アプリでも活用できる!車両管理システムでデータ化をするメリットとは
企業が社用車を保有する場合、保有車両がたった一台でも管理するべき情報量が多く、各々の手続きも煩雑なものです。それらを一元管理し、安全運転機能や位置情報管理もできるのが車両管理システムです。 車両管理システムは社用車の情報をシステムによってデジタルデータ化することで、管理記録の抜け漏れは減り、今まで可視化されなかったものがデータでとれるようになります。本記事では、車両管理システムの概要から提供されているデバイスタイプ、導入に際しての注意点をまとめて解説します。
目次[非表示]
- 1.車両管理システムとは
- 1.1.車両管理の目的
- 2.車両管理システムの主な機能
- 2.1.機能1.車両管理台帳機能
- 2.2.機能2.リアルタイム位置情報機能
- 2.3.機能3.走行履歴の記録機能
- 2.4.機能4.運転日報の自動作成機能
- 2.5.機能5.安全運転診断機能
- 2.6.機能6.危険運転アラート機能
- 3.車両管理システムのメリットとデメリット
- 3.1.導入によるメリット
- 3.2.導入によるデメリット
- 4.デバイス別・車両管理システムの種類
- 4.1.ドライブレコーダー型
- 4.2.デジタルタコグラフ搭載型
- 4.3.アプリ型
- 4.4.シガーソケット挿し込み型
- 4.5.OBD-II ポート型
- 5.車両管理システム導入によって効果が出やすい業種・業界
- 6.車両管理システム導入の手順と導入後の注意事項
- 6.1.導入の手順
- 6.2.車両管理システム導入後の注意点
車両管理システムとは
車両管理システムとは、企業が保有する社用車・リース・レンタルなど、契約や保有形態に関係なく、業務で利用するすべての車両の情報をデジタルデータで一元管理するシステムのことです。 車両の情報は、定期点検や自動車保険、ガソリンや消耗品の管理といった車両そのものの管理情報以外にも、運行状況やドライバーの労務管理情報など、多岐にわたります。 車両管理システムを導入すれば、これらのすべての情報をシステム上で一元管理できるようになるため、管理記録の抜け漏れ防止や業務効率の向上につながります。
車両管理の目的
車両管理を行う目的は大きく以下の3点です。
- 適切な管理によって安全な運行を維持するため
- 企業としての信用を守り社会的なリスクを回避するため
- コストの適正化をはかるため
適切な車両管理が行われていなければ安全な運行を維持できず、事故によるリスクを高めます。また、手書きの書類などでアナログな車両管理をしていると、属人的な作業に頼ることになり、抜け漏れやミス、紛失などにつながります。 ITをうまく活用することで車に関するあらゆる情報をデジタルデータで一つにまとめ、安全な走行でリスクを低減する。それを実現するのが車両管理システムです。
車両管理システムの主な機能
車両管理システムには、主に次のような6つの機能が搭載されています。
機能1.車両管理台帳機能
企業が保有する車両に関する情報をまとめたものが車両管理台帳です。具体的には、以下のような情報をデジタルデータで管理します。
- 車両を特定する情報
- 車名、登録年度、車体番号、型式、購入日時やリース期間等
- 管理に関する情報
- 車検有効期限、定期点検記録、整備状況等
- 保険情報
- 自賠責保険や任意保険に関する詳細等
これら多くの項目を整理して一元管理してくれるのが車両管理台帳機能です。多くのシステムでは点検日や更新日を知らせるアラート機能も付随されています。
機能2.リアルタイム位置情報機能
リアルタイム位置情報機能は、デバイスのGPS(Global Positioning System)から位置情報を取得し、今、どの車両、どのドライバーがどの地点にいるのかを地図上で示してしてくれる機能です。 リアルタイムで位置を特定できるので、緊急時などは目的地の最寄りにいるドライバーへ素早く正確な指示を出すことができます。また、「あとどれくらいで到着しますか?」というお客様からの問い合わせにも正確かつスムーズに回答できます。
機能3.走行履歴の記録機能
走行履歴は稼働率が低い車両を洗い出し、最適な配車と余剰車の削減を実現できる機能です。走行履歴は自動でデジタルデータとして記録されるため、管理者の負担はありません。 また、従業員が適切なルートを走行しているのか、休憩はしっかりとっているかを履歴データから確認できるため、労務管理の徹底や配送ルートの最適化にも役立ちます。
機能4.運転日報の自動作成機能
一般貨物自動車運送事業を営む企業は、運転者氏名、運転日時、走行距離、休憩時間、荷物の積み下ろし情報などを記録した運転日報を記録し、1年間保管することが義務付けられています。 手書きでも問題はありませんが、ドライバーの負担になるうえ、抜け漏れなど人的なミスが発生しやすいので適切な管理が行えません。デジタルデータで運転日報を自動作成ができる機能であれば、スマートフォンやデバイスのボタンを押すだけで、正確な情報を記録できます。
機能5.安全運転診断機能
社用車で万が一の事故が発生してしまうと、企業は損害賠償の責任を問われたり、事故後の保険手続きを行わなければならなかったり、企業の信用を失ったりするなど、さまざまなリスクを負うことになります。 事故を未然に防ぐには、従業員への安全運転教育を徹底することが重要ですが、そこで役立つのが安全運転診断機能です。システムが事故のリスクを高める急加速・急ブレーキ・急ハンドルといった危険運転の有無や危険運転の発生箇所を検知し、従業員の運転状況を数値化します。 この機能を活用すると、ドライバーは客観的にデータで運転のクセを見直すことができ、管理者は適切な指導が行えるようになります。
機能6.危険運転アラート機能
危険運転アラート機能は一定基準以上の危険運転が検知された場合、管理者へアラートを送信する機能です。このデータをもとにヒヤリハットマップを作成し、全社で共有すれば、さらに危険運転を減らすことができます。 このほかにも、乗車する車両を誰が利用するのか可視化できる「車両予約管理機能」や、登録した場所への立ち寄りを自動通知する「ジオフェンス機能」などがあります。解決したい課題に合わせて必要な機能が搭載された車両管理システムを選びましょう。
車両管理システムのメリットとデメリット
導入によるメリット
メリット1.車両に関する情報管理が容易になる
一つの場所に車両に関するあらゆる情報がデジタルデータでまとまるので、書類をめくって確認せずとも、いつ何をすべきか、現状を把握することができます。抜け漏れを防ぎ、情報の共有もスムーズになります。
メリット2.車両管理業務にかかっていた時間を大幅にカット
事務手続き、日報の作成、月次集計など、煩雑な作業はすべてシステムに任せることができるため、担当者の負担が大幅に減ります。
メリット3.業務の最適化を加速させ、コストカットを実現
走行状況がデータによって可視化されることで、余剰車両や稼働率の低い車両を洗い出すことができるため、適切な配車や業務の効率化を実現できます。
メリット4.事故の予防と高度な安全運転管理ができる
安全運転診断機能が搭載された車両管理システムであれば、ドライバー一人ひとりの運転傾向をデータ分析し、適正な安全運転指導が行えます。ドライバーの安全運転意識を向上し、事故の削減にもつながります。
導入によるデメリット
デメリット1.従業員からネガティブな意見が出る可能性がある
いつどこで何をしているのか、過去の走行履歴も現在の走行状況もリアルタイムで把握できるため、「四六時中監視されているみたいで落ち着かない」というネガティブな印象をもつ従業員が出てくる可能性があります。 そのため、導入の前に「従業員の安全を守る」「長時間と労働を防ぐ」など、従業員にとってどのようなメリットがあるのかを説明することが重要です。
デメリット2.導入コスト・運用コストがかかる
車両管理システムの導入には、初期費用やデバイスの取り付け工賃、そして運用費用がかかります。 提供する企業によっては、初期費用0円や、デモ、お試し期間なども設けられているので、比較検討を行い、最終的に自社が目的とする効果が見込めるシステムを導入しましょう。
デバイス別・車両管理システムの種類
車両管理システムを導入する際にポイントとなるのが、デバイス(型)やシステムの種類です。デバイス(型)によって、導入にあたっての工賃、環境などが異なります。 以下、5つのデバイス(型)を紹介します。
ドライブレコーダー型
ドライブレコーダー型の車両管理システムは通常の映像記録に加え、危険挙動が発生した時は前後の映像をクラウドにアップしたり、映像で検知したヒヤリハットをアラートで通知したりできます。
デジタルタコグラフ搭載型
重量が7トン以上・最大積載量4トン以上のトラックに義務化されているタコグラフ。昨今ではチャート紙に速度・走行時間・走行距離を記録するアナログタコグラフ(アナタコ)からデジタルで管理できるデジタルタコグラフ(デジタコ)へシフトする企業も増えました。 デジタコ搭載の車両管理システムは、より高度で詳細な情報をメモリーカードに蓄積できますが、機器の導入及び設置作業費用がやや高額になるのがデメリットです。
アプリ型
アプリ型の車両管理システムは、タブレットやスマートフォンにインストールするだけで簡単に使用でき、ローコストで設定も簡単です。ドライバーも管理者も、もっとも身近なスマートフォンから操作ができる手軽さが魅力です。 一方で、アプリを都度操作しなければならず、ドライバーの負荷は高くなります。また、電池の消費量が多いことにも注意が必要です。
シガーソケット挿し込み型
シガーソケット挿し込み型の車両管理システムは、シガーソケットに挿し込むだけですので、ドライバーへの負担はゼロです。基本的に工賃はかからず、誰でも簡単に設定できるので導入のハードルが低いです。
OBD-II ポート型
OBD-IIとは、(オン・ボード・ダイアグノーシス)の略で、自動車各部に取り付けられたECU(エレクトリカル・コントロール・ユニット)にプログラムされた自己診断機能のことです。 自動車には多くのコンピューターが搭載され、データを電子制御しています。そのコネクタに差し込むだけで利用できるタイプです。 しかし、OBDに接続することで思わぬトラブルを招く危険性があるため、注意が必要です。国土交通省が主催する検討会でも「OBDポートからのデータの取得は推奨しない」と明記されています。
車両管理システム導入によって効果が出やすい業種・業界
車両管理システムは車両を保有するさまざまな業種で利用されていますが、導入の理由や目的は業種や業界によって大きく異なります。とくに大きな効果が得られやすい業種・業界は、次のような業種・業界です。
モノやヒトを限られたリソースで効率的に運びたい業種
主に、運送業・物流業・介護・福祉・医療関連・建設業などがこちらに該当します(ただし、企業や業態による)。 運送業は、オンラインショップの利用者急増により、個人への配送量が急増しているにもかかわらず、慢性的な人手不足とドライバーの高齢化、長時間労働など多くの課題を抱えています。 リアルタイムの位置情報を把握してスムーズな連携を取り合い、配送ルートの最適化を行い、労働環境を改善するために走行履歴を見直すなどすれば、ドライバーの負担も軽減できるでしょう。 また、介護福祉や医療では、一人ひとりの患者の声を聞き、寄りそうことが本来の大事な業務です。限られたリソースの中で、スムーズな連携を取り合うために、緊急時にもいち早く駆けつけるためにリアルタイムの位置情報が役立ちます。
車両で営業活動を行っている業種
主に、不動産業・燃料配送業・ロードサービス・MRなどがこちらに該当します(ただし、企業や業態による)。 不動産業は管理する物件が何十、何百棟にも及びます。迅速かつ効率よく営業活動を行うために、車両の位置情報をスタッフ間で連携できれば移動コストを抑えることも可能です。 また、日報と走行データを照らし合わせて、スタッフ一人ひとりの営業活動を把握し、正しい評価が行えるようになります。 保険会社から依頼を受け、レッカー車を派遣するロードサービスでは、迅速な配車が重要なポイントです。車両の位置情報がわからず到着時間の回答に時間がかかってしまうと、お断りせざるを得なくなることもあります。 位置情報の把握でスムーズな配車が実現できれば、営業の観点でも受注がしやすくなります。
安全な旅客輸送のために車両を利用する業種
主に、バスやタクシーなどがこちらに該当します(ただし、企業や業態による)。 バスもタクシーも人命を預かって運行するため、一般車以上に安全運転を徹底する必要があります。ドライバーの安全運転教育はもちろん、最適な配車にも車両管理システムが活躍してくれます。
車両管理システム導入の手順と導入後の注意事項
導入の手順
1.自社の課題を洗い出し、解決したい課題の優先度を決める
業務効率が悪く売上がなかなか上がらない、安全運転教育を行っても事故が発生してしまう、車両関連のコストがかかっているなど、自社の課題を抽出します。その課題をどのように改善したいのか、車両管理システムを導入する目的を整理します。
2.課題解決ができる機能をピックアップし、車両システムの比較検討を行う
搭載された機能をはじめ、操作の容易性、導入コスト、利用可能なデバイスの種類などで比較検討を行います。資料の請求、見積もりやデモの依頼、無料トライアルがあれば一度試してみてもよいでしょう。
3.申し込みを依頼し、パソコンやスマホへセッティング
例えばSmartDrive Fleetの場合、申し込み企業それぞれに合わせて使用環境を用意します。また、ドライバー用のスマートフォンアプリをダウンロードすることで、乗務記録が登録、走行履歴、日報も確認可能です。
車両管理システム導入後の注意点
車両管理システムを導入したら、その後の効果についてしっかり検証していきましょう。そうすることで、より効果的な業務効率の改善やコストの見直しが実現できます。 車両管理システムを使いこなさなければ、導入コスト以上の大きな成果が得られません。どのようなデータを取得して導入前後で何が改善できたのか、車両管理システムで今後どのような目標を達成したいのかを考えながら、効果検証をしていきましょう。