申し出
  2. 事業主が管轄のハローワークに書類申請
  3. 被保険者が育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、払渡希望金融機関指定届に記入。母子健康手帳を合わせて事業主に提出
  4. 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、休業開始時賃金月額証明書のほかに、添付書類として賃金台帳または出勤簿、母子健康手帳など育児を行っている事実や書類の記載内容が確認できる書類をすべてそろえて、管轄のハローワークに提出

これが初回申請時の流れとなります。これ以降2ヶ月に1回、支給申請の手続をして育児休業給付金を受け取る流れになります。

育児休業給付金の支給対象期間の延長

育児休業給付金の支給対象期間の延長

保育所等の施設に子どもを預けられないなどの理由があり仕事に復帰できないときは、育児休業の期間を延長できます。最長で子どもが2歳に達するまで育児休業を取得できます。育児休業の延長事由がある場合は、延長した期間も育児休業給付金の支給対象になります。

育児休業を延長できる事由

育児休業の期間延長が認められる事由は、大きく分けて2つです。

  • 保育所等に保育の実施を希望し申し込みを行っているが当面の間実施されないとき
  • 保育所に預けたいが保育所の理由により預けられない場合、子どもが1歳6ヶ月または2歳に達する日前まで育児休業を延長できます。

  • 養育を行う配偶者* がなんらかの理由で養育ができなくなったとき
  • * 婚姻の届出をしていない事実婚の場合も、養育を行う配偶者に含めます

「なんらかの理由」には次のようなことが該当します。
 ・配偶者が死亡し養育者がいなくなったとき
 ・傷や病気、精神上の障害により養育が困難な状態になったとき
 ・婚姻の解消その他の事情により子どもと同居できなくなったとき
 ・6週間以内に出産する予定、または産後8週間を経過しないとき
があります。

これらはいずれも、復職したいと思っていても育児のために休業せざるを得ないということが認められた場合に限って、延長が可能になると考えておけば大丈夫です。

育児休業給付金の支給対象期間の延長手続

子どもが1歳に達した後と1歳6ヶ月に達した後、それぞれ育児休業を延長して支給対象期間を延長する場合は申請を行わなければなりません。また延長する理由もさまざまですので、理由ごとに申請に必要な書類があります。

育児休業給付金の支給期間を延長する場合は、育児休業給付金支給申請書の支給対象となる期間の延長事由-期間に必要な記載を行い、提出します。それにあわせて、以下の確認書類も必要になります。

  • 保育所に入れないとき
  •  -延長理由を確認できるもの(入所申出書、市町村が発行した保育所等の入所保留通知書など)

  • 配偶者が死亡したとき
  •  -世帯全体が分かるよう記載された住民票
     -母子健康手帳

  • 負傷、病気、精神障害で養育困難なとき
  •  -病院の診断書

  • 離婚等で子どもと別居したとき
  •  -世帯全体がわかるよう記載された住民票
     -母子健康手帳

  • 6週間以内に出産する予定、または産後8週間を経過しないとき
  •  -母子健康手帳

どの場合でも育児休業給付金支給申請書は必要です。

その他、育児に関する支援制度

その他、育児に関する支援制度

両立支援によって恩恵を受けるのは被保険者のみに限ったものではありません。最後に、国が事業主(企業側)に対して支援を行っている両立支援等助成金コースを紹介します。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

 中小企業中小企業以外
1人目の育休取得57万円28.5万円
個別支援加算10万円5万円
2人目以降の育休取得
  • 5日以上 14.25万円
  • 14日以上 23.75万円
  • 1ヶ月以上 33.25万円
  • 14日以上 14.25万円
  • 1ヶ月以上 23.75万円
  • 2ヶ月以上 33.25万円
個別支援加算5万円2.5万円
育児目的休暇の導入・利用28.5万円14.25万円

* 生産性要件を満たした場合の支給額は別

男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを行い、男性労働者に一定期間連続した育児休業を取得させた事業主には、助成金が支給されます。

中小企業では、育児目的の休暇を新たに導入し、男性労働者が一定期間中に育児休業等を利用すると28.5万円、1人目が育児休暇取得すると57万円、2人目以降が取得する場合は最大33.25万円が支給されます。

育児休業支援等コース

支給額
育休取得時28.5万円
職場復帰時28.5万円
職場支援加算19万円

* 生産性要件を満たした場合の支給額は別
* 1事業主2人まで(無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人)

代替要員確保時支給額
支給対象労働者1人あたり47.5万円
有期雇用労働者の場合に加算9.5万円

* 生産性要件を満たした場合の支給額は別
* 1事業主あたり1年度10人まで支給

職場復帰後支援支給額
制度導入時28.5万円
制度利用時
  • A:子の看護休暇制度 1,000円×時間
  • B:保育サービス費用補助制度 実費の2/3

* 生産性要件を満たした場合の支給額は別
* 制度導入については、AまたはBの制度導入時いずれか1回のみ支給
* 制度利用は、最初の申請日から3年以内5人まで支給
 1事業主あたりの上限は、A:200時間、B:20万円まで

中小企業事業主のみを対象とした両立支援等助成金で、育児休暇取得時と職場復帰時に、それぞれ28.5万円の支援金が事業者に支給されるという助成金です。

どちらも上限人数要件があり、年間あたり無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人までとなっている点には留意が必要です。

また、育休取得者の代替要員として新たに人を雇用した(代替要員確保時:47.5万円/1人あたり)上で、育児休業取得者が復帰した場合には、さらに別の支援金が支給されることになります。

さらに育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が困難な時期にある労働者のために、法を上回る子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度を導入し、利用者が生じた中小企業事業主に職場復帰後支援金が支給されます。

両立支援等助成金コース(女性活躍加速化コース)

支給額
数値目標達成時47.5万円

* 生産性要件を満たした場合の支給額は別

女性労働者が出産・育児等を理由に退職することなく、働き続けられる職場環境を整備した中小企業事業主に支給される助成金です。

自社の女性労働者の活躍状況を把握・課題分析を行った上で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)にもとづき、課題解決のための取組目標及び数値目標を盛り込んだ行動計画を策定・公表します。

その取組目標を実施したことにより、数値目標を達成した中小企業事業主に助成金が支給されます。

女性の離職率は男性より高い!女性が働きにくい環境に潜むリスク

育児休業はこれまで以上に男女とも取得しやすいように制度が変更されてきています。

育児にかかわる支援制度を正しく理解し、ワーク・ライフ・バランスを実現できる労働環境の整備をしていきましょう。

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