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年末調整業務はどうやって進める?必要書類や計算方法を解説

人事担当者にとって、年末調整は大変な業務のひとつです。従業員側も年末調整のために必要な書類を提出しなくてはなりません。今回は、年末調整の概要を踏まえて、必要書類や計算方法などについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.年末調整とはどのような業務なのか
    1. 1.1.年末調整の対象になる方
    2. 1.2.年末調整の対象にならない方
    3. 1.3.年末調整の大まかな流れ
  2. 2.年末調整で社員からの提出が必要な書類
    1. 2.1.扶養控除等(異動)申告書
    2. 2.2.保険料控除申告書
    3. 2.3.基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
    4. 2.4.住宅借入金等特別控除申告書
  3. 3.年末調整の担当者が作成しなければならない書類
    1. 3.1.税務署に提出が必要な書類
    2. 3.2.市区町村に提出が必要な書類
  4. 4.支払調書の種類と提出基準を紹介
    1. 4.1.報酬・料金・契約金および賞金の支払調書
    2. 4.2.不動産の使用料等の支払調書
    3. 4.3.不動産等の譲受けの対価の支払調書
  5. 5.担当者が書類を作成するときのポイント
    1. 5.1.支払調書
    2. 5.2.法定調書合計表
    3. 5.3.源泉徴収票
    4. 5.4.給与支払報告書
  6. 6.年末調整の計算方法
    1. 6.1.給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額の集計
    2. 6.2.給与所得控除の差し引き
    3. 6.3.所得控除額の差し引き
    4. 6.4.所得税率の掛け算と控除額の差し引き
    5. 6.5.住宅ローン控除額の差し引き(2回目以降の住宅ローン控除の場合)
    6. 6.6.源泉徴収税額と年調年税額の比較
  7. 7.年末調整の計算例を紹介
    1. 7.1.「既婚男性で妻・18歳の子ども1人(ともに収入なし)」の場合
    2. 7.2.「39歳の独身男性・親が一人」の場合
  8. 8.端数はどう処理すべきか
    1. 8.1.切り捨てる場合
    2. 8.2.切り上げる場合
  9. 9.年末調整で注意すべきこと
    1. 9.1.年末調整を怠るとペナルティが発生する
    2. 9.2.書類は必ず保存する
    3. 9.3.育児休暇を取っている方・外国人・非居住者も年末調整対象

年末調整とはどのような業務なのか

年末調整とはどのような業務なのか 一般的に、企業で働いている人の所得税は、毎月の給与から天引きされています。いわゆる「源泉徴収」という作業であり、ここで引かれるお金が「源泉所得税」です。源泉所得税は、概算の値であり確定した金額ではありません。

1年の間に、給与が変動したり扶養家族が増えたりする可能性があります。こうした個人の事情を踏まえた上で、所得税額が確定するのが年末です。源泉所得税と確定した所得税の間に生じた過不足を調整する手続きが「年末調整」です。


年末調整の対象になる方

年末調整は、全ての方が対象ではありません。12月の年末調整で対象となる方は、以下の通りです。

  • 会社に1年を通じて勤務している方
  • 年の中途で就職し年末まで勤務している方

また年の途中に年末調整を行うこともあります。こうしたケースに該当するのが、以下の例です。

  • 死亡により退職した方
  • 著しい心身の障害のために退職した方で、再就職して給与を受け取る見込みのない方
  • 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した方
  • パートタイマーなどの人が退職した場合で、その年の給与総額が103万円以下の方


年末調整の対象にならない方

企業に勤めている人であっても、年末調整の対象にならないケースがあります。年末調整の対象にならない方は、以下の通りです。

  • 1年間の給与収入の合計額が2,000万円を超えている方
  • 災害減免法の規定により、所得税などの源泉徴収の納税猶予や還付を受けている方
  • 2ヵ所以上から給与の支払を受けており、他の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出している方
  • 扶養控除等(異動)申告書を提出していない方
  • 年の中途で退職した方(年末調整の対象となるケースに該当しない場合)
  • 非居住者
  • 一定の条件を満たす日雇労働者


年末調整の大まかな流れ

年末調整の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 年末調整の金額を算出
  2. 給与と賞与から引かれていた毎月の源泉徴収税額を集計
  3. 所得控除を集計
  4. 給与所得控除後の金額から所得控除額を引いて給与所得金額を計算
  5. 給与所得金額から所得税の年税額を求める
  6. 年税額と毎月納税していた源泉徴収税額を比較して、年税額が少なければ毎月払い過ぎていた所得税を還付する
  7. 年税額が多く、毎月の納税額が少なかった場合、所得税を追加で徴収する

年末は、企業が忙しい時期です。忙しい中でスムーズに年末調整の作業を進めるためには、正しい情報が必要になります。そのため、従業員から提出される書類が必要です。


年末調整で社員からの提出が必要な書類

年末調整で社員からの提出が必要な書類 続いては、年末調整で社員が提出する必要がある書類について解説します。

扶養控除等(異動)申告書

扶養控除等(異動)申告書は、社員が扶養している配偶者や親族について申告するための書類です。

年末調整の控除額は、扶養している親族の人数・年齢によって変わります。扶養している子供が16歳未満の場合、扶養控除の対象となりません。16歳未満の子供を扶養親族として申告した場合、扶養控除の対象にはなりませんが扶養人数が加算されるため、申告する方の合計所得金額によっては、住民税の非課税規定が適用される場合があります。


保険料控除申告書

生命保険や地震保険などの保険を掛けている人は、支払った保険料の金額によって控除が受けられます。その際に提出するのが、保険料控除申告書です。申告書と合わせて、各保険会社から発行される控除証明書類も添付する必要があります。


基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

年末調整において「基礎控除」「配偶者控除および配偶者特別控除」「所得金額調整控除」を受ける際に提出する申告書です。 基礎控除とは、給与所得者全員が受けられる控除であり、合計所得金額によって控除額が異なります。配偶者控除および配偶者特別控除は、納税者の所得と配偶者の所得によって受けられる控除です。

また所得金額調整控除は、令和2年から適用された控除であり、年収850万円を超える方で、一定の要件に該当すると受けられます。


住宅借入金等特別控除申告書

「住宅ローン控除」と呼ばれるのが、住宅借入金等特別控除申告書です。一定の要件に該当する住宅ローンで自宅を購入、もしくは増改築した際に控除が受けられます。 控除を受ける最初の年分は、必要な書類を添付して、確定申告書を提出する必要があります。給与所得者の方は、2年目以後の年分については、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。

その場合、確定申告後に税務署より送付される「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」並びに「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と合わせて、住宅ローンを利用している金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」も提出する必要があります。


年末調整の担当者が作成しなければならない書類

年末調整の担当者が作成しなければならない書類 年末調整の担当者は、従業員から提出された書類を基に、税務署や行政に提出する書類を作成しなければなりません。続いては、年末調整の担当者が用意する必要書類を解説します。

税務署に提出が必要な書類

税務署では、所得税に関する書類を求められます。主な必要書類は、以下の3点です。

  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
  • 支払調書
  • 源泉徴収票

以下で詳しく解説します。


給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

「法定調書合計表」ともいわれる、従業員に対して支払った給与や賞与の合計額、源泉徴収額、外部業者に支払った額を申告するための書類です。集計の対象となるのは1月1日から12月31日までの一年間であり、源泉徴収票や支払調書と一緒に提出します。提出期限は、翌年の1月31日までです。


支払調書

支払調書とは、企業が支払った報酬の詳細を記載した物です。給与以外の報酬や、手数料の金額と源泉徴収額を証明するために使われます。 法廷調書合計表と合わせて、翌年の1月31日が提出期限です。また支払調書は、支払先に対して送付するのが一般的です。ただし、支払先への送付は義務ではありません。


源泉徴収票

源泉徴収票は、一年間に支払われた給与の総額と、収めた所得税額が記載された書類です。従業員への交付用と税務署提出用の2通作成します。従業員への交付は、12月までに行わなければなりません。一方、税務署提出用は、マイナンバーを記載して翌年の1月31日までに提出します。 源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」の2パターンあります。「給与所得の源泉徴収票」は、1年を通じて会社に勤務している方と、年の途中に退職した方に発行される書類です。

一方、「退職所得の源泉徴収票」は、退職手当が支給された方に対して発行されます。退職手当の金額と合わせて、退職金から引かれた所得税の額が記載されていますが、退職時に退職手当の額が確定しているため、年末調整は必要ありません。


市区町村に提出が必要な書類

市区町村の行政では、年末調整や確定申告の情報を基に住民税を決めます。そのため、年末調整をした際には、税務署だけではなく市区町村に対しても書類を提出しなければなりません。

市区町村で求められるのが「給与支払報告書」です。記載内容は、源泉徴収票とほとんど変わりません。企業側は、原則として給与を支払った全ての従業員について、翌年1月31日までに提出する必要があります。

給与支払報告書には、2パターンあります。ひとつが、会社概要や対象となる市区町村に暮らす従業員の人数などをまとめた「総括表」です。総括表は、市区町村ごとに作成します。もうひとつは、従業員ごとの年間所得と控除額などをまとめた「個人別明細書」です。


支払調書の種類と提出基準を紹介

支払調書の種類と提出基準を紹介 年末調整で税務署への提出が求められる支払調書には、さまざまな種類があります。続いては、支払調書の種類と提出期限について紹介します。


報酬・料金・契約金および賞金の支払調書

弁護士や税理士などの、専門家に対して支払った報酬に対して作成する支払調書です。年間で支払った報酬の総額と、源泉徴収税を記入して提出します。提出基準は、基本的に年間5万円を超えた場合です。


不動産の使用料等の支払調書

事務所の家賃や地代など、不動産の賃貸料に対して作成する支払調書です。借主の情報や不動産について、家賃・地代の支払い総額を記入して税務署に提出します。提出基準は、年間使用料が15万円を超える場合です。ただし、法人に支払っている場合は不要です。


不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産を購入した際に必要となる支払調書です。購入した不動産に関する情報や、購入代金を記入して提出します。提出基準は、年間の支払額が100万円を超える場合です。こちらの支払調書は、購入先が法人の場合でも提出しなくてはなりません。


担当者が書類を作成するときのポイント

担当者が書類を作成するときのポイント 年末調整の必要書類は、種類が多く複雑なため、細かなミスが起こりやすくなります。年末調整の担当者は、しっかりとポイントを把握して正しく記載することが大切です。続いては、年末調整の書類を作る上で、押さえておきたいポイントについて解説します。


支払調書

支払調書には、支払先のマイナンバーを記載する必要があります。支払先からマイナンバーを収集する必要があるため、早い段階で依頼しなくてはなりません。

万が一、マイナンバーを収集できなかった場合は、支払先に提供を依頼した経緯を記録しておくようにしましょう。なおマイナンバーの記載が必要なのは、税務署に提出する書類だけです。本人に交付する書類には記載しません。


法定調書合計表

法定調書合計表は、e-taxやCD・DVDなどでも提出可能です。近年は、電子申告が促進されています。なお法定調書にもマイナンバーが必要です。


源泉徴収票

源泉徴収票は、該当する1年間に支払われた給与と賞与の合計額を記載する書類です。ただし、通勤手当は課税対象外になる点に注意しましょう。 また年末調整の必要書類はマイナンバーを記載する物が多いですが、源泉徴収票には記載する必要はありません。


給与支払報告書

給与支払報告書は、年間を通じて勤務した人だけではなく、途中退職した従業員の書類も作成する必要があります。退職時に暮らしていた市区町村の様式に合わせて作成する点がポイントです。 また退職者の場合、住民税が特別徴収から普通徴収に切り替わることがあります。その際は、給与支払報告書の統括表で報告する義務があるため注意しましょう。


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年末調整の計算方法

年末調整の計算方法 年末調整の計算をするためには、一般的に6つのステップを踏んで行います。続いては、年末調整の計算方法を工程ごとに解説します。


給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額の集計

はじめに、年間に支給した給与額、社会保険料、源泉徴収税をそれぞれ集計します。給与額を集計する際は、給与手当と賞与を分けて計算しましょう。

続いて、毎月の給与から差し引いた「社会保険料」「小規模企業共済等掛金」「生命保険料」「地震保険料」などを集計する作業です。これらも全て給与と賞与に分けて集計します。 源泉徴収税額は、年末調整を実施するまでに徴収した税額を集計します。

12月分の給与については、源泉徴収税を差し引く前のため、省略して集計しても問題ありません。


給与所得控除の差し引き

事前に集計しておいた給与総額を基に、「給与所得控除後の給与等の金額」を求めます。毎年、国税庁によって「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が用意されるので、参考にして求めましょう。


所得控除額の差し引き

給与所得控除後の給与金額が求められたら、続いて各種所得控除を差し引きます。このとき、1,000円未満の端数がある場合は、切り捨てて計算するということを覚えておきましょう。

所得控除額の差し引きで控除されるものとして、事前に集計した社会保険料等の合計額に加えて、以下の控除が挙げられます。

  • 保険料控除申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書


所得税率の掛け算と控除額の差し引き

続いては、所得税を求める計算です。ここまでの計算で求められた課税給与所得金額に、国税庁が提示する「年末調整のために算出所得税額の速算表」を基にした税率を掛けましょう。このとき、課税給与所得金額の端数1,000円未満は切り捨てます。税率を掛けた金額から控除額を差し引いて、所得税の算出は完了です。


住宅ローン控除額の差し引き(2回目以降の住宅ローン控除の場合)

住宅借入金等特別控除を受ける従業員に必要な計算です。提出された住宅借入金等特別控除申告書を基に、控除額を計算して所得税から差し引きます。 ただし、算出所得税額よりも住宅借入金等特別控除額が多くなってしまうと、控除できません。その場合は、年調所得税額が0円になります。


源泉徴収税額と年調年税額の比較

最後に、年調所得税額に対して102.1%を掛けて、復興特別所得税を算出します。年調所得税額に復興特別所得税を加えると、年調年税額の計算が完了です。その上で、事前に集計しておいた源泉徴収税額と比較して、過不足を求めます。これで、年末調整の計算は終了です。

源泉徴収税額が多い場合は、税金を納め過ぎているため差額が還付されます。反対に、少ない場合は、税金が足りないことになるため差額が徴収される仕組みです。


年末調整の計算例を紹介

年末調整の計算例を紹介 年末調整の計算方法がわかっても、従業員によって必要となる計算はさまざまです。実際の例を見ないとイメージできない方も多いでしょう。続いては、年末調整の計算例を紹介します。

「既婚男性で妻・18歳の子ども1人(ともに収入なし)」の場合

区分
金額
税額
給与・手当等
3,480,000円
57,600円
賞与
700,000円
12,124円
合計
4,180,000円
69,724円

上記の例で考えてみます。給与や賞与から天引きされた税額69,724円は、概算であり個人の事情を踏まえた金額ではありません。年末調整を行い、正しい税額を計算していきます。 給与と賞与の合計額を「給与所得控除後の金額の算出票」に当てはめると、給与所得控除後の給与金額は2,904,000円です。

続いて、個人の事情を踏まえて計算していきます。

合計所得金額
2,904,000円
1社会保険料の控除額
-472,752円
2生命保険料の控除額
-62,300円
3地震保険料の控除額
-45,000円
4配偶者控除、扶養控除、基礎控除の控除額
-1,240,000円
1~4の合計を差し引いた額
1,083,948円 1,083,000円(1,000円未満切り捨て)

2・3の生命保険料と地震保険料については、支払額によって控除額が異なります。また4の配偶者控除と扶養控除は、配偶者の有無や子どもの年齢によって変動するため注意が必要です。

このときの配偶者控除・扶養控除・基礎控除の内訳を確認しましょう。

配偶者控除(妻・収入なし)
380,000円
扶養控除(18歳の子・収入なし)
380,000円
基礎控除(本人)
480,000円
合計
1,240,000円

ここまで計算できたら、算出された金額を基に所得税を求めます。

例の場合、1,083,000円×5%=54,150円です。ここで掛ける税率は、課税給与所得額によって異なります。例えば、1,950,000円以上3,300,000円以下であれば10%です。 最後に、所得税に102.1%を掛けて、復興特別所得税を含めた金額を算出します。

例の場合だと、54,150円×102.1%=55,200円(100円未満切り捨て)です。

これで年末調整が完了しました。算出された金額55,200円が全ての事情を踏まえた所得税額です。すでに差し引かれていた69,724円の源泉徴収税と差し引きし、14,524円を返還します。


「39歳の独身男性・親が一人」の場合

続いて、39歳独身男性で親が一人の場合の年末調整をしてみましょう。給与・賞与については、前項の例とそろえて考えてみます。

区分
金額
税額
給与・手当等
3,480,000円
109,320円
賞与
700,000円
12,124円
合計
4,180,000円
121,444円

前項同様、給与所得控除後の給与金額は、2,904,000円です。これに、その他の控除を踏まえていきます。

合計所得金額
2,904,000円
1社会保険料の控除額
-472,752円
2生命保険料の控除額
-35,400円
3地震保険料の控除額
-45,000円
4配偶者控除、扶養控除、基礎控除の控除額
-1,060,000円
1~4の合計を差し引いた額
1,290,848円 1,290,000円(1,000円未満切り捨て)

この例における、配偶者控除・扶養控除・基礎控除の内訳は以下の通りです。

配偶者控除(なし)
0円
扶養控除(親70歳・収入なし)
580,000円(老人扶養親族)
基礎控除(本人)
480,000円
合計
1,060,000円

続いて、所得税額を求めます。1,290,000円×5%=64,500円がこの人の場合の所得税額です。さらに復興税率を踏まえると、64,150円×102.1%=65,800円となり、源泉徴収税を差し引いて55,644円を返還します。


端数はどう処理すべきか

端数はどう処理すべきか 年末調整の計算では、端数処理が集計ごとで異なるため混乱しやすいです。続いては、切り捨てる場合と切り上げる場合、それぞれの計算について解説します。

切り捨てる場合

端数を切り捨てるのは、以下の3つの計算です。

  • 給与所得控除後、給与等の金額の計算
  • 課税給与所得額の計算
  • 年調年税額の計算

まず「給与所得控除後の給与等の金額の計算」では、1円未満の端数を切り捨てます。「課税給与所得額の計算」は1,000円未満、「年調年税額の計算」は100円未満を切り捨てです。


切り上げる場合

所得金額調整控除が適用する場合に、本年分の給与総額から所得金額調整控除額を求める際には、端数を切り上げます。


年末調整で注意すべきこと

年末調整で注意すべきこと 年末調整は面倒な作業ですが、正しく行わなかった場合、ペナルティが発生することもあります。ここでは、年末調整で注意すべきことを解説します。

年末調整を怠るとペナルティが発生する

万が一、年末調整を怠ってしまうと、以下のようなペナルティが発生します。

  • 従業員から適切な金額を徴収しなかった場合

 →1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金 これは、所得税法第242条に抵触する行為です。

  • 徴収額を納付しなかった場合

 →10年以下の懲役または200万円以下の罰金(もしくはその両方) 所得税法第240条に抵触する行為です。懲役刑と罰金両方の刑が課せられる可能性があります。

書類は必ず保存する

下記の書類は、7年間の保存が義務付けられています。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書・退職所得の受給に関する申告書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

育児休暇を取っている方・外国人・非居住者も年末調整対象

年末調整は、育児休暇を取っている従業員や外国人・非居住者も対象です。育児休暇を取っている場合には、扶養控除等申告書が必要になるため、事前に用意しておきましょう。 なお外国人や非居住者の場合、1年間働き続けないこともあります。たとえ、数ヵ月だとしても、年末調整を行う必要がある点には注意が必要です。ただし、働いていた従業員が海外で暮らすことになった場合は、手続きが変わってきます。しっかりと確認するようにしましょう。


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RELO総務人事タイムズ編集部
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