人材・組織開発

人事評価に直結するコンピテンシーとは?コンピテンシーモデルの考え方と導入方法

人事評価制度を見直す企業が増えています。そんな中、コンピテンシーが重要要素という認識が広がっていることをご存知でしょうか。今回は、コンピテンシーの基礎事項やコンピテンシーモデルの考え方を紹介します。人事評価に取り入れるメリット、人事における活用ポイントも解説していきます。能力やスキルとの違いをしっかり把握して、導入検討の際にお役立てください。

コンピテンシー

2018年08月10日更新

RELO編集部

コンピテンシーとは?

コンピテンシー
コンピテンシーとは、その企業において、理想的で高い成果や業績を上げる人の特性のことを指します。ある仕事に必要な特性となる○○の行動がとれる、仕事に取り組む際に○○を貫ける、というように、人の特徴や意識の在り方を定義したものです。

注意しておきたいのは、企業、仕事の種類によって求められる優秀さ(コンピテンシー)は変わってくるということです。

また、定義されたひとつの行動を再現できるかを見極めるものではなく、その時々の状況によって臨機応変に対応を行うことができるかが重要です。したがって、コンピテンシーは抽象的に定義しておく必要があります。

このコンピテンシーという概念が世の中に広がるきっかけとなったのは、アメリカのハーバード大学のマクレランド教授の研究でした。「テストの成績や内申書の内容だけでは、出せる業績や人生の成功を予測することはできない」という結論に辿り着き、その提唱がアメリカ、そして世界に広まっています。 

コンピテンシーが注目されている理由とは?

コンピテンシー
このコンピテンシーが現在、世界的にも注目を浴びているようです。そこで、注目を浴びているのは何故かという疑問に迫ります。

成果主義への移行

日本では1990年代後半あたりから、年功序列型の人事評価から徐々に成果主義への移行が進んできました。年功序列型の場合、評価はいたってシンプルです。しかし、成果で評価をするとなると、さらに細かい基準が必要となります。

この時期、欧米に浸透していたコンピテンシーの概念が日本でも取り入れられるようになったのです。成果主義が日本にも浸透していく歴史の中で、高い知識や学歴をもつ人が必ずしも理想の成果や業績を上げるわけではない、ということが現実的に企業レベルで認識され始めています。

コンピテンシーは、その企業で成果を上げる人の考え方や行動特性を定義したものです。成果を上げなければ、企業や社員は生き残れない時代です。とはいえ、客観的な評価ができなければ、社員の不満が溜まってしまい、離職につながるケースも少なくありません。だからこそ、その成果主義からなる人事評価の在り方が、現在見直されているのです。

企業の生産性向上の必要性の高まり

社会環境は、高度化、多様化が進み、企業の運営において直面する問題や課題は、複雑性を増しています。そのようなビジネス環境の中で、個人や組織の生産性を高めることに企業の意識が向くことは当然かもしれません。

さらに、日本では、マンパワーが減っていることが深刻化しています。少ない人数でも、より高いパフォーマンスを発揮する人材を集め、企業の業績を伸ばす必要性が増しています。企業にとって優秀な人材を集めること、育成していくことにコンピテンシーが役立てられているのです。

「能力」「スキル」との違い

コンピテンシー
能力やスキルをみて、人事評価や採用を行っている企業は多いと思います。一般的にいわれる能力やスキルと、コンピテンシーの違いを確認しておきましょう。

能力やスキルは、社員が保有している力です。種類やレベルも、それぞれに異なります。一方、コンピテンシーは、もっているそれらの力量を発揮する能力のことです。行動が伴わない、もしくは行動する動機がなければ、どんなに高度なスキルや能力をもっていても意味はありません

これが業績や成果を上げる人と上げられない人の差を生み出します。コンピテンシーは、もち得るスキルや能力を適切な行動によって発揮し、結果を出す能力のことなのです。 

コンピテンシーを人事評価に取り入れるメリット

コンピテンシー
コンピテンシーを人事評価に取り入れるメリットと、コンピテンシーモデルについて紹介します。

メリット

メリットとして以下のようなことが期待できます。

  • 業績や成果につながりやすい(結果を出せる人が集まる)
  • 人事評価の公平性が高まる
  • 社員は企業から期待される事柄が明確になり、行動しやすい
  • 人材の成長につなげられる
  • 人事評価の負担が軽減される

コンピテンシーモデルとは?

コンピテンシーを人事評価に取り入れようとするとき、必要となるのがコンピテンシーモデルです。コンピテンシーモデルは、すでにあるものではなく、企業、業種、職種に合わせて企業側が作り出していくべきものです。詳細な作り込みが必要になりますが、決まった規定は存在しません。コンピテンシーモデルには、理想型、実在型、ハイブリッド型の3パターンがあるようです。

理想型

社内に理想となるようなハイパフォーマーがいない場合には、自社が求める人物像をもとに評価項目を作成します。企業理念や事業内容に沿って、それぞれの業務内容に合わせて作り上げていきます。

実在型

社内に実在する業績や成果を上げている社員の行動特性を評価項目に落とし込みます。正確な落とし込みを行い、他の社員でも再現性が見込めるかどうかの見極めが必要です。

ハイブリッド

現状のコンピテンシーをさらに超えるために、不足を補う形で取り入れていく、もしくは目指していくモデルです。理想型と実在型の良い点を残し、人材を育成することにも活用できるパターンといえるでしょう。 

コンピテンシーを活用するためのポイント

コンピテンシー
コンピテンシーを活用していくためのポイントを押さえていきましょう。

コンピテンシーの分析方法

高い業績や成果を出している人にインタビューすることから始めましょう。何をどのように行っているかだけでは、適切なコンピテンシーを抽出できません。大切なことは「その時なぜそうしたのか」です。インタビューの際に、意識して吸い上げるべき要素となります。

また業績には結びついていなくても、必要なコンピテンシーをもち得る社員もいます。できるだけ多くのデータを集めることが大切になってくるでしょう。モデルを作成する際に、「WHOグローバル・コンピテンシー・モデル」や「コンピテンシー・ディクショナリー」にある項目を参考にすると抽出しやすいでしょう。

参考:
コンピテンシーモデル|一般社団法人 日本国際保健医療学会
日本におけるコンピテンシー ―モデリングと運用― 井村直恵 著(PDF)

チーム、事業部ごとに合ったモデルを考える

まず、自社のビジネスモデルや特性にフィットしていることが前提条件となります。その上で、チーム、事業部、事業所地域などの特質や環境によってコンピテンシーは変化します。それぞれに合うコンピテンシーモデルを構築するようにしましょう。

全社員を対象にして実施する

コンピテンシーモデルは、全社員で共有することが大切です。そのコンピテンシーが、社員がとるべき行動の指針となっていきます。

経営方針や理念、ビジネスモデルから落とし込まれたコンピテンシーに沿う行動が積み重ねられていくはずです。社員の成果の向上につながるとともに、企業の期待と一致した貢献ができるようになるでしょう。

定期的な見直しを怠らない

つくり出したコンピテンシーモデルの内容は、一定期間で見直しを行いましょう。時がたてば、事業も、社員も、企業を取り巻く環境も変化していくはずです。日頃から社員とのコミュニケーションを活発にして、意見を汲み取れる環境を作っておくことも大切です。

戦略の大幅なシフトや事業の変更などがない限り、大きな変更があることは少ないかもしれませんが、反映すべき点があれば、改善していきましょう。 

社員のコンピテンシー開発を進めるためには?

コンピテンシー
コンピテンシーの作成は時間のかかるものですが、人材育成や開発、採用の場面でも活用することができます。

人材の育成

自社のコンピテンシーを全社員で共有することで、その内容は社員の行動指針になります。人事評価もこれを基準にして評価されていくことを伝えておくことで、コンピテンシーに沿った行動に絞られてくるでしょう。端的に言えば、高い業績や成果につながる行動をとる社員が増えるということです。

また、育成のための研修などについても、コンピテンシーをもとに施策を講じることができます。それによって、自社内で高いパフォーマンスを発揮する人材を育成することも可能なのです。

採用に活かすポイント

採用選考のとき、経歴、経験などを見ることが多いですが、テストや面接の際にコンピテンシーを活用することもできます。ポイントとなるのは、経験や過去の行動に対して、「なぜそうしたのか」「今後はどうしようと思っているのか」という考え方に着目することです。

実施はコンピテンシーに合わせて質問項目と評価項目を設定しておけば、面接の難易度も下がります。複数の面接官や面接スキルによるばらつきも抑制することができるでしょう。

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