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休職者対応のポイントと会社にできる対策とは?

休職対応は日常業務ではないので、いざ休職者が出たらどのように対処するべきか悩んでしまうかもしれません。休職対応を誤ると労使間のトラブルに発展しやすいので、担当者は手順や注意点を抑えておく必要があります。

この記事では、そもそも休職とは何か解説し、休職対応の流れやメンタル不調による休職者を出さないために会社ができる対策についてもご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.そもそも休職とはどういう状態?
    1. 1.1.「休職」と休業・休暇・欠勤の違い
    2. 1.2.休職の種類
  2. 2.休職対応の流れ
    1. 2.1.診断書を受け取る
    2. 2.2.休職の条件を確認する
    3. 2.3.定期的に休職者と連絡を取る
    4. 2.4.復職可否を判断する
  3. 3.休職者対応で気をつけるべきこと
    1. 3.1.原則翌日から休職に入らせる
    2. 3.2.就業規則による休職制度のすり合わせをする
    3. 3.3.複数の連絡先を聞いておく
    4. 3.4.連絡の際には表現に気を配る
  4. 4.休職に至らない職場環境を作ることが大切
    1. 4.1.業務量や残業が多い
    2. 4.2.業務の達成感に乏しい
    3. 4.3.コミュニケーションの不足

そもそも休職とはどういう状態?

そもそも休職とはどういう状態? 休職とは、病気やけが、またはそれ以外の理由で、勤務が困難な場合に、雇用関係を維持したまま、仕事を一定期間休むことです。

休職制度は、すべての会社に導入されているわけではありません。休職制度を採用するかどうかは、会社の判断に委ねられています。 休職制度を設けるメリットは、病気やケガを理由に退職する社員を減らして、人材の流出を防げることです。また、業務外の病気・ケガによる勤怠不良は解雇の理由になりますが、他の業務・職種への配属を検討しないまま解雇すると、不当解雇とみなされるおそれがあります。

一方、就業規則に「休職期間満了後に復職できない場合は満了日をもって自動退職とする」と規定しておくことで、トラブルに発展しにくくなるのです。

「休職」と休業・休暇・欠勤の違い

休職と似ている言葉に、「休業」、「休暇」、「欠勤」があります。これらは混同されやすいですが、実際には意味が異なります。それぞれの用語を理解して、使いわけができるようにしましょう。

「休業」は、従業員に働く意思があるにもかかわらず、会社側の事情、もしくは従業員側のやむを得ない事情によって働けなくなることです。会社側の事情には業績悪化や災害などがあり、従業員側のやむを得ない事情には産休・育休・介護などが挙げられます。

休職は従業員の個人的な理由による休みである一方、休業は会社都合や制度による休みであるという点が異なります。

「休暇」は、労働日であるものの、一定の理由によって労働義務が免除された日のことです。

有給休暇がメジャーな例ですが、就業規則によって長期休暇や結婚・出産・親族の死亡時などの特別休暇が設けられていることもあります。

「欠勤」は、従業員の自己都合で労働義務のある日に休むことです。

例えば、有給休暇をすべて消化した状態で体調不良による突発的な休みを取った場合には欠勤扱いとなります。欠勤は労働契約の不履行と判断されるため、賃金の支払義務は発生しません。

休職の種類

休職とひとくちにいっても、様々な種類があります。休職者が出た場合には、どの休職に該当するのか把握しておきましょう。ざっくりといえば、それぞれの休職は以下のような理由があるときに適用されます。

  • 私傷病休職:業務外の理由で病気・ケガをしたとき
  • 自己都合による休職:病気やケガ以外の私的な都合があるとき
  • 出向休職:従業員が在籍出向するとき
  • 起訴休職:起訴された従業員の就業で不利益が生じかねないとき
  • 組合専従休職:労働組合員が組合業務に専従するとき
  • 公職就任休職:従業員が公職について労務提供できないとき

私傷病休職

労働者の個人的な、業務外による病気・ケガを理由に休職することです。会社の方針や就業規則によりますが、労務提供をしないため、賃金の支払い義務はありません。「病気・傷病」や「事故欠勤」など、事由によって休職制度を分ける会社もあります。

自己都合による休職

病気やケガ以外の私的な都合で休職をすることです。例えば、家事・ボランティア・留学・自己啓発といった理由で休職する場合には、自己都合となります。ただし、この理由を認めるかどうかは会社によって異なります。このケースでも労務提供をしないため、賃金の支払い義務はありません。

出向休職

従業員が雇用関係を維持したまま、グループ会社・関連会社に出向することを在籍出向といいます。在籍出向の際には、出向元では休職として扱います。賃金を出向元、出向先のどちらが支払うかは、出向契約において決定します。

起訴休職

従業員が起訴されたという理由で休職を命じることです。就業規則に明記がない場合でも、休職を命じることはできますが、その期間は無休とする定めがあります。ただし、単に訴訟されただけでは休職の理由にはできません。

訴訟された従業員が引き続き労働をした場合に、対外的信頼の失墜、職場秩序の維持に対する障害、企業活動の円滑な遂行に障害が生ずるおそれがあることが条件となります。判断が難しい休職となりますので、起訴休職を検討する場合は、必ず弁護士に相談してください。

組合専従休職

労働組合員である労働者が、雇用関係を維持したまま組合業務に専従する場合(在籍専従)に適用される休職です。

在籍専従の際には労務の提供が免除されます。会社が賃金を支払うと労働組合に対する経理上の援助にあたり、「不当労働行為」に該当してしまうため、賃金の支払いは不要です。

公職就任休職

従業員が国会議員・地方議員・知事などの公職について業務に支障が生じる場合には、休職もしくは解雇の措置を取る必要があります。

近年では、公職のみならず裁判員裁判に参加する期間に対して適用する会社もあります。裁判員制度に参加する場合はできるだけ有給扱いにしてほしいというのが法務局の希望ではありますが、義務ではないため、有給扱いにするか無給扱いにするかは会社の判断に委ねられています。

休職期間中に労務提供はされないため、賃金の支払い義務はありません。

休職対応の流れ

上記のように、休職には様々な理由がありますが、そのほとんどは例外的な対応です。

会社としては、主に病気・ケガを理由とする私傷病休職を想定しているのではないでしょうか。特に、近年ではメンタルヘルスの不調による休職者が増加傾向にあることから、メンタルヘルス不調による休職の対応を把握しておきたいという人事担当者もいるかもしれません。

ここでは、主にメンタルヘルス不調による休職者を想定したうえで、休職対応の流れを解説します。

診断書を受け取る

明らかにメンタルヘルスの不調がありそうな従業員がいたとしても、会社の一存で休職を命じることはできません。休職の判断は、産業医・主治医の判断が必要です。

まずは従業員に、医師の診断書を提出してもらう必要があります。 診断書には、病名や休む期間について記載されています。休職の処理をするためにも、診断書は必須です。また、メンタルヘルスの不調を悪化させないためにも、早めの受診を促す必要があります。

休職の条件を確認する

休職が決まったら、以下の点を確認しておきましょう。

  • 休職の期間
  • 休職中の給与
  • 社会保険の徴収方法

診断書に記載されている休養期間を参考に、就業規則で認められる休職の期間を就業規則で確認しましょう。 休職中の給与については、原則として会社側に休職中の賃金支払い義務はありませんが、就業規則で支払いが定められている場合もあります。

また、休職をしても労働契約が続いていれば、従業員には社会保険料の支払い義務が発生します。しかし、休職中に無給となる場合は給与から保険料を差し引くことができないため、徴収方法を事前に話し合って決めておきましょう。

例えば、復職まで会社が立て替えたり、傷病手当金から支払ってもらったりする方法があります。

定期的に休職者と連絡を取る

休職期間に入ったら、まずはゆっくりと休んでもらう必要があります。

しかし、回復するまで放置するのではなく、月に1~2回を目安にコンタクトを取ることも大切です。社員の負担にならない頻度で、連絡を取ります。 休職中の従業員は、仕事を休むことで、より疎外感や孤独感を覚えやすくなります。

休職中にも定期的にコンタクトを取ることで、会社とのつながりや会社に支援してもらっていることを確認できるので、従業員も安心しやすく、復帰の可能性も高まるでしょう。

復職可否を判断する

休職期間を経て回復の兆しが見えてきたら、従業員が復帰できるように準備をしましょう。 復帰の判断にも、産業医・主治医の診断書が必要です。

復帰可能の診断書が出たら、産業医とともに復帰判定面談を行い、復帰してもらえるかどうかを検討します。 本人が復帰を希望した場合には、主治医・産業医との面談を通して、就業意欲の有無や体調を確認し、復帰の可否を判断します。

休職者対応で気をつけるべきこと

休職の打診を受けた際に対応を誤ると、労使間による重大なトラブルに発展する可能性があります。休職者対応をする際に、担当者が気をつけるべきポイントは、以下のとおりです。

  • 原則翌日から休職に入らせる
  • 就業規則による休職制度のすり合わせをする
  • 複数の連絡先を聞いておく
  • 連絡時の文面に気を配る

原則翌日から休職に入らせる

休職の判断は診断書がなければ下せませんが、いざ診断書を受け取ったら、速やかに対応する必要があります。

多忙や引き継ぎを理由に引き伸ばさず、提出されたら翌日からでも休職に入れるように手配しましょう。もし、診断書がすでに出ている状態で就業を引き伸ばし、メンタルヘルスが悪化した場合には、その責任を問われる可能性があります。

就業規則による休職制度のすり合わせをする

休職に入るタイミングだけではなく、休職期間終了までに復帰できなかったときの扱いについて、従業員と認識をすり合わせておきましょう。

担当者が就業規則の解釈を誤って説明したことで、休職期間終了による解雇を不当だと判断され、賠償の支払いを命じられたケースもあります。就業規則については、解釈のズレがないように、きちんと説明しましょう。

複数の連絡先を聞いておく

本人の連絡先を聞くだけでは、連絡がつかなくなる可能性もあります。

休職中の従業員に緊急の連絡をすることはまずありませんが、何らかの理由で教えてもらった連絡先が使えなくなることがあるかもしれません。

そうなると、会社側から一切のコンタクトが取れなくなってしまいます。療養先やご家族・ご友人など、複数の連絡先を聞いておきましょう。そうすることで、いきなり連絡が取れなくなってしまう心配はなくなります。

連絡の際には表現に気を配る

メールやチャットなどのテキストコミュニケーションでは、対面で表情を確認しながら話をすることができません。

そのため、気を抜くと相手に思いがけずネガティブなメッセージが伝わってしまうことがあります。特にメンタルヘルス不調の休職者と文面でやり取りをする場合には、相手にプレッシャーや不信感を与えないように配慮しましょう。

例えば、「頑張ってね!」、「早く治してね!」という前向きなメッセージは、メンタルヘルス不調が原因の休職の場合は逆効果になりやすく、本人が強いプレッシャーを感じて体調が悪化してしまうケースが少なくないからです。

担当者だけではなく、休職者を心配した先輩社員・同僚社員が自己判断でこのようなメッセージを送らないように、先手を打って案内をしておくことも大切です。 メンタルヘルス不調の休職者とコンタクトを取る場合には、以下のような一文を添えるといいでしょう。

  • 報告してくれてありがとうございます。ゆっくり休んでくださいね。
  • 相談・質問があれば、いつでもご連絡ください。
  • 無理をせず療養に専念してくださいね。

休職に至らない職場環境を作ることが大切

休職に至らない職場環境を作ることが大切 業務外に起こる不慮の事故や病気・ケガは防ぎようがないですが、業務が直接的な原因となる心身の不調で休職者が出ないように手を尽くすことはできます。

ここでは、休職者を出さないために会社が取り組める対策について解説します。 そのためには、休職者が増えてしまう会社の特長を把握し、そのような状況に陥ることを避けることが肝要です。

休職者が続出してしまう会社の特徴としては、「業務量や残業が多い」、「業務の達成感に乏しい」、「コミュニケーションの不足」などがあります。

業務量や残業が多い

常に大量の業務を抱えているとストレスを感じやすくなります。残業ができれば業務をさばけますが、長時間労働が続けば肉体も疲弊していくため、心身の不調を誘発しかねません。

まずは業務フローの改善をして全体的に業務量を減らし、効率のよい進め方をすることも大切です。

しかし、すでに心身に悪影響が及んでいる従業員がいる可能性もあります。改善を進めながら従業員の様子を確認し、苦しそうな従業員がいれば業務内容や人員配置の見直しをして、業務負担の軽減を行うといいでしょう。

また、労働時間だけではなく、年次有給休暇の取得状況も確認し、計画的な取得を推進する必要があります。年次有給休暇は労働者に認められた権利ですので、年次有給休暇消化率が良くない場合は、休暇をとりやすい労働環境づくりや計画的に休暇を取得できる仕組みづくりに努めましょう。

業務の達成感に乏しい

どれだけ業務を頑張っても達成感が得られないと、従業員はモチベーションを失っていきます。特に、同じことを繰り返すルーティンワークではその傾向が顕著です。

だからといって、業務内容をガラリと変えるわけにはいきません。 そういう場合には、評価制度の見直しをしてみましょう。明瞭な評価基準をつくることで、従業員の能力や会社への貢献度が測れます。

正しい評価によって従業員のモチベーションが高まり、現場の活性化にもつながるでしょう。

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コミュニケーションの不足

業務量が同じでも、部署内のコミュニケーションが不足していると、業務効率が落ちやすく、メンタルヘルスの不調にもつながります。

例えば、お互いに相談できない職場環境だと、メンバー全員が孤独感を抱えて仕事をすることになりますし、行き詰まった仕事も一人で抱え込んで解決しようとしがちです。結果として効率が落ちてしまい、残業が増えてしまいます。

コミュニケーションの活性化は、孤独な従業員を生まないだけではなく、いざというときに助け合いをする社風によって業績維持にもつながるという利点があります。

コミュニケーションロスを発生させないことはもちろんですが、そのうえで、常日頃から従業員のメンタルケアや管理をすることも重要です。

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