積水化学グループの健康経営の取り組みとは?Well-being(ウェルビーイング)とアプリ活用

積水化学グループの健康経営の取り組みとは?Well-beingとアプリ活用

2020年3月、積水化学グループは「健康経営優良法人2020」において、ホワイト500を取得しました。積水化学グループはすべての従業員が、心身ともにそして社会的にも良好な状態であるWell-Being(ウェルビーイング)を目指して健康経営を推進しています。積水化学グループの具体的な取り組みや今後の展開について、人事部の健康推進室長の荒木郁乃さんにお話を伺いました。

■合わせてよく読まれている資料
健康経営最高峰銘柄企業が実践している健康施策」も合わせてダウンロードいただけます。

積水化学グループの健康経営

積水化学グループの健康経営

従業員の心身の健康を維持・増進することは、働く意欲やモチベーションの向上、離職率低下につながり、企業ブランディングにも直結するため、多くの企業が積極的に取り組んでいます。

積水化学グループが経営課題のひとつとして従業員の健康維持・増進に注力しはじめたのは、ここ数年のことです。健康経営の取り組みを社内外に認知してもらう目的で取得したホワイト500に加え、今後は経済産業省と東京証券取引所が共同で選定を行う「健康経営銘柄」の取得も視野にいれています。

積水化学グループが目指すWell-Being(ウェルビーイング)経営

2019年3月、積水化学グループはグループにおける健康経営の理念やあり方をまとめた「健康宣言」ならびに「健康経営基本方針」の制定を発表しました。”従業員は社会からお預かりした財産である”という考え方に基づき、グループ全体で従業員の健康管理に取り組んでいます。

グループの「健康宣言」には、すべての従業員が、心身ともにそして社会的にも良好な状態Well-Being(ウェルビーイング)であることを目指すと示しています。

積水化学グループが感じていた健康経営推進の課題

積水化学グループでは5年ほど前(2015年ごろ)に、従業員のメンタルヘルスをケアする取り組みを実施しました。その流れを受け、従業員の心と体の健康を一元管理し、健康支援を行う目的で2017年に健康推進室を立ち上げました。

生活習慣の見直しは各人が行う中、そこをさらに一歩進めるために”従業員の心と体の健康を企業の課題として全員で取り組んでいく”と旗を振りました。しかし、「それって本当に必要なの?」と疑問をもつ風潮も当時はあったそうです。

そのような疑問に答えるためには、従業員の健康診断など社内で蓄積したデータはもちろん、国が発表する健康調査の統計データなども活用し、健康経営をより説得力あるものにしていくことが求められます。

例えば、従業員が100%のパフォーマンスを発揮できてないとしたら、その理由は何かを明確にすることが重要です。70%のパフォーマンスしか出せていない原因が、ストレスなのか睡眠不足なのかがわかれば、それをひとつの指標として活用できます。

従業員の健康課題には何があり、どう解決していくのかを実現するには、データ蓄積と分析が欠かせません。データを分析し、従業員のビヘイビア(behavior: 行動)とアティテュード(attitude: 態度)を把握する。そこから課題を発見し、課題解決アプローチをすることが必須であるとわかりました。

その実行にはナレッジ(knowledge: 知識)の蓄積が不可欠なため、健康情報を定期的に発信しています。また、2020年からメンタルヘルスのラーニング研修を必修化。全3回の講習で、全問正解できたらラーニング研修が修了します。

積水化学グループの具体的な取り組み

積水化学グループの具体的な取り組み

ここでは、積水化学グループが従業員の健康推進を目的とした5つの取り組みをはじめ、2020年度よりスタートした7つの健康習慣応援プログラムと健康サポートアプリを活用した取り組みを紹介します。

2020年度より開始した7つの健康習慣応援プログラム

2019年に制定した「健康宣言」と「健康経営基本方針」を軸に、すべての従業員のWell-Being(ウェルビーイング)達成に向けて5つのセグメントを設定しています。

  1. 健康診断と生活習慣病対策
  2. メンタルヘルス
  3. 安心して働ける職場と制度
  4. グループ一体での取り組み
  5. 働きがいと生産性の向上

1の生活習慣病対策では、アメリカのブレスロー博士が提唱した7つの健康習慣を取り入れました。

    • 朝食は、週5回以上食べている
    • 朝昼夕の3食以外の間食は適量
    • 軽く汗をかく運動を週合計60分程度、定期的に行っている
    • 適正な体重を保っている(適正体重:BMI=18.5〜25)
    • 目覚めたときに、よく眠ったと思える睡眠時間を確保している
    • たばこ(新型たばこを含む)を吸わない
    • お酒を飲む量は適量(男性1日2合未満、女性1日1合未満)または飲まない

* 7つの健康習慣を少しアレンジしてグループ内で案内

上記の習慣は、生活習慣と身体的健康度との関係を調査した結果に基づいて提唱されています。

コロナ禍での運動不足を解消する社内ウォーキングイベント

緊急事態宣言に伴い、積水化学グループもリモートワークを余儀なくされましたが、その時期に健康に関するアンケートを実施しました。リモートワークが長期化する中で、運動不足や健康不安を感じる従業員が多く、かねてより検討していた健康サポートアプリ(七冠王アプリ)を活用した健康支援を実行しようと考えました。

健康サポートアプリ(七冠王アプリ)の活用は、「目指せ七冠王」(7つの健康習慣を応援するプログラムのキャッチフレーズ)の取り組みの一環です。

2020年10月に実施したのが、健康サポートアプリ(七冠王アプリ)に登録した従業員の歩数ランキングを競うウォーキングイベントです。健康サポートアプリ(七冠王アプリ)は、歩数やBMI値などを競い合うランキングイベントが設定でき、毎日の歩数は自動計測されてアプリ上のランキングに反映されます。

モチベーションアップのため、上位入賞者に豪華景品を準備しイベント告知をすると、多数の応募がありました。

上位入賞の3名にコメントをもらったところ、通勤時だけでなく、昼休みにサッカーをしてみたり休日にはPokémon GOに精を出したりと日常生活に歩数を稼ぐ工夫を取り入れたという声があり、きっかけがあると従業員は自分たちで創意工夫を加えて活用してくれるのだということが実感できました。健康推進室のやることはきっかけづくりなのかもしれないと思っています。
* Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です

今後は従業員の健康管理だけでなく、従業員の健康意識を高める取り組みを継続していく予定です。

健康サポートアプリ(七冠王アプリ)内の仕掛けで楽しくムリのない健康意識改善へ

積水化学グループが導入した健康サポートアプリ(七冠王アプリ)は、ログインや各種機能を利用することでポイントが貯まる仕組みです。このポイントは、素敵な賞品と交換できるインセンティブを用意しています。

ポイントが付与されるイベントや取り組みを実施することで、ポイント獲得意欲を満たしつつ、健康意識の向上につながります。健康サポートアプリ(七冠王アプリ)を登録したけど、利用していない従業員に再びアプリに戻ってきてもらうことも可能です。

例えば、メンタルヘルス研修の最後のページには50ポイント付与するQRコードを仕込んだり、7つの健康習慣に関するアンケート回答者のみがポイントをもらえるようにしたりといったさまざまな仕掛けやアイデアを取り入れた施策を行なっています。

従業員に「なんだか楽しそうだな」と思ってもらうことが、第一です。健康サポートアプリ(七冠王アプリ)の活用やイベントの参加を通して、健康推進室の取り組みを1人でも多くの従業員に知ってもらうことで、積水化学グループが目指す「すべての従業員がWell-Being(ウェルビーイング)である」ことが実現できると考えています。

積水化学グループがこれから実践していきたいこと

積水化学グループがこれから実践していきたいこと

積水化学グループは今後、健康経営の取り組みとして、

  • 7つの健康習慣応援プログラムの認知向上
  • 5つのセグメントのKPI達成
  • 健康経営の取り組みを加速させるための「健康経営銘柄」の取得

これら3つを実施し、事業の活性化と認知度を高めていきます。

積水化学グループの中長期ビジョン

積水化学グループはESG経営を中心に長期ビジョンを計画しています。ESG経営の社会(Social)、ガバナンス(Governance)に位置づけられるのが健康経営で、従業員というステークホルダーなくして企業成長は実現できないという考えです。

また、中長期的な観点からも企業の人的資本である従業員への健康投資は、生産性向上を促す重要なものであり、労働力人口が減少する日本においてますます不可欠なものになります。

こうした背景から、積水化学グループが事業を通じて社会課題の解決への貢献を図ることと、従業員の健康を維持・増進するという目的を成長戦略の中に盛り込むことは合致するものであり、より具体的な形で従業員の働き方を支援できるよう、健康経営をさらに拡大していきます。

7つの健康習慣応援プログラムの認知向上

健康経営を現場で推進していく上で欠かせないのが、従業員の声と協力です。2019年2月に、7つの健康習慣についてアンケートを実施したところ、約7割の従業員が回答してくれました。

自由記入欄には、「健康のことで悩みがある」「こういう取り組みを実施してほしい」などの意見が2,000ほど集まり、健康宣言と健康経営基本方針の策定・発表を通じて、健康経営の考え方が現場にも浸透しはじめているのだと実感しました。

こうした従業員のニーズをもとにした、全従業員のWell-Being(ウェルビーイング)を目指す取り組みを今後も継続して実施します。2021年度には、7つの健康習慣応援プログラムの認知率を100%にし、2022年度までに7つの健康習慣のうち4つ以上を実施する人の割合を50%にすることを目指しています。

積水化学グループは、すべての従業員のWell-Being(ウェルビーイング)を目指す

積水化学グループは、すべての従業員のWell-Being(ウェルビーイング)を目指すため健康推進を実践する

荒木郁乃さんのお話を通して、従業員なくして企業成長は実現できず、心身ともに社会的にも満たされたWell-Being(ウェルビーイング)な状態であることが持続可能な成長戦略を描けることがわかりました。

今回の7つの健康習慣応援プログラムを中心としたさまざまな取り組みは、自然で楽しく健康課題を見直し、改善していくアクションのひとつです。健康推進室発案のイベントが従業員の協力を経て成功していくことで、さらに健康経営の認知拡大につながるはずです。

健康サポートアプリ(七冠王アプリ)を活用したイベントや健康支援の取り組みは、積水化学グループが目指す全従業員のWell-Being(ウェルビーイング)を実現し、イキイキと働く職場づくりをさらに加速させていくことでしょう。