【運送・物流業界必見】2024年問題とは?働き方改革での変化や対策を解説
2024年問題とは時間外労働時間に上限が設けられることで起こる問題のことで、運送・物流業界に大きな影響を与えています。2024年問題を解決するためには、働き方改革関連法を正しく理解し施策を立てる必要があります。本章では法改正によって変わることや企業が取り組むべきことを解説します。
2024年問題とは、働き方改革関連法施行によって2024年4月から時間外労働時間に上限が設けられることで起こる問題のことです。時間外労働が慢性化している運送・物流業界で労働時間が制限されることは大きなダメージを受けると考えられます。しかし、規制違反には罰則があるため、働き方改革関連法を正しく理解し、「今までと何が変わるのか」「何に取り組めばいいのか」を考えなければなりません。本記事では、働き方改革関連法改正によって変わることや企業が取り組むべきことを解説します。
目次[非表示]
- 1.2024年問題とは
- 2.働き方改革関連法改正によって変わること
- 3.1ヶ月の労働時間の目安
- 4.働き方改革関連法に違反したときの罰則
- 5.運送・物流業界の2024年問題の影響
- 5.1.売上・利益が減少する
- 5.2.ドライバーの収入の減少により人手不足が加速する
- 5.3.荷主や消費者に影響を及ぼす
- 5.4.商品調達の手段から見直さなければならないことも
- 6.厚生労働省が2024年問題対策で取り組んでいること
- 7.2024年問題対策で取り組むべき施策
- 7.1.労働環境や条件を改善する
- 7.2.働きやすい環境づくりで人材を確保する
- 7.3.適切な勤怠管理をおこなう
- 7.4.輸配送形態の切り替えをおこなう
- 7.5.荷主・消費者の理解促進の取り組みを実施する
- 7.6.ITシステムを導入する
- 8.2024年問題対策に役立つシステム9選
- 8.1.トラック予約受付システム
- 8.2.輸配送管理システム(TMS)
- 8.3.勤怠管理システム
- 9.2024年問題対策の取り組み事例
- 9.1.荷主へ配送区域の変更を依頼|川里運輸倉庫株式会社
- 9.2.渋滞が避けられる早朝の時間に配送時間を変更|株式会社モスフードサービス
- 9.3.AIの活用で積み込みや配送の効率化を図る|イオンネクストデリバリー株式会社
- 10.法改正内容を理解して2024年問題の解決に向けた取り組みを開始しよう
2024年問題とは
2024年問題とは、働き方改革関連法施行によって2024年4月から運送・物流業界、建設業界、医療業界を対象に時間外労働時間に上限が設けられることで起こる問題のことをいいます。
時間外労働時間に上限が設けられる規制は2019年4月に施行されていましたが、運送・物流業界、建設業界、医療業界には5年の猶予がありました。猶予期間が過ぎたことで時間外労働時間に上限を規制されることとなりました。
もっとも影響が大きいのは運送・物流業界です。対象となるのは主な業務が自動車の運転である労働者です。職種が「ドライバー」「運転者」でなくても対象となるため、運送・物流業界の幅広い労働者が対象になることがあげられます。
トラックドライバーの労働環境を良くすることを目的に規制されますが、運送・物流業界に大きな影響を与え、さまざまな問題が生じています。
働き方改革関連法改正によって変わること
働き方改革関連法の改正で具体的に何が変化するのでしょうか。本章では4つピックアップして解説します。
時間外労働に年960時間の上限ができる
改正で変わることの1つ目は時間外労働に年960時間の上限ができることです。これまでの「特別条項つき36協定を締結していれば残業時間に上限なし」という規定がなくなります。
ただし、他の業種で規制されている以下の内容は適用されません。
- 月100時間未満の時間外労働
- 2~6ヵ月平均の時間外労働が80時間以内
- 月の時間外労働時間45時間を超えることができるのは年6ヵ月まで
注意したいのは、36協定を結ばない場合に1日8時間、1週40時間を超えた労働をした場合は違反となることです。
また、ドライバー以外の一般労働者は年720時間が時間外労働の上限のため、覚えておきましょう。
時間外労働への割増賃金率が50%以上になる
働き方改革関連法が改正されたことで時間外労働への割増賃金率が50%以上になります。
これまでは月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は原則25%以上、大企業は50%でした。規制によって中小企業を含めた全企業の割増賃金率が高まるため、時間外労働はこれまでより人件費がかかることとなります。
例えば、時給換算1,700円の労働者の場合、どの程度賃金が変わるか考えてみましょう。時間外労働が80時間の計253時間が労働時間だとします。
これまでは「80時間×1,700円×1.25=170,000円」でしたが、法改正により「(60時間×1,700円×1.25)+(20時間×1,700円×1.5)=178,500円」へ変化します。つまり、1人あたり8,500円も賃金がアップするということです。
1人で考えると少ない金額に考えられますが、該当するドライバーが10人いれば1か月85,000円も人件費がアップします。1年間に換算すると102万円もの人件費がかかってしまいます。
このことから、時間外労働への割増賃金率が50%以上になることは運送・物流業界に大きな影響を与えることがわかるでしょう。
参考:公益社団法人 全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」
1年・1か月・1日の拘束時間に制限ができる
3つ目に改正されたのは1年・1か月・1日の拘束時間に制限ができたことです。制限の具体的な内容を見ていきましょう。
拘束時間 |
36協定締結をした場合の拘束時間 |
|
1年 |
3,300時間以内 |
3,400時間以内 |
1か月 |
284時間以内 |
310時間以内(年6カ月まで) |
1日 |
13時間以内 |
15時間以内 |
注意したいのは、12か月間284時間拘束した場合、「284 時間×12 か月= 3,408 時間」となり1年の拘束時間の制限を超えてしまうことです。また、1日の拘束時間が出勤日すべて13時間であると、「13時間×出勤日(24日間)=312時間」となり1年の拘束時間の制限を超えます。
1日の拘束時間はもちろん、1か月・1年の拘束時間の制限を超えないように正確に時間管理をしなければなりません。
休息時間・連続運転時間の基準が変わる
法改正により休息時間・連続運転時間の基準も変わります。
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を設ける制度(勤務間インターバル制度)があります。
これまでは、勤務終了後に必要な休息時間は継続8時間でした。2024年4月からは、継続11時間以上与えるように努めることを基本とし、継続9時間以上の休息時間が必須となりました。
例外となるのは、宿泊が伴う長距離貨物運送の場合、継続12 時間以上の休息時間を与える場合です。宿泊が伴う場合は週2回までであれば継続8時間以上の休息時間が認められます。ただし、休息時間が9時間未満の場合は継続12 時間以上の休息時間を与えなければなりません。
次に、連続運転時間は4時間以内であることは変わりませんが、運転を中断している時間の扱いが変わります。
これまでは荷積みや荷下ろしなどで運転を中断している時間は連続運転時間に含まれず、いわゆる「休憩時間」として扱えました。しかし、2024年4月からは「休憩」でなければ運転を中断していると認められません。4時間に1度「休憩時間」として10分以上の休憩が必要となったのです。
ただし、サービスエリアやパーキングエリアの混雑などで駐停車できない場合は、4時間半まで連続運転時間を延長できます。
1ヶ月の労働時間の目安
運送・物流業界で1日・1か月に稼働できる時間はどの程度なのでしょうか。22日間勤務すると仮定して、1日・1か月に分けて見ていきましょう。
1日 |
1か月 |
|
勤務時間 |
約8時間(7.8時間) |
172時間 |
時間外労働 |
約4時間(3.6時間) |
80時間 |
休憩時間 |
1時間 |
22時間 |
合計 |
約12時間(12.4時間) |
274時間 |
自社の所定労働時間や勤務日数によって労働時間は変化するため、目安として考えてください。
働き方改革関連法に違反したときの罰則
時間外労働規制の上限である年 960 時間を超えた場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰則が科せられます。
罰則の対象となるのは、時間外労働を指示した管理職に加え、企業、そして企業の代表です。時間外に労働した従業員は罰則の対象となりません。
年960時間の上限を超えてすぐに罰則の対象となるわけではありません。規定違反を繰り返したり、労基署の指導に従わなかったりなど行政から悪質と判断された場合に罰則が適用となるケースが多いです。
すぐに罰則を受けないからといって規定に違反するのはよくありません。違反により書類送検された場合には、厚生労働省のホームページで企業名・違反内容が公開されます。
規定の違反は企業イメージや採用力の低下が避けられません。また、賃金の未払いがないかなど労働者とトラブルになる可能性もあります。規定違反には十分に注意するようにしましょう。
運送・物流業界の2024年問題の影響
2024年問題は運送・物流業界に以下のような影響を与えます。
- 売上・利益が減少する
- ドライバーの収入の減少により人手不足が加速する
- 荷主や消費者に影響を及ぼす
- 商品調達の手段から見直さなければならないことも
- 荷主が支払う運賃が高くなる
具体的に解説します。
売上・利益が減少する
労働者の労働時間が制限されることは、売上・利益の減少につながります。
労働が制限されると対応できる業務が減少するため、積載量が減少します。また、労働時間の制限に加え、休息時間の基準も改正されることで、積載量に対して人材が足りず、引き受けられない荷物が増加します。これらの影響により、売上が減少します。
また、割増賃金率の向上で人件費が多くかかり、利益も減少するでしょう。加えて、これまでと変わらず業務を遂行したい場合は人材の確保が必要です。採用コストや教育コストもかかり、利益が減ってしまいます。
ドライバーの収入の減少により人手不足が加速する
人手不足が加速することも、運送・物流業界が受ける影響のひとつです。
労働時間に上限ができたことで、これまで支払われていた残業代がなくなります。厚生労働省の調査では、日本の賃金の平均が318万円であるのに対し、運送・物流業界の平均賃金は294万円と、ドライバーの賃金は他業界・職種より低いことが明らかになりました。
平均賃金が低いうえ、残業代が減少すると収入が低くなります。十分に収入が得られないと他の職種への転職を考える人も出てくるでしょう。また、採用活動をしても応募が集まらない可能性も避けられません。
人員流失や人手不足が加速すれば、売上・利益の減少にもつながります。企業にとって大きな影響を受ける可能性が高いです。
荷主や消費者に影響を及ぼす
労働時間の減少や稼働体制の変化により、荷主や消費者に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、労働時間が長い長距離輸送で時間外労働や休息時間が規制されることにより、荷主の希望通りの輸送が難しくなることが考えられます。希望に沿えない場合、引き受けを拒否されることもあるでしょう。
また、製品を届けることが難しいと消費者に影響を及ぼします。「地域の食材を取り寄せたい」「遠くに住む友人に荷物を届けたい」といったニーズに応えられない可能性もあります。
さらに、製造に必要な原材料や部品の輸送も困難になる可能性もあり、物流インフラに大きな打撃を与えることが避けられないでしょう。
商品調達の手段から見直さなければならないことも
ドライバーにさまざまな制限が設けられることで、荷主が必要なタイミングに商品調達ができなくなる可能性があります。
生産や提供に影響が出ると、輸送会社から取引を断られることが考えられます。そのような状況を避けるために輸送会社のニーズに柔軟に対応できる商品調達の手段を見直さなければなりません。
荷主が支払う運賃が高くなる
2024年問題の影響として、荷主が支払う運賃が高くなることもあげられます。
2024年問題で売上・利益が減少してしまう可能性が高い運送・物流会社は、運賃を増やして減少した売上・利益を担保することが考えられます。
運賃の増加によって企業やドライバーへの悪影響は減少しますが、荷主にとってはコストが増加します。
厚生労働省が2024年問題対策で取り組んでいること
厚生労働省は2024年問題対策として、都道府県労働局にトラックドライバーのための特別チームを配置しました。特別チームは荷主企業に対して労働基準監督署から運送業者に対して配慮するように要請しています。
具体的には、
- 長時間の恒常的なに待ち時間を発生させないように努めること
- 運送業務の発注担当者に改善基準告示(ドライバーの労働時間に関する基準)を周知すること
の2つです。
また、改善策や好事例の紹介など、長時間の待ち時間の解決に向けて取り組んでいます。
厚生労働省からの働きかけにより「働き方改革とは何か」「なぜ法改正がされたのか」を理解し、課題解決に向けて積極的に取り組む企業が増えれば、2024年問題の解決にもつながるでしょう。
参考:厚生労働省「改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成しました」
2024年問題対策で取り組むべき施策
2024年問題対策で取り組むべき施策は以下6つです。
- 労働環境や条件を改善する
- 働きやすい環境づくりで人材を確保する
- 適切な勤怠管理をおこなう
- 輸配送形態の切り替えをおこなう
- 荷主・消費者の理解促進の取り組みを実施する
- ITシステムを導入する
具体的にどのような取り組みをすればいいのか、順に解説します。
労働環境や条件を改善する
取り組むべき施策の1つ目は労働環境や条件の改善です。
EC市場が拡大したり即日配達のニーズが高まったりなどが要因で、運送・物流業界の需要が高まっています。しかし、運送・物流業界の人手不足は深刻化しており、ニーズに応えることが難しい状況だといえます。
人材を確保して2024年問題の影響をできる限り受けないために、労働者が働きたいと思える労働環境・条件を整備しなければなりません。
例えば、長時間労働の改善です。1日、1か月の労働時間を規定内に抑えることはもちろん、時間外労働を減らす取り組みをすることが大切です。
また、低賃金を改善するように努めたり、勤務中の休憩時間や勤務日と勤務日の間の休息時間をつくることを徹底したりすることも欠かせません。
このように労働環境や条件を改善すれば、人材流出の防止に期待できます。
働きやすい環境づくりで人材を確保する
取り組むべき施策の2つ目は働きやすい環境づくりです。
労働時間に制限ができることで以前より収入の減少が考えられることから、人材が流出してしまう可能性があります。人材の流出を防ぐことはもちろん、新しい人材を確保するためには働きやすい環境づくりが欠かせません。
例えば、時短勤務など働き方を多様化したり、女性・高齢者も働きやすいように育児休業制度の導入、手荷役の見直し、女子専用トイレやパウダールームの整備をしたりすることがあげられます。また、家賃補助など福利厚生を導入することも働きやすさにつながります。
人材の確保や定着を目指すなら、株式会社リロクラブの「福利厚生俱楽部」の導入がおすすめです。福利厚生俱楽部では従業員のニーズに応える幅広いサービスを用意しています。自社に合わせてサービスを提供できることが導入のメリットです。
また、「働きやすい職場認証制度」の利用もおすすめです。働きやすい職場認証制度とは職場環境改善に向けたトラック事業者の取り組みを見える化して新しい人材の確保を促すことを目的とした制度です。
働きやすい職場認証制度の認定を受ければ、企業イメージがあがり応募が集まりやすいでしょう。
参考l国土交通省創設 働きやすい職場認証制度 公式ホームページ
適切な勤怠管理をおこなう
3つ目に取り組むべきなのは適切な勤怠管理です。
労働時間の制限や休憩時間の確保などが規制されたことで、適切な勤怠管理をおこなわないと知らぬ間に規制に違反してしまう可能性があります。
現在デジタルタコグラフ(運行記録計)を導入していても、停車中の勤務内容を把握できていないことがあるでしょう。
そのため、勤怠管理システムを導入して適切に管理することが求められます。
輸配送形態の切り替えをおこなう
取り組むべき施策の4つ目は輸配送形態の切り替えです。
労働時間が制限されるとこれまで通りの従業員数で同じ量を輸送することは難しいです。できる限り多くの荷物を引き受けるためにおすすめなのがリレー運送です。複数人体制で荷物を運ぶことで、労働時間を制限されても効率的に進められます。
共同配送のひとつであるミルクラン方式を取り入れることもおすすめです。1台のトラックで集荷・配送できれば効率的に時間を使って輸送できます。
また、荷主はトラックだけでなく鉄道や船舶を活用すれば運送・物流会社の負担が減ることに加え、コスト削減につながります。
荷主・消費者の理解促進の取り組みを実施する
次に取り組むべきなのは荷主・消費者の理解促進の取り組みの実施です。日々の暮らしになくてはならないトラック輸送サービスの維持・強化は運送・物流業界の努力だけでは実現できません。
具体的には、自社ホームページやパンフレット、SNSなどを活用して労働時間の制限や割増賃金が上がることで配送量や運送料金に影響が出ることを発信する方法があります。
荷主に待機時間の削減のために配車・配送計画を見直してもらったり、消費者に時間指定を見直してもらったりできるよう、理解を促進する取り組みを実施しましょう。
ITシステムを導入する
ITシステムを導入することも必要です。紙やExcelなどアナログな方法で管理する業務をITシステムでデジタル化すれば、業務効率化につながります。業務効率化は2024年問題の解決に非常に有効的です。
例えば、トラック予約受付システムを導入すれば荷待ち時間の削減、輸配送管理システムを導入すれば配送状況が分かりやすくなり積載率の改善が期待できます。
このように業務効率化ができれば、対応できる業務や積載量の減少を避けられることはもちろん、生産性の向上につながります。
2024年問題対策に役立つシステム9選
2024年問題を解決するためには、業務効率化や労働時間の短縮が重要です。それらに役立つのは、「トラック予約受付システム」や「輸配送管理システム(TMS)」、「勤怠管理システム」といったITシステムです。
本章ではおすすめしたいITシステムを9つご紹介します。
トラック予約受付システム
トラック予約受付システムとは倉庫への到着時刻を事前予約できるシステムのことです。
導入すると、バースへの誘導が効率化することでトラックドライバーの待機時間が短縮できます。これにより、トラックの稼働率が上がったり、ドライバーの労働環境が改善したりなどのメリットが得られます。
では、2024年問題対策に役立つシステムを3つ見ていきましょう。
トラアポ
トラアポは待機時間の短縮と倉庫作業の環境改善・効率化を図れるシステムです。料金は1ライセンスあたり月額50,000円からです。
主に以下の機能で業務効率化を実現できます。
【トラックドライバー向け機能】
- 輸送先や到着日の予約ができる予約機能
- 倉庫到着後にQRコードで受付ができる受け付け入力機能
- 倉庫全体の作業の進捗状況や順番が確認できる受付状況照会機能
【倉庫向け機能】
- 時刻と台数を指定できる予約枠作成機能
- データを全てクラウド上に保存できる受付入力機能
- 作業の開始や完了などの状況を管理できるバース誘導機能
- 作業時間や実績データを確認できる分析機能
倉庫の処理能力に応じてトラックの台数をコントロールしたり、ドライバーが順番をリアルタイムで把握できたりすることで業務の効率化はもちろん、その後の業務の計画が立てやすくなったりするメリットがあります。
MOVO
MOVOは54万人以上が使用するトラック予約受付システムです。月額30,000円から利用できます。
MOVOには主に以下の機能がついています。
【トラックドライバー向け機能】
- タブレットなどで受付、最新状況が確認できる受付・バース表機能
- 事前に希望荷役時間を予約できるバース予約機能
【倉庫向け機能】
- 荷待ち・荷役時間のデータをグラフで確認できる作業実績・ダッシュボード機能
- 伝票を事前共有できる伝票添付機能
- 取引先や車両携帯によってバースを割り当てられるバース割当ルール機能
あらゆる運用パターンを熟知した担当者が自社に合わせた運用設計やプログラムを提供してくれることが特徴です。
トラック簿
トラック簿は初期費用0円から導入できるトラック予約受付システムです。月額30,000円から利用できます。
主な機能は以下の通りです。
【トラックドライバー向け機能】
- タブレットなどで受付できる受付機能
- 運送会社の配車担当者またはドライバーが予約できるバース予約機能
- 複数箇所の作業進捗が可視化される複数個所積み下ろし機能
【倉庫向け機能】
- 呼び出し通知が配信できるドライバー簡単呼び出し機能
- 待機時間や作業時間などを自動でグラフ化してくれる実績管理・データ分析機能
バースの混雑の解消により待機時間が短縮されます。スマホから遠隔地でも受付できることも待機時間の短縮につながります。また、ホワイト物流の自主行動宣言に記載できるため、ホワイト物流の推進に役立つでしょう。
輸配送管理システム(TMS)
TMSとも呼ばれる輸配送管理システムとは、配車・配送計画、配送の進捗管理、積付、運賃計算、請求書発行などを管理できるものです。
システム上で業務を自動化したり簡単に計画・管理しやすくなったりすると業務効率化につなげられます。また、業務の属人化を避けられるため、担当者の不在や交代の場合も同じ品質レベルのサービスを提供できます。
では、2024年問題対策に役立つシステムを3つ見ていきましょう。
Hacologi
Hacologiは荷主と運送・物流会社をクラウド上でつなぐ輸配送管理システムです。
Hacologiの特徴は運送手配ごとに現在の手配状況を一目で確認できることです。歯医者担当者以外も確認できるため、配車担当者とドライバーの無駄なやり取りが削減し業務効率化につながります。
また、荷主と運送・物流会社のやり取りをオンライン上で完結させることで「言った言わない」問題を解決できます。「口頭発注が多い」「取引先に電話やメールで連絡している」といった企業の業務効率化にもつながるでしょう。
ODIN リアルタイム配送システム
ODIN リアルタイム配送システムは中小のBtoBの配送・運送会社向けのシステムです。
ODIN リアルタイム配送システムの特徴はBtoBの配送業に特化していることです。コスト削減や利益向上、配送品質アップに役立つ定期便ルート自動作成機能や配送ルート表示機能、停滞検知機能がついています。
実際に使用した企業からは「配送時間が22%削減できた」「計画立てにかかる時間を半減できた」「配送の実態を把握できるようになった」との声が寄せられています。利益向上のために業務効率化したい中小企業にぴったりでしょう。
ブッキングブック
ブッキングブックは車両とドライバーのスケジュール管理をサポートするシステムです。
ブッキングブックの特徴はシステムを取り扱ったことがない人でも簡単に操作できることです。マウスで直感的に操作できるため、荷物の割り当てがしやすく担当者の業務効率化につながります。また、配車漏れを防ぐ機能や似た仕事をひな形登録できる機能がついていることも、業務効率化や生産性の向上につながるでしょう。
また、ドライバーごとの日報入力や適正賃金の確認もできるため、ドライバーの労働状況も簡単に管理できます。「簡単な配車システムを導入したい」「ドライバーの労働時間もしっかり管理したい」という企業にぴったりなシステムでしょう。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、出退勤の時間を管理するシステムです。
GPSでの位置情報の把握機能や、運転日報機能など運送・物流業界の勤怠管理に役立つ機能がついています。それにより、労働時間の正確な把握や不正防止、集計作業の簡略化などのメリットが得られ
ます。
では、2024年問題対策に役立つシステムを3つ見ていきましょう。
TUMIX コンプラ
TUMIX コンプラは運送・物流業界に特化した勤怠管理システムです。
TUMIX コンプラの特徴は日々の遵法運行を一目で確認できることです。毎日の運行履歴を自動分析して、休息時間などの規制を守っているかを把握できます。また、就業規則に沿った勤務簿の作成により運送業界ならではの複雑な労務管理もしやすくなります。
運行評価の結果も見える化されるため、2024年問題解決に向けた施策の運用や改善に役立ちます。運送会社が作ったシステムのため、これまでのノウハウを活かして自社に合った運用方法を提案してくれるでしょう。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は
ジョブカン勤怠管理の特徴は時間外労働の集計ができることです。1日、1週、1月、2~6月、1年の時間外労働を集計してくれるだけでなく、36協定で定められた時間を超えた場合はお知らせしてくれるため、働き方改革関連法の違反を防げます。
また、シフトは5分単位で設定できるため、日またぎなどさまざまなシフトパターンに対応できます。「時間外労働の管理が難しい」「働き方改革で多様な働き方を促進しているけど管理しにくい」といった悩みを解決してくれるでしょう。
勤怠ドライバー
勤怠ドライバーは改正改善基準告示に対応した勤怠管理システムです。
勤怠ドライバーの特徴は拘束時間や残業時間の予測が可能な機能がついていることです。月単位で予測してくれるため、ドライバーごとの時間外労働の超過を防げます。また、リアルタイムでも拘束時間や残業時間の確認が可能です。担当者からドライバーに残業しないように伝えるなどの工夫ができるでしょう。
また、さまざまな給与体系や給与項目に対応して給与計算する機能もついています。未払い賃金や最賃割れを予防できます。
2024年問題対策の取り組み事例
本章では2024年問題対策の取り組み事例を紹介します。自社で施策を立てる際の参考にしてください。
荷主へ配送区域の変更を依頼|川里運輸倉庫株式会社
スーパーに食品などの配送をおこなう川里運輸倉庫株式会社では、遠方に配送することが多く、午前3時や4時台から夕方までの勤務が日常的でした。その結果、ドライバーの残業時間が月80時間近くにのぼることもあったそうです。
そこで、荷主に対して配送区域の変更を依頼しました。本社から近い場所にしてもらえるよう協力を呼びかけたところ、残業時間が60時間減少しました。
2024年問題を解決するためには運送・物流会社が業務改善に取り組むだけでなく、荷主にも2024年問題を理解してもらい、体制の整備を依頼することが重要だといえるでしょう。
参考:NHK NEWS WEB「『2024年問題』運送業 建設業 医師の時間外労働の上限規制開始」
渋滞が避けられる早朝の時間に配送時間を変更|株式会社モスフードサービス
株式会社モスフードサービスでは、ドライバーの労働時間の短縮のために渋滞が避けられる早朝の時間帯などに前倒しする取り組みを実施しています。
これまでは午前6時ごろから午後2時ごろにかけてしていましたが、昼間は渋滞が起きるためドライバーの拘束時間が長くなります。それを解決するために配送時間を前倒ししたところ、ドライバーからは「仕事がスムーズに進みより短い時間で作業できるようになってよかった」と声が寄せられたそうです。
参考:NHK NEWS WEB「『2024年問題』運送業 建設業 医師の時間外労働の上限規制開始」
AIの活用で積み込みや配送の効率化を図る|イオンネクストデリバリー株式会社
ネットスーパー事業を展開するイオンネクストデリバリー株式会社では、労働時間削減のためにAIを活用しています。
同社の倉庫では、配送先ごとにまとめたかごの一つひとつをバーコードで管理しています。バーコードを読み込むとAIが配送ルートを決めて台車に載せる場所を指示してくれる仕組みをつくりました。また、台車を荷台のどの位置にどの方向で積み込めばよいかという載せ方も指示してくれます。
積み込む時間が短縮できることで、配送にかかる時間も削減できているようです。
参考:NHK NEWS WEB「『2024年問題』運送業 建設業 医師の時間外労働の上限規制開始」
法改正内容を理解して2024年問題の解決に向けた取り組みを開始しよう
2024年問題は運送・物流業界が解決すべき問題です。解決するためには「なぜ法改正されたのか」「解決に向けて取り組まないとどのような影響を受けるのか」を理解することが重要です。
労働環境や条件を改善してドライバーが働きやすい環境にできるよう、まずは自社の課題が何かを分析してみましょう。現状が把握できれば、どのような取り組みをすればいいのかも明確になります。
問題を一つずつ解決できるように、本記事を参考にして取り組みを開始しましょう。