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テレワーク中の従業員がさぼる原因は?生産性向上につながる防止策

テレワーク(在宅勤務)は、従業員にとっては通勤の負担が減り、ワークライフバランスが向上するといった利点があります。

一方で、企業の総務人事担当者や管理職にとっては、「従業員がテレワーク中にさぼってしまうのではないか」という懸念もある働き方なのではないでしょうか。

この記事では、テレワークにおける「さぼり」の線引きから原因、そして管理者・従業員それぞれの視点から防止策を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.テレワーク中に発生しやすい「さぼり」への懸念と認識ギャップ
    1. 1.1.テレワーク中の「さぼり」線引きの考え方
    2. 1.2.管理職が感じやすい不安
    3. 1.3.従業員が感じる不安
  2. 2.従業員がテレワークでさぼってしまう原因
    1. 2.1.他者の目がないことによる気の緩み
    2. 2.2.孤独感が引き起こすモチベーションの低下
    3. 2.3.コミュニケーション機会の減少
    4. 2.4.自己管理の難しさ
    5. 2.5.業務環境(物理・家庭・誘惑要因)の影響
  3. 3.【管理職向け】テレワークで「さぼり」の防ぎ方
    1. 3.1.明確な目標設定と進捗管理の徹底
    2. 3.2.コミュニケーション機会の確保
    3. 3.3.成果主義への移行と評価制度の見直し
  4. 4.従業員が自律的に「さぼり」を防ぐために
    1. 4.1.日々のタスク・時間をセルフマネジメントする
    2. 4.2.仕事とプライベートの境界をセルフコントロールする
    3. 4.3.自分に合った集中環境の整備
    4. 4.4.積極的に周囲とつながり、情報発信する
  5. 5.さぼりの発生を防いでテレワークを円滑に進めよう

テレワーク中に発生しやすい「さぼり」への懸念と認識ギャップ

不安テレワークでは、従業員の働きぶりが目に見えにくいため、「さぼっていないか」「本当に稼働しているのか」と不安を抱く管理職は少なくありません。

一方で、従業員側は「疑われているのでは?」という心理的負担を感じがちです。

さらに厄介なのは、「どこからが『さぼり』で、どこまでが許容される休憩や在宅特有の短期中断なのか」という線引きが人によって異なる点です。

認識がずれたまま放置すると、信頼関係の悪化生産性の評価ミス不要な監視強化に繋がりかねません。

まずは、テレワークにおける「さぼり」を整理し、管理職・従業員双方で共通理解を持つことから始めましょう。

テレワーク中の「さぼり」線引きの考え方

ここでは、業務時間中に仕事と無関係な私的行動で業務遂行が妨げられている状態を「さぼり」と呼びます。

例:業務と無関係な長時間の動画視聴・SNS閲覧、計画外の家事を長く行う、頻繁な私用外出、長時間の昼寝など

ただし、以下のような行動は必ずしも「さぼり」には該当しません(※文書化しておくと誤解を減らせます)。

  • 短時間のリフレッシュ休暇(喫煙・コーヒー・ストレッチなど)

  • 集中力維持のための計画的なミニブレイク(一定の時間の間に5分ほどの休憩を入れるポモドーロ法等)

  • 在宅勤務ならではの短い生活対応(宅配受け取り、家族からの一時的な呼びかけ等)を一定範囲で許容すると決めている場合

ポイント「時間」「頻度」「業務成果(納期・品質・応答速度)への影響」の3軸で判断することです。

これを運用ルールやガイドラインに落とし込むと、不要な疑心暗鬼を避けられます。

管理職が感じやすい不安

オフィス勤務と異なり、テレワーク中は部下の作業状況が目視できません。

そのため次のような不安が生じやすくなります。

  • 予定稼働時間どおり働いているかわからない。

  • 業務が遅延していても早期に気づけない

  • チーム内の負荷バランスが把握しづらい

  • 成果や進捗が見えないまま「さぼり」懸念が膨らむ

もし実際に業務遅延や品質低下が発生すれば「さぼっているのではないか...???」と結びつけてしまう管理職も少なくありません。

こうした不安は、過剰な監視や頻繁なステータス確認に繋がり、逆にチームの信頼やエンゲージメントを下げる恐れがあります。

後述する対策で不安を減らすことが重要です。

従業員が感じる不安

一方で、テレワークで働く従業員側も、周りからさぼっていると疑われているのではないかと不安になることがあります。

これが続くと以下の悪影響を招くことがあります。

  • 「どうせ評価されない」と感じ、モチベーション低下

  • 過剰にオンライン状態を維持しようとして、疲弊する

  • 成果ではなく"在籍アピール"に時間を割く非効率

評価指標や期待成果が不明確な場合、従業員は「監視されるより成果で見てほしい」というニーズを強めます。

心理的安全性を確保する為にも、評価基準・レスポンス期待時間・許容される中断の範囲などを事前に明文化し、コミュニケーションの透明性を高めましょう。

従業員がテレワークでさぼってしまう原因

さぼり

従業員がテレワークでさぼってしまうのには、いくつかの要因が考えられます。

対策を立てる前に、まずはテレワークで業務をさぼりがちになってしまう従業員の心理や環境について考えてみましょう。

以下では、代表的な原因を整理し、後段で対策に繋げます。

他者の目がないことによる気の緩み

オフィスでは上司や同僚の存在が"ゆるい規律"として働き、長時間の私用行為を抑える効果があります。(※社会的プレッシャー)

テレワークでは、この可視性が失われる為、自律的に行動を律する力に依存する比重が高まるのが実態です。

結果として「あとでやろう」と業務を後回しにしたり、ついSNSや動画に時間を使ったりと、小さな逸脱が積み重なりやすくなります。

短期では気づきにくくても、積算すると納期遅延や成果物品質に影響する恐れがあります。

孤独感が引き起こすモチベーションの低下

オフィスでは、周囲の人が業務に集中している様子を見て、自身も頑張ろうと意欲が上がりやすいものです。(いわゆるソーシャルファシリテーション効果)

テレワークでは、この刺激が乏しく、さらに上司や同僚からの直接的な声かけやフィードバック、達成感を共有する機会なども、減りがちです。

承認が得にくい状態が続くと、業務への意欲が低下し、集中力が途切れやすくなることがあります。

特に、業務の成果が形になりづらい職種(バックオフィス、調査・資料作成等)の場合、成果実感が遅れ、つい手を抜き、タスクを後回しにする行動に繋がりやすい点に注意が必要です。

コミュニケーション機会の減少

やり取りが減ると「いつまでに・どの粒度で・どこまでやれば良いか」が曖昧になり、従業員はタスクを後回しにしやすくなります。

上司から報告や連絡を求められないのをいいことに、「まだいいか...」と判断してしまい、結果として稼働が散在し、私用時間が紛れ込みやすい構図が生まれます。

また質問しづらい雰囲気や、レスポンス遅延が常態化しているチームでは、判断保留の待ち時間が実質的な"さぼり時間"に転化してしまうケースもあります。

自己管理の難しさ

テレワークは「いつ/どこで/どの順番で仕事を進めるか」を自分で構造化する必要があります。

自己管理力が高い人は、時間ブロック化・タスク分解・優先順位付けにより生産性を維持できますが、そうでない人にとっては負荷が大きい働き方です。

境界(仕事と私生活の切り替え)が曖昧になると、家事・私用と業務が混在し、重要タスクが先送りされるリスクが高まります

計画が立てられない/見積もれない従業員ほど「気づけば業務が遅れ、帳尻合わせで残業」「先送りの合間に私用」という負の循環に陥りやすい点に注意しましょう。

業務環境(物理・家庭・誘惑要因)の影響

リビングや寝室など、普段リラックスして過ごす場所が仕事場になることで、仕事とプライベートの区別がつきにくくなります

そのため、意識の切り替えが難しくなりやすいです。

また、家族が近くにいる、テレビやゲーム、漫画やスマートフォンなどの誘惑となるものが周囲にあるため、業務に集中することが難しいと感じる従業員も少なくありません。

例えば、子育て中の従業員は、子供が近くにいるなかで業務を進めるケースもあります。

【管理職向け】テレワークで「さぼり」の防ぎ方

マネジメントの3手法テレワーク下で生産性を落とさず「さぼり」懸念を抑えるには、見えない働きぶりを“見える化”し、目的・期待値・評価をそろえるマネジメントが不可欠です。

ここでは、管理職が実施する具体的な防止策について解説します。

明確な目標設定と進捗管理の徹底

テレワーク下では、目標が曖昧なままだと「何を」「いつまでに」「どの程度」やればよいかが不明瞭になり、業務が後回し・手抜き・基準ズレにつながります。

明確な目標設定定期的な進捗確認は、従業員の自律的な行動を促し、生産性と信頼関係の維持に有効です。

目標の具体策:

  • SMART(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)な目標を設定する事

    • 例:×「資料作成する」⇒〇「◎月◎日までに、営業会議で使用する提案資料(10ページ)を作成し、上長に共有する」
  • 完了の定義を明確にする
    • 例:提案資料の誤字脱字の確認、期日までに上司に提出

進捗確認の実装例:

  • プロジェクト管理ツールの活用

    • タスク・担当・期日・進捗状況を一覧化・可視化

目標と進捗管理は、単に「見張る」ためのものではなく、従業員の自律性を高めて、テレワークにおける不安を解消し、成果を最大化させるためのツールとなります。

コミュニケーション機会の確保

テレワークでは、意識的にコミュニケーションの機会を増やすことが非常に有効です。

上司とコミュニケーションを取る機会が少ない場合、「さぼってもバレないだろう」と考えてしまう従業員が増えるおそれがあるため、定期的な対話の場を設けることが大切です。

コミュニケーションを取る方法としては、週に一度の1on1ミーティングや、チーム全体でのオンラインミーティングを定期的に開催することなどが挙げられます。

1on1ミーティングでは、業務の進捗だけでなく、従業員のコンディションや困り事、キャリアの相談なども含め、ざっくばらんに話せる雰囲気を作ることが重要です。

また、オンラインミーティングでは、業務連絡だけでなく、雑談の時間も設けることで、オフィスにいる時のような一体感を醸成できます。

これらの機会を通じて、従業員の状況を把握し、適切にサポートすることが大切です。結果として、信頼関係が構築され、「さぼり」にくい環境を作れます。

成果主義への移行と評価制度の見直し

テレワークと相性がいいのは「成果で評価される環境」となります。

在席時間ではなくアウトプット・アウトカムに軸足を置くことで、従業員は効率と集中を意識しやすくなります。

成果主義を導入する際には、評価基準を明確にし、従業員が納得できるような透明性の高い制度設計が求められます。

透明性の高い評価は「見られていないから手を抜こう」という心理を弱め、逆に「成果で認められるなら頑張ろう」を促進します。

従業員が自律的に「さぼり」を防ぐために

防ぐ!!!

テレワークでは、管理職の働きかけだけでなく、従業員自身が自律的にセルフマネジメントを実践することが不可欠です。

仕事と私生活の境界が曖昧になりやすい在宅勤務では、自己管理の力がそのまま生産性に直結します。

ここでは、従業員自身が「さぼり」を防ぎ、集中して業務に取り組む為に有効な4つのポイントを紹介します。

管理職としては、従業員がこうした行動をとれるように、促進やサポートを意識していくことが重要です。

日々のタスク・時間をセルフマネジメントする

テレワークでは従業員自身がタスクと時間を意識高く管理することが必要です。

以下のような習慣化が効率的となります。

  • 毎朝、チームで管理している管理表から個人タスクに落とし込み、ToDoリストを作成し、優先順位と時間見積もり設定

  • タスクを達成しやすい単位で、小さく分解して設定

  • 1日1つはタスクを完了させて達成感を維持

これらをタイムラインで作成して、自分の行動を見える化することで、"さぼる"ことを減少させます。

仕事とプライベートの境界をセルフコントロールする

テレワークでは、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいという特徴があるため、以下の工夫で、オン・オフを意識的に切り替えましょう。

  • 仕事専用のスペース(椅子・机)を設け、そこ以外では仕事をしない

  • 業務開始時と終了時に着替えるなど、仕事モードに切り替えるためのルーティンを設ける

  • スマートフォンやSNSは業務時間中は手の届かない場所に置く

自分の生活リズムに合わせて、オン・オフのスイッチを作ることが気持ちの切り替えと集中力維持に繋がります。

自分に合った集中環境の整備

業務に集中できる環境を整えることも重要です。

静かで集中できる作業スペースを確保し、テレビやゲーム、漫画やスマートフォンなどの誘惑となるものを視界に入れないように工夫しましょう。

  • 静かで明るい場所を選び、音楽やホワイトノイズも活用

  • 照明や椅子の快適さに投資する

このように集中できる環境を自分で作り出すことで、業務への没入感を高めやすくなります。

さらに、これらを定期的に振り返り、自分に合うスタイルを試すことも重要です。

積極的に周囲とつながり、情報発信する

チーム内の情報共有ツールやオンラインミーティングを積極的に活用し、自身の業務状況や困りごとを発信することも大切です。

これにより、さぼっているのではないかという周囲からの疑いを払拭することにつながり、信頼を得やすいです。

例えば、ミーティングでその日の業務予定や前日の進捗を簡潔に共有したり、チャットツールで疑問点や進捗状況を積極的に発信したりすることが挙げられます。

また、自身の進捗を定期的に共有することで、適切なタイミングで助言やサポートを得られる可能性も高まるでしょう。

困り事を一人で抱え込まず、積極的に周囲に相談することで、問題解決が早まり、結果として業務の停滞を防ぐことができます。

さぼりの発生を防いでテレワークを円滑に進めよう

let's さぼり防止

テレワークにおけるさぼりは、管理職と従業員の双方にとって不安の種となる問題です。

しかし、その原因は多岐にわたり、従業員個人の問題だけではありません。さぼりは、さまざまな要因が絡み合って発生します。

これらの原因に対して、上司は対策を講じることが重要です。これにより、従業員は自身の業務に責任とやりがいを感じ、意欲的に取り組むことができるようになります。

一方で、従業員自身も、対策を講じることが大切です。そうすることで自律的に業務を進め、高い生産性を維持できます。

さぼりの防止策は、単に業務を監視するのではなく、従業員が安心して意欲的に働ける環境を整えることが本質です。

お互いの信頼関係を構築し、生産性の高いテレワーク環境を実現することにつながります。

また、さぼりの防止策の実施により、企業は柔軟な働き方を推進するとともに、従業員や会社も期待できるでしょう。

こうした"さぼり"などの労務管理難しさから、テレワークを廃止している企業様もいらっしゃいます。

ただし、一方的に廃止する際のデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧いただきながら、ご検討してみてください。

テレワーク廃止の背景とは?世界と日本の企業の現状、今後の働き方

RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムス編集部です。 本メディアは、「福利厚生倶楽部」の株式会社リロクラブが運営しています。 「福利厚生倶楽部」の契約社数は25,800社、会員数1,340万人という規模で、業界シェアNo.1を誇ります。 従業員満足を追求する人事や総務、経営者の皆様にとって少しでも有益になる情報を発信していきます。

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