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福利厚生でインフルエンザ予防接種はできる?仕訳や実現可能な施策・企業事例をご紹介

毎年流行するインフルエンザを予防するために、予防接種を受けている人は多いです。 企業としてインフルエンザ予防接種を福利厚生で取り組めば、従業員の健康を維持・促進できます。しかし福利厚生でインフルエンザ予防接種を導入するには、いくつか注意点を理解しておかなければなりません。

本記事では、福利厚生でインフルエンザ予防接種を実施する際の注意点を解説します。インフルエンザ予防接種を福利厚生で導入している企業事例も紹介するため、従業員の健康被害を軽減したい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次[非表示]

  1. 1.福利厚生でインフルエンザ予防接種を強制できる?
    1. 1.1.インフルエンザ予防接種は任意接種だから
    2. 1.2.予防接種を受けない従業員への理解が必要だから
  2. 2.福利厚生でできるインフルエンザ予防接種への取り組み
    1. 2.1.予防接種の費用を企業で負担する
    2. 2.2.職場で事業所内接種を実施する
    3. 2.3.予防接種を受けやすい環境をつくる
    4. 2.4.従業員への健康教育を実施する
  3. 3.インフルエンザ予防接種は経費扱いになる?
    1. 3.1.業務上必要な福利厚生は経費計上できる
    2. 3.2.全従業員を対象としている福利厚生は経費計上できる
    3. 3.3.派遣社員や出向社員の契約元が経費処理をする
  4. 4.インフルエンザ予防接種を福利厚生で提供している企業事例
    1. 4.1.三和建設株式会社
    2. 4.2.ローム株式会社
    3. 4.3.NTTアドバンステクノロジ株式会社
    4. 4.4.株式会社ハンズ
  5. 5.インフルエンザ予防接種は健康経営におすすめ
  6. 6.健康経営促進のために福利厚生でインフルエンザ予防接種を実施しよう!


福利厚生でインフルエンザ予防接種を強制できる?

福利厚生でインフルエンザ予防接種を取り入れることは可能です。しかし全従業員に予防接種を強制することはできません。 従業員にインフルエンザ予防接種を強制できない理由は、次のとおりです。

  • インフルエンザ予防接種は任意接種だから
  • 予防接種を受けない従業員への理解が必要だから

インフルエンザ予防接種を福利厚生で導入するべきか悩んでいる企業は、それぞれの理由を確認しておきましょう。


インフルエンザ予防接種は任意接種だから

福利厚生でインフルエンザ予防接種を導入しても、インフルエンザの予防接種は任意接種であるため、法的な拘束力はありません。 そのため、従業員に予防接種を強制的に受けさせる行為は、ハラスメントに該当します。

「組織内の健康経営を促進するため」「従業員の健康を守るため」など、どのような理由があっても、望んでいない従業員にインフルエンザワクチンを強制的に接種させてはいけません。 あくまでインフルエンザ予防接種は、任意接種であることを理解して、従業員の意志を尊重するよう注意してください。


予防接種を受けない従業員への理解が必要だから

インフルエンザ予防接種を福利厚生として導入する際には、予防接種を受けない従業員への理解が必要です。従業員の欠勤や体調不良を防ぎたいからといって、無理やりインフルエンザ予防接種を受けさせてはいけません。

予防接種の副反応や体質・体調の問題で、予防接種を受けられない従業員も存在します。予防接種はあくまで任意での接種になるため、受けるように促す行為は禁止です。

「予防接種をしていないと他の従業員に迷惑がかかる」など圧をかける行為はハラスメントに該当します。福利厚生でインフルエンザ予防接種を導入しても、受けられない従業員や受けたくない従業員がいることを理解しておきましょう。


福利厚生でできるインフルエンザ予防接種への取り組み

予防接種を強制してはいけないことを理解した上で、福利厚生としてインフルエンザ予防接種を実施したい場合は、企業としてできる取り組みを考えましょう。 次のような施策は福利厚生として実現可能です。

  • 予防接種の費用を企業で負担する
  • 職場で事業所内接種を実施する
  • 予防接種を受けやすい環境をつくる
  • 従業員への健康教育を実施する

それぞれの施策について解説しますので、自社で導入すべき福利厚生を検討してください。


予防接種の費用を企業で負担する

福利厚生としてインフルエンザ予防接種を提供する方法としては、予防接種の費用を企業で負担する施策が挙げられます。

インフルエンザ予防接種を受けた従業員が、領収書など接種を証明できる書類を提出することによって、費用の一部や全額を企業が負担する方法があります。 他にも健康保険組合や自治体の助成制度が活用できる旨を従業員に伝えるなど、インフルエンザ予防接種の費用負担を軽減する方法はさまざまです。

また「企業の福利厚生で従業員家族にもインフルエンザ予防接種を提供できる?」と疑問に思っている方もいるでしょう。結論から言うと、福利厚生はあくまで従業員本人を対象とした制度であり、従業員の家族にまでインフルエンザ予防接種を提供する行為は推奨できません。

どうしても従業員の家族が受ける予防接種の費用を企業が負担したい場合は、給与に上乗せして費用を提供するしかありません。 ただし、福利厚生は公平性と平等性を担保しなければならないため、すべての従業員が平等に制度を活用できるよう運用方法を検討する必要があります。

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職場で事業所内接種を実施する

福利厚生でインフルエンザ予防接種を従業員に提供したい場合は、職場で事業所内接種を実施しましょう。事業所内接種を実施すれば、予防接種を受けたくても仕事が忙しくて医療機関を訪れられない従業員も、インフルエンザワクチンを接種できます。

自発的にインフルエンザ予防接種を受けない従業員にも、「職場で予防接種をするなら受けよう」と、事業所内接種を設けることで接種する機会を与えられます。 福利厚生でインフルエンザワクチンの事業所内接種を実施すれば、従業員が医療機関を予約したり訪れたりする手間を軽減して、手軽に予防接種を受けやすいです。


予防接種を受けやすい環境をつくる

福利厚生でインフルエンザ予防接種を提供する場合は、予防接種を受けやすい環境をつくることが大切です。 仕事が忙しい状態では、休みを取って予防接種を受けに行くハードルが上がります。特に入社したての新入社員や発言力が弱い従業員は、休みを取りにくい雰囲気の職場では、仕事がある日に予防接種を受けづらいです。

職場内で予防接種を受けやすい環境をつくるために、役員や管理職が率先して休みやフレックスタイム制度を利用して予防接種を受けましょう。管理職が積極的に予防接種を受けている職場であれば、従業員が予防接種を受けやすい雰囲気がつくられます。

また、予防接種を受けるための特別休暇や早退・中抜けなど、福利厚生で仕事中でもインフルエンザ予防接種を受けられる体制を整えることが大切です。


従業員への健康教育を実施する

福利厚生でインフルエンザ予防接種を導入したい企業は、従業員への健康教育も実施しましょう。 インフルエンザ予防接種を受ける必要性を理解してもらうためには、従業員が健康へ意識をしっかり持っている必要があります。

感染症や予防接種の情報を知ることで、従業員が積極的に予防接種を受ける社内風土を構築しましょう。 健康教育を実施するために外部のセミナーへ案内したり外部講師による研修会を実施したり、福利厚生で従業員の健康意識を高められます。


インフルエンザ予防接種は経費扱いになる?

インフルエンザ予防接種を福利厚生として従業員に提供する場合、「予防接種の費用は経費扱いになるのか」が気になる方もいるでしょう。 インフルエンザ予防接種を福利厚生として提供したい企業は、福利厚生で経費計上できる条件について確認しておきましょう。

業務上必要な福利厚生は経費計上できる

インフルエンザ予防接種を福利厚生として従業員に提供する場合は、業務上必要な予防接種であれば経費計上できます。 そもそも福利厚生には、業務上必要な費用を経費で計上できるという特徴があります。

例えば、海外への出張がある従業員に、企業が予防接種を提供した場合の費用は経費の対象になります。他にも病院で勤務する従業員の安全を考慮して、企業がインフルエンザ予防接種を提供した場合は、経費として計上できます。

あくまで業務上必要な福利厚生であれば経費計上できるため、業務に関係がない場所で従業員が受けた予防接種の費用は経費で計上できません。 企業が業務上必要だと判断して従業員に提供したインフルエンザ予防接種であれば、経費として計上可能です。


全従業員を対象としている福利厚生は経費計上できる

福利厚生を経費計上する際には、制度が全従業員を対象としていることが条件です。 そもそも特定の従業員しか利用できない制度は、福利厚生として認められません。

福利厚生は公平性と平等性を保つ必要があり、役職・性別・年齢に関わらずすべての従業員が利用できる必要があります。 そのため、インフルエンザ予防接種を福利厚生として提供する場合には、予防接種を希望するすべての従業員を対象とした施策でなければなりません。

あくまで「すべての従業員を対象としている」ことが福利厚生の条件なので、全従業員が予防接種を受ける必要はありません。 予防接種を受けられない従業員がいても、予防接種を受ける機会を提供していれば、全従業員を対象とした施策になるため福利厚生として認められます。


派遣社員や出向社員の契約元が経費処理をする

福利厚生でインフルエンザ予防接種を従業員に提供する際に、雇用形態や契約形態によって対象となる従業員が異なります。派遣社員や出向社員など、契約元が外部の企業である従業員の予防接種の費用は、契約元が経費処理をします。

福利厚生はあくまで自社で契約している従業員を対象とした制度なので、同じオフィスで働いていても派遣社員や出向社員は対象外です。派遣社員や出向社員の福利厚生は契約元の規定に則るため、インフルエンザ予防接種の費用を契約元の企業が経費として処理します。 インフルエンザ予防接種を福利厚生として導入する場合は、対象となる従業員の範囲を正しく理解しておきましょう。


インフルエンザ予防接種を福利厚生で提供している企業事例

インフルエンザ予防接種を福利厚生として提供する際に、「どのような施策を導入するべきか」について悩んでいませんか? 福利厚生の施策選びで悩んでいる企業は、実際にインフルエンザ予防接種を福利厚生で提供している企業の事例を参考にしましょう。 インフルエンザ予防接種を福利厚生で提供している企業事例は、次のとおりです。

  • 三和建設株式会社
  • ローム株式会社
  • NTTアドバンステクノロジ株式会社
  • 株式会社ハンズ

福利厚生を導入する際の参考にしてください。


三和建設株式会社

三和建設株式会社は、従業員負担ゼロで予防接種費用をすべて企業負担にした事例です。

三和建設株式会社は、社員からの公募提案によって2017年からインフルエンザ予防接種の費用を一部、企業が負担する福利厚生を導入しました。インフルエンザ予防接種を受ける従業員各自が病院へ行き予防接種を受け、後日企業に精算を求める仕組みです。

従業員のインフルエンザワクチン接種率を向上させるために、2019年には同社は集団予防接種を実施しました。今までは従業員が先払いで費用を会計していたところを、健康保険証の提示だけに改良して、予防接種の費用は後日企業へ請求するよう仕組みを改良しました。 従業員の自己負担額がゼロとなり、予防接種のハードルが下がってからは接種する人数が増えています。

2023年には過去最多の109名が予防接種を受けており、従業員の健康意識が高まっています。 従業員の健康を最優先に考え、インフルエンザの早期流行に対応するために、インフルエンザワクチンの費用を全額補助した福利厚生の事例です。

参照元|PR TIMES「早期対応で社員の健康を守る ~ 三和建設、今年もインフルエンザワクチンの完全補助を実施 ~」


ローム株式会社

ローム株式会社では、希望者全員にインフルエンザ予防接種を無償で提供している福利厚生制度を導入しています。

インフルエンザ予防接種を自己負担ゼロで受けられるため、全従業員の約90%が接種しています。 同社は「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に6年連続で認定されており、インフルエンザ予防接種の他にもさまざまな健康対策を実施しています。

ローム株式会社が福利厚生で実施している健康対策は、次のとおりです。

  • インフルエンザワクチンの無償提供
  • 社内診療所での風疹抗体検査
  • 定期的な乳がん検診・子宮頸がん検診
  • 健康増進イベントの開催
  • 健康に関するオンラインセミナーの実施

なお、上記はローム株式会社が取り組んでいる健康経営の施策の一部です。インフルエンザ予防接種だけでなく、さまざまな健康経営へ取り組んでおり、高い健康意識が伺えます。

参照元|ローム株式会社「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」に6年連続認定されました」


NTTアドバンステクノロジ株式会社

NTTアドバンステクノロジ株式会社は、インフルエンザ予防接種の接種率を向上させるため、出張接種を実施しています。

医療機関が各事業所に出張し、事業所内接種を行うことで勤務中であっても、インフルエンザ予防接種を受けやすい環境をつくっています。従業員が社外の医療機関で予防接種を受ける際も、勤務扱いで勤怠管理を行うため予防接種を受けやすいです。

なおNTTアドバンステクノロジ株式会社は、「健康経営宣言」を行っており、健康経営優良法人を2019年から2022年まで4年連続で獲得しています。 健康経営として取り組んでいる施策は、次のとおりです。

  • 生活習慣病の対策(定期健康診断、特定保険指導、禁煙推奨など)
  • メンタルヘルス対策(相談窓口の設置、健康相談介の実施)
  • 感染症予防対策(社内出張でのインフルエンザ予防接種の実施、勤務扱いでの予防接種の提供)

参照元|NTTアドバンステクノロジ株式会社「健康経営」


株式会社ハンズ

株式会社ハンズでは、インフルエンザ予防接種の費用を一部補助する福利厚生を実施しています。 予防接種後に副反応が起こった場合でも、年間4日までの特別有給休暇を付与しているため、従業員が無理をして働かずに休みやすい労働環境です。

また在宅勤務・サテライトオフィス勤務を推奨し、通勤時間の削減や執務場所での密回避に繋げており、感染症対策を行っています。 株式会社ハンズは、2023年の健康経営優良法人に認定されており、従業員が安心して働ける社内環境を整えている企業事例です。

参照元|株式会社ハンズ「健康経営」


インフルエンザ予防接種は健康経営におすすめ

インフルエンザ予防接種は、健康経営を実施したい企業におすすめです。健康経営優良法⼈の多くが、インフルエンザ予防接種に関する福利厚生を実施しています。

健康経営とは、従業員の健康保持・増進を重視し、健康管理を経営課題として捉えた経営手法です。 従業員の健康維持・増進を図ることで、企業の生産性向上へつなげられます。

特に優良な健康経営を実践している法人企業が「健康経営優良法人」として認定され、インフルエンザ予防接種を福利厚生として取り組んでいる企業の多くが認定されてきました。

インフルエンザ予防接種は、従業員の健康保持につながる福利厚生となるため、健康経営に必要な施策です。健康経営を行う際には、インフルエンザ予防接種を福利厚生で提供しましょう。



健康経営促進のために福利厚生でインフルエンザ予防接種を実施しよう!

福利厚生としてインフルエンザ予防接種を提供する際には、全従業員を対象とする必要があります。さらに福利厚生は公平性・平等性のある制度でなければならず、すべての従業員が利用できない制度は福利厚生として認められません。

インフルエンザ予防接種の費用補助、事業所内でのインフルエンザワクチン接種の実施など、福利厚生として取り組める施策はさまざまです。

インフルエンザ予防接種を提供したい企業は、すでに福利厚生で取り組んでいる企業事例を参考に施策を考案しましょう。 また、インフルエンザ予防接種を福利厚生で実施している企業の多くが健康経営優良法人として認定されており、健康経営に取り組みたい企業にもおすすめです。

リロクラブでは福利厚生のアウトソーシングサービスや健康経営サポートサービスを提供しています。 インフルエンザ予防接種を福利厚生として導入したい企業や、健康経営に取り組みたい企業は、お気軽にご相談ください。

RELO総務人事タイムズ編集部
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RELO総務人事タイムス編集部です。 本メディアは、「福利厚生倶楽部」の株式会社リロクラブが運営しています。 「福利厚生倶楽部」の契約社数は19,200社、会員数710万人という規模で、業界シェアNo.1を誇ります。 従業員満足を追求する人事や総務、経営者の皆様にとって少しでも有益になる情報を発信していきます。

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