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「ノー残業デー」導入のメリットと形骸化させないためのポイント

みなさんの事業所、または周りでもすっかりお馴染みとなっている「ノー残業デー」ですが、導入していない企業もまだまだあるのも事実です。

メリットは多いですが、一方で形だけのものになっていたり、残業しないために他の日に残業、なんてこともあったりします。そこでノー残業デー導入のメリットと、形骸化させないためのポイントを一緒にみていきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.ノー残業デーの概要
    1. 1.1.ノー残業デーの背景
    2. 1.2.ノー残業デーの目的
  2. 2.ノー残業デーに期待される効果
    1. 2.1.コストの削減
    2. 2.2.ワーク・ライフ・バランスの推進
  3. 3.ノー残業デーの弊害
    1. 3.1.弊害その1.そもそも時間内に仕事が終わらない
    2. 3.2.弊害その2.他の日に仕事が回ってしまう
    3. 3.3.弊害その3.予想外の事態に対処ができない
  4. 4.ノー残業デーを形骸化させない方法
    1. 4.1.定期的にアナウンス
    2. 4.2.半強制的に実行
    3. 4.3.ポスター

ノー残業デーの概要

企業ごとに「定時退社の日」や「早帰りデー」など呼び方は様々ありますが、基本的には定時で仕事を終え、その日は残業をしないということを企業が従業員に促すというものです。

ノー残業デーの背景

高度経済成長期であった1955年以降、日本は経済の発展のために多くの人が仕事に明け暮れていました。

当然残業は増え、そのぶん経済は発展していきました。その代わりに、残業するのは当たり前という残業を肯定するような考えが広まってしまったのも事実です。

日本人が働きすぎという風潮が強まっていったということです。 働き方改革やワーク・ライフ・バランスという言葉が生まれている今なお、残業に対する肯定的な考え方が残っている企業も少なくありません。

しかし元号が平成になった頃の1990年辺りから、働きすぎや過労死の問題が取り上げられ始めてきました。そして残業はその頃から少しずつではありますが、社会的な問題として捉えられるようになったのです。

参考記事;長時間労働の原因は何なのか?日本人の労働実態と問題点

ノー残業デーの目的

ノー残業デーの目的 ノー残業デーの目的は、大きく2つあります。1つは、従業員のオフの充実を図るためです。

そしてもう1つは、仕事に対する見直しを図り、業務を効率化するためです。

目的その1.従業員のオフの充実を図る

家族と一緒にご飯を食べたりどこかに出かけるといった家族サービスをしたり、英会話やスポーツジムに通うといった新しい習い事を始めたりというオフ(プライベート)を充実させることで、オン(仕事)とのメリハリがつきます。

そうすることで結果的にワーク・ライフ・バランスが改善され、オフの充実がオンの充実につながるという狙いがあります。

目的その2.仕事に対する見直しを図り、業務が効率化する

ノー残業デーのような定時に帰るというおしりの時間が決まっている日を設定することで、従業員の業務に対する時間と効率への意識向上という狙いがあります。

「どうすれば残業せずに定時に帰れるだろう」と考えるようになるため、自ずと業務の改善や効率化を行うようになるというわけです。

結果として、残業するよりも業務が進み、従業員だけでなく企業にとってもプラスに働きます。

ノー残業デーに期待される効果

ノー残業デーを導入することで期待される効果はいくつかありますが、今回は「コスト削減」と「ワーク・ライフ・バランス」について見ていきましょう。

コストの削減

企業の代表的なコストとして、人件費の問題は見過ごせないでしょう。だからといってむやみに人件費を削減することは難しいです。

そこにノー残業デーを導入することによって、人件費をカットすることができます。

目的その2でも触れましたが、定時に帰るという時間設定がされていることにより、「業務時間内に終えるにはどうすればよいか」を自然と考えるようになります。

日本人は時間内に終えるということが習慣化されていないため、いきなり時間内に仕事を終わらせることは難しいといえます。

そこにノー残業デーというルールをつくることで、半ば強制的に習慣化するように促すことによって業務時間内に仕事を終える工夫をするようになります。

それが実現することで本来ならば発生しているであろう残業が減り、人件費削減につながるという結果に結びつきます。

もちろん残業は必要な場合におこなうというのは構いませんし、企業としては残業代はある程度見込んでいるコストでもあります。

ただノー残業デーによって、少しでも従業員が残業しなくても業務に支障がないように普段から意識するだけでも、十分に費用削減が見込めます。

また物理的な費用としては、オフィスの空調費や電気代などといった費用削減にもなります。

従業員数の多い企業であれば、その効果は想像以上に大きいです。

余談ですが、総務人事の立場からすると、固定費削減は多くの企業で課題となっているものですから、これはすぐに効果に表れるという意味でも期待値が高いといえます。

ワーク・ライフ・バランスの推進

もう1つはワーク・ライフ・バランスの推進です。従業員のプライベートを尊重し、充実させることで相対的に仕事にもよい影響が生まれるということを狙っています。

また、プライベートを充実させることによって多様な価値観や経験をもつ従業員が増えるため、企業内の活性化と競争力が上がることも期待できます。

プライベートと仕事を両立できる環境が整っていれば、優秀な人材や成長が期待できる人材を逃してしまうという離職のリスクを減らし、安定した労働力の確保もできるというわけです。

参考記事;ワーク・ライフ・バランス推進のメリットや必要性を解説

ノー残業デーの弊害

ノー残業デーの弊害 ノー残業デーにはメリットが多いことがわかってきましたが、その弊害も当然ながらあります。

ここでは、ノー残業デーの弊害についてみていきましょう。

弊害その1.そもそも時間内に仕事が終わらない

弊害という以前の問題なのですが、ノー残業デーを意識したときに、「今日はノー残業デーだから早く帰れるようにするにはどうしようか?」と考える人がいる一方で、「ノー残業デーだからといって、やることがあるし急いでやらなければならない案件もあるのにそんなの意識していられない」と突っぱねてしまう人もいます。

そういう人にはむしろノー残業デーという言葉自体が仕事を終わらせられない口実に使ってしまうというケースもあるのです。

あまのじゃくとまではいかないにしても、目的その2でも触れている業務の効率化への意識がますます薄れていってしまいかねないことも懸念されます。

むしろ従業員の不満が増えるという予期せぬ事態に発展する恐れさえもあります。

弊害その2.他の日に仕事が回ってしまう

これも目的その2で触れている内容に関わっているのですが、業務を効率化しようと考えるのではなく、他の日にやろうとするケースも多いです。

特にノー残業デーをただの制度として掲げているような企業に多くみられる事例です。 業務の効率化を図る目的が従業員にまったく浸透しなければ、ただノー残業デーの時だけ早く帰ろうと、目的がすり替わってしまうということです。

それだけならまだしも、家に仕事を持ち帰るというのは最悪のケースです。これでは目的その1にもある従業員のオフの充実とはまったく正反対のことを推進してしまうことになります。

「むしろノー残業デーがない方がいいのでは?」とそもそも残業しないようにするためにはどうすればよいか、という建設的な議論に発展すればいいですが、それは望み薄だといえます。

弊害その3.予想外の事態に対処ができない

ノー残業デーの時に予定外の仕事が舞い込んでくると、担当がすでに帰っていて他の者では対応できないというケースもあります。

従業員がシフト制で休むような企業ならばそういう場合への対処法もわかっているかもしれませんが、決まった曜日で一斉に休むような企業の場合は、誰かが不在の時の予想外の事態に弱いです。

そしてそれが業務だけでなく社内の人間関係の悪化にまで発展しかねない不安要素があります。従業員だけでなく取引先や顧客とのやり取りや急ぎの案件にも対応しづらくなり、本来の業務に差し支えるという危険性も潜んでいます。

ノー残業デーを形骸化させない方法

ノー残業デーをルールとして設けたとしても、その意識が従業員に浸透していない限りはただ早く帰る日という認識、もしくは黙っていればお咎めなしと割り切られてしまうこともあります。

ノー残業デーを形骸化させないように、以下のような方法をとっていくことが重要です。

定期的にアナウンス

社内での声がけは一見地味ですが、これは呼びかけることでまずはノー残業デーを従業員に意識してもらうことからスタートするという意味では必要です。

例えば、全体朝礼があるならばそこで総務人事からアナウンスしたり、メールを従業員に一斉送信するという方法があります。そのときに、ノー残業デーの目的や狙いも同時にアナウンスできればなお良いです。可能であれば、アナウンスする人は持ち回りのほうが良いです。

それは、決まった人だけがアナウンスするよりも効果があり、かつ持ち回りすることで自然と従業員や部署に意識を芽生えさせる効果も期待できるからです。

半強制的に実行

ショック療法というわけではないですが、ただの声がけだけでは変化のない人もいるのは事実です。

そこで、半強制的にノー残業デーを実行するというわけです。 中でも効果的なのは、環境をそうさせることです。

例えば、定時になったら自動的に空調や照明の電源を落としたり、パソコンの電源をその日だけ強制シャットダウンするように設定しておくなどがあります。 また雰囲気という意味での環境づくりとしては、ある部署・役職クラスが一斉に定時に上がるというのも1つの手です。特にこれは役職が上であればあるほど効果があります。

「あの人たちが帰るんだから自分も帰らないとマズイ」と思ってもらえればこっちのものです。ただしあまり露骨にやりすぎると返って逆効果ですので、その点についてはご注意ください。

ポスター

古典的ではありますが、社内の掲示板、もしくは従業員が目にしやすい場所にポスターを貼るのも有効です。

言葉で言っても響かない人でも、ポスターのイラストや文言を見ることで意識するという人もいます。同じ場所や時間に貼ることで、従業員の意識に刷り込みをかけるということもできます。

ただしポスターだけでは効果が薄いので、合わせてアナウンスでポスターのことを伝えることで、相乗効果でよりノー残業デーを意識してもらえます。

ポスターの制作もアナウンスと同様に、持ち回りにして従業員や部署に浸透させるようにするとより効果は期待できます。

その際は順番が回ってきた人の負担が増えないようあらかじめある程度まで作って、工数を減らしてあげるという工夫も必要です。


RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムス編集部です。 本メディアは、「福利厚生倶楽部」の株式会社リロクラブが運営しています。 「福利厚生倶楽部」の契約社数は19,200社、会員数710万人という規模で、業界シェアNo.1を誇ります。 従業員満足を追求する人事や総務、経営者の皆様にとって少しでも有益になる情報を発信していきます。

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