福利厚生でマッサージや整体を導入する企業が増加。従業員への健康投資

福利厚生でマッサージや整体を導入する企業が増加。従業員への健康投資

マッサージや整体サービスは、従業員の疲れを癒すリフレッシュ効果が期待でき、生産性向上にもつながる効果的な法定外福利厚生(以下、福利厚生)として今注目されています。一部の従業員だけでなく、全ての従業員が利用しやすい点も評価が高いです。運用方法に関しても、手続きだけで簡単に導入できるものから本格的に施設を常設するなど、幅広い運用方法があります。

今回は、福利厚生としてのマッサージや整体サービスの導入について概要や特徴、メリットについて解説していきます。実際の導入企業例も紹介します。福利厚生充実の参考にしてみてください。

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福利厚生でマッサージサービスを導入する企業が増えている

福利厚生でマッサージサービスを導入する企業が増えている

近年、従業員の健康を考慮して、福利厚生としてマッサージサービスを導入する企業が増えています。社内にマッサージ師を招いたり、契約している店舗や施設に従業員が通うなど、さまざまな導入パターンがあります。

マッサージサービスが注目される背景には、長時間労働や休日を返上して働く過酷な労働環境が関係しています。働き方改革の推進により労働環境は改善されつつあるものの、日本における現在の労働環境は良いものばかりではありません。しかしそういった現状のままでは、従業員が体を壊したり精神的に病んでしまい働けなくなるなどの弊害が生まれます。

従業員の体を労り、心身共に健康な状態で働いてもらいたい、という企業側の気遣いも必要不可欠です。

そこで注目されているのが、福利厚生として導入するマッサージサービスです。企業側としてもせっかく福利厚生を充実させるならば、なるべく多くの従業員に評価されるものを選びたいと考えています。

マッサージサービスの導入は、企業側の従業員に対する健康への気遣いが実に伝わりやすいです。そのため、従業員から評価されやすく導入しやすい福利厚生として注目されています。

マッサージサービスは福利厚生費として計上可能

きちんと要件を満たした上で導入されたマッサージサービスであれば、かかる費用は福利厚生費として計上することが可能です。

基本的に福利厚生費として計上するには、

  • 従業員全員に支給できる機会があること
  • 妥当な金額であること

が前提条件になります。

特定の従業員、例えば役員だけが受けられる福利厚生ですと、要件を満たしていないと判断され、福利厚生費として認められません。

また、金額については特に上限額などが定められている訳ではありません。社会通念上、妥当と思われる金額であれば問題ないということです。あまりにも高額である場合には、福利厚生費として計上しないほうが無難でしょう。税務調査が行われた際に、問題となる可能性があるからです。

福利厚生でマッサージサービスを導入するメリット

福利厚生でマッサージサービスを導入するメリット

従業員がマッサージサービスを受けることは、従業員の健康維持につながります。あまり体を動かさないデスクワーク業務中心の従業員は、肩こりや腰痛による疲労が見えないところで溜まっているものです。マッサージにより体のこりをほぐし血行を促進することで健康な体を維持することが可能です。

身体が万全であれば従業員の作業効率が高まり、生産性の向上が期待できます。

もちろん、肉体労働で体を酷使する作業中心の従業員も、体に疲労が溜まってきているでしょう。あまり自分の体に敏感でない人は、体の不調に気付かないこともあります。マッサージは、体の悪くなっている部分や不調なところを発見することも可能ですので、身体の危険信号を発見することにも役立ちます。

3種類の運用方法。それぞれの特徴

3種類の運用方法。それぞれの特徴

福利厚生としてマッサージサービスを導入するには、出張型や来院型、社内常駐型の3種類の運用方法があります。それぞれの特徴について、説明していきます。

出張型の特徴

出張型は、契約した日時にマッサージ師に事業所に来てもらい、マッサージサービスを従業員に提供します。基本的に初期費用が無料〜50,000円ほどかかり、1時間ごとに料金が加算される時間制と、1日で料金が決まっているパターンがあります。

時間や日にちごとの金額例

  • 1回の訪問:マッサージ師1名で1時間ごとに14,000円
  • 1回の訪問:マッサージ師1名で3時間まで50,000円

中には1回きりの訪問でも最低3時間〜の滞在や、長時間になるほど割引されるパターンがあるなど業者によってさまざまです。支払いの割合は、企業側が全額負担する場合や従業員側が一部を負担するなど、導入する企業によって違います。

一時的に社内を利用するため、会議室などの多少の空きスペースが必要になるでしょう。出張型は従業員がオフィスから出ることなく勤務中の休憩時間や業務終了後などに利用できるので、サービスを受けやすいです。

来院型の特徴

従業員がマッサージ施設に訪れる運用方法です。企業側が契約した店舗や施設に従業員が来院すると、無料や格安でマッサージサービスを受けることができます。マッサージ師が企業へ出張するコストが発生しないため、出張型に比べて契約料金が安く運用しやすいというメリットがあります。

従業員は退社後や休日などの空いた日を利用することになるので、意識して通わなければこの恩恵を受けられません。そのため、来院型の場合は、利用率が低くなり形骸化してしまう可能性があります。

形だけの福利厚生にしないためには、福利厚生担当者が率先して利用する、社内に十分周知するなどの利用促進対策が必要です。

社内常駐型の特徴

社内常駐型は、一時的なスペースではなく社内にマッサージ用の施設を常設し、専門のマッサージ師を雇う運用方法です。従業員がいつでも利用できるため、従業員から高い評価を得られます。しかし施設を新しく設置するため、初期費用や月額料金は数十万円にも上り、維持費はかなり高額になります。

一部の大企業では導入しているところもあるようですが、維持費の面でリスクが高いため、よく検討した上で導入するか決めましょう。リスクを減らすには、まず試験的に出張型や来院型を導入し、従業員の反応を伺ったり、費用対効果を確認してみる方法があります。

福利厚生代行サービスを利用した導入方法

マッサージサービスを自社で導入するには、ある程度の知識が必要であり、導入後も適切な運用を続けていかなければなりません。そのようなこともあり自社で運用することが困難な場合に有効なのが、福利厚生代行サービスの利用です。

福利厚生代行サービス企業が提供しているサービスの中には「てもみん」や「Re・Ra・Ku(リラク)」、整体院などのマッサージサービスがあります。企業は福利厚生代行サービスを契約することで、従業員が会員特典価格でマッサージサービスを利用することができます。よって、福利厚生代行サービスを利用する場合は来院型に近い運用となります。

福利厚生としてマッサージサービスを導入している企業例

福利厚生としてマッサージサービスの導入を検討している方は、予算や設備、従業員の反応などさまざまな部分でメリットを見出さなければなりません。ここでは、実際に導入している企業を参考にメリットやデメリットについて考えてみましょう。

【社内常駐型】LINE

LINE マッサージスペース
出典:LINE

LINEでは、社内常駐型でオフィス内にマッサージルームを設置しています。従業員が利用する際には、料金500円で1回40分のマッサージを月に2回まで受けることが可能です。

リラックス効果を促すために、アロマディフューザーやBGMを流せるようしっかりと準備が整っています。温かい蒸しタオルも用意されており、これが従業員にはとても好評とのこと。常駐しているマッサージ師2人は、指圧師、鍼師、灸師の資格を持っているようです。

【出張型】Wiz(ワイズ)

Wiz マッサージスペース
出典:Wiz(ワイズ)

Wiz(ワイズ)は、IoT事業やクラウドソーシング事業などを展開している企業です。この企業では「会社deマッサージ」という制度があり、毎月第3木曜日になるとプロのマッサージ師を招き、就業時間中に従業員がマッサージを受けられます。

出張型のサービスで、社内のリフレッシュルームや会議室を使用して行われているようです。一時的に施設の風景が変わるため、イベントを開催しているような新鮮な雰囲気を味わえます。

マッサージを受ける際には、事前に予約して指定時間に会場に向かいます。施術時間は15分ほどで、マッサージ師とのヒアリングで重点的に施術してほしい箇所の要望を伝えることも可能です。

まとめ

まずは、どのような形式でマッサージの福利厚生を運用するか決めましょう。先ほど紹介したように、運用方法には出張型や来院型、社内常駐型の3種類があります。

比較的導入しやすい運用方法は、来院型や出張型でしょう。特に来院型は、福利厚生代行サービスによって対応することも可能ですので、導入の手間やコストは比較的抑えることができます。

出張型においては、マッサージ部屋として使用するスペースを確保しなければなりません。また、契約企業との話し合いから社内へ告知するなどの、細かい業務も増えるでしょう。

社内常駐型は、高額な設備投資や毎月の人件費がかかるため、長期間の運用が可能かどうかを見極めることが重要です。その他にも、設備スペースを確保するために丸々1部屋以上は使うと思っておいたほうがよいです。

福利厚生でマッサージサービスを導入することは、従業員の健康維持につながります。従業員への健康投資のひとつのカタチであり、効果的な施策です。適切な運用ができるように事前準備をしっかり整え、メリットとデメリットをよく理解した上で導入を検討してください。