健康経営

アンガーマネジメントの6つのタイプと企業にとっての必要性

アンガーマネジメントによって、怒りの感情をコントロールする効果が注目されています。職場コミュニケーションの良好化や社員のストレス対策としても有効のようです。企業では社内研修やワークショップなどにも取り入れられるようになっています。今回は、このアンガーマネジメントの内容や具体的な方法について紹介していきます。

アンガーマネジメント

2018年07月25日更新

RELO編集部

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、イライラや怒りといった感情をコントロールすることです。イライラしたり、カッとなったりして出る衝動的な言動や行動を抑制し、適切な問題解決やコミュニケーションにつなげるための手法です。アメリカでは1970年代から、心理教育として浸透してきており、日本でも教育、ビジネスの分野で広がっています。

「キレる」という言葉が使われます。
ストレス社会の現代、老若男女問わず、キレやすい人が増加しているといわれています。これは、自分の感情をコントロールできていない証拠です。そのようなときは、ものごとを客観的に見ることができていないものです。

周りの人やモノのせいにしたり、八つ当たりをして相手や自分自身にストレスを生じさせてしまうことがあります。ものを壊す、相手の心身を傷つける、という大きな問題に発展することも少なくありません。

企業においては、怒りの感情が職場の人間関係や雰囲気を悪化させる原因にもなり得ることから、アンガーマネジメントについての研修やセミナーなどの開催も盛んになっています。

人が怒る仕組み

アンガーマネジメント
ここで、私たち人間の「怒る」という感情の仕組みについて確認していきます。喜怒哀楽というように、怒ることがあっても、それは人としてごく普通の感情です。しかし、この怒りの感情には、興味深い仕組みが隠れています。アンガーマネジメントでは、感情を第1次感情と第2次感情にわけて考えます。

第1次感情

第1次感情とは、不安、恐怖、辛い、疲れた、悲しい、淋しい、ストレスがあることなどを指します。どれもネガティブな側面からの感情です。しかし、これらを含め、さまざまな感情を抱くことは、いたって普通のことです。

むしろ、これらの感情を感知できないことのほうが問題かもしれません。どのような感情であったとしても、それぞれ良いも悪いもないのです。

第2次感情

第1次感情が蓄積され続けると、たとえば、コップから水が溢れてしまうように、許容範囲を超えてしまいます。この時に現れるのが、怒りなのです。つまり、怒りは第2次感情なのです。

怒りは、何かの理由(第1次感情)がなければ発生しにくいものでもあります。何より、最初に理解しておきたいのは、この怒りの感情をもつことも決して悪いことではないということです。

怒りの感情の種類

決して悪い感情ではない怒り。怒るべき時に抑えることは、人として不健康ともいえることなのです。しかし、注意しておきたい怒りというのもあります。以下の4つにあてはまる怒りは、うまく感情表現ができないことが要因のひとつです。アンガーマネジメントで対処するのも一策かもしれません。

持続性のある怒り

過去の怒りを引きずってしまったり、何度も思い出したりする怒りです。すでに終わったことなのに、自分を何度も苦しめる怒りといえます。

強度が高い怒り

怒りがあからさまになったり、表現が激しくなってしまう怒りです。怒り出すと歯止めが効かないような怒りもこの種類になります。

頻度が高い怒り

日頃のちょっとしたことに過敏に反応して頻繁に出る怒りです。頻度が高いほど、イライラなどの不快感を抱える時間が多いということになります。

攻撃性がある怒り

相手やモノに怒りが向かい、投げたり蹴飛ばしたりする傾向がある怒りです。良好な人間関係が築きにくくなります。

アンガーマネジメントの必要性

アンガーマネジメント
怒りの感情は良くないと捉えている人は、結構多いのではないでしょうか。その捉え方が前提にあると、私たちはその怒りを抑圧するだけになってしまうでしょう。

本当に大切なことは、第1次感情に気付くということかもしれません。これらを認識しないままだと、怒りとして湧き上がってしまいます。アンガーマネジメントは、ある意味、本当の自分の感情に気付くことに役立ちます。

怒りの感情を爆発させたことで、大問題に発展したり、人間関係が破綻してしまったりするケースも少なくありません。その後、本人は後悔の念に苛まれ、周りはネガティブな印象をもち続けることになるでしょう。

怒りという感情は、人によって表現の仕方もその度合いも異なっています。同じことが起きても、ある人は興奮して大声で反応し、ある人は何とも思わないということもあります。この違いにはさまざまな要因が考えられます。

  • 日頃の感情の習慣
  • 日頃の反応の習慣
  • 日頃の心理習慣(思い込みなど)
  • その日の体調や心理
  • その時のストレスの度合い

怒りからの衝動は、ほんの数秒間という一時的なものともいわれています。その数秒間だけでもコントロールする術を学べば、後悔したり、最悪の事態を招いたりすることは避けられるのです。そのコントロールの方法がアンガーマネジメントなのです。

ビジネス環境では、イライラした緊張感があるとパフォーマンスを高めることができません。また、穏やかで冷静なコミュニケーションができない上司や部下のいる職場では、連携できない、育成にならない、成果も出せないと、ないないづくしになってしまいます。そのような状況が増えてきていることから、ビジネスシーンでもアンガーマネジメントが必要とされているのです。

怒ることのデメリット・アンガーマネジメントのメリット

アンガーマネジメント
怒ることのデメリットと、対策となるアンガーマネジメントのメリットを説明します。

怒ることのデメリット

怒ることには、デメリットとなる点が多く隠れています。

  • 怒りを感じるときの体内の生理的反応が健康に悪影響を及ぼす
  • 本人や周りの心的ストレスが蓄積される
  • 職場環境や人間関係が悪化する
  • コミュニケーションがスムーズにいかず、生産性が低下する
  • モノを壊すという物的損失

アンガーマネジメントのメリット

アンガーマネジメントを身に付けることによるメリットは、多く挙げられます。

  • 怒りを感じる頻度が低くなり、それによるストレスがなくなる
  • 感情を素直に表に出せるようになる
  • 言葉での意思伝達がスムーズになる
  • モチベーションが向上する
  • 違いの存在に寛容になり、自分の柔軟性や視野が広がる
  • 教育や指導でも役に立てられる
  • 仕事の生産性が上がる

怒りのタイプ

アンガーマネジメント
先ほど怒りの種類について紹介しましたが、怒りのタイプも複数あります。つまり、どんなことやどんなときに怒りを感じるタイプなのかということです。

ここで、6つの怒りのタイプを見ていきましょう。これは、日本アンガーマネジメント協会が公表する「アンガーマネジメント診断」の診断結果の項目でもあります。

公明正大

正義感が強く、ルールや道徳に外れたことを見聞きすると怒りを感じやすい傾向がある人です。権利の有無に関わらず、人をジャッジしようとしたり、曲がったことが許せなかったり、常に正そうとしたりして、介入しすぎるところがあります。

博学多才

向上心があるのですが、完璧主義な点があり物事を白黒で片づけたいタイプです。そのため自分にも周りにも厳しくなってしまう傾向があります。優柔不断な人、適当に考えたり行動したりする人がいるとイライラしてストレスを溜めやすいようです。

威風堂々

自尊心がとても高い人で、いつも周りからどう見られているかを気にする人です。ネガティブな評価や扱いを受けると、ストレスや怒りを感じやすい傾向があります。思い通りにならないことがあるとイライラや不満を抱えやすいというのも特徴です。

天真爛漫

自分の考えや感情を、素直にストレートに表現することができる人です。しかし、周りに意思表示がはっきりできない人、思う通りに行動できない人がいるとイライラする傾向があります。自立心が強く、自由に動きたいタイプなので、行動を制限されるとストレスを感じやすいでしょう。

外柔内剛

外見の柔らかさとは裏腹に、中身はとても頑丈です。周りからの誤解を受けやすいタイプといえるでしょう。自分の意見や意志を重んじるため、合わない意見や価値観には目を向けない傾向があります。内側に我慢やストレスを溜めやすいという特徴をもっていて、度が過ぎると体調を崩すこともあるようです。

用心堅固

とても慎重派で、周りに対する警戒心の強い人です。そのため自分の領域に入り込まれると、ストレスや怒りを感じやすい傾向があります。人間関係自体にストレスを感じやすく、自分についても周りの人のことについても固定観念をもちやすいのが特徴です。

アンガーマネジメント診断

この怒りの6つのタイプは、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会が公表している「アンガーマネジメント診断」の診断の項目です。WEB上では、無料診断が可能なので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

参考リンク 無料アンガーマネジメント診断|日本アンガーマネジメント協会

アンガーマネジメントの受講対象となる社員

アンガーマネジメント
アンガーマネジメントの講座や研修の対象となる社員は、どのような層の人でしょうか。

  • 普段から、怒りの「度合い」が強い社員
  • 主張が少なく、ストレスを溜めがちな社員
  • パワハラなどへの理解が必要になるリーダーや管理職層

アンガーマネジメントの具体的な手法

アンガーマネジメント
では、基本的なアンガーマネジメントの手法を2つ紹介します。

取り掛かることは非常に簡単です。肝心なのは、いざ怒りに直面したときにしっかり意識できるか、ということです。感情はリアルでなくては意味がないため、アンガーマネジメントのスキルは実践でしか磨くことができません。今日からでも意識することを、一定期間続けてみてはいかがでしょうか。

意識する6秒間コントロール

怒りがコントロールしにくいのは、分泌されるアドレナリンによるものとされています。このアドレナリンは6秒間で体内を巡るのだそうです。この6秒間さえ乗り切ることができれば、怒りは制御しやすくなるということです。怒りやイライラを感じた際に、6つ数えることを習慣にしてみましょう。

単純なカウントでは効かないという人は、より意識を向けさせるカウントバックもおすすめです。1、2、3、ではなく、100からスタートして13ずつ、もしくは17ずつ引き算していくのもおすすめです。

怒りにスコアをつける

怒りを感じたときに、その怒りに評価点数をつけるのも効果があるようです。0を平穏な心理として、10を人生最大の怒りと設定します。

今までの怒りの経験と相対評価しながら、今の怒りは先週の怒りに比べると弱いから5点、今日の怒りはあの時より強烈だったから8点、などと評価点を付けていきます。そうすることで、次第に「これは怒る必要のないことだな」と気付けるようになっていくそうです。客観性を高めることにも有効のようです。

関連するキーワード