令和4年度版 雇用保険料の計算方法│対象となる賃金と計算時の注意点

平成31年度版 雇用保険料の計算方法│対象となる賃金と計算時の注意点

みなさんは、雇用保険についてどこまでご存知でしょうか?雇用保険は、健康保険や厚生年金と違い社会保障制度の中でも加入条件や保険の適用の仕方もさまざまで、多様なものがあります。この雇用保険の条件や納付金、給付金の計算方法などについて事業者は、細かな条件など知っておかなければいざという時に困ります。

この記事では、雇用保険の条件や知っておきたい計算方法などについて紹介します。雇用保険の概要や種類をはじめ、最新の計算方法や具体的な保険料を知りたい中小企業の経営者・総務人事担当者の方はぜひご参照ください。

雇用保険(雇用保険料)とは

雇用保険(雇用保険料)とは

雇用保険とは、失業時に受け取れる失業保険の給付、企業に勤めている時に受けられる育児休業給付、介護休業給付、教育訓練給付などの被保険者の生活を守るためにある保険です。事業主は企業の規模や業種、従業員の雇用形態にかかわらず、従業員を雇用保険へ加入させる義務があります。雇用機会の創出や従業員の能力開発なども、雇用保険の役割です。終身雇用制が崩壊した現代では、だれもが失業や介護離職(休業)などのリスクを背負っています。これらのリスクを軽減するのに、雇用保険は欠かせない制度です。

この雇用保険の掛け金に該当するのが「雇用保険料」で、事業者と従業員の両方が支払う必要があります。従業員側であれば、給与から天引きされる形で支払われるため、額面や計算方法をあまり意識する方も少ないでしょう。一方、事業者側は保険料を計算した上で支払う必要があるため、雇用保険料の計算方法をしっかり把握しておく必要があります。

なお、雇用保険は主に国の厚生労働省が管理しています。それに伴って手続きや給付は各地の管轄のハローワークが行っていることになります。ですので、基本的に雇用保険の手続きは事業所の地域を管轄しているハローワークに行って手続きを行ってください。また雇用保険にはさまざまな種類があるので、従業員から申請があったら、その条件にあった雇用保険の手続きを速やかに行うことが重要です。

令和4年度版 雇用保険料の計算方法

令和4年度版 雇用保険料の計算方法

雇用保険料を計算するに当たって、次の計算式があります。

給与額(賞与額)×雇用保険料率

この計算式をもとに算出すれば、支払うべき雇用保険料が算出できる仕組みです。ここでいう雇用保険料率は、雇用保険料を計算する際に必要になってくる計算率です。また、雇用保険料率は事業によって変わり、毎年失業保険の受給者や積立金の残高に合わせて料率が見直されています。以下では、厚生労働省のオフィシャルサイトを参考に、令和4年度(4月1日~9月30日)における雇用保険料率を詳しく紹介します。

一般事業の雇用保険料率
労働者負担 事業主負担 合計負担率
令和4年度 3/1000 6.5/1000 9.5/1000
平成29・30・31年度 3/1000 6/1000 9/1000
平成28年度 4/1000 7/1000 11/1000
農林水産・清酒製造事業の雇用保険料率
労働者負担 事業主負担 合計負担率
令和4年度 4/1000 7.5/1000 11.5/1000
平成29・30・31年度 4/1000 7/1000 11/1000
平成28年度 5/1000 8/1000 13/1000
建設事業の雇用保険料率
労働者負担 事業主負担 合計負担率
令和4年度 4/1000 8.5/1000 12.5/1000
平成29・30・31年度 4/1000 8/1000 12/1000
平成28年度 5/1000 9/1000 14/1000

例えば、一般の事業で給与額が20万円の人は、以下のような計算式で雇用保険料が算出できます。

  • 労動者の支払う額:20万円×0.003(3/1000)=600円
  • 事業主の支払う額:20万円×0.006(6/1000)=1,200円
  • 合計負担額:600+1,200=1,800円

なお、事業の種類や年度によって変わってきます。平成29年度から雇用保険料率は変わりましたが、令和4年度の時点では事業主負担が増えていることがわかります。そのため、実際に雇用保険料を計算する際は、厚生労働省のページを参照するのが賢明です。現在の雇用保険料をはじめ、年度別における数値の推移については、以下のページをご参照ください。

雇用保険料を計算する際の注意点

雇用保険料を計算する際の注意点

雇用保険には、以下のような注意点があります。人事・総務担当者であれば、いずれも気をつけておきたいポイントです。

雇用保険料を徴収するタイミング

雇用保険料を計算する際、注意しておきたいことの1つに、「雇用保険料の徴収はいつからするのか」が挙げられます。新しく雇用した労働者や労働時間を変更した労働者など、徴収のタイミングに迷ってしまうケースも少なくありません。

これは企業の給与形態にもよりますが、基本的に給料の締め日が末日の場合、次の月に支払いを行うことになります(企業により15日や20日とさまざま)。その雇用保険の加入条件に当てはまる月の給料から徴収することが正しい徴収方法です。

また雇用保険料を労働者の給料から源泉徴収する場合、1円未満の端数が出ることがあります。端数が出た場合は原則として、50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げとなります。労使協定などで端数はすべて切り捨てなどの特約がある場合はそちらに従いましょう。

毎月の額は少なくても、1年1年積み重なると重くなってくるので、間違えないように注意しながら労働者の雇用保険料を管理することが大切になってきます。特に賃金の対象になるものや、ならないものはかなりややこしいです。労働者ごとにデータを管理できるようなシステムを作るとスムーズな管理が行えることでしょう。

雇用保険の効果

雇用保険は、「企業PRや人材確保につながらない」という点を留意しておきましょう。なぜなら、雇用保険には「従業員の生活を守る」という目的こそあっても、従業員を一人でも雇っていれば必ず加入義務が生じるためです。

「社会保険完備」などを強調する求人情報もありますが、いわば「あって当たり前の制度」なので、企業PRなどにつながるケースはほとんどありません。「働きやすい環境」「従業員のケアが手厚い」などの点をアピールするなら、福利厚生制度を充実させましょう。福利厚生の充実した職場環境であれば、人材確保や離職防止などの恩恵を享受しやすくなります。

とはいえ、従業員によって「理想とする福利厚生制度」は大きく異なりますし、すべての従業員を満足させるのは困難です。福利厚生制度の導入や改善に迷っている企業は、福利厚生制度のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。

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雇用保険の種類

雇用保険料の計算方法を解説できたところで、基本情報として「雇用保険の種類」について言及しておきましょう。雇用保険の種類は、主に以下のものがあります。いずれも、従業員の生活や求職をサポートするものばかりです。

雇用保険の種類
種類 概要
基本手当 失業手当や失業保険と言われている保険
育児休業給付 出産後の育児休業中に受け取れる保険
介護休業給付 介護を必要としている人が家族にいて介護休業を取得した時に受け取れる保険
教育訓練給付 従業員が資格や教育の訓練を受けられるための保険
高年齢雇用継続基本給付 65歳以上の高齢者が労働し続けられるように援助をしてくれる保険

失業保険といわれているものは正式には雇用保険の基本手当といいます。主に使われることが多いのがこの基本手当です。基本手当も退職する前に働いていた年数や辞め方によって受け取れる基本手当が変わってきます。自己都合で企業を退職した場合、1年以上の労働期間で3ヶ月分の失業基本手当が受け取れ、10年以上で4ヶ月分、20年以上で5ヶ月分と決まっています。

雇用保険の適用範囲

雇用保険の適用範囲

雇用保険へ加入するには、適用範囲があります。労働環境によって、雇用保険に入る条件を満たしていないと雇用保険に加入ができません。例えば、正社員やパート社員の場合は以下のような条件を満たす必要があります。

雇用形態 条件
会社に在籍している正社員 満65歳未満の方
派遣社員やパート・アルバイト 一週間の労働時間が20時間を超えること
31日以上会社で働く見込みのある労働者であること

この他、日雇い労働者や短期的な仕事をする労働者の場合は、条件が少し複雑になります。

日雇い労働者

31日以上働く見込みがあれば上日雇い労働者は、一定の期間同じ企業で仕事をすることが少ないので自分で雇用保険の申請を出す必要があります。上記の派遣社員やパート・アルバイトと同じ条件なので雇用保険に加入できますが、31日未満であれば日雇い労働者として雇用保険に加入できます。

雇用保険に加入する条件は、雇用保険の適用になっている事業所で働いていることです。その条件を満たしていればあとは管轄のハローワークに行き手続きをすれば日雇労働被保険者手帳がもらえます。また日雇い労働者が失業時に受け取れるものは基本給付とは違い、日雇労働求職者給付金になります。

短期的な仕事をする労働者

季節的要因や、仕事柄1年通して雇用されない場合を対象にした加入条件です。農業や冬にしか運営されないスキー場などが当てはまります。雇用保険の加入条件としては「4ヶ月以上雇用される」「1週間の労働時間が30時間を超えること」です。こちらも受け取れる給付金は条件を満たしていれば、特例一時金が受け取れます。

65歳以上も雇用保険の被保険者に

65歳以上の人も、雇用保険の被保険者に継続してなることが可能です。さらに、以前は65歳になるまでに雇用保険に加入していないと65歳を過ぎてから加入することはできませんでした。しかし、平成29年1月1日から雇用保険の適用条件が拡大され、65歳以上からでも雇用保険に加入することができるようになりました。つまり、65歳以上から求職し企業に採用された場合でも雇用保険に加入ができます。

65歳以上の求人を出しているところはあまり多くないですが、この事実上の年齢制度の撤廃によって65歳以上の人でも新たに仕事を始めることへの意味が広がっていることは確かな事実です。65歳以上の人は高年齢被保険者として雇用保険に加入することになります。

高年齢被保険者としての加入条件は「1週間の労働時間が20時間を超えること」「31日以上、雇用される見込みがあること」が条件になってきます。事業者は、対象となった人が企業に在籍してから翌月の10日までに管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しましょう。

雇用保険の対象となる賃金項目

雇用保険の対象となる賃金項目

雇用保険には、対象となる賃金と対象にならない賃金があります。まず基本的な前提として保険料の対象となる賃金はその他の社会保険料や税金などを控除する前の金額であり、企業が労働者に支払うすべてのものが対象になります。賃金の具体例は、以下のとおりです。

賃金の対象になるもの
基本賃金 賞与 通勤手当 定期券・回数券
超過勤務手当 深夜手当 扶養手当 子供手当
家族手当 技能手当 特殊作業手当 教育手当
調整手当 地域手当 奨励手当 物価手当
生活補給金 休業手当 宿直・日直手当 雇用保険料
社会保険料 昇給差額 前払い退職金 その他
賃金の対象にならないもの
役員報酬 結婚祝金 死亡弔慰金 災害見舞金
年功慰労金 継続褒賞金 退職金 出張旅費・宿泊費
工具手当 寝具手当 休業補償費 傷病手当金
解雇予告手当 持家奨励金 会社が全額負担する生命保険の掛け金
財産形成貯蓄等のため事業主が負担する奨励金等
住宅の貸与を受ける利益(福利厚生施設として認められるもの)

雇用保険料を抑える方法はある?

結論をいえば、雇用保険の適用範囲外の従業員を増やせば雇用保険料を抑えられます。

例えば、短時間勤務の従業員(20時間以下)や派遣社員(人材派遣会社が雇用保険料を負担する)などは、雇用保険の適用範囲外となるため、雇用保険料が発生しません。これらの従業員を増やせば保険料こそ抑えられますが、雇用保険料だけに着目して従業員を増減させる方法は推奨できません。必要な能力や資質を満たした人材を、必要な数だけ採用するのが理想です。

従業員が加入する保険にはどんなものがある?

最後に、雇用保険以外の保険制度についても触れておきましょう。

従業員が加入する保険制度には、社会保険や健康保険、厚生年金などが存在します。健康保険や厚生年金などの社会保険と、雇用保険は同じ社会保障制度ですが、社会保険と比べて条件も細かくさまざまなものがあります。健康保険は病院や通院時に適用されるもの、厚生年金は現在65歳以上の人が受け取れる年金制度などとわかりやすいです。

しかし雇用保険には育児や介護、労働者の職業訓練など多様な条件・制度があり、人数が多い企業などでは管理も大変です。まず雇用保険と社会保険には労働者の適用範囲の違いがあります。健康保険や厚生年金などの社会保険は病院の料金が3割負担ですむ、満65歳以上から受け取れるなど基本的に全労働者に関係のあるものがほとんどです。

雇用保険は、一定の条件を満たした人しか受け取ることができません。それには理由があり、育児で時間やお金に余裕がなくなる人に適用される育児休業給付、介護で時間やお金に余裕がなくなる介護休業給付などがあります。つまり、社会保険は全労働者に平等に適用され、雇用保険は困った人などが通常の生活を維持できるよう、他の一般的な労働者と生活基準を平等に保つように補助してくれる保険ということになります。

まとめ

今回は、雇用保険の概要や種類をはじめ、最新の計算方法や具体的な保険料について解説をしました。

当ページのおおまかなまとめは以下のとおりです。

  • 雇用保険とは、被保険者の生活を守るためにある保険制度のこと
  • 雇用保険料は「雇用保険の掛け金」のことで、事業者と従業員の両方が支払う
  • 雇用保険料の計算式は「給与額(賞与額)×雇用保険料率」
  • 雇用保険料率は、事業や年度によって異なるため、計算時に注意が必要
  • 雇用保険は、条件を満たしていないと加入ができない
  • 雇用保険には、基本手当や育児休業給付などさまざまな種類がある

雇用保険は、失業時または育児・介護のために一時的に休職の際に生活をサポートする制度です。厚生年金保険や介護保険など、他の保険制度が組み合わさって、従業員をトータルサポートします。

とはいえ、雇用保険や年金保険などは、従業員の老後を完璧にケアできるとは限りません。従業員の保険制度をより盤石にするには、企業年金のように「企業オリジナルの年金制度」を併用するのがおすすめです。

老後に向けた積立が行えるようになれば、従業員をより手厚くケアできるようになります。リロクラブがご提案する「総合型401k倶楽部」は、従業員の給与の一部を掛け金にできる制度です。企業に新たな資産形成の手段を設けることで、従業員の老後をサポートします。

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