従業員エンゲージメントが高い企業の共通点|成功事例と高める方法を解説
従業員エンゲージメントを高めたいと考えていても、エンゲージメントを高める方法がわからない担当者の方は多いです。本記事では、従業員エンゲージメントが高い企業事例と共通点を解説します。自社のエンゲージメントを高め生産性をアップさせるため、ぜひ参考にしてください。
従業員エンゲージメントが高い企業は従業員のモチベーションが高く、生産性が上がりやすいです。しかし、どのような取り組みで従業員エンゲージメントを高めればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、ベストモチベーションカンパニーアワードを参考に従業員エンゲージメントが高い企業事例と共通点を解説します。自社のエンゲージメントを高めるために参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.従業員エンゲージメントとは
- 2.従業員エンゲージメントの向上が必要な理由
- 2.1.人的資本経営が注目されているから
- 2.2.離職率の低下と採用力の向上のため
- 2.3.多様な働き方ができるようになったから
- 3.従業員エンゲージメントが高い企業事例12選
- 3.1.エンゲージメントスコアの高い大手企業
- 3.2.エンゲージメントスコアの高い中小企業
- 4.従業員エンゲージメントが高い企業の共通点
- 4.1.明確なビジョンやミッションが浸透している
- 4.2.社内のコミュニケーションが活性化している
- 4.3.適切な人事評価制度が整備されている
- 4.4.人材配置が適切である
- 4.5.役職者の育成をおこなっている
- 5.従業員エンゲージメントが低い原因
- 5.1.ビジョンが浸透していない
- 5.2.従業員の仕事に対するモチベーションが低い
- 5.3.円滑なコミュニケーションが取れない
- 5.4.成長する機会が少ない
- 6.従業員エンゲージメントを高める施策
- 6.1.組織ビジョンを共有する
- 6.2.社内コミュニケーションの活性化を図る
- 6.3.人事評価制度を見直す
- 6.4.キャリアアップをサポートする
- 6.5.福利厚生を充実させる
- 6.6.ワークライフバランスを実現する
- 6.7.定期的に従業員エンゲージメント調査を実施する
- 7.従業員エンゲージメントが高い企業を参考にエンゲージメント向上を目指した取り組みをスタートしよう
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは従業員と組織の双方向の強いつながりを意味する言葉で、組織への愛着心や貢献心のことを指します。
従業員エンゲージメントが高いと「組織に貢献したい」という想いが強くなり、仕事への意欲や帰属意識が高まるメリットがあります。結果として生産性・業績の向上、離職率の低下などの効果が期待できます。
従業員エンゲージメントの向上が必要な理由
従業員エンゲージメントの向上が必要な理由は以下の3つです。
- 人的資本経営が注目されているから
- 離職率の低下と採用力の向上のため
- 多様な働き方ができるようになったから
順に解説します。
人的資本経営が注目されているから
1つ目の理由は、人的資本経営が注目されているからです。
人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値向上につなげる経営のことを言います。人的資本は従業員の経験やスキル、意欲などの無形資産を指し、企業の持続的な成長が見込めるかの指標となっています。
企業が持続的に成長するためには、従業員と組織の双方向の強いつながりが欠かせません。そのため、従業員エンゲージメントの向上が必要とされているのです。
離職率の低下と採用力の向上のため
2つ目の理由は、離職率の低下と採用力を向上させるためです。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、15歳以上人口の増加に対して労働力人口が減っていることがわかりました。また、帝国データバンクの調査で5割以上の企業が人手不足を感じていることも明らかになっています。
このような状況に加え転職が当たり前になった現代では、あらゆる価値観・スキルを持つ従業員が最大のパフォーマンスを発揮できるように働きやすい環境を整備し、従業員エンゲージメントを高めることが必要です。
また、働きやすい職場づくりで離職率が低下すれば、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「早わかり グラフでみる長期労働統計」
参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」
多様な働き方ができるようになったから
3つ目の理由は、多様な働き方ができるようになったからです。
終身雇用制度の崩壊により、転職や再就職を考える方が多くなりました。また、時短勤務やリモートワークを希望する方やワークライフバランスを整えたい方も増えるなど、多様な働き方が求められています。
優秀な人材を定着させるために、あらゆる価値観に対応する施策を実施し従業員エンゲージメントを高めることが必要になっています。
従業員エンゲージメントが高い企業事例12選
本章では「ベストモチベーションカンパニーアワード」をもとに従業員エンゲージメントが高い企業事例を紹介します。
ベストモチベーションカンパニーアワードとは、株式会社リンクアンドモチベーションが提供する従業員エンゲージメント調査を実施した企業から、エンゲ―ジメントスコアの高い企業を表彰する式典のことです。
従業員エンゲージメントを高めた組織改善や取り組みについてご紹介しますので、施策の実施に向けて参考にしてみましょう。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション ベストモチベーションカンパニーアワード
エンゲージメントスコアの高い大手企業
はじめに従業員エンゲージメントが高い大手企業を6社ピックアップしてご紹介します。
マネージャー育成の強化で従業員のモチベーション向上につなげる|佐竹食品グループ
スーパーマーケットを運営する佐竹食品グループは、3年連続で1位を受賞し殿堂入りしたモチベーションカンパニーです。
同社では「新入社員の最初の上司」をファーストトレーナーと名付け、上司を育成する取り組みをおこなっています。新入社員が身につけなければならないスキルを順番にまとめたドリル形式のツールを作成し、どの店舗でも同等の研修の実施が可能になりました。また、ファーストトレーナー同士のコミュニケーションも生まれ、教える側の意欲にもつなげています。施策開始後は、新入社員のモチベーションを高いまま維持できているそうです。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「【後編】4年連続エンゲージメント日本一の会社が語る 目指すのはエンゲージメント向上ではない ブレない理念と12の組織施策」
Vision Bookの作成理念や創業の精神を従業員に浸透|アコム株式会社
ローン事業やクレジットカード事業を提供するアコム株式会社では、理念戦略の満足度は高いものの期待度が低いことが課題でした。
企業理念や創業の精神を非常に大切にする同社で理念戦略を浸透させるためにおこなったのが、「Vision Book」の作成です。企業理念や創業の精神、社名の由来や経営ビジョンなどをまとめたVision Bookを全従業員に配布しています。
併せて「この仕事は経営ビジョンにどのようにつながっているか」「ビジョンの実現に何をするべきか」を考える座談会を実施し、理念戦略の浸透や新しい価値観の発見に役立てています。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「【前編】アコム株式会社 理念・ビジョンへの共感を基盤に、管理職主体の組織改善を」
エンゲージメント委員会の設置で離職率を低下|SBCメディカルグループ
湘南美容クリニックを展開するSBCメディカルグループの課題は、従業員が増加したことで経営理念の浸透が難しくなったことでした。エンゲージメントの向上を現場に任せていたため、どのような意識を持って仕事に取り組むのかが希薄になっていたそうです。
そこで、エンゲージメント向上を強力に推進するための「エンゲージメント委員会」を設置しました。メンバーは人事部だけでなく、現場の従業員も含まれています。
さまざまな階層の声を聞きながら「スタッフ自らが考える」主体性を伸ばし、課題解決を進めた結果、2021年1月の開始後離職率を約9%低下させることに成功しています。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「SBCメディカルグループ 急拡大してもエンゲージメントが向上し続ける、現場の“自立的”改善」
現状の把握と改善を繰り返しPDSサイクルを回せるように|東京海上日動火災保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社では、無形商材を取り扱うため従業員一人ひとりの働きがいが生産性の向上や企業の持続的な成長につながると考えています。しかし、多様な価値観を持つ従業員が増えたり、リモートワークが進んだりしたことで、現場のマネジメントが困難になっていることを課題に感じていました。
そこで、階層や部署、性別などに分けてデータを分析できるエンゲージメントサーベイを導入しました。注力すべき課題が明らかになったことで、社内の雰囲気が変化しているそうです。改善を繰り返せば、PDSサイクルを回せることが期待できるでしょう。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「企業成長に直結する「エンゲージメント」向上のため、組織のPDSサイクルを回す」
従業員エンゲージメント調査の実施で職場環境を改善|丸紅株式会社
丸紅株式会社は、従業員エンゲージメント調査で平均より12.4ポイント高いスコアを出すなどエンゲージメントの向上を実現した会社です。
従業員一人ひとりの実力や特性に合わせて業務やミッションを付与することでスキルアップを促進したり、健康状態をよりよくする取り組みを実施したりするなど、個々が働きやすい職場づくりをおこなっています。
また、従業員同士だけでなく、経営層と従業員のコミュニケーションを活性化する交流会を実施していることも職場環境の改善につながっていると言えます。
従業員同士の感謝の見える化でコミュニケーションを活性化|大東建託グループ
人的資本経営をおこなう大東建託グループでは、従業員エンゲージメント調査で組織・各部署の強みや弱みを明確にし、組織改善をおこなっています。
施策として実施されたのは、従業員同士の感謝を見える化する「サンクスプレゼント活動」や、意見が言いやすく相談しやすい職場をつくるために「さん」で呼び合う「さん-シャイン運動」です。
これらの取り組みにより、エンゲージメントスコアの平均を上回る結果となりました。従業員一人ひとりが働きがいや誇りを持って仕事に取り組める組織になると期待できるでしょう。
エンゲージメントスコアの高い中小企業
本章では従業員エンゲージメントが高い中小企業を6社ピックアップしてご紹介します。
経営と現場をつなぐことで生産性を3倍に|株式会社メッセホールディングス
株式会社メッセホールディングスは、ベストモチベーションカンパニーアワードの中堅・成長ベンチャー企業部門において殿堂入りした会社です。
エンゲージメント向上の施策をおこなう前は、売上減少や退職者の増加が課題でした。課題解決のために理念戦略の見直しをおこないましたが、従業員からは「理念に込められた想いがよくわからない」と理解や共感が得られていない状況でした。
そこで経営層と従業員をつなぐために、外部の人間が客観的な立場で理念戦略を従業員に伝える施策を開始します。「社外の人も言っているんだから信じてもいいんだ」という共通認識が生まれた結果、同じ方向を向いて仕事に取り組めるようになり、生産性を3倍にできたそうです。
参考:HR NOTE「組織崩壊寸前だったメッセが「エンゲージメント日本一」になれた理由|“普通の会社”でもできた組織改革とは?」
コミュニケーションの活性化で従業員に主体性が生まれる|株式会社晃商
エンターテイメント事業やフード事業などを展開する株式会社晃商では、経営層と従業員の想いの差があることを課題に感じていました。
課題を解決すべく実施したのはコミュニケーションの活性化です。経営層が積極的にコミュニケーションを取ることに加え、全社総会で理念の共有をおこなったり、社内報で組織の想いを発信したりなどのコミュニケーションにより共感者を増やす取り組みをおこないました。
その結果、組織やチームのために主体的に働きかける従業員が増加したそうです。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「株式会社晃商 疑念が共感に変わった、8年間の理念経営の軌跡 ベストモチベーションカンパニーアワード2024(中堅・成長ベンチャー)レポート」
全社員集会やナレッジ交換会で社内コミュニケーションを活性化|株式会社ノースサンド
ビジネスコンサルティングなどをおこなう株式会社ノースサンドは、競争が激化するコンサル業界で競合他社と差別化をおこなうべく従業員エンゲージメントの向上を目指しました。従業員エンゲージメントの向上により、従業員の人間力が競争力に変わると考えていたからです。
実施した取り組みは、全社員集会です。全社員集会では「どの現場でどのような仕事をしているか」「仕事のやりがいやメンバーの魅力は何か」全従業員に共有し、働きたい仲間と現場を見つけられる仕組みづくりをおこないました。
他にもナレッジ交換会でノウハウを共有する取り組みをおこない、社内コミュニケーションの活性化に成功しました。結果として、従業員エンゲージメントの向上につながっています。
ライフイベントに合わせた多様な働き方に対応|クラスメソッド株式会社
技術コンサルティングやアプリケーション・WEBサービスの企画開発などをおこなうクラスメソッド株式会社では、ライフイベントに合わせた多様な働き方に対応しています。
例えば、育児休業取得の促進です。社長自身も育児休業を取得したり、「いつから育休取る?」と上司から伝えられるなど、組織全体でライフイベントに合わせた休暇の取得に前向きな文化を構築しています。
また、フレックスタイム制やリモートワーク制、フリーアドレス制など状況において働き方を変え、最大のパフォーマンスを発揮するサポートもおこなっています。
制度の整備やイベントの開催で経営陣と従業員間の温度差を削減|株式会社プログリット
英語学習サービス事業を展開する株式会社プログリットでは、経営陣と従業員間の温度差を削減する取り組みを実施しています。
例えば、新入社員による社長インタビューの時間があることがあげられます。同社の強みや今後の方針などを社長から説明するだけでなく、新入社員が社長の経営や考え方、プライベートのことまで質問できるカジュアルな機会が設けられているそうです。
また、他部署の部門長とキャリアや仕事の向き合い方について相談する1on1ミーティングや、活躍した社員の表彰イベントの開催、海外研修の実施などもおこなわれています。
このように組織全体のコミュニケーションが活性化されていることは、従業員エンゲージメントが高まっていると言えます。
参考:株式会社プログリット「従業員エンゲージメントの高さの秘訣は?経営陣との距離を縮める9つの取り組み」
スキルマップの活用で人材育成を強化|KECグループ
学習塾を展開するKECグループでは、組織改善により業績アップや従業員・生徒数の増加など成長を実現した一方、退職者が増加傾向であることが課題でした。
そこで取り入れたのが、入社後3年程度で習得してほしいスキルを細かくリスト化した「スキルマップ」です。従業員の進捗を全従業員が確認できるため、進捗が遅い従業員は危機感をもちスキルアップに励めたり従業員同士で高めあえたりする効果があります。
人材育成の強化は業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。
従業員エンゲージメントが高い企業の共通点
従業員エンゲージメントが高い企業の共通点は以下の5つです。
- 明確なビジョンやミッションが浸透している
- 社内のコミュニケーションが活性化している
- 適切な人事評価制度が整備されている
- 人材配置が適切である
- 役職者の育成をおこなっている
順に解説します。
明確なビジョンやミッションが浸透している
従業員エンゲージメントが高い企業の共通点は、明確なビジョンやミッションがあり、従業員に浸透していることです。
明確なビジョンやミッションが浸透していれば、従業員が同じ方向に向かって仕事に取り組めます。また、自分の業務にどのような価値・意味があるのかも明らかになり、やりがいを持って業務に取り組めるでしょう。
そのため、ビジョンやミッションの浸透により従業員エンゲージメントが高められると言えるのです。
社内のコミュニケーションが活性化している
2つ目の共通点は社内のコミュニケーションが活性化していることです。
従業員エンゲージメントが高い企業は、コミュニケーションを活性化する取り組みをおこなっていることが多いです。例えば、チャットツールの導入、上司からのフィードバック、休憩スペースの整備、フリーアドレス制の採用などがあげられます。
コミュニケーションが活性化されると、スムーズな情報共有で業務効率化につながったり、相談しやすい雰囲気になったりなどして働きやすい職場になります。従業員が働きやすいと感じれば、帰属意識が高まり従業員エンゲージメントが向上するでしょう。
適切な人事評価制度が整備されている
3つ目の共通点は適切な人事評価制度が整備されていることです。
適正に評価されていると感じる人事評価制度を整備するための方法は以下の通りです。
- 評価基準を明確にして周知する
- 成果に加え業務への姿勢や成果を出すまでの過程も評価する
- 成果や貢献度に合わせた賞与や報酬を与える
- 人によって評価の差が出ない仕組みをつくる
このような適切な人事評価制度は従業員の目標設定にも役立ちます。目標達成に向けてモチベーション高く仕事に取り組んでもらえるでしょう。
人材配置が適切である
人材配置が適切であることも、従業員エンゲージメントが高い企業の共通点のひとつです。
やりがいを持って仕事に取り組むためには、個々のスキルや経験、希望に合った部署や職種に配置されていることが大切です。
例えば、資料や請求書の作成などのスキルを持つ人材が営業職に配置されても意欲が高まりにくいです。合わない仕事に取り組むことでストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
適切な人材配置は従業員一人ひとりが意欲を持って仕事に取り組んだり、キャリアアップに向けて行動できたりなどの効果が生まれます。従業員エンゲージメントにも大きく影響するため、適切な人材配置は欠かせません。
役職者の育成をおこなっている
5つ目の共通点は役職者の育成をおこなっていることです。
部下や後輩の育成・サポートをおこなう役職者は、従業員のエンゲージメントに大きな影響を与えます。例えば、コミュニケーションがスムーズに取れないと働きづらさを感じ、従業員エンゲージメントを低下させてしまうでしょう。
そのため、コミュニケーション研修やマネジメント研修など、階層に合った育成をおこなうことが重要です。
従業員エンゲージメントが低い原因
従業員エンゲージメントが低いことには主に4つの原因が考えられます。
- ビジョンが浸透していない
- 従業員の仕事に対するモチベーションが低い
- 円滑なコミュニケーションが取れない
- 成長する機会が少ない
具体的に解説します。
ビジョンが浸透していない
1つ目の原因はビジョンが浸透していないことです。
パーソル総合研究所の調査で、企業理念の理解・同意する割合は33%~44%程度で、5割に満たないことが明らかになりました。つまり、自社の考えを理解していない状態で「この仕事が何の意味を持つのか」がわからないまま働いているということになります。
ビジョンが浸透せず同じ方向を向いて仕事に取り組めない状態は、従業員のモチベーションや生産性の低下、離職率の向上のデメリットがあります。
一方、ビジョンが浸透している企業は働く意味を感じるため、従業員エンゲージメントが高いです。そのため、従業員エンゲージメントを向上させるためにビジョンの浸透は欠かせません。
参考:パーソル総合研究所 「企業理念と人事制度の浸透に関する定量調査」
従業員の仕事に対するモチベーションが低い
2つ目の原因は従業員の仕事に対するモチベーションが低いことです。
従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員が仕事にやりがいを持ち取り組める状態です。
しかし、長時間労働が当たり前になっていたり、成果と給与・賞与が見合っていなかったりなど意義を感じづらい業務・制度は従業員のモチベーションを維持できないうえ、やりがいを感じて働けません。また、組織体制が複雑で縦割り化され仕事が細分化されている状態も、個々の強みを活かせずモチベーションを下げてしまいます。
企業によっては暗黙の了解であるルールを守り、ストレスを感じて仕事への意欲を低下させることもあるでしょう。
モチベーションが低いと自社に不満を覚え、愛着心や貢献心が生まれません。そのため、従業員エンゲージメントが低下してしまうのです。
円滑なコミュニケーションが取れない
円滑なコミュニケーションが取れないことも原因のひとつです。
十分なコミュニケーションが取れると社内に一体感が生まれ、スムーズに情報共有して協力し合え、仕事を効率的に進められます。
しかし、円滑にコミュニケーションが取れないと、相談や意見を伝えられなかったり報連相が遅れたりして、業務に悪い影響を与えます。また、信頼関係が構築できないと従業員にストレスを与え、働きづらさを感じるでしょう。
結果として仕事への主体性がなくなるなど、従業員エンゲージメントを低下させます。
成長する機会が少ない
4つ目の原因は成長する機会が少ないことです。
スキルアップできる機会を提供したり、ステップアップのプロセスが明確であったり、適正な人事評価制度が整備されていると、従業員は「成果を出すと評価してくれる」と感じます。そのため、従業員エンゲージメントが向上し積極的に仕事に取り組めるでしょう。
しかし、「この会社にいても成長できない」「成果を出してもステップアップできない」と感じると、自社で働く意義を感じられず従業員エンゲージメントが低下してしまいます。
従業員エンゲージメントを高める施策
従業員エンゲージメントを高めるためには、自社に合った施策の実施が必要です。自社の課題は何かを明確にしたうえで、以下7つを参考に計画を立てるときに役立ててください。
- 組織ビジョンを共有する
- 社内コミュニケーションの活性化を図る
- 人事評価制度を見直す
- キャリアアップをサポートする
- 福利厚生を充実させる
- ワークライフバランスを実現する
- 定期的に従業員エンゲージメント調査を実施する
順に解説します。
組織ビジョンを共有する
従業員エンゲージメントを高める1つ目の施策は、組織ビジョンを共有する方法です。
組織ビジョンの共有は、「何を考えてどのように行動すればいいのか」が明確になり、従業員の主体的に業務に取り組むことにつながります。また、従業員が同じ方向に向かって仕事に取り組めるため、生産性アップも期待できるでしょう。
具体的な施策は以下の通りです。
- 社内報やチャットツールなどで経営陣の考えや価値観、目標を発信する
- 全社集会で企業理念やビジョンを共有する
- 理念やビジョンを記載したボードを目にしやすい場所に設置する
また、フィードバックで主体性や当事者意識を高めることも方法のひとつです。
社内コミュニケーションの活性化を図る
社内コミュニケーションの活性化を図ることも方法のひとつです。
コミュニケーションの活性化により信頼関係が築けると、万が一トラブルが起きたときも迅速に対応しやすいです。また、困ったときも相談しやすくなり、ストレスの軽減や課題解決に対応しやすくもなります。
以下のような方法でコミュニケーションを活性化し、「働きやすさ」を感じる職場をつくれます。
- 1on1ミーティングの実施
- チャットツールや社内SNSの導入
- 休憩スペースの整備
- 社内イベントの開催
- 部活動やサークルの設立
従業員エンゲージメントを高めるために社内コミュニケーションの活性化は欠かせない問題です。積極的にコミュニケーションの課題に向けて行動しましょう。
人事評価制度を見直す
3つ目の方法は人事評価制度を見直すことです。
人事評価は公平・透明性があることが重要です。従業員が納得できる制度を整備すれば、モチベーションが高まり、従業員エンゲージメントも向上できます。
施策は以下のような方法があります。
- 評価基準を明確にして周知する
- 成果だけでなく業務への姿勢や成果を出すまでのプロセスも評価する
- 成果や貢献度に合わせた賞与や報酬を与える
- 人によって評価の差が出ない仕組みをつくる
「頑張っているのに評価してもらえない」「成果を上げたのに適切な評価が受けられない」という状態を避ける制度にすることが大切です。
キャリアアップをサポートする
4つ目の方法はキャリアアップのサポートです。
「成長できる会社」だと感じてもらえるように、以下のような施策を取りましょう。
- 資格取得の支援をする
- キャリアデザイン研修を実施する
- 階層別・職種別研修をおこなう
- 外部研修費用を補助する
スキルアップにつながったりキャリアアップができる制度を整えることで、自社に対する愛着心や貢献心が高まります。また、将来像を描けるようにキャリアパスを明確にすることも方法のひとつです。
福利厚生を充実させる
福利厚生の充実も、従業員エンゲージメントを高める方法です。
福利厚生にはどの企業にも設けられている法定福利厚生のほかに、家賃補助や健康診断の実施、慶弔見舞金の支給、リフレッシュ休暇の整備、食事補助、レジャーなど余暇の時間を楽しむサービスの提供など、あらゆるものを導入できます。
このような福利厚生を充実させられると、働きやすさを感じたり、ワークライフバランスに対する満足度が高まります。結果として従業員エンゲージメントも高まるでしょう。
福利厚生を充実させるなら、リロクラブの「福利厚生俱楽部」の利用がおすすめです。福利厚生倶楽部は低コストで充実した福利厚生制度の構築・導入ができるサービスです。
福利厚生俱楽部を導入した企業からは、「30%以上エンゲージメントが向上した」という声が寄せられるなど、従業員エンゲージメントを高めた実績があります。
充実した福利厚生の導入で従業員エンゲージメントを高めたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
ワークライフバランスを実現する
6つ目の方法はワークライフバランスの実現です。
近年、ワークライフバランスを重視した働き方を希望する方が多いです。そのため、長時間労働が当たり前だったり十分な休息を取れない企業では従業員エンゲージメントを高めることが難しいと言えます。
労働時間や休暇制度の整備はもちろん、有給休暇の取得率を高める働きかけや時短勤務・フレックスタイム制の導入など、ワークライフバランスを実現できる環境を整えることが重要です。
定期的に従業員エンゲージメント調査を実施する
7つ目の方法は従業員エンゲージメント調査の実施です。
従業員エンゲージメント調査で現場の状態を可視化することで、どのような取り組みで従業員エンゲージメントを高めればいいのかが明らかになります。自社に合った施策を立てるために従業員エンゲージメント調査は大きな役割を持ちます。また、施策開始後も定期的に調査をおこない、施策の効果を測って継続的に取り組むことも自社に合った施策を立てることに役立つでしょう。
従業員エンゲージメント調査を効率的・効果的に実施したいなら、リロクラブが提供する「Reloエンゲージメンタルサーベイ」の導入がおすすめです。
Reloエンゲージメンタルサーベイは、2つの調査方法によって従業員の心と体のコンディション、ハラスメントリスク、離職リスク、エンゲージメントなどの、さまざまな組織課題を分析・可視化できるサービスです。
Reloエンゲージメンタルサーベイを導入して自社に合った施策を実施し、従業員エンゲージメントを効率的・効果的にアップさせましょう。
従業員エンゲージメントが高い企業を参考にエンゲージメント向上を目指した取り組みをスタートしよう
従業員エンゲージメントが高い企業には、
- 明確なビジョンやミッションの浸透
- 活発なコミュニケーション
- 適切な人事評価制度が整備
などの共通点があります。
今回ご紹介した従業員エンゲージメントが高い企業の事例を参考に、自社で取り入れられるものがないか検討してみましょう。
しかし、「自社の現状がわからないから、何からおこなえばいいかわからない…」という担当者の方も多いでしょう。そのため、従業員エンゲージメント調査からおこない、自社の現状や課題を明確にすることからはじめましょう。
組織課題を可視化できるReloエンゲージメンタルサーベイの詳細はこちら