育児介護休業法は、平成29年10月に改正されました。働き方改革の動きが活発化する中、国が定めるの法律や制度も、短いスパンで見直し改正が進められているようです。ここで、育児介護休業法の現在の内容を確認しておきましょう。事業主として育児・介護休業法を理解しておくことは必須です。貴社のスムーズな対応に役立てていただければと思います。

育児・介護休業法とは?

育児介護休業法

育児・介護休業法の概要

育児・介護休業法は、育児や介護をしなければならない労働者が、円滑に仕事と両立できるよう配慮し、働き続けられるよう支援する制度です。労働時間を柔軟にしたり、休暇を取りやすくしたりする具体的な制度が盛り込まれています。労働者の申し出に対する事業主の対応義務も規定に含まれています。

育児・介護休業法によって、日本で働く労働者に、「仕事か育児か」「仕事か介護か」の選択ではなく、「仕事も育児も」「仕事も介護も」充実させられる、調和のとれた生活を提供することを趣旨とする制度です。

育児・介護休業法の制度内容

育児のための支援制度には、産前産後休業、育児休業、子の看護休暇、転勤への配慮などがあり、介護のための支援制度には、介護休業や介護休暇があります。

育児や介護のいずれにも、所定外や時間外労働の制限、深夜業務の制限、短時間勤務制度などが含まれています。現在では、女性だけでなく男性社員(パパ)の育児制度活用も促進されているようです。

労働者は、これらの制度の利用を希望し、事業主に申し出ることができます。法規上の範囲を満たす対応や処置を講じることは事業主の義務です。育児・介護休業法の制度の利用を理由とした解雇、降格、減給、その他の労働者に不利益な取扱いをしてはならないと規定されています。

また、法規定を満たしていれば、事業主が社内体制や業務形態に合わせて、独自の休暇制度などを設けることも歓迎されているようです。この点については、企業ごとにユニークな施策が続々と登場しており、より働きやすい環境が提供されています。

育児・介護休業法が制定された背景

育児・介護休業法が制定された背景
育児・介護休業法は、労働者、女性、企業、国など、誰にとってもメリットのある政策です。それぞれの課題解決につながるというのも特徴でしょう。育児・介護休業法が制定された背景として、以下のポイントが挙げられます。

  • 少子化対策としての出生率の増加
  • 女性雇用の確保と活躍の場の拡大
  • 高齢者増加に対する介護対策
  • 企業の雇用継続・雇用の安定化
  • 国家のマンパワー確保・国力強化

少子化で、日本の労働力の減少に対する懸念は広がっています。育児支援を存在させることで、出産を前向きに考える女性は増えると期待されます。女性労働者にとっても、育児中のブランクを気にせず、日本や企業の労働力としてキャリアを続けることができるでしょう。

また、高齢者の増加で介護問題は待ったなしの状況です。家族の介護に直面する労働者も増えることが見込まれています。介護があっても働ける柔軟な制度を整えれば、労働者は社会とつながり、活躍し続けられるはずです。

企業側にとっては、自社の戦力人材の雇用維持、雇用の安定策となるのではないでしょうか。総じて、国の労働力の確保、また、労働力の向上につながることが期待されているのです。

平成29年1月改正のポイント

育児・介護休業法は、平成28年3月に改正され、平成29年1月に全面的に施行されるようになりました。介護休業についての変更点が主ですが、内容をおさらいしておきましょう。

介護休業の分割取得

改正前の介護休業は、介護が必要な家族1人につき、通算で93日まで、年間での取得は原則1回となっていました。50日でも60日でも1回扱いで、良くなったあとに、再度介護が必要になっても対応措置がなかったのです。

改正後は、93日という日数は変わりませんが、年間で3回までの分割取得が認められるようになっています。より現実的な対応が可能となっているようです。

介護休業給付の給付率の引上げ

改正前は、介護休業時に受け取れる給付金の率は40%でしたが、改正により67%に引き上げられました。

介護休暇の取得単位を柔軟化

介護休暇は、介護のために有給休暇とは別に単発で取得できる休暇です。改正前は、1日単位で年間5日間まで取得が可能となっていました。改正後は、さらに細かく半日単位での取得が認められるようになりました。

これにより、回数にすると、10回利用できることになります。ヘルパーやケアマネージャーとの相談、ちょっとした通院の介添えなど丸1日かからないものも多いため、より柔軟に利用できるようになったようです。

介護目的の短時間勤務制度等の措置

介護目的の短時間勤務制度は、改正前は、介護休業と通算で93日までとされていました。改定後、介護休業と短時間勤務制度は別扱いになっています。短時間勤務制度においては、利用開始から3年以内に2回以上の利用が可能となりました。

介護のための所定外労働の免除

要介護の家族を抱える労働者は、残業などの所定外労働時間の勤務免除を申請できるとする項目が新設されています。適用期間は、労働者の介護期間が終了するまでです。

育児休業の取得条件を緩和

育児休業の対象者については、正社員と有期契約社員の権利に差があります。有期契約社員の取得条件が緩和されています。

改正前は、過去1年以上の勤務、子供が1歳になったあとも雇用されること、休業開始から9ヵ月以内に雇用契約が切れないことが条件でした。改正後は、過去1年以上の勤務、子供が1歳6ヵ月になるまでに雇用契約が切れないことが条件となっています。

子の看護休暇の取得単位を柔軟化

子の看護休暇は、子供の病気やケガ、予防接種などのために、有給休暇とは別に取得できる休暇です。改正前は、1日単位で年間5日間までとなっていましたが、改正後には、半日単位で取得できるようになっています。

平成29年10月改正のポイント

育児介護休業法
平成29年1月からの施行状況を受け、同年10月にさらに改正が行われています。育児休業についての変更点が多くなっているようです。改正内容を確認していきましょう。

育児休業期間の延長

改正前は、原則子供が1歳になるまで、保育所などが見つからない場合に1歳6ヵ月までの延長が認められていました。この場合、保育所にも預けられない、育休も取れないという期間が発生してしまう労働者がいることが問題視されていたようです。

改定後は、1歳6ヵ月時点でも預け先が確保できない場合には、育児休業延長の追加申請により、子供が2歳になるまでの延長が認められるようになっています。育児休業給付の支給期間も延長されます。

育児・休業制度の周知

厚生労働省が依頼した調査で、職場に育児休業制度を利用しにくい雰囲気があると感じている労働者が多いことが明らかになりました。せっかくの支援制度を絵に描いた餅にしないために、事業主に対し、支援制度など情報の周知が努力義務として追加されました。

本人や配偶者の妊娠がわかった時点で、事業主は労働者に対し、育児休業などの支援制度の詳しい内容を「個別に周知する」というものです。

新しい育児休暇の設置を促進

就学前の子供を持つ労働者が育児に充てるための休暇制度の新設も努力義務として制定されました。男性社員の育児参加への働きかけも目的のひとつです。たとえば、配偶者の出産休暇、学校行事に参加するための休暇などが挙げられます。

この改正前は、1歳未満の子供を持つ労働者(育児休業利用)か、ケガや病気の子供の世話をする必要がある労働者(子の看護休暇利用)だけが対象でした。この改正によって、育児休暇を利用できる労働者が広がることになります。

参考文献:
育児・介護休業法について|厚生労働省
【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省
スライド 1|厚生労働省
改正育児・介護休業法リーフレット リーフレットNo.5|厚生労働省