従業員エンゲージメントとは?高める必要性とそのメリット
従業員エンゲージメントとは企業と従業員のつながりや信頼関係のことを言います。近年では人材流出を防ぎ、多様化する社会に対応するために多くの企業が従業員エンゲージメントの向上を目指しています。
本記事では、従業員エンゲージメントの必要性やメリットについて詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.従業員エンゲージメントとは
- 1.1.従業員満足度との違い
- 1.2.ロイヤルティとの違い
- 2.従業員エンゲージメントを高める必要性
- 2.1.人材流出の防止
- 2.2.個々の生産性向上による事業の成長
- 2.3.多様化する社会と価値観の変化への対応
- 2.4.リモートワークの定着
- 2.5.モチベーションの維持
- 3.従業員エンゲージメントを高めるメリット
- 3.1.企業の業績アップ
- 3.2.組織の活性化
- 3.3.顧客満足度の向上
- 3.4.企業イメージの向上
- 3.5.メンタルヘルスにつながる
- 4.従業員エンゲージメントの測定方法
- 5.従業員エンゲージメントを高める方法
- 5.1.目標設定とフィードバック
- 5.2.コミュニケーションの質の向上
- 5.3.社員教育やキャリアアッププログラムの提供
- 6.従業員エンゲージメントが上がらない原因と対策
- 6.1.コミュニケーション不足
- 6.2.役割が不明確である
- 6.3.ストレスや過剰な負荷
- 7.従業員エンゲージメント向上は企業の大きな課題
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは、企業と従業員のつながりや信頼関係を指す言葉です。従業員エンゲージメントを向上させることで、企業と従業員が強い信頼関係を築きながら、高いモチベーションを持って仕事に取り組むことができます。 また、従業員エンゲージメントは、従業員が自分の仕事に熱心に取り組んでいるかどうかを測定する指標です。従業員がエンゲージメントを持って働くことで、会社の生産性や業績が向上し、長期的な成功につながります。
従業員満足度との違い
従業員エンゲージメントと従業員満足度は、似ているようで異なる概念です。 従業員満足度は、従業員が自分の仕事に満足しているかどうかを測定する指標であり、給与や福利厚生、労働条件、職場の文化などの要素に影響を受けます。 一方、従業員エンゲージメントは、従業員が自発的に貢献し、会社の目標達成に積極的に参加することを測定する指標であり、従業員が会社に対して強い熱意を持って働くことが求められます。
ロイヤルティとの違い
従業員エンゲージメントは、従業員が自発的に働き、会社に対して積極的な態度を示すことを意味するのに対し、ロイヤルティは、従業員が会社に長期間勤め続け、会社に対して忠誠心を持ち続けることを意味します。つまり、従業員エンゲージメントは、従業員が会社に対して積極的に働くことを目的としていますが、ロイヤルティは、従業員が長期的な関係を築くことを目的としています。 また、ロイヤルティは企業と従業員の主従関係が前提であり、従業員から企業への一方的な忠誠心を表すニュアンスが強いです。 一方で従業員エンゲージメントは、企業と従業員がお互いに良い関係性を築くことを表すため、そういった点でも違いがあります。
従業員エンゲージメントを高める必要性
従業員エンゲージメントを高めなければならないのは以下5つの理由があるからです。
- 人材流出の防止
- 個々の生産性向上による事業の成長
- 多様化する社会と価値観の変化への対応
- リモートワークの定着
- モチベーションの維持
順に解説します。
人材流出の防止
従業員エンゲージメントを高めるために必要な理由の1つ目は、人材流出を防止するためです。
近年、少子高齢化の影響を受けた労働人口の減少が問題になっています。そのため、企業は長く勤めてもらう職場環境を整え、人材の流出を防がなければなりません。また、採用競争率が高まる中で優秀な人材を確保するためにも、働きやすく能力やスキルを活かせる職場環境にする必要があります。
従業員エンゲージメントを高めることで、自社への帰属意識が高まったり、定着率の向上と離職率の低下が期待できます。
個々の生産性向上による事業の成長
2つ目の理由は個々の生産性向上によって事業の成長を目指せるためです。
従業員エンゲージメントが高まると貢献心が高まるため、「どのように行動すれば成果を
あげられるか」と自主性を持って業務効率化や改善をはかるようになります。結果として生産性が高まり、より質の高い商品やサービスを顧客に提供できます。
よりよいものを提供できれば業績が向上し、事業の成長につながるでしょう。
多様化する社会と価値観の変化への対応
3つ目の理由は、多様化する社会と価値観の変化に対応しなければならないからです。
終身雇用や年功序列が崩壊した現代では、同じ会社で働かず転職や再就職を希望する人が多くなりました。また、時短勤務やリモートワークといった働き方の変化、「スキルを活かせる会社で働きたい」「ワークライフバランスを大切にしている」という考え方も変化しています。
優秀な人材が自社で働き続けてもらうためには、従業員エンゲージメントの向上が欠かせません。給与や役職だけではなく、人事評価制度や職場環境の整備、福利厚生の充実などをおこなう必要があるのです。
リモートワークの定着
4つ目の理由は、新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが定着しているからです。
リモートワークは直接コミュニケーションが取れないため、オフィスで働くよりもコミュニケーションを取る頻度が減ります。コミュニケーションが著しく少ない状態は「本当に適性な評価が受けられているか」「自社から必要とされているかわからない」と不満や不安を覚え、従業員エンゲージメントが低下する可能性があります。
離職を防ぐためにも、従業員エンゲージメントの向上を目指す必要があるのです。
モチベーションの維持
5つ目の理由はモチベーションの維持が必要だからです。
対面のコミュニケーションが減ったことで、従業員のスキルや強み、業務状況の把握が難しいです。また、上司や同僚と関わる機会が減れば相談しづらかったり報告が遅れたり、孤独感を覚えたりしてモチベーションが低下することもあります。
コミュニケーションを取ることはもちろん、仕事への姿勢や成果を適正に評価したり、企業から必要とされていることを理解できるようにしたりして、従業員エンゲージメントを高めなければなりません。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めると以下5つのメリットや効果が生まれます。
- 企業の業績アップ
- 組織の活性化
- 顧客満足度の向上
- 企業イメージの向上
- メンタルヘルスにつながる
順に解説します。
企業の業績アップ
1つ目のメリットは企業の業績がアップすることです。
ウイリス・タワーズワトソンの調査では、従業員エンゲージメントが高い企業は低い企業と比較して1年後の営業利益率が高まっていることが明らかになりました。さらに継続して高いエンゲージメントが維持できると、3倍以上営業利益率が伸びていることもわかっています。
また、株式会社リンクアンドモチベーションの調査でも、従業員エンゲージメント調査でエンゲージメントが高まっていることと相関して営業利益率も高まっていることが明らかになっています。
これらのデータから、従業員エンゲージメントの向上は企業の業績アップにつながるということがわかります。
参考:株式会社リンクアンドモチベーション「「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開~エンゲージメントスコアの向上は営業利益率・労働生産性にプラスの影響をもたらす~」
組織の活性化
2つ目のメリットは組織が活性化することです。
従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員の自社への貢献心が高い状態になります。「自社の目標を達成するために何をするべきか」「よりよい組織にするためにどうすればいいか」を主体的に考える従業員が増え、組織の活性化につながります。
組織が活性化すれば、業績の向上や組織の成長につながります。そのため、従業員エンゲージメントの向上はメリットがあると言えるでしょう。
顧客満足度の向上
3つ目のメリットは顧客満足度の向上です。
従業員エンゲージメントが高いと従業員が自分の業務の意義を感じ主体的に行動できるため、顧客に高い質の商品やサービスを提供できるようになります。結果として顧客満足度に良い影響を与えられるでしょう。
企業イメージの向上
4つ目のメリットは企業イメージの向上に役立つことです。
従業員エンゲージメントの高い企業は、自発的・積極的に行動する従業員が多いです。結果として顧客満足度が高まり、企業のイメージがよくなって信頼性が生まれるでしょう。
また、定着率の向上と離職率の低下により求職者からも良い企業イメージを与えることが可能です。
メンタルヘルスにつながる
5つ目のメリットはメンタルヘルスにつながることです。
従業員エンゲージメントが高い状態は、良好な人間関係を築き、コミュニケーションが活発である状態だと言えます。そのため、ストレスを感じることが少なく、心身の健康状態を維持しながら働けます。
従業員エンゲージメントの測定方法
従業員エンゲージメントを測定する方法としては、アンケート調査や従業員からのフィードバックなど、現場の声を収集して分析する手法が基本となります。 アンケート調査では、従業員が自分の仕事に対してどのような意見を持っているか、会社に対する熱意やモチベーション、コミュニケーションの質などを測定することができます。従業員のフィードバックでは、マネージャーとの面談などで、従業員の声を直接聞くことができます。
アンケート調査の方法や注意点
アンケート調査は、従業員エンゲージメントの測定方法の一つとして一般的に使われます。以下に、アンケート調査のポイントや注意点をいくつか紹介します。
目的を明確にする
アンケート調査を行う前に、目的を明確にすることが大切です。例えば、従業員の意見を集め、職場環境の改善につなげたい場合、アンケートの質問内容や項目選択、集計結果の解析方法など、目的に合わせて設計する必要があります。
質問内容を選定する
アンケートの質問内容を選定する際は、明確で分かりやすい言葉を使い、簡潔で理解しやすい内容にすることが大切です。 また、質問項目は従業員が実際に影響を受けること、改善できることが重要です。回答に応じて具体的な改善案を策定し、アクションプランに繋げるところまでをセットで考えましょう。
集計結果の分析・改善に取り組む
アンケート調査が終わったら、収集されたデータを分析する必要があります。分析の過程で、どの項目が特に改善の必要があるかを明らかにすることができます。 また、従業員にフィードバックを提供することも重要です。従業員は、アンケート調査の結果やそれに伴う改善点を知ることで、自分たちが組織の改善に貢献できたという自信を持つことができます。また、結果に基づいた改善が実施されることで、従業員は組織に対する信頼感を深めることができます。 「Reloエンゲージメンタルサーベイ」は、離職や休職防止に役立つ従業員のコンディションチェックやエンゲージメントサーベイを実施、個人や組織状態の見える化ができます。 エンゲージメント向上や組織改善に向けた取り組みの導入をお考えの方はぜひご検討ください。 [btn class="rich_orange"]「Reloエンゲージメンタルサーベイ」詳細はこちら[/btn]
従業員エンゲージメント可視化に使える「eNPS」とは?
従業員エンゲージメントの可視化や改善に役立つ指標として、「eNPS」というものがあります。 eNPSとは、Employee Net Promoter Scoreの略称で、従業員が会社をどれだけ推奨できるかを測る指標です。NPSは、顧客満足度を測定する指標として有名であり、eNPSは、それを従業員に適用したものです。 eNPSは、簡単なアンケート形式で、従業員に「会社を友人や知人に薦めるか」という質問をします。回答は0から10の11段階で選択します。0から6を「否定的な回答」、7から8を「中立的な回答」、9から10を「肯定的な回答」として扱います。 eNPSスコアは、肯定的な回答の割合から否定的な回答の割合を引いた数値です。スコアが高いほど、従業員の満足度や忠誠心が高いことを示します。 従業員エンゲージメントを測定する手段として、eNPSを用いた調査をおこなうのも有効でしょう。
面談で従業員のフィードバックを得る方法
アンケート調査の他、面談で従業員からの意見を直接収集する方法もあります。 面談の場合、実施する場所に注意することが重要です。従業員のプライバシーに配慮し、他の従業員から見えない場所や、音が周囲に聞こえない場所で収集することが望ましいです。 また、フィードバックを収集するタイミングも重要です。従業員がストレスを感じた時や、業務に失敗した時など、タイミングによっても従業員のマインドや意見が異なる場合があります。あえてネガティブな状態になっている時に面談を行い、不安や不満を聞き出しやすくするなどの方法もありますが、タイミングを考えずに行ってしまうと、望んだ結果を得られない場合もあるため注意しましょう。
従業員エンゲージメントを高める方法
従業員エンゲージメントを高めるためには、以下のような方法があります。
目標設定とフィードバック
従業員には、仕事に対する明確な目標を設定し、定期的にフィードバックを与えることが重要です。目標設定により、従業員は自分の役割を理解し、モチベーションを高めることができます。また、フィードバックを受けることで、自分の成果や課題を把握し、改善のためのアクションを取ることができます。 また、目標達成時のインセンティブがあることで、更にモチベーション向上に繋げることもできます。インセンティブは、金銭に限らず、独自のポイント制度などを取り入れて還元する方法もあります。 リロクラブの「ポイント型インセンティブ」は、現金や金券ではなくポイントを付与する報奨制度のため、柔軟な制度設計が可能で、より広い対象者にポイントを付与することができます。 [btn class="rich_orange"]「ポイント型インセンティブ」詳細はこちら[/btn]
コミュニケーションの質の向上
上司や同僚とのコミュニケーションが円滑であれば、従業員はよりエンゲージメントを持って働くことができます。コミュニケーションの質を向上するためには、フィードバックセッションや定期的なチームミーティング、社内SNSなどのツールを活用することが有効です。 コミュニケーションの活性化にはサンクスカードの導入も有効です。 リロクラブの「ポイント型サンクスカード」では、従業員同士がパソコンやスマートフォンを使用し、サンクスカードにメッセージとポイントを添えて感謝の気持ちを伝え合うことができます。 [btn class="rich_orange"]「ポイント型サンクスカード」詳細はこちら[/btn]
社員教育やキャリアアッププログラムの提供
社員教育やキャリアアッププログラムの提供を通じて、従業員のスキルアップや成長を促進することも重要です。従業員はこうしたプログラムに参加することで自身の成長を感じ、自信を持って業務に取り組むことができ、エンゲージメントを高めることができます。 また、マネジメント層への教育や研修を行うことも非常に重要です。多くの従業員にとって「上司」にあたるマネジメント層に対して、部下へのフィードバック方法やコーチングを学ぶ機会を創出することで、従業員エンゲージメント向上の取り組みが組織全体に行き渡るようにしましょう。
従業員エンゲージメントが上がらない原因と対策
従業員エンゲージメントが上がらない原因は、さまざまな要因が考えられます。代表的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
コミュニケーション不足
従業員とマネージャーとのコミュニケーション不足が、従業員エンゲージメントの低下につながることがあります。マネージャーは、従業員が直面する課題や意見を受け止め、それに対するアクションを取ることが重要です。従業員が自分の意見や考えを言いにくい雰囲気がある場合には、職場環境から見直して改善を目指すことが必要です。
役割が不明確である
自分の役割や責任が不明確である場合に、従業員エンゲージメントの低下に繋がることがあります。従業員には、明確な役割と目標を設定し、フィードバックを与えることが重要です。
ストレスや過剰な負荷
従業員がストレスや過剰な負荷を感じている場合もエンゲージメント低下の大きな一因となります。会社は、従業員の健康面やストレスマネジメントに配慮することが必要です。例えば、フレックスタイム制度の導入や、定期的なストレスチェックの実施などが考えられます。
従業員エンゲージメント向上は企業の大きな課題
以上、エンゲージメントについて、「従業員エンゲージメント」の観点から解説しました。 従業員エンゲージメントを高めることは、従業員の働きやすさや生産性の向上につながり、会社の成長に不可欠な要素となります。 従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員とのコミュニケーションを活発にすることや、役割の明確化、ストレスマネジメントの充実など、さまざまな取り組みが必要ですので、現在の課題を洗い出した上で、1つ1つ改善に取り組んでいきましょう。 「Reloエンゲージメンタルサーベイ」は、離職や休職防止に役立つ従業員のコンディションチェックやエンゲージメントサーベイを実施、個人や組織状態の見える化ができます。 従業員が普段抱えているストレスや問題点を明確化することで、組織改善に取り組んでいきましょう。 [btn class="rich_orange"]「Reloエンゲージメンタルサーベイ」詳細はこちら[/btn]