健康経営の課題とは?具体的な打開策と課題を解消すべき理由を徹底解説!

従業員の協力を得て組織全体で取り組むべき健康経営。健康経営を実施するためには、どのような課題が企業内で生じるかを事前に確認しておくことが大切です。

課題を把握して事前に最大限予防しておかなければ、適切に成果を上げることができません。

「健康経営を実施するべきか検討しているが、どのような課題が生じるのか事前に知っておきたい」と考えている企業担当者は、ぜひ健康経営の課題を確認しておきましょう。

本記事では健康経営の課題を、具体的な打開策と課題を解消するべき理由を交えて詳しく解説します。

最後まで読めば健康経営の課題を対策して、効果的な成果をあげることが可能になるはずです。最後まで読んで健康経営を実現させましょう。

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健康経営の現状

健康経営を始める前に、日本における健康経営の実情を把握しておくことが大切です。健康経営の現状を、次のポイントから紹介します。

  • 健康経営の実施率
  • 健康経営の目的
  • 健康経営の位置づけ

それぞれのポイントを確認して、健康経営の実施に備えましょう。

健康経営の実施率

日本の人事部が公表している「人事白書調査レポート2020」によると、健康経営の実施率は次のとおりでした。

【健康経営への取り組み】 【実施率】
実施している 30.8%
あまり実施していない 36.7%
まったく実施していない 25.9%
これから実施する 6.6%

参考|日本の人事部:人事白書調査レポート2020 新しい人事課題

また、従業員が多い企業ほど健康経営に取り組んでおり、従業員が少ない中小企業ほど実施率が低い傾向があります

5,000人以上の従業員を抱える大企業に至っては、「実施している」と回答した割合が50%でした。1,000〜5,000人規模の大企業でも「実施している」と回答した企業が45.5%でした。

つまり大企業の半数は健康に対する意識が高いため健康経営を実施しており、すでに健康経営が普及しているといえます。しかし中小企業ではなかなかリソースが割けずに実施が進んでいないため、健康経営実施の格差も問題に上がっているのが現状です。

健康経営の目的

健康経営を実施する目的を明確にしておかなければ、どのような施策を実行するべきか計画ができません。

日本の人事部が公表している「人事白書調査レポート2020」によると、健康経営を実施している企業の目的は次のとおりでした。

【健康経営の目的】 【割合】
従業員満足度の向上 81.7%
生産性の向上 58.8%
企業イメージの向上 57.3%
既存の従業員の定着 55.7%
業績の向上 45.8%
医療費などの経費削減 36.6%
新たな従業員の採用 33.6%
経営戦略の実現 31.3%
人手不足対策 22.1%
その他 1.5%

参考|日本の人事部:人事白書調査レポート2020 新しい人事課題

多くの企業が健康経営の目的を「従業員の満足度向上」だと定めていることが分かります。次に「生産性の向上」「企業イメージの向上」がランクインしており、健康経営によって企業の業績をあげることが主な目的です。

健康経営を実施する際には、どのような目的を持って行うかを社内で協議しておきましょう。

健康経営の位置づけ

健康経営を実施する際には、経営戦略においてどのような位置づけで取り組むべきかを把握しておく必要があります。

健康経営の位置づけを調査した「人事白書調査レポート2020」によると、下記の結果が判明しました。

【健康経営の位置づけ】 【割合】
経営課題 51.9%
安全衛生 22.1%
福利厚生 13.0%
企業ブランディング 11.5%
その他 1.5%

参考|日本の人事部:人事白書調査レポート2020 新しい人事課題

約半数の企業が健康経営を「経営課題」として位置づけていることが分かります。その他にも「安全衛生」や「福利厚生」として健康経営を位置づけている企業もあります。

健康経営を実施する際には、どのような位置づけで施策に取り組むべきかを明確化しておきましょう。

健康経営が求められる理由とは?

健康経営は経済産業省によって導入が推奨されている経営戦略です。「なぜ健康経営が求められているのか?」を把握しておけば、健康経営に取り組む意識を高く持てます。

健康経営が求められる主な理由は、次のとおりです。

  • 少子高齢化に伴い人材が不足しているため
  • 平均寿命が増加しているため
  • 経営上のリスクヘッジのため

それぞれの理由を確認して、健康経営を実施すべきか検討してください。

少子高齢化に伴い人材が不足しているため

健康経営が求められている理由には、少子高齢化に伴う人材不足が関係しています。

現在は少子高齢化が進み深刻な人材不足問題が課題です。採用市場では各社が優秀な人材を奪い合う状態が続き、採用難に悩む企業が増えています。

内閣府は2014年から2060年にかけて、労働力人口が約44%低下するという統計を公表しました。

【年代】 【労働力人口推移】
2014年 6,587万人
2030年 5,683万人
2060年 3,795万人

引用|内閣府:(3)人口急減・超高齢化の問題点

労働力となる人材が今後も減少していく採用市場において、自社をブランディングして企業の魅力をアピールする経営戦略は必要不可欠です。健康経営の実施でブランディングを実現できれば、人材獲得競争を勝ち抜けるようになります。

さらに従業員の健康を守り福利厚生が充実している企業であれば、既存の従業員の離職率が低くなり人材流出を防止できます。健康経営は人材獲得と人材流出の防止につながる、労働力確保のために効果的な経営戦略です。

競合他社より魅力的に見える企業イメージを定着させるために、健康経営によるイメージのクリーン化を図りましょう。

平均寿命の増加

もう1つの理由は平均寿命の増加があります。近年、医療技術の発達により平均寿命が増加しており、従業員の健康を保持・増進する健康経営が推奨されています。

厚生労働省の調査によると2023年現在の平均寿命は男性が81.05年・女性が87.09年でした。

参照|厚生労働省「主な年齢の平均余命 」

定年年齢が引き上げられている現在でも、定年後に健康で過ごす年数は10年〜20年ほどあります。このため、長く従業員を雇用する企業の務めとして従業員の心身を健康に保ち、平均寿命までの健康寿命を延ばす施策が求められています。

経営上のリスクヘッジ

経営上のリスクヘッジもまた健康経営が求められる理由です。経営上のリスクヘッジには、労災の支払いや離職に伴う採用などのさまざまなコストがあげられます。健康経営を実施すれば、労災費用や採用費用などさまざまなコストを削減して経営上のリスクヘッジが可能です。

また従業員が長時間労働やメンタルヘルスにより、過労死や裁判など社会的な問題になれば、企業にとって大きな損益となります。

従業員の健康被害が発覚し企業に損害が生じる前に、健康経営を実施するリスクヘッジが必要です。

健康経営の課題

企業のイメージ向上・生産性向上を目的に健康経営を実施しても、うまく成果が上がらないケースがあります。

なぜなら、健康経営の課題として次のような要因があるからです。

  • 経営層が健康経営に消極的
  • 担当者が業務過多で健康経営に注力できない
  • 従業員の健康リテラシーが高まらない
  • 離職率が高く従業員が定着しない
  • 目標や具体策が不明確で形だけの施策になっている
  • 労働生産性が向上しない
  • 健康経営のノウハウが不足している

それぞれの課題について解説するため、健康経営を始める前に確認しておきましょう。

経営層が健康経営に消極的

経営層が健康経営に消極的な場合、施策が失敗しやすいです。健康経営は全社で行う必要があり、トップである経営層が消極的な姿勢ではうまく効果を発揮できません。

従業員も健康経営に本格的な取り組みを行おうとは思わないのです。そのため形だけの健康経営となり、組織に周知されず失敗してしまいます。

健康経営を実施する際には、経営層の協力を得ることが必要不可欠です。

担当者が業務過多で健康経営に注力できない

健康経営の課題として、担当者の業務量が多すぎて健康経営に注力できないケースがあります。

健康経営の担当者は、人事部や総務部などの従業員に健康教育・指導をする立場の人材が適任ですが、従来の業務に加えて健康経営の業務を担うにはタスクが多すぎます。

担当者のリソースが空いていない限り、十分な施策を実行できず中途半端な健康経営戦略になってしまうでしょう。

普段の業務量が多く仕事に追われている組織では、新たに健康経営を導入することは難しい可能性があります。

従業員の健康リテラシーが高まらない

健康経営の課題として、従業員の健康リテラシーが高まらないケースがあります。経営層や担当部署だけが健康経営に取り組んでも、組織全体の健康リテラシーが向上しなければ効果が低いです。

健康経営は従業員の心身の健康を保全・増進する施策であるため、従業員の健康に対する意識が低い限りは失敗してしまいます。

従業員の健康リテラシーが低い理由としては、日本はプライマリ・ケアが不十分だと考えられているからです。プライマリ・ケアとは「身近にあって何でも相談できるケア」を指し、日本の医師のほとんどがプライマリ医として機能していないことが健康リテラシーが低い原因です。

健康教育が十分に行き届いていないため、日本は世界的に健康リテラシーが低い傾向があります。従業員の健康リテラシーが高まらない点こそが、多くの企業が抱える健康経営の課題です。

離職率が高く従業員が定着しない

健康経営の課題は離職率が高いことです。離職率が高いと人材流出が多く、従業員が定着しません。

離職率が高い環境では新たに経営戦略を始めても従業員の入れ代わりが激しく、施策を周知するだけでも精一杯です。離職率が高い職場にこそ健康経営によって従業員が働きやすい職場へ改革するべきですが、まずは「なぜ離職するのか?」という従業員の離職理由を洗い出す必要があります。

従業員の離職理由を分析して改善できれば、従業員の定着率を向上できるでしょう。

目標や具体策が不明確で形だけの施策になっている

健康経営の課題として、目標や具体策が不明確で形だけの施策になっているケースがあります。

目標や具体策が不明確な施策では、従業員が何から取り組めばいいかわからずモチベーションが向上しません。とりあえず経営層が掲げた形だけの施策になり、健康経営は失敗してしまうでしょう。

健康経営を実現させるためには、目標や具体策を提示して従業員が取り組みやすい施策を計画する必要があります。

労働生産性が向上しない

健康経営を導入しても、労働生産性が向上しないケースがあります。従業員満足度を向上させて生産性を高めるつもりが、健康経営自体が負担になってしまえば逆効果です。

例えば、業務終了後の時間帯に健康診断を実施したり休日に健康セミナーを開催したりすると、従業員にとっては「サービス残業を強制される面倒な取り組み」として受け取られてしまいます。

結果、従業員のモチベーションが低下して余計に生産性が減少してしまう課題が生じているのです。健康経営で労働生産性を向上させるためには、従業員の理解と満足度を得る必要があります。

健康経営のノウハウが不足している

健康経営の課題として、健康経営に関するノウハウが不足しているケースがあります。健康経営のノウハウが不足していると、何から取り組めばいいのかわからず計画が疎かになりやすいです。

健康経営を実現する組織体制や健康に関する知識を有する専門家、従業員の意欲を刺激するマネジメント手法など、健康経営を成功させるために必要なノウハウは多岐にわたります。

健康経営のノウハウ不足が課題の場合は、健康経営が失敗する可能性があるため対策が必要です。

健康経営の課題を解消する打開策

多種多様な健康経営の課題が存在することを把握した後は、「どのように課題を解消するべきか?」打開策を考案するべきです。

健康経営の課題を解消する打開策として、次の方法があります。

  • 実現可能な目標を定める
  • 組織全体で健康経営に取り組む
  • 経営層が積極的に健康経営に取り組む
  • 従業員の労働時間やシフトを見直す
  • メンタルヘルスを予防する
  • 時代に合った働き方を検討する
  • 外部の専門企業に健康経営を委託する

それぞれの打開策を確認して、健康経営の課題解消に努めましょう。

実現可能な目標を定める

健康経営の課題を解消する打開策として、実現可能な目標を定めることが大切です。

目標や具体策が不明確な施策では、何から取り組むべきか、従業員が迷ってしまいます。さらに「なぜ健康経営に取り組むのか?」という具体的な理由を説明しておかないと、従業員の健康に対する理解を得られずモチベーションを向上できません。

従業員のモチベーションを向上させて健康経営に積極的な姿勢を示してもらうには、実現可能な目標が必要です。具体的かつ実現可能な目標を定めれば、何をすべきか取り組むべき行動が明確になり従業員が施策に取り組みやすいです。

また目標と一緒に健康経営の必要性を説明し、従業員のモチベーションを向上させましょう。モチベーションを高く持った状態で従業員が健康経営に取り組めば、従業員の満足度向上と生産性向上につながります。

組織全体で健康経営に取り組む

健康経営の課題を解消する打開策として、全社的に健康経営に取り組む必要があります。経営陣が積極的に施策を実行し、人事部・総務部が人材教育・経営知識の共有をすることで、健康経営を組織体制で実現できます。

従業員の中から担当者となる人材に「健康経営アドバイザー」の資格を取得させれば、社内で健康教育が可能となり組織全体の健康リテラシーを高められます。健康経営は一部の従業員や経営層だけが取り組んでも、効果を発揮しません。健康経営で成果をあげるには、健康経営推進部の設置など担当者の選定が重要になります。

組織全体で健康経営に取り組むことで、担当者の業務過多や従業員の健康リテラシーの低さなど、さまざまな課題を解消できます。

経営層が積極的に健康経営に取り組む

健康経営の課題を解消する打開策として、経営層が積極的に健康経営に取り組むことが重要です。経営層が健康経営に消極的な姿勢では、組織全体のモチベーションが向上せずに施策が失敗してしまいます。

経営層が自ら呼びかけて、従業員に健康リテラシーの必要性・健康経営の目的を周知することで、組織全体で健康経営に取り組めます。健康経営を始動させる際には、朝礼などの従業員が揃う場面で経営層が健康宣言を行いましょう。

従業員の労働時間やシフトを見直す

健康経営の課題を解消する打開策として、従業員の労働時間やシフトを見直すことが大切です。

「担当者が業務過多」「離職率が高い」「労働生産性が向上しない」など、健康経営を実施する際に生じる課題の多くが、従業員のリソースを軽減することで解消できます。

従業員の労働時間やシフトを見直し、リソースを軽減すれば心身の疲れを回復でき余裕が生まれます。ストレス過多や過労働の状態では、モチベーションが上がりにくく離職を考える機会も多いです。

まずは従業員の健康を保持・増進するために、労働時間やシフトを見直して過労働やストレス過多を防止しましょう。

メンタルヘルスを予防する

健康経営の課題を解消する打開策として、メンタルヘルスを予防する必要があります。労働環境・人間関係や将来への不安などさまざまな要素によって、職場内でメンタルヘルスに悩む従業員は多いです。

厚生労働省が公表した「令和4年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、職場内で「強い不安・悩み・ストレスがある」と回答した労働者は約82%もいることが分かりました。

【強い不安・悩み・ストレスの内容】 【割合】
仕事の量 36.3%
仕事の質 27.1%
対人関係(セクハラ・パワハラを含む) 26.2%
役割・地位の変化など(昇進・昇格・配置転換など) 16.2%
仕事の失敗・責任の発生など 35.9%
顧客・取引先からのクレームなど 21.9%
事故や災害の体験 3.6%
雇用の安定性 11.8%
会社の将来性 23.1%
その他の事柄 12.5%
強い不安・悩み・ストレスを感じていない 17.5%
強い不安・悩み・ストレスを感じている 82.2%

引用|厚生労働省「令和4年 労働安全衛生調査(実態調査)」

全体の82%もの労働者が職場内で強い不安や悩み・ストレスを抱えています。精神的に健康ではない状態だとモチベーションが低下して、離職につながる可能性が高いです。

従業員のメンタルヘルスを防止し定着率を向上させるためには、メンタルヘルスチェックや相談会を実施しましょう。

時代に合った働き方を検討する

健康経営の課題を解消する打開策として、時代に合った働き方を検討しましょう。テレワークやフレックスタイム制度や育休推進など、従業員がストレスフリーで働ける環境を整えれば従業員満足が向上します。

対人関係で悩んでいる従業員にはストレスがなく働ける環境を提供し、モチベーションの高い状態でパフォーマンスを発揮してもらいましょう。

また育休推進や特別休暇の導入など、福利厚生を充実させれば従業員のモチベーションが上がり、定着率の向上が期待できます。

健康経営を実現させるために、従業員の心身の健康を保全・増進する施策として、時代に合った働き方を検討してください。

外部の専門企業に健康経営を委託する

健康経営の課題を解消する打開策として、外部の専門企業へのアウトソーシングを検討してみるのもおすすめです。自社に健康経営のノウハウが不足している場合は、専門知識を持った外部の企業に健康経営を委託する方法があります。

専門知識を持った専門家に健康経営を委託すれば、効率的に施策を実行し効果を分析・改善できるため社内に課題が生じにくいです。また外部の企業に健康経営をアウトソーシングすることで、自社のリソースを空けて他の業務に手を回せます。

企業の生産性が向上し従業員のリソースを軽減しながら、健康経営を実現できるため専門企業へのアウトソーシングは効果的な打開策です。

健康経営の課題で悩んでいる企業は、専門企業へのアウトソーシングも検討してください。

健康経営の課題に対する取り組み事例 

実際に健康経営の課題に対して、施策を実行した企業は多くあります。次の企業事例を参考に、健康経営の課題に対する打開策を考案してください。

  • 味の素 株式会社
  • キリンホールディングス 株式会社
  • 凸版印刷 株式会社

味の素 株式会社

味の素株式会社は、新型コロナ感染症の蔓延防止策として従業員のテレワークを普及しました。

在宅時間が増加したことにより生活スタイルが変化し、BMIと血糖値の上昇・メンタルヘルスの増加が課題でした。

健康経営によって実施した具体的な施策は、次のとおりです。

  • 全従業員対象の全員面談
  • 回復及び再就職支援プログラムの導入
  • 総合健康管理システムの導入
  • 定期健康診断の実施
  • 生活習慣病予防の食事指導セミナーの実施
  • 健康アプリ内での社食連動施策
  • 社食での健康メニュー提供

テレワークであっても全従業員がメンタルヘルスケアを行う専門医・担当者と面談し、メンタルヘルスを防止するための「回復及び再就職支援プログラム」を導入しました。

さらに健康管理システムの導入や健康アプリや社食でカロリー計算・栄養管理を行い、食事指導による食事改善も実施しています。

従業員が健康に働けるよう、メンタルヘルス対策と食事管理を徹底した健康経営の好事例といえるでしょう。

参照|健康長寿産業連合会 健康経営ワーキング「2022健康経営 先進企業事例集」

キリンホールディングス 株式会社

キリンホールディングス株式会社は、酒類を製造・販売するメーカーとして「メンタルヘルス」と「お酒との付き合い方」を目的として健康経営に取り組んでいます。

キリンホールディングスの健康経営では、コロナ禍におけるメンタルヘルスの増加と適正飲酒の徹底・飲酒習慣の改善が課題でした。

実際に行った健康経営の施策として、次のようなものがあります。

  • ストレスチェックの実施
  • 飲酒習慣スクリーニングテストの実施

ストレスチェックを行うだけではなく、フィードバックシートを提供しコンサルタントによる報告会も実施しています。

さらに自身の飲酒習慣に問題がないかスクリーニングテストを実施し、従業員の適正飲酒を徹底させました。

自社のブランディングにもつながる健康経営を実現させています。

参照|健康長寿産業連合会 健康経営ワーキング「2022健康経営 先進企業事例集」

凸版印刷 株式会社

凸版印刷株式会社は定年年齢の延長や高年齢者の就業増加によって、従業員のパフォーマンスを高い状態で発揮してもらうため健康経営に取り組んでいます。

主な課題としては生活習慣病や疾病リスクを持つ従業員への重症化予防と、生活習慣の改善です。

凸版印刷が実施した健康経営の取り組みは、次のとおりです。

  • 診療所の看護師と事業所総務間で従業員の健康増進を図るための密接な連携を実施
  • アートセラピーの手法である「臨床美術」を取り入れた「オンラインアートサロン」の実施
  • 「ラジオ体操レクチャー動画」による運動不足解消
  • ウォーキングアプリの導入

凸版印刷は、健保組合と全国事業所の総務が連携して従業員に声掛けやヒアリングを実施しました。治療や診察が必要な従業員に通院を促して、心身を健康に回復させるように努めています。

また従業員の運動不足を解消するため「ラジオ体操レクチャー動画」や「ウォーキングアプリ」を導入して、生活習慣の改善を行いました。生活習慣の改善と持病の重症化予防を課題とした、健康経営の取り組み事例です。

参照|健康長寿産業連合会 健康経営ワーキング「2022健康経営 先進企業事例集」

健康経営の課題を解消して得られるメリット

健康経営の課題を解消すれば、さまざまなメリットが得られます。健康経営の課題を解消して得られるメリットは、次のとおりです。

  • 生産性が向上する
  • 離職率を低下できる
  • 企業イメージが向上する
  • コストカットにつながる

それぞれのメリットを確認して、健康経営を実現させるため課題を解消していきましょう。

生産性が向上する

健康経営の課題を解消するメリットは、生産性が向上が期待できることです。健康経営によって従業員が心身ともに健康になれば、集中力とモチベーションが向上して高いパフォーマンスを発揮できます。

従業員のモチベーションが向上すれば、生産性が向上し企業の売上向上につながります。経済産業省の「企業の健康経営ガイドブック」によると、健康経営銘柄に認定された企業はTOPIX(東証株価指数)と比べて株価が高いことが判明しました。

引用|経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課「企業の「健康経営」ガイドブック」

健康経営によって従業員に活力が満ちれば、高いパフォーマンスを発揮して生産性を向上させることもできます。

離職率を低下できる

離職率を低下できることもポイントの1つとして覚えておきましょう。健康経営を実施すると従業員がストレスフリーで働ける環境を整えられて、無理なく働けるようになります。

経済産業省が2022年に公表した「健康経営の推進について」によると、健康経営に優れた企業ほど離職率が低いことが判明しました。

【企業分類】 【離職率】
健康経営銘柄 2.5%
健康経営優良法人 4.9%
健康経営調査回答企業平均 5%
全国平均 10.7%

引用|経済産業省「健康経営の推進について」

従業員としては健康経営に積極的な姿勢で取り組む企業は働きやすく、辞めようと思う要因が少ないのです。健康経営で従業員の心身を健康に保つことができると、離職することなく長く定着してくれます。

深刻な人材不足に悩んでいる企業は、課題を解消する打開策として健康経営で離職率を低下させましょう。

企業イメージが向上する

健康経営の課題を解消するメリットとして、企業イメージが向上できることも挙げられます。健康経営を実施すれば、従業員を大切に扱うクリーンなイメージが定着し、人材獲得・人材定着の促進が可能です。

さらに取引先や顧客からクリーンなイメージを持たれて、好印象を与えられます。経済産業省が公表した「健康経営優良法人2018認定法人へのアンケート」によると、優良法人認定されてから感じた変化に「顧客や取引先に対する企業イメージの向上」が挙げられていました

【アンケート順位】 【大規模法人部門】 【中小規模法人部門】
1位 自社の健康経営の取り組みの更なる推進 従業員の健康に対する意識向上
2位 従業員の健康に対する意識向上 自社の健康経営の取り組みの更なる推進
3位 他社からの健康経営に関するヒアリング等の依頼 顧客や取引先に対する企業イメージの向上
4位 顧客や取引先に対する企業イメージの向上 講演・インタビュー・新聞露出等のPR機会の増加
5位 時間外労働の減少(労働時間の適正化) 社内コミュニケーションの活性化
6位 有給休暇取得率の向上 従業員の仕事満足度・モチベーションの向上
7位 社内コミュニケーションの活性化 有給休暇取得率の向上
8位 従業員の仕事満足度・モチベーションの向上 時間外労働の減少(労働時間の適正化)
9位 講演・インタビュー・新聞露出等のPR機会の増加 従業員の貢献意欲・帰属意識の向上

引用|経済産業省「健康経営の推進について」

健康経営を行うことで、企業イメージが向上して顧客開拓や従業員満足度の向上につながります。

健康経営に取り組む優れた企業として「健康経営優良法人」に認定されれば、よりクリーンな企業イメージが定着します。健康経営優良法人を目指して、健康経営の課題を解消しておきましょう。

コストカットにつながる

健康経営の課題を解消するメリットは、コストカットにつながることです。健康経営によって事故や人材流出が減少すれば、労災による医療費や離職に伴う新たな人材採用にかかるコストなどを削減できます。

国が健康経営を推奨している理由の1つに医療費支出の削減があり、健康経営を促進することで医療費を削減したい狙いです。

コストカットは企業にとって業績向上につながる取り組みなので、健康経営を実施して医療費や人材採用費などのコストをカットしましょう。

健康経営の課題を解消したいならリロクラブへご相談ください!

健康経営の課題を解消したい企業は、リロクラブへご相談ください。

リロクラブでは、多角的な健康支援サービスで健康経営の推進をサポートしています。

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他にも従業員の健康状態を把握するための「健康診断代行サービス」や、従業員のストレスチェックができる「Reloエンゲージメンタルサーベイ」を提供しているため、健康経営のアウトソーシングを検討している企業にもおすすめです。

リロクラブは健康経営の実現をサポートする専門企業なので、健康経営を指導させようと考えている企業はぜひご相談ください。

健康経営の課題を分析して効果的な打開策を実施しよう!

健康経営を成功させるには、課題を分析して効果的な打開策を実行する必要があります。従業員の健康リテラシーの低さや消極的な経営層、健康経営のノウハウ不足など課題はさまざまです。

健康経営の課題を解消するためには、生じる課題を分析して打開策を考案しなければなりません。まずは組織全体で健康経営に取り組むために、組織体制を整えるか健康知識を有する外部の専門企業に委託しましょう。

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