健康経営は離職率低下に効果的!具体的な施策や成功事例を紹介
人材不足の深刻化と転職希望者が増加している現代では、できるだけ優秀な人材を自社に確保しておきたいと考える企業が増えています。 経済産業省が発表したデータによると、健康経営を実施する企業は離職率が低いことが明らかになっています。
また、優秀な従業員の働きによって企業の成長を目指している企業も多いでしょう。
そのため、健康経営に積極的に取り組んでいると言われています。 なぜ健康経営で離職率を下げられるのでしょうか。健康経営による離職率低下で期待できるメリットを解説します。
目次[非表示]
- 1.健康経営とは
- 2.健康経営が推進されている背景
- 2.1.表彰する制度の創設
- 2.2.離職率低下への期待
- 2.3.健康を損なう従業員の増加
- 2.4.健康保険組合などの財政の悪化
- 2.5.SDGsへの意識の高まり
- 3.健康経営を取り入れるメリット3つ
- 3.1.離職率が低下する
- 3.2.採用活動に有利になる
- 3.3.生産性がアップする
- 4.健康経営で離職率を下げなければならない理由
- 4.1.採用コスト・教育コストが無駄になる
- 4.2.生産性があがらない
- 4.3.企業の成長が見込めない
- 4.4.企業イメージがダウンする
- 5.離職率が高くなる原因
- 5.1.長時間労働が多い
- 5.2.休暇が取りづらい
- 5.3.福利厚生が充実していない
- 5.4.人間関係がよくない
- 5.5.女性が働きにくい環境である
- 6.健康経営で離職率を下げる方法
- 6.1.従業員の健康を管理する
- 6.2.健康診断の受診率を上げる
- 6.3.ストレスチェックを行う
- 6.4.産業医・保健師を導入する
- 6.5.食生活を支援する
- 6.6.労働環境を整える
- 6.7.女性が働きやすい環境をつくる
- 6.8.従業員間のコミュニケーションを活発化させる
- 7.離職率低下のために健康経営に取り組む時の注意点
- 7.1.従業員に取り組みへの理解を促す
- 7.2.従業員の意見を取り入れる
- 7.3.中長期的な目線で取り組む
- 7.4.個人情報の取り扱いに注意する
- 8.健康経営の導入で離職率低下に成功した企業事例3選
- 9.健康経営を取り入れるための5ステップ
- 9.1.課題を明確にする
- 9.2.課題解決方法を考える
- 9.3.従業員に取り組みを伝える
- 9.4.取り組みを開始する
- 9.5.分析・評価・改善を行う
- 10.どうしても自社で難しい場合はリロクラブへ
- 11.健康経営で離職率を下げ、企業の生産性をアップしよう
健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康保持・増進を経営的な視点で考えた戦略のことです。健康経営は「企業イメージの向上」や「生産性の向上」、「医療費の適正化」につながるため、さまざまな企業が健康経営に取り組んでいます。
また、経済産業省ではよりよい健康経営を実施する企業を「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選定する制度を創設しています。これらに選定されると、健康経営を実施する企業が社会的に評価を受けられます。
参考:経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版)」
健康経営が推進されている背景
なぜ健康経営は推進され、企業が取り組んでいるのでしょうか。その背景には以下の5つが挙げられます。
表彰する制度の創設
「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」が創設されたことが健康経営が推進される背景のひとつです。これらに選定されると、ロゴマークが使用できたり、金利が優遇されたりなど企業は多くのメリットを得られます。
また、外国人の在留資格審査にて、健康経営優良法人に認定された企業に採用・採用予定の外国人は手続きが簡素化されるというメリットもあります。
さらに、公共職業安定所(ハローワーク)の求人票にも健康経営優良法人に認定されていることが記載されるため、企業イメージが高まり採用活動を有利に進めることも期待できます。 これらのメリットがあることから、健康経営が推進されているのです。
離職率低下への期待
経済産業省が「健康経営度調査」を分析したところ、健康経営度の高い企業は離職率が低い結果となりました。また、全国の企業と比較しても、健康経営に取り組む企業の方が離職率が低い傾向にあります。 キャリアチェンジをする方が多い現代で離職を防げることが、健康経営が推進される理由のひとつとなっています。
加えて、少子高齢化の影響で労働人口が減少しているため、従業員に長く健康で働いてもらうために健康経営に取り組む企業も増えています。健康経営を実施して福利厚生や職場環境を整備すれば、従業員の健康維持・増進が期待できるでしょう。長く勤めてもらい、離職率を下げるためにも、健康経営は推進されているのです。
参考:経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」
健康を損なう従業員の増加
職場環境が悪かったり長時間労働が当たり前になったりすることが原因で、心身の健康を損なう従業員が増えています。生活習慣病だけではなく、メンタル面の病気にかかってしまう方もいます。
従業員の健康状態に問題がおき、休職・離職となると他従業員の業務が増え、さらに職場環境の悪化や長時間労働が基本となるなど悪循環が生まれます。 組織の課題を解消することを目的に、健康経営が推進されているのです。
健康保険組合などの財政の悪化
厚生労働省の「医療費の動向調査」によると、2014年以降、医療費が年間40兆円を超えることが分かりました。大手企業が健康保険組合に加入すると経営赤字になる可能性が高いため、企業が負担する医療費も増加します。
医療費の増加により従業員が負担する保険料が増えたり、健康保険組合のメリットが受けられなかったりすると、従業員の影響が大きくなりモチベーションが下がるかもしれません。低いモチベーションは離職につながる可能性があるため、健康経営の実施が推進されているのです。
厚生労働省「医療費の動向調査」
SDGsへの意識の高まり
2030年までに持続可能な世界を実現するためのSDGs(持続可能な開発目標)が拡大し、SDGsへの意識が高まっていることも健康経営が推進される背景のひとつです。 目標の中には「すべての人に健康と福祉を」「経済成長と雇用」という項目があります。
「すべての人に健康と福祉を」は健康的な生活の確保と福祉の促進が目標として設定されており、「経済成長と雇用」では生産的な雇用をすることや働きがいのある人間らしい雇用を促進することが目標です。 上記の目標を達成するため、健康経営に取り組む企業が増えています。
健康経営を取り入れるメリット3つ
従業員の健康保持・増進を戦略的に行う健康経営には、3つのメリットがあります。
- 離職率が低下する
- 採用活動に有利になる
- 生産性がアップする
1つずつ解説します。
離職率が低下する
健康経営の実施で働く環境が改善されると、健康上の問題での離職者が減少します。
厚生労働省の調査によると、労働条件の悪さで離職する従業員は28.2%と比較的多いことが明らかになりました。長時間労働や休暇の少なさなど、労働条件が悪いことで心身の体調が悪くなってしまいます。 「従業員が不満を抱える環境は何か」を理解し、健康経営を推進して働く環境が改善されれば、心身の病気になる可能性が低くなり、離職率も低下するでしょう。
また、働く環境の改善で働きやすいと感じる従業員が増えれば、積極的に仕事に取り組む従業員の増加が期待できます。働きやすい職場でイキイキと仕事に取り組み、やりがいを感じれば離職率も低下します。
採用活動に有利になる
健康経営では、長時間労働や休暇数の見直しや健康増進のプロジェクト、正しい評価制度の施行などさまざまなことに取り組みます。
これらの取り組みで離職率が低下したり、健康経営の取り組みをアピールしたりすれば、社外からの評価も獲得できます。 企業イメージの向上につながり、自社を志望する求職者の増加が期待できるでしょう。志望者が多ければ優秀な人材を採用できる確率もアップします。採用活動に有利になるのは、健康経営の大きなメリットだと言えます。
生産性がアップする
従業員の健康状態は生産性に大きな影響を及ぼします。心身の健康に問題があれば、集中力が低下したり欠勤が増えたりして、生産性が下がってしまいます。健康経営を推進して従業員の健康状態が維持・増進されれば、高いパフォーマンスが期待できるでしょう。 また、健康経営の推進で優秀な人材を採用し、よりよい環境を整えていれば働く意欲が高まり、生産性が向上するかもしれません。
健康経営で離職率を下げなければならない理由
健康経営で離職率を下げる理由は以下の4つです。
- 採用コスト・教育コストが無駄になる
- 生産性が上がらない
- 企業の成長が見込めない
- 企業イメージがダウンする
詳しく解説します。
採用コスト・教育コストが無駄になる
離職率が高いと採用・教育コストが無駄になります。就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、1人あたりの平均採用コストは新卒採用で93.6万円、中途採用で103.3万円となっています。また、採用後の研修や現場での教育にもコストがかかります。
健康経営で離職率を下げれば、コストが無駄になることが少なくなります。コストだけではなく、時間や労力も無駄にならないよう、健康経営で離職率を下げる必要があるのです。
参考:就職みらい研究所「就職白書2020」
生産性があがらない
健康経営を行わず労働環境が悪いままだと、従業員が積極的に仕事に取り組むことが難しいです。モチベーションやコンディションが悪いと、業務がスムーズに進まないでしょう。
また、人材が辞めるとチームを率いるリーダーが生まれず、いつまでも生産性があがりません。生産性をアップして企業を成長させるためにも、離職率を上げることが大切となります。
企業の成長が見込めない
離職率が高いと、十分な教育ができないため優秀な人材が育ちません。また、優秀な人材が働いているとしても、離職してしまえば優秀な人材が流出することとなります。
組織で活躍する人材が少ない状態では、企業の成長は期待できません。優秀な人材を確保し、企業を成長させるためにも離職率のダウンが必要になります。
企業イメージがダウンする
離職率が高いと企業イメージが下がり、採用活動で不利になります。求職者は企業の離職率を調べられます。
もし離職率が高いと、「労働環境が悪いのか」など不信感を持ち、志望する求職者が減少してしまうでしょう。 離職率データを公表していない場合も、イメージは下がります。
「公表していないということは離職率が高いのではないか」とマイナスのイメージを持たれてしまいます。 健康経営で離職率を下げられれば、企業イメージも高められます。
離職率が高くなる原因
離職率が高くなるのは主に5つの原因があります。
- 長時間労働が多い
- 休暇が取りづらい
- 福利厚生が充実していない
- 人間関係がよくない
- 女性が働きにくい環境である
具体的な原因を解説します。次章では離職率を下げる方法も解説するため、併せてチェックしてください。
長時間労働が多い
長時間労働が多い企業は離職率が高くなる傾向にあります。長い時間働くと心身の健康に悪い影響を与えます。ワークライフバランスを取ることもできずストレスとなってしまうでしょう。心身に負担がかかることで、離職してしまうのです。
休暇が取りづらい
有給休暇や特別休暇などが取りづらい企業も離職率が高い傾向です。休暇を取りたくても取れない雰囲気があったり、取得理由を聞かれたりすると、どうしても休暇を取りづらくなります。 休暇が取れないと心身の休息ができないことに加え、プライベートの時間を楽しめず仕事へのモチベーションが下がることもあります。
福利厚生が充実していない
福利厚生が充実していない・活用できていない企業も離職率が高いと言えます。通勤手当や住宅手当など一般的な福利厚生を整備していても、従業員は福利厚生が充実している企業に魅力を感じ、転職する可能性があります。
人間関係がよくない
人間関係が悪く働きづらい環境だと、従業員は強いストレスを感じます。チーム内でコミュニケーションを取れなかったり、理不尽に怒られたり、ハラスメントを受けていたりするとストレスを感じ、離職につながることは事実といえるでしょう。
女性が働きにくい環境である
女性が働きにくい環境であることも離職率が高い原因のひとつです。Biz Hitsのアンケート調査によると、女性が働きやすいと感じる職場は「プライベートと両立しやすい」「職場の環境や整備が整っている」だと明らかになっています。 そのため、女性のライフステージの変化によって必要となる休暇や、子育てを支援する制度がなければ女性は働きづらいと感じ、離職する可能性が高くなります。
株式会社ビズヒッツ「女性が働きやすい職場の特徴ランキング10選!探し方のコツも紹介【女性500人アンケート調査】」
健康経営で離職率を下げる方法
長時間労働や充実しない福利厚生が原因で離職率が高いと、さまざまなデメリットがあることが分かりました。健康経営でどのように離職率を下げればいいのでしょうか。
- 従業員の健康を管理する
- 健康診断の受診率を上げる
- ストレスチェックを行う
- 産業医・保健師を導入する
- 食生活を支援する
- 労働環境を整える
- 女性が働きやすい環境をつくる
- 従業員間のコミュニケーションを活発化させる
離職率を下げる8つの方法を解説します。
従業員の健康を管理する
離職率を下げるために行う健康経営の具体例として、従業員の健康管理があげられます。例えば、健康管理アプリを導入すると企業は従業員の健康状態を可視化できます。健康管理では体重や運動量、睡眠時間などが管理可能です。従業員も健康意識が高まるでしょう。
また、健康管理について学べるセミナーなどを開催すれば、従業員が日頃から健康への意識を高められ、健康増進につながります。
さらに、特別休暇や保養所、部活動の実施など福利厚生を充実させても、ワークライフバランスを整えられ、従業員の健康増進につながります。
このように、健康アプリの導入、セミナーの実施、福利厚生の充実など、制度を整える健康経営を実施すれば、従業員は「従業員の健康を考えてくれている」と感じたり健康状態がよくなったりします。結果として離職率ダウンも期待できるでしょう。
健康診断の受診率を上げる
健康診断の受診率を上げることも、離職率を下げる方法です。企業が従業員の健康状態を把握できると、健康経営のさまざまな施策が考えられます。受診率100%を目指し、業務時間内に受診させると良いでしょう。
また、要精密検査・要治療などの診断があった従業員には、必ず再診を促します。健康管理アプリで再診のアラートを出したり、再診時には特別休暇が取れたりすると、再診率もアップするでしょう。 健康診断の受診率や再診率が上がり、従業員が健康維持・増進できれば身体の状態を原因とした離職が減少するでしょう。
ストレスチェックを行う
身体の健康だけでなく、メンタル面のケアも離職率を下げるために重要です。人間関係などさまざまな理由でストレスを感じ、メンタル面の健康状態が悪くなると離職する可能性が高まります。 しかし、メンタルの不調を事前に把握できれば、離職を防げるかもしれません。そこで実施したいのがストレスチェックの実施です。
ストレスチェックの実施は企業の義務です。必ずストレスチェックを行い、従業員のメンタルの健康を把握しましょう。また、不調のある従業員がいれば、ケアすることが大切です。 50人未満の中小企業ではストレスチェックが義務付けられていませんが、従業員の健康のために行うようにします。ストレス状態を把握し、職場環境を整えれば離職率を下げられるでしょう。
産業医・保健師を導入する
産業医・保健師の導入も、離職率を下げるための施策のひとつです。健康診断やストレスチェックで問題のあった従業員を対象に、健康状態のアドバイスや指導をしてもらえます。企業に対しても健康増進のためのアドバイスがもらえます。
産業医・保健師を導入していれば、従業員が不調や不安を感じた場合にすぐに相談できます。また、休職や復職の相談も可能です。企業と従業員の中立的な立場で相談にのってアドバイスしてくれるため、従業員の健康維持・増進につながり、不調で離職する従業員の減少が期待できます。
食生活を支援する
離職率を下げるために食生活を支援することも大切な施策です。健康診断で問題のある方に多い生活習慣病を防いだり改善したりするため、適切な食生活を促すことで健康状態をより良くすることができます。
例えば、健康を意識した社内食堂・弁当の導入があります。毎日の昼食が健康的なものになれば生活習慣病を防ぎ、身体の不調が原因で離職する方が減少するでしょう。
労働環境を整える
十分な休息をとったりプライベートの時間を充実させたりできる労働環境であれば、離職率ダウンが期待できます。
長時間労働や休暇の少なさは心身の健康状態につながります。健康状態が悪ければ、思ったように仕事に取り組めなかったり、モチベーションが下がったりする可能性が高いです。 ワークライフバランスを実現できれば、健康状態がよくなりモチベーション高く積極的に業務に取り組めます。
女性が働きやすい環境をつくる
女性が働きやすい環境をつくることも、健康経営で離職率を下げる施策のひとつです。女性はライフステージの変化や女性に多い病気によって、休暇や休職が必要になる可能性があります。しかし、復職できる環境がなければ離職率が高まってしまいます。
また、女性に多い病気を防ぐために健診を受診させたり、妊娠中の従業員に検診時間を確保させたりすれば、女性は働きやすい職場だと感じやすいでしょう。 女性が働きやすい環境であれば、長く勤めてもらえ離職率ダウンが期待できます。
従業員間のコミュニケーションを活発化させる
従業員同士のコミュニケーションを活発化させれば、離職率を下げられるかもしれません。十分なコミュニケーションが取れていなければ、不安があった時に相談できなかったり業務がスムーズに進まなかったりします。これらは心の健康状態に影響を与えてしまいます。 従業員間のコミュニケーションを活発化させれば、従業員がポジティブな気持ちで仕事に励めるでしょう。
離職率低下のために健康経営に取り組む時の注意点
離職率を下げるために健康経営に取り組む場合、4つのポイントに注意しなければなりません。
- 従業員に取り組みへの理解を促す
- 従業員の意見を取り入れる
- 中長期的な目線で取り組む
- 個人情報の取り扱いに注意する
1つずつ解説します。
従業員に取り組みへの理解を促す
健康経営をはじめても従業員の理解がなければ、十分な効果が生まれません。
「なぜ健康経営に取り組むのか」「健康経営の実施でどのような課題を解決したいのか」「どのような企業を目指すのか」などを伝えれば、健康経営のさまざまな施策実施を理解してもらえます。 チャットやメール、ポスターの掲示で周知させたり、部署のリーダーに健康経営のビジョンを伝えてもらったりして、取り組みへの理解を促しましょう。
従業員の意見を取り入れる
従業員に取り組みを理解してもらえても、従業員が納得できない施策であれば健康経営の効果は期待できません。
従業員が健康を意識したりモチベーション高く取り組める施策はどのようなものか、意見を聞き取り入れるようにしましょう。健康経営を開始した後も、定期的に従業員の意見を聞くことが大切です。不満や要望が明らかになれば、よりよい健康経営が実施できます。
中長期的な目線で取り組む
健康経営はすぐに結果が出るものではありません。中長期的に実施してPDCAを回すことで、ようやく効果が見えてきます。効果を実感できなくても、中長期的な目線で取り組めば効果を出せるでしょう。
個人情報の取り扱いに注意する
健康経営を実施する企業には、従業員一人ひとりの個人情報やデータを管理する義務があります。健康状態は他の従業員に知られたくないものです。個人情報が漏洩しないよう、徹底した管理が必要です。
健康経営の導入で離職率低下に成功した企業事例3選
本記事では健康経営の導入で離職率低下に成功した企業事例を3つ紹介します。
ナガオ株式会社
ナガオ株式会社は化学工業や薬品などの事業を展開する企業です。同社は長年ワークライフバランスを意識しており、従業員とその家族の心身の健康を支援してきました。さらに健康経営の取り組みを増やしたり、健康経営の考え方を浸透させたいと考えたりして、以下の取り組みを実施しました。
- 食生活のアドバイスをするシステムの導入
- マラソン同好会の発足
- ソフトボール活動の実施
食生活を支援するシステムは、9割以上の従業員が2ヶ月に1度活用し、生活習慣予防への意識が変化しているそうです。また、スポーツへの取り組みで運動機会を増進するだけでなく、家族も参加できるイベントを企画しているとのことです。 これらの取り組みの結果、離職率は10年間で0.5%と低い水準を推移しています。「健康経営優良法人」の認定を受け、ワークライフバランスを取れる企業として企業イメージもアップし、志望する方も多いようです。
株式会社ハンナ
株式会社ハンナは奈良県に本社を置く運送企業です。同社の2017年の離職率は35%と比較的高い状態でした。そこで以下の取り組みを実施しました。
- 禁煙セミナーの実施
- 健康への不安に対する相談のヒアリング
- 病院の紹介
これらの取り組みを行ったことで、従業員の健康意識が高まっただけでなく、その家族の健康意識も高まったそう。家族から「たばこの本数が減った」と喜びの声が寄せられたり、健康を意識して弁当を準備してくれたりなど、健康経営の効果が出ています。 2019年1月には離職率が14%にまで低下し、定着率は90%と上昇しています。また、「健康経営優良法人」や「健康づくりの取組に対する知事表彰」、「職場まるごと健康チャレンジ」に認定・受賞されています。
SCSK株式会社
SCSK株式会社はシステム構築やプラットフォームづくりを行うIT企業です。同社はシステムを扱うため、年中無休で管理しなければなりません。そのため、10年前は長時間労働が普通でした。危機感を覚えた同社は以下のような取り組みを実施しました。
- 月間平均残業時間20時間・年次有給休暇取得日数20日間
- 健康状態の増進でインセンティブを支給
- 女性社員のキャリアアップ支援
長時間労働が当たり前であった同社では健康経営を実施した当初、「給与が減る」という不満がありました。そこでこれまで支払っていた残業代相当を賞与として支給したり、健康手当として支払ったりしました。また、女性社員が管理職・専門性のある職種で活躍できるよう、スキルアップや育成プログラムも提供しています。 同社の離職率は2021年現在2.2%を推移しています。また、9年連続「健康経営銘柄」を受賞するなど、健康経営の効果を十分に発揮していると言えるでしょう。
健康経営を取り入れるための5ステップ
健康経営を上手く取り入れるため、以下の5ステップを踏みましょう。
- 課題を明確にする
- 課題解決方法を考える
- 従業員に取り組みを伝える
- 取り組みを開始する
- 分析・評価・改善を行う
1つずつ解説します。
課題を明確にする
健康経営を始める前に行うのが、課題の明確化です。従業員の健康診断やストレスチェックの結果などから、健康課題や離職率が高い理由を明確にしましょう。
健康課題は事業所や部署によって異なることもあります。「長時間労働が慢性化していないか」「体調不良による欠勤者が増えていないか」「健康診断の受診率はどの程度か」などを分析し、自社の課題を明らかにします。
課題解決方法を考える
課題が明確になったら、課題を解決する方法を考えます。課題に対してどのような施策が効果的か考えましょう。 しかし、効果的な施策を考えるのは簡単ではありません。健康管理アプリや健康診断代行サービス、福利厚生サービスなどの導入も検討しましょう。 リロクラブでは、健康経営を推進するために多角的な目線でサポートします。
健康管理アプリだけでなく、健康診断代行サービス、ストレスチェックのサポート、メンタルヘルスケアサービス、福利厚生の導入支援などさまざまな取り組みを実施できます。自社に合ったサービスが見つかることでしょう。
従業員に取り組みを伝える
健康経営の実施が決定したら、取り組むことを従業員に伝えましょう。従業員の理解と協力を得られれば、健康経営の効果が出やすくなります。 全体会議や朝礼、チャット・メール、社内報などで従業員に周知させましょう。経営層が健康経営を宣言すれば、真剣に取り組むことをアピールできます。
取り組みを開始する
従業員に周知できれば、いよいよ健康経営のスタートです。自社に合った施策で中長期的な視線で取り組むようにしましょう。
分析・評価・改善を行う
施策は実施して終わりではありません。取り組みの分析を行わなければなりません。事前に分析する時期を決めておき、客観的に見た効果と従業員目線の意見を取り入れ、分析しましょう。その分析に基づいて評価し、改善すべき点を見つけます。 PDCAを繰り返し効果を検証すれば、「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」に取得にもつながります。
どうしても自社で難しい場合はリロクラブへ
自社で健康経営を実施し効果検証することが難しければ、リロクラブへ相談してください。リロクラブでは以下のようなサービスを受けられます。
- 健康課題を可視化しサポートするアプリ
- 受診を促す健康診断代行サービス
- ストレスチェックとエンゲージメントサーベイが同時にできるサービス
- メンタルヘルス改善支援サービス
- 従業員の満足度を上げる福利厚生の導入
自社の課題に合わせたサポートを行い、健康経営を推進し離職率の低下が期待できます。 [sc name="cv-page9" ][/sc]
健康経営で離職率を下げ、企業の生産性をアップしよう
健康経営を実施する企業は離職率が低いことが明確になっているため、離職率の高さに悩む企業は健康経営の取り組みがおすすめです。 離職率を低くする効果だけでなく、企業イメージの向上で採用活動が有利になり、優秀な人材の確保も期待できます。
また、整備された環境でモチベーション高く働き、生産性もアップするでしょう。 本記事を参考に、健康経営の導入を検討してみてください。