
従業員エンゲージメントとは?企業が直面する課題と7つの改善アクション
従業員の定着率が低い、チームの活気がない、頑張っても成果につながらない──
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
その背景には、従業員エンゲージメントの低さが潜んでいることがあります。
従業員エンゲージメントとは、社員が会社やチームに対して愛着や誇りを持ち、自らの意志で貢献しようとする心理的なつながりを指します。
リロクラブでは、福利厚生サービスの提供を通じて、多くの企業のエンゲージメント向上を支援してきました。
そんな私たちがこの記事では、従業員エンゲージメントの基本から、高めるための具体的な施策、調査・評価方法、成功事例までを網羅的に解説いたします。
「なぜ必要なのか」「自社に合った取り組みは何か」を明確にし、すぐに取り組めるヒントをお届けします。
►そもそもエンゲージメントについて知りたい場合は次の記事をご覧ください:エンゲージメントとは?企業が今すぐ取り組むべき理由と成功事例
目次[非表示]
- 1.従業員エンゲージメントとは何か?
- 2.従業員エンゲージメントを構成する3つの要素
- 2.1.主体的に働く意欲
- 2.2.働きやすい職場環境や制度
- 2.3.企業理念やビジョンへの共感
- 3.なぜ従業員エンゲージメントが重要なのか?
- 3.1.組織全体の生産性アップ
- 3.2.企業ブランドの向上
- 3.3.離職率の改善・人材の定着
- 4.従業員エンゲージメントが高い組織の特徴
- 4.1.パーパス(仕事の意味)が社員に伝わっている
- 4.2.情報がオープンで、対話が自然に行われる環境
- 4.3.成長と挑戦を後押しする環境
- 4.4.貢献が正当に認められる文化
- 4.5.心理的安全性への配慮
- 5.従業員エンゲージメントが低い組織に見られる制度面の課題
- 5.1.勤務時間制度の硬直性
- 5.2.挑戦を阻む過度な規制・承認プロセス
- 5.3.仕事の細分化・過度な専門分業
- 5.4.年功序列・終身雇用を前提とした処遇
- 6.従業員エンゲージメントを高めるための7つの施策ヒント
- 6.1.理念とビジョンを日常に落とし込む
- 6.2.納得感のある評価制度を構築する
- 6.3.日常的なフィードバックの習慣化
- 6.4.働き方の柔軟性を高める
- 6.5.従業員が実感できる福利厚生の提供
- 6.6.チーム内外のコミュニケーション促進
- 6.7.成長機会を提供する職場づくり
- 7.従業員エンゲージメント向上を成功させた企業事例
- 7.1.感謝・賞賛し合う文化づくりでコミュニケーションが活性化|クオリカ株式会社
- 7.2.福利厚生の導入で離職率の低下につなげる|株式会社トモエシステム
- 7.3.経営理念の浸透に向けた施策でエンゲージメントを高める|パーソルテンプスタッフ株式会社
- 7.4.多様な働き方を浸透させるために人事評価制度を見直す|アンドールシステムサポート株式会社
- 8.従業員エンゲージメントを高めて組織改善につなげよう
従業員エンゲージメントとは何か?
従業員エンゲージメントとは、従業員が組織に愛着や誇りを持ち、自ら進んで貢献しようとする意識のことです。
単なる満足や一時的なやる気とは異なり、組織の成果を左右する本質的な要素として、多くの企業から注目を集めています。
この「組織への貢献意識」は、受け身で働く姿勢ではなく、主体的に業務に関わろうとする行動を生み出します。
図:従業員エンゲージメント、従業員満足度、モチベーションの違い
似た用語に「従業員満足度」や「モチベーション」がありますが、それぞれ意味も影響も異なります(上図参照)。
たとえば、働きやすい環境や福利厚生が整っていても、エンゲージメントが低ければ業績には結びつかないケースもあります。
一方で、エンゲージメントが高い従業員は、自ら考え行動し、チームを巻き込みながら成果を出す傾向があります。
つまり、従業員エンゲージメントとは、単なる満足感や一時的なモチベーションとは違い、企業の成長や組織の力を支える「土台」となり、多くの企業が力を入れ始めています。
従業員エンゲージメントを構成する3つの要素
従業員エンゲージメントは「会社や組織の理解・共感」「働きやすさ」「行動意欲」の3つで構成されています。
3つの要素を指標として施策に取り組むことで従業員エンゲージメントを高められます。
本章では3つの構成要素について詳しく解説します。
主体的に働く意欲
従業員エンゲージメントの3つ目の構成要素は、主体的に組織に行動しようとする意欲や状態です。
取り組む仕事が組織の成長や業績アップにつながることを実感できたり、組織が従業員を大切にしてくれている姿勢を示せれば「組織のために行動しよう」と意欲的に取り組んでもらえます。
この為、企業としては、仕事の目的や目標をはっきり示しつつ、挑戦を推奨し、個々の能力が存分に発揮できるような仕組みを用意することが肝心になります。
働きやすい職場環境や制度
従業員エンゲージメントの2つ目の構成要素は、従業員が働きやすいと感じる職場環境や制度などが整備されていることです。
例えば、従業員同士のコミュニケーションが取りやすい雰囲気や適正に評価してくれる人事評価制度の整備、福利厚生の充実などがあげられます。
また、ワークライフバランスが取りやすいことも働きやすさにつながる要素のひとつです。
あらゆる要素で働きやすさを実現することで組織への愛着心や貢献心が強まり、仕事に前向きに取り組めます。
また、従業員の心身の健康にもつながるでしょう。
企業理念やビジョンへの共感
従業員エンゲージメントの1つ目の構成要素は、従業員が組織の理念やビジョン、価値観、風土について理解し共感しているかということです。
理解・共感を得ることで組織への愛着心や帰属意識を抱き、従業員は「組織に貢献するにはどうすればいいか」を考えるようになります。
組織の理念を理解・共感してもらうためには、従業員に伝わりやすく理想が合致する理想や目標を立てることが大切です。
目立つところに理念を掲示したり、経営側と従業員が意見交換する場を設けたりすることで理念の理解・共感を得やすくなります。
►従業員エンゲージメントと密接に関わる概念であるワークエンゲージメントについては次の記事をご覧ください:
なぜ従業員エンゲージメントが重要なのか?
従業員エンゲージメントの高さは、単なる社内の雰囲気づくりにとどまらず、企業の成果や成長力に直結する重要な要素です。
では、エンゲージメントが高い組織には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは以下の3つの観点からその理由を解説します:
- 組織全体の生産性アップ
- 企業ブランドの向上
- 離職率の改善・人材の定着
組織全体の生産性アップ
エンゲージメントが高い従業員は、与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら考え、行動し、改善に取り組む姿勢が強くなります。
たとえば、同僚と積極的に連携したり、業務プロセスの無駄に気づいて改善提案をしたりといった行動が、自然と広がります。
こうした積極性が組織内に浸透すると、チーム全体の動きがスムーズになり、結果的に生産性が向上します。
企業の競争力強化にもつながるため、継続的な成果を生み出す土台となります。
企業ブランドの向上
エンゲージメントの高い従業員は、前向きに仕事へ取り組み、顧客満足の向上にも貢献します。
その結果、サービス品質が高まり、企業への信頼感が高まるだけでなく、従業員自身が企業の魅力を発信する存在になります。
SNSや口コミ、就職・転職サイトでのリアルな声が外部に広がる今の時代、こうしたポジティブな発信は企業ブランドを押し上げる強力な要因です。
結果として、企業の認知度が向上し、新規顧客の獲得や採用活動にも好影響が期待できます。
離職率の改善・人材の定着
企業に対して愛着を持ち、やりがいを感じている従業員は、簡単には離職を選びません。
特に、転職が当たり前となっている現代では、優秀な人材の流出をどう防ぐかが企業の課題です。
高いエンゲージメントはこの課題を解決する鍵となり、定着率が上がれば、人材育成や業務改善にも長期視点で取り組めるようになります。
また、採用や再教育のコストを抑えることで、資金やリソースを戦略的に活用できるようになる点も大きなメリットです。
従業員エンゲージメントが高い組織の特徴
従業員エンゲージメントが高い組織では、個々の制度や施策だけでなく、文化や価値観といった“組織の土台”に共通点があります。
このセクションでは、施策レベルの話ではなく、エンゲージメントを自然に引き上げている組織の特徴的な要素を整理して紹介します。
パーパス(仕事の意味)が社員に伝わっている
組織の存在意義や目指す方向(ビジョン)が、単にスローガンとして掲げられているだけでなく、日々の業務や意思決定の中に自然と反映されています。
社員一人ひとりが、「自分の仕事が社会や顧客にどのような価値をもたらしているのか」を理解しており、その実感が内側からのエンゲージメントにつながっています。
情報がオープンで、対話が自然に行われる環境
組織内の情報は、階層や部署を超えてオープンに共有され、対話が肩書きよりも優先される環境が整っています。
たとえば、経営層から現場までKPIや意思決定の背景が開示され、「誰が何を知らないか」が曖昧にならないようになっています。
また、部署の垣根を越えたタウンホールミーティングやSlackなどのチャットツールを通じて、異なる専門性を持つメンバー同士が自由に知識や意見を交換しています。
このように、情報が偏らずに流通し、対話が日常的に行われていることで、心理的な距離が縮まり、信頼が生まれ、結果としてエンゲージメントが育ちやすい組織文化が形成されていきます。
成長と挑戦を後押しする環境
エンゲージメントが高い企業では、スキルアップやキャリア開発は、個人の「自己責任」ではなく、組織が積極的に支援すべき対象とされています。
以下は、成長支援に力を入れている企業の例です:
-
Google|20%プロジェクト
業務時間の20%を自主プロジェクトに充てる制度。GmailやAdSenseなど、多くの革新がこの仕組みから生まれました。 -
Amazon|Career Choice
倉庫スタッフ向けに最大95%の学費を補助。ITや医療など社外でも活かせる資格取得を支援し、キャリアの可能性を広げています。
新しい役割への挑戦や、新しいスキルの習得を後押しすることで、個人の成長と組織の成長が重なり合う状態が生まれ、エンゲージメントが高まります。
参考情報:株式会社コーナー「「20%ルール」の時代に合わせた変化と意外な現状とは 」、サンゼノ州立大学「Amazonキャリアチョイスパートナーシップ」
貢献が正当に認められる文化
従業員エンゲージメントが高い企業では、成果や良い行動がタイムリーに共有され、称賛が日常的に交わされる文化があります。
こうした環境では、従業員が「組織は自分をきちんと見てくれている」「大切にされている」と実感し、自然と組織への信頼感が高まります。
また、称賛は一人の気持ちを満たすだけでなく、チーム全体にポジティブな感情を伝播させ、協力的な行動を促す効果もあります。
感情の連鎖が起きることで、メンバー間の一体感が生まれ、エンゲージメントの土台がより強固になります。
心理的安全性への配慮
エンゲージメントが高い組織では、交流の場を用意するだけでなく、誰もが安心して発言・提案できる環境づくりにも力を入れています。
異なるバックグラウンドや価値観、意見を歓迎する姿勢が根づいており、失敗を罰するのではなく「学びの機会」として捉える文化が育まれているのです。
たとえば、「間違っても咎められない」「率直な意見が歓迎される」といった信頼感が、個人の挑戦を後押しし、結果として成長意欲につながるのです。
こうした環境は、キャリア満足度を高めると同時に、長期的なエンゲージメントの維持にも大きく貢献します。
従業員エンゲージメントが低い組織に見られる制度面の課題
エンゲージメントが伸び悩む企業には、個人の姿勢やマネジメントスキルだけでなく、制度設計そのものが阻害要因となっているケースが少なくありません。
ここでは代表的な4つの制度的ハードルと、そのメカニズムを整理します。
勤務時間制度の硬直性
固定的な勤務時間制度は、従業員に対して「いつ、どこで働くか」を一方的に規定しており、自ら選択する余地がほとんどありません。
このような環境では、自己決定理論で重視される「自律性(Autonomy)」が損なわれやすくなります。
人は、「自分で選んでいる」「自分でコントロールできている」と感じることで、物事により主体的かつ前向きに取り組めるものです。
しかし、勤務形態に柔軟性がないと、「管理されているだけ」「決定権がない」と受け止められ、モチベーションやエンゲージメントの低下を招きます。
挑戦を阻む過度な規制・承認プロセス
過度に設けられた内部統制や複雑な承認プロセスは、従業員の自律性を損なう要因となります。
「どう動くか」を自ら選べない環境では、自己決定理論で重要とされる「自律性(Autonomy)」が満たされず、働く意欲やエンゲージメントが低下してしまいます。
たとえば、社内提案ひとつにも複数の承認が必要だったり、責任の所在が不明瞭だったりすると、「どうせ通らない」「決裁が面倒」といった心理が働き、自発的な行動を避けるようになります。
こうした状況が続くと、従業員は「自分で仕事を動かしている」という感覚を失い、エンゲージメントの持続が難しくなっていきます。
仕事の細分化・過度な専門分業
業務が過度に細分化され、専門分業が進むと、従業員は自分の仕事が全体の中でどのような意味を持つのかを実感しにくくなります。
この状態は、Hackman & Oldhamの職務特性モデルにおける「タスク完結性(Task Identity)」や「スキル多様性(Skill Variety)」の低下を引き起こし、仕事の意義や達成感を感じる機会を奪います。
その結果、従業員は自分の役割が限定的であり、将来的なキャリア展望も見えにくいと感じるようになり、モチベーションやエンゲージメントは次第に低下します。
※ハックマン&オルデムの職務特性モデルについて参考:日本の人事部「職務特性モデルとは」
年功序列・終身雇用を前提とした処遇
年功序列や終身雇用を前提とした処遇制度では、個々の成果と報酬との連動性が弱くなりがちです。
そのため、従業員は自分の努力や実績が正当に評価されていないと感じやすくなります。
特に若手や中堅層にとっては、「成果を上げても報われるのは何年も先」といった認識が生まれ、挑戦や提案に慎重になる傾向が強まります。
このような状況が続くと、公平感や有能感が損なわれ、結果としてモチベーションやエンゲージメントの低下につながる可能性があります。
従業員エンゲージメントを高めるための7つの施策ヒント
ここからは“特徴”をアクションに転換するフェーズです。
下記 7 つのヒントは、先に整理した 5 つの特徴と制度面の課題を橋渡しし、エンゲージメントを継続的に押し上げるための実践ガイドとして設計しています。
また、実施した施策の結果を数値化して振り返る必要があり、継続的にPDCAサイクルを回すことで高いエンゲージメントを維持できます。
►エンゲージメントスコアを図る為にはエンゲージメントサーベイを活用します、詳細は次の記事をご覧ください:エンゲージメントサーベイとは?成果につながる設計・活用法まで徹底解説
理念とビジョンを日常に落とし込む
組織のパーパス(存在意義)やビジョンは、掲げるだけでは機能しません。
重要なのは、それらが日々のコミュニケーションや意思決定に自然と組み込まれている状態をつくることです。
たとえば、
- 経営陣が週次の社内メッセージで、実際の顧客エピソードを交えた成功談・失敗談を語る「ストーリーテリング」は、理念を感情に結びつける効果的な手法です。
- また、意思決定の場面に理念を組み込む仕組みづくりも重要です。
たとえば、新規プロジェクトの承認時に「この判断はパーパスと一致しているか?」というチェック項目をテンプレート化することです。
- さらに、理念の浸透度を定量的に可視化する取り組みも有効です。
「あなたは自社のパーパスを理解していますか?」といった質問を、パルスサーベイで定期的に測定します。
このように、「言葉としての理念」ではなく、「行動に反映された理念」を育てる仕掛けこそが、従業員の共感とエンゲージメントを高める土台になります。
納得感のある評価制度を構築する
評価制度に対する「納得感」は、エンゲージメントに大きく影響します。
とくに、「何が評価されているのかが不明確」「評価が恣意的に感じられる」といった状況は、従業員の意欲を削ぎ、組織への信頼を損なう要因となります。
そのためには、「評価がどう決まっているか」が見えることが重要です。
たとえば、評価基準や配点ルール、最終評価の分布を社内掲示板で開示したり、キャリブレーション会議(評価すり合わせ)をライブ配信したりするなど、評価プロセスの透明性を高める工夫が効果的です。
また、制度の実効性を継続的にモニタリングするためには、「Fairness Perception Index(評価の公平さに対する納得度)」のような指標をパルスサーベイで定期測定することも有効です。
こうした制度設計によって、従業員は「正当に評価されている」という実感を持ちやすくなり、エンゲージメントを生む土台が築かれていきます。
日常的なフィードバックの習慣化
評価の場面だけでなく、日々の業務の中で気づきや意見をこまめに伝え合う仕組みが、心理的安全性と成長実感を支える土台になります。
たとえば、
- 週次の1on1ミーティングと、月次のミニサーベイ(例:ギャロップ社のQ12※など)を組み合わせることで、上司と部下の認識のズレを早期に補正することが可能です。
- さらに、ピア・リコグニション(仲間からの称賛)も、日常的なフィードバック文化の重要な一要素です。
Slack上でThanksコインのような仕組みを使い、仲間の貢献を「ありがとう」という形で可視化・共有する取り組みが広がっています。
このようなフィードバックの積み重ねが、従業員の承認欲求や連帯感を満たし、エンゲージメントの向上を力強く後押しします。
♦Q12については、次の記事をご覧ください:エンゲージメントサーベイとは?成果につながる設計・活用法まで徹底解説
働き方の柔軟性を高める
柔軟な働き方の選択肢は、エンゲージメントを高めるうえで重要な要素のひとつです。
時間や場所に縛られない働き方は、自律性やライフスタイルとの両立を可能にし、従業員が前向きに働ける土台となります。
たとえば、
-
ハイブリッド勤務(出社とリモートの併用)を「特例」ではなく「標準」として制度化することで、働く場所を選ぶ自由が生まれます。
週2〜3日のリモートワークを前提とした働き方が「当たり前」になれば、子育てや介護、通勤ストレスへの配慮をしつつ、生産性の維持・向上も両立しやすくなります。 - また、フレックスタイム制度の導入とコアタイムの短縮も、時間的な柔軟性を支える有効な施策です。
たとえば、コアタイムを11:00〜15:00に設定することで、通勤ラッシュを避けた時差出勤や、家庭の事情に合わせた勤務スケジュールが可能になります。
このように、働く「時間」と「場所」の裁量を従業員に委ねることで、自己決定感が高まり、仕事に対する責任感や満足度、エンゲージメントが向上します。
従業員が実感できる福利厚生の提供
福利厚生は、「あること」そのものよりも、実際に活用され、価値を実感されていることでエンゲージメント向上に繋がります。
制度として整っていても、従業員のニーズと合っていなかったり、利用方法が複雑だったりすれば、“自分ごと”として受け止められず、エンゲージメント向上にはつながりません。
そこで有効なのが、福利厚生のアウトソーシングサービスです。
例えば、リロクラブが提供するサービスでは、約12万のコンテンツが利用できて、様々なライフステージにあったサービスが受けられます。
「選べる」「使える」「役立つ」──そんな福利厚生は、従業員にとって“会社からの信頼と関心”の現れとなり、結果的にエンゲージメント向上を後押しします。
►福利厚生のアウトソーシングサービスについては、次の記事をご覧ください:福利厚生のアウトソーシングとは?導入するメリットやおすすめの制度を紹介
チーム内外のコミュニケーション促進
職場におけるコミュニケーションは、業務遂行のためだけでなく、エンゲージメントはもちろん、心理的安全性の確保や、部門横断的な信頼関係の構築にも深く関わります。
たとえば、
-
クロスファンクショナルDemo Dayのような取り組みでは、異なる部署のメンバーが自らの取り組みや成果物を、ライトニングトーク形式(短時間プレゼン)で共有します。
これにより「他部門が何をしているか」が可視化され、部門ごとの孤立(サイロ化)を防ぎ、コミュニケーションを促進します。
- さらに、バディ&メンター制度の導入も有効です。
この制度は新入社員の早期定着だけでなく、部署を超えた信頼関係づくりにも貢献します。
異なる部署の先輩社員とマッチングすることで、日常業務では関わりの少ない社員同士がつながりやすくなり、相談のしやすさや社内理解の深化につながります。
このように、組織を横にゆるやかにつなげる仕組みは、業務効率だけでなく、従業員の帰属意識や心理的充足感を高める効果があり、結果としてエンゲージメント向上に直結します。
成長機会を提供する職場づくり
従業員が「この職場で成長できている」と実感できる環境は、エンゲージメントの中核をなす要素です。
成長実感は、自律性やキャリア展望の源となり、仕事への前向きな姿勢を育てます。
たとえば、
- 社内Gig Marketは、部署を越えて短期プロジェクトに参加できる仕組みです。
従業員は、通常業務時間の一部(例:20%)を使って、自らの関心やスキル習得につながるテーマに挑戦できます。 - また、学習バジェット制度では、年間10万円までの学習費用を自己裁量で活用でき、eラーニング、書籍、セミナー、外部講座など、自分に合った学び方を選べる環境が整備されます。
- さらに、資格取得に対して報奨金などのインセンティブを設けることも、成長行動を後押しする有効な施策です。
このように、「成長したい」という従業員の意欲に対し、組織が柔軟に応える姿勢を示すことは、ロイヤルティや当事者意識の醸成につながります。
従業員エンゲージメント向上を成功させた企業事例
最後に、実際にエンゲージメント向上に成功した企業がどのような施策を行っているのか、具体的な事例を確認していきましょう。
実例を参考にすることで、施策導入時のヒントやアプローチ方法を学ぶことができます。
単純に真似をするだけでなく、自社の状況や価値観に合わせてカスタマイズすることが成功への近道です。
感謝・賞賛し合う文化づくりでコミュニケーションが活性化|クオリカ株式会社
ITサービスを提供するクオリカ株式会社は、「働きがいを向上させたい」という想いから感謝・賞賛のメッセージを贈りあえるサービス「ポイント型サンクスカード」を導入しました。
前向きなコミュニケーションをおこなうことで、在宅勤務・オフィス勤務関わらず意識的にコミュニケーションを取る意識がもてたり、感謝される機会が増え働きがいが向上したりする結果が得られました。
誰にとっても気持ちよく働ける職場の実現は、エンゲージメント向上につながると言えます。
参考:株式会社リロクラブ「「ポイント型サンクスカード」導入事例 クリオカ株式会社」
福利厚生の導入で離職率の低下につなげる|株式会社トモエシステム
建設機械などの部品の開発・提供をおこなう株式会社トモエシステムは、働きやすさや働きがい、満足度の向上を目的に福利厚生サービスを導入しました。
社員旅行や年2回の懇親会費用の全額負担、レストランや施設の割引サービス、資格取得支援、eラーニングの導入などあらゆる福利厚生の充実に努めています。
その結果、従業員の会話のきっかけになったり、「この会社で働いて良かった」と感じてもらえたりしたそうです。
また、福利厚生を充実させることは離職率の低下につながる大事な施策であるとも話しています。
参考:株式会社リロクラブ「「ホワイト企業認定サポート」導入事例 株式会社トモエシステム」
経営理念の浸透に向けた施策でエンゲージメントを高める|パーソルテンプスタッフ株式会社
総合人材サービスを提供するパーソルテンプスタッフ株式会社は、創業時の想いと経営理念の真意を改めて社内に浸透させることを目的に施策を実施しました。
具体的には、自社の想いを伝える社内用Webサイトの構築や従業員向けイベントの開催をおこないました。
ターゲットと目的を整理してあらゆる施策をおこなったことで、従業員が経営理念を深く理解・共感してエンゲージメントを高める効果をえられたそうです。
参考:株式会社揚羽「支援実績 パーソルテンプスタッフ株式会社」
多様な働き方を浸透させるために人事評価制度を見直す|アンドールシステムサポート株式会社
システムの開発製造をおこなうアンドールシステムサポート株式会社は、テレワークなどどのような働き方でも適正に評価できる人事評価制度を見直しました。
具体的には、スキル・能力・経験・行動などの評価基準を設定して公平な評価がおこなえるように整備しました。
また、評価結果を従業員の成長に活かせるよう、自己評価と上司評価をすり合わせる機会をつくるなど運用方法の見直しもおこなっています。
これにより、「明確な判断基準の目安が欲しい」「評価結果がモチベーションにつながるようにしてほしい」という課題の解決につながっています。
参考:厚生労働省「IT業界の働き方・休み方の推進 働き方改革事例 人事評価制度の見直し」 従業員エンゲージメントを高めて組織改善につなげよう
従業員エンゲージメントを高めて組織改善につなげよう
エンゲージメントが高まれば、個人も組織も相乗効果で成長していける可能性が広がります。
従業員エンゲージメントの向上は、企業側にとって離職率低下や生産性向上といった大きなメリットをもたらします。
そして従業員にとっては、やりがいや自己成長を実感できる絶好の機会になります。
双方にメリットがある施策だからこそ、組織全体で取り組む意識が大切です。
ぜひ今回紹介した視点や施策を参考に、自社ならではの戦略を描き、継続的な組織改善につなげていきましょう。