福利厚生

出産手当金のメリットと適用される期間・金額|出産一時金との違いや対象となる社員の条件

働く女性の出産に関わる手当はいくつかありますが、今回は「出産手当金」について解説します。出産一時金との違い、対象となる社員の条件、この手当金を利用することで該当社員や企業にどのようなメリットがあるのかを確認しましょう。給付期間や給付額、企業側が行うべき出産手当金にかかる準備や手続きについても触れていますので、参考にしてください。

出産手当金

2018年07月25日更新

RELO編集部

出産手当金とは?

出産手当金
出産手当金は、会社で加入する健康保険から支給される手当金です。産休中の女性の出産や生活を支えることを目的として、支給されるものです。

出産一時金との違い

出産手当金は、出産一時金と混同されやすいようですが、別々の制度です。まずは、この2つの違いをしっかり確認しておきましょう。

制度の目的

出産一時金は、出産にかかる費用の負担軽減を目的としたものです。一方、出産手当金は、出産によって収入が減ってしまう女性に対する休業補償で、生活を支援することが目的です。いずれも出産する女性の助けになるという点では共通しています。しかし、それぞれの制度が制定された目的は異なっています。

支給管轄と対象枠

出産一時金は、国民健康保険に入っている人も、会社で加入する健康保険に入っている人も、どちらも支給対象者になります。また、夫の会社の保険の扶養として入っている場合も、家族出産育児一時金として申請・受給することができます。出産一時金の担当機関は、自治体(国民健康保険)または勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合等ということになります。

一方、出産手当金を担当する機関は、勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合等だけです。そのため、出産する本人自身が勤務先の健康保険に被保険者として加入していることが支給を受ける条件になります。

支給額

出産手当金と出産一時金は、支給額にも違いがあります。出産一時金は、赤ちゃん1人あたり一律42万円が支給されます。1回の出産に対して一括支給されるものです。

※ただし、以下の場合は、40.4万円です。

  • 「産科医療保障制度」に未加入の医療機関・産科医で出産する場合
  • 妊娠22週目未満での出産の場合

※健康保険によっては、付加給付としてさらにプラスアルファが給付されることもあるようです。

※出産一時金の支給は、受給者本人が直接受けることもできますが、医療機関に直接支払われるようにする制度もあり、一般的になってきています。

出産手当金は、出産する会社員の給与額をもとにして算出され、金額は一律ではありません。また、受給対象期間が設けられており、給与が発生しない時期の休業補償として、原則98日間を対象にして支給されるものです。

参考 出産に関する給付|全国健康保険協会(協会けんぽ)

出産手当金のメリット

出産手当金
出産手当金を利用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。支給を受ける社員側と企業側、それぞれのメリットを見ていきましょう。

社員にとってのメリット

育児休業中は労働をしないため、企業には給与の支払い義務がありません。企業独自の制度が設けられていない限り、ほとんどの人は収入が途絶えることになるでしょう。育児休業を利用できることは、身体的な負担を考えるととても助かることですが、経済面では心配を抱える人も少なくありません。

出産手当金があることで経済面の心配は軽減され、安心して出産を迎えることができるでしょう。また、出産手当金の支給期間は、健康保険料、年金保険料、雇用保険料なども免除されます。免除期間中も保障はそのまま受けることができますし、加入実績も継続されるため将来に影響することなく利用することができます。

企業にとってのメリット

出産手当金は、健康保険組合、協会けんぽの管轄になるため、企業側は社員の申請に協力する形になります。せっかくの制度を利用しそびれることのないよう、出産を控えた社員が申請するときのサポートはしっかり行っていきましょう。

該当社員だけでなく、企業側にもメリットがあります。出産手当金を受給するには、育児休業中であること(収入がないこと)が条件です。同時に、会社で加入している健康保険などの支払いも免除になります。そのため、この期間は、会社が一部負担している健康保険料や年金保険料なども発生しません。

出産手当金の支給は、会社の健康保険の加入者であることが条件です。産休中に給与を支払わない社員が退職することなく安心して出産や育児ができること、そして、出産や育児からの職場復帰も考えやすくなることは、企業にとってもメリットだと考えます。

対象となる社員の条件

出産手当金
では、出産手当金の対象となる社員の条件を確認していきましょう。また、出産を機に退職するとき、産休に有給休暇を使うときなど、それぞれのケースについて受給資格はどう変化するのかを説明します。

支給対象となる3つの要件

出産手当金の支給対象者の、原則的な3つの要件は以下の通りです。

1. 会社の健康保険の被保険者(本人加入)の会社員や公務員

必ずしも正社員である必要はありません。
契約社員、アルバイトやパートでも会社の健康保険に加入していれば対象となります。

2. 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産

この条件には、妊娠4ヶ月を過ぎて早産、死産、流産、人工中絶となった場合も含まれます。

3. 出産のために休業している

給与をもらっていない、もらっていても出産手当金より少ない場合が対象です。

退職者でも適用される?

社員が出産にあたり職場を退職する場合は、会社の健康保険からも抜けることになります。したがって、出産手当金の受給要件に照らすと、原則的には給付の対象者から外れます。ただ、退職した場合でも以下の3つの要件をすべて満たしていれば、受給は可能となっています。

1. 退職日からさかのぼり、継続して1年以上健康保険に加入している

退職の前日までに1日でも空白の期間があれば対象外になります。
1年以上勤務しているのであれば、問題なくクリアされているでしょう。

2. 退職日が出産手当金の支給期間内に入っている

この後の項目で詳しく説明しますが、出産手当金には支給期間があります。
退職日がこの支給期間内に入っている必要があります。

3. 退職日に勤務していない

つまり、退職日は産休中などで労働をしていない(収入がない)ことが条件です。
該当社員が出産を機に退職を考えている場合は、企業側と社員の間で退職日の相談が必要になってくるでしょう。

産休中の有休使用

出産手当金は、休業補償です。有給休暇ということは給料が支払われることになるので、原則的には支給対象外になります。しかし、その給与が出産手当金の額よりも少ない場合は、その差額を受け取れるようになっています。

また、有給休暇以外にも企業の規定によって、産休中に一部給与が支払われるということもあるようです。この場合も、出産手当金の額よりも少なければ、その差額は受け取ることができます。

実際のところ、出産手当金はもらっていた給与の約3分の2という計算ですから、有給休暇の満額のほうが多くなるでしょう。職場復帰した後の有給休暇利用の可能性のことも加味して考えながら、検討するとよいでしょう。

支給対象外となる人

出産手当金の対象外となるケースを確認します。

  • 夫の会社の健康保険の扶養になっていて、本人加入でない場合
  • 国民健康保険に加入している場合(自営業や非正規社員など)

出産手当金が適用される期間・金額

出産手当金
では、出産手当金が適用される期間と支給額について確認していきましょう。

適用期間

出産手当金が適用される期間は、原則的に出産予定日の42日前から出産後56日目までの98日間です。出産予定日が遅れた場合は、その日数もプラスされます。また、多胎児の場合、産前は98日前から対象期間になります。申請から1~2ヶ月後に一括で支給されるようになっています。

支給金額

出産手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算で算出されます。

支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額(※)を平均した額÷30日×(2/3)

そして、1日あたりの支給額×98日が出産手当金の支給総額となります。もし、出産が予定日より遅れた場合は、その日数分の「1日あたりの支給額」が加算されます。逆に、出産が早まった場合は、その日数分の「1日あたりの支給額」が差し引かれます。なお、出産日は産前の日数にあてはまります。

【計算例】
標準報酬月額を平均した額=25万円
250,000÷30=日額の平均額8,333円(1円未満切り捨て)
8,333円×0.666=日額平均の3分の2なので約5,550円(10円未満切り捨て)
5,550円×98日=543,900円(支給総額)

出産が予定日より遅れた場合は、その日数分の「1日あたりの支給額」が加算されます。

(例)
5日間遅れた場合、5,550円×5=27,750円
543,900円(98日分)+27,750円(5日分)=571,650円(支給総額)

なお、産後の56日間が変動することはありません。

※会社の健康保険に加入して12ヶ月に満たない場合
「支給開始日の以前の各月の標準報酬月額の平均額」と「健康保険の全加入者の標準報酬月額を平均した金額」を比較して、少ないほうの額が適用されます。

出産手当金の手続き方法

出産手当金
出産手当金は、申請をしなければ受け取ることができません。出産にあたり、産休、有休休暇や退職などにどのように対応しているかで、受給資格が得られなかったり、支給される金額が変わってきたりします。制度の内容をよく理解し、適切な準備をしておくことが大切です。ここから、出産手当金の手続きや準備について説明します。

参考 健康保険 出産手当金 支給申請書 記入の手引き|全国健康保険協会(協会けんぽ)

申請までの流れ

1. 出産手当金の受給資格の確認

会社の健康保険の加入期間や産休取得予定などから、手当金の受給資格があるかどうかを確認します。特に、産休が有給や退職に関わる社員からの相談を受けた場合は、制度の基準や条件をよく理解し、日程を組む必要が出てくるでしょう。

2. 健康保険出産手当金支給申請書の用意

申請書は、社会保険事務所から発行されています。企業の総務部などの担当部署で準備しておくといいでしょう。企業に用意がない場合は、申請者本人で用意します。

参考(ダウンロードも可能です):
健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会(協会けんぽ)

【申請書の内容】

3. 【社員準備】記入項目

本人情報の記入と、医師、または助産婦が記入しなければならない欄があります。出産の際に入院する医療機関で記入してもらう必要があります。したがって、健康保険出産手当金支給申請書の提出は、出産後にすれば一回で済ませられます。つまり、産休中、もしくは復帰後の提出ということになるでしょう。

4. 健康保険出産手当金支給申請書の提出

出産した社員から健康保険出産手当金支給申請書の提出があったら、健康保険組合、協会けんぽに書類を提出します。

5. 出産手当金の支給

申請から、1~2ヶ月ほどで、指定口座に一括で振り込まれます。

申請期限

出産手当金の申請期限は、産休開始の翌日から2年以内となっています。

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