ユニークでアイデア満載な福利厚生を取り入れている企業10選
今回は、ユニークで独特な福利厚生制度をもつ10社の取り組みを紹介します。
各社が自社のニーズや特徴をつかんで工夫を凝らし、従業員満足度から話題性までを獲得しています。どのような内容の制度が、どのような効果をもたらしているのでしょうか。
どのような要素が従業員に響いているのかに注目しながら、チェックしてみてください。
目次[非表示]
- 1.そもそも福利厚生とは?
- 2.自社独自のユニークな福利厚生を導入する企業が増えている
- 3.ユニークな福利厚生制度がある企業事例
- 3.1.大和ハウス工業株式会社
- 3.2.サイボウズ株式会社
- 3.3.株式会社ツナグ・ソリューションズ
- 3.4.レバレジーズ株式会社
- 3.5.株式会社はてな
- 3.6.株式会社エンファクトリー
- 3.7.株式会社Eyes,JAPAN
- 3.8.株式会社Cygames
- 3.9.株式会社サイブリッジ
- 3.10.株式会社バンク・オブ・イノベーション
- 3.11.株式会社ヤプリ
- 3.12.さくらインターネット株式会社
- 4.ユニークな福利厚生制度を取り入れる際のポイント
- 4.1.従業員の目線に立って制度を導入する
- 4.2.社外へのアピールも怠らない
- 5.ユニークな福利厚生を考えてみよう!
そもそも福利厚生とは?
そもそも福利厚生とは、企業が従業員に提供する給与以外の報酬、もしくはサービスのことです。
例えば健康保険や厚生年金などが福利厚生に該当し、企業独自の制度を取り入れている場合もあります。
福利厚生が充実していると従業員の満足度が向上したり、求職者を集めやすくなったりするのが魅力です。そのため企業独自のユニークな福利厚生を導入して、自社の魅力を発信しているケースもあります。
ただし福利厚生の内容によっては課税対象となることから、ユニークな制度を導入したい場合は注意が必要です。課税については以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
福利厚生費も課税対象の一部?内容によって課税・非課税が変わる福利厚生費
自社独自のユニークな福利厚生を導入する企業が増えている
人手不足の中、採用での人材確保や既存従業員の定着という課題に対し、どの企業もさまざまな取り組みを進めています。
その課題解決のための一策となるのが、福利厚生制度の充実です。
求職者が企業選択の際、福利厚生が基準のひとつになるという認識も浸透してきています。各社が福利厚生の整備に積極的になる中、他社と差別化を図ることも重要なポイントになってきます。
ユニークで有効な制度や施策を打ち出し、話題性を高めることで知名度を向上させたり、企業のイメージアップにつなげたりする企業も増えてきています。
それぞれの企業の制度を見ていくと、充実した福利厚生を整備することは大企業の特権(基盤の大きさ)ではなくなっているようです。
中小企業もベンチャーも、工夫を凝らして自社の従業員に喜ばれる制度を見つけ出しています。決して大規模な取り組み、大きな手当の支給だけが、従業員が満足する条件ではないということです。
福利厚生制度の充実は、人材確保や社会的評価への良い効果が期待できるものです。ユニークな制度を構築し導入している企業の意図や視点にも着目したいと思います。 各社の意図や視点をヒントにして、新たに自社に最適な制度を構築していくことも可能と考えます。
ユニークな福利厚生制度がある企業事例
では、ここからユニークな福利厚生制度がある企業を紹介します。制度の内容と、その制度によりどのような効果が得られたのかまでを、詳しくみていきます。
大和ハウス工業株式会社
「親孝行支援制度」
大和ハウス工業株式会社では、介護が必要な家族をもつ従業員のために介護休業を無期限化しています。 さらに介護が必要な家族と離れて勤務する従業員を支援するため「親孝行支援制度」を導入しました。同社は全国展開をしているため転勤者も多く、そのような従業員の行き来の旅費負担が大きかったことが導入のきっかけだったそうです。 年4回を限度に、距離に応じて帰省旅費の補助金が支払われます。例えば、東京~大阪間(約500km)では、1回につき25,000円が支給されます。
効果
介護が必要な親をもつ従業員の経済的負担を軽減するだけでなく、安心して働き続けられることのサポートになります。遠くにいる要介護の家族の状況を心配しながらの業務は、ストレスも大きいものです。経済的、精神的に負担が積み重なれば、やはり退職や転職という選択肢も浮かんでくるでしょう。 従業員が長期的にキャリアを形成しやすい環境を整備することで、従業員のやる気にもつながっています。確かに企業負担は大きいですが、同社は、この経費を投資と捉えているのだそうです。報酬やサービスより、従業員の長期キャリア形成を踏まえた労使の絆の深まる制度といえるでしょう。
参考:生涯現役制度「アクティブ・エイジング制度」介護支援制度「親孝行支援制度」導入|大和ハウス工業
サイボウズ株式会社
「働き方宣言制度」
サイボウズ株式会社には元々、選択型人事制度(9種類)があり、従業員は自分の都合によって9種類の中から自由に勤務時間や場所を選べていました。その柔軟性だけでもユニークですが、2018年に「働き方宣言制度」を導入してその括りを廃止しています。 働き方宣言制度によって従業員が自分で働き方を宣言し、チームメンバーにシェアできるようになりました。働く曜日や時間帯、場所だけでなく、個人的な予定も公表できます。制限だけでなく、許容できる範囲も選択肢に加えることができるようになりました。 例えば、
- 出張や残業の可否の提示
- 通常17時退社の人が、水/木曜日は18時まで仕事ができることを宣言。
- 通常オフィス勤務の人が、月に2回は在宅勤務になることをアナウンス。
- 金曜日は習い事のため14時退社など。
同社の福利厚生や社内制度のオリジナリティには話題性があり、導入する制度のアップデートに積極的であることも有名です。そのアップデート頻度は、従業員の声に常に耳を傾けている証ともいえるでしょう。
効果
選択型人事制度を取り入れたことで、離職率が激減したニュースは多くのメディアでも取り上げられました。「働き方宣言制度」で、従業員が納得のいく働き方を実現しつつ、ともに働くメンバーにも適切に伝わりやすくなります。メンバー同士、個人の働き方の理解や尊重にもつながり、チームワークの強化にも役立っているそうです。 在宅勤務やリモートワークが進む中、起こり得る課題に人事が従業員と一丸となって挑み、解決を図っている印象があります。「これからの働き方」「制度の在り方」を検討される際に、人事の皆様にも役立つヒントが得られる取り組みの多い企業です。
参考:自由すぎる……! サイボウズが最近はじめた新しい「働き方制度」について聞いてみた | サイボウズ式
株式会社ツナグ・ソリューションズ
勉強休暇
アルバイト・パート専門の採用コンサルティング事業を行う株式会社ツナグ・ソリューションズは、従業員の自己啓発学習に対する「勉強休暇」を設けています。インプットをより充実させることを目的としており、年1回、5日間を限度に連続休暇が取れます。さらに勉強資金援助として、かかる費用を負担してくるのも特徴です。 なお勉強休暇を取得した後は、後日勉強した内容を社員全員にフィードバックすることを要件に含めています。
効果
この制度は企業がすべてを準備し、知識やスキルの提供をする研修とは違い、目的も手順もすべて従業員が考えます。その中にアウトプットの機会があることで、従業員の自主性や伝達力のアップにもつながるでしょう。
参考:認定部門 休暇取得促進部門 株式会社ツナグ・ソリューションズ
レバレジーズ株式会社
語学学習支援制度
レバレジーズ株式会社では、オンライン英会話を無料で受講できます。定期的に社内の希望者を募り、定員に達した場合は抽選で受講者を決定しています。無料で受講できるため、従業員に経済的な負担をかけずに済むのも魅力の一つでしょう。お昼休みや早朝の空き時間を利用して学べるため、働きながらスキルアップしたい人におすすめの福利厚生です。
効果
「スキルアップしたいけど学びに行く時間がない」「経済的な負担をかけずに何を習得したい」といった考えを持つ従業員が手軽に学べるのが効果として挙げられます。隙間時間を有効活用できることから、忙しい従業員も学びやすいでしょう。プライベートを充実させながら英会話を学べるため、今後のキャリア形成にも役立ちます。将来英語を活かした業務につきたいと考える従業員にとっては、働くメリットにもなり得ます。
株式会社はてな
フリードリンク・お菓子・置き型社食
はてなブログなどを運営している株式会社はてなでは、オフィスでさまざまな飲み物やお菓子を無料で提供しています。コーヒーメーカーやウォーターサーバーなども用意されており、いつでもドリンクを飲める環境です。間食用のインスタント食品やスナック類なども完備されていて、小腹が空いたときに大活躍するでしょう。置き型社食はコンビニよりも低価格で購入できるため、従業員の経済的な負担も軽減しています。
効果
ドリンクやお菓子が無料で提供されていることから、手軽に気分転換できるのが魅力です。集中力が切れたときや休憩したいときに活用でき、その後の仕事も捗りやすくなるでしょう。置き型社食では専用の冷蔵庫・冷凍庫が用意されており、管理体制も整っています。野菜やフルーツなどを手軽に食べられるため、栄養面で不安を感じる従業員も喜ばれます。
参考:働く環境|株式会社はてな自転車通勤を促進するはてなの取り組みを紹介します|はてな広報ブログ
株式会社エンファクトリー
専業禁止制度
オンラインショッピング事業を中心に手がける株式会社エンファクトリーは、従業員にパラレルワーク(複業)を推奨しています。従業員の「生きる選択肢の拡大」を支援するために「専業禁止」というインパクトのある言葉を用いて導入されています。もちろん、専業が絶対に禁止というわけではありません。 さらに半年に一度の頻度で開催されている「en Terminal」で従業員の状況をシェアしており、社内メンバー同士で情報やアドバイスを交換できます。
効果
複業やパラレルワークが徐々に認識され始め、その効果を狙って複業解禁を宣言している企業も増えています。とはいえ、まだまだ浸透度も企業側の許容度も低いといえるでしょう。 そんな中で「専業禁止」というインパクトのある制度で、エンファクトリーは企業のアピール性を高めています。 経営視点をもつ従業員が増え、主体的に働く人材の確保にもつながっているようです。「専業禁止」により残業時間が減ったという事実はあるものの、それ以上に人材の自立や育成に効果が期待できます。何かを与えるという観点とは少し違った角度から、従業員のキャリア形成と人生を応援している制度です。
株式会社Eyes,JAPAN
Bar Matroshuca(バーマトリョーシカ)
株式会社Eyes,JAPANでは、つらいことや不平不満を吐き出せる場所を用意しています。どれほど素敵な職場で働いていても、毎日仕事をしていると愚痴を吐き出したくなることもあるものです。 そのようなときはBar Matroshucaのマスターに話を聞いてもらい、スッキリすることによって仕事に集中できるようになります。マスターはしっかり従業員の話を聞いてくれるため、気持ちの切り替えになるのです。
効果
仕事でつらいことがあっても、吐き出す相手がいなければ悩む従業員は多いものです。そのようなときにBar Matroshucaを活用すれば、嫌な気持ちを引きずることなく、新たな気持ちで仕事に集中できます。
株式会社Cygames
オフィシャルクラブ制度
株式会社Cygamesでは従業員同士の親睦を深めるために、オフィシャルクラブ制度を導入しています。現在60以上の部活動があり、幅広いエンターテインメントを体感・研究するのに役立てています。 例えば格闘技フィットネス部は、週1回キックボクシングジムへ通っています。体を動かすきっかけになる人もいるでしょう。他にもさまざまな部活動があるため、好きなクラブを探す楽しさもあります。
効果
同社はオフィシャルクラブ制度を通じて、従業員同士の親睦に力を入れています。部活動に参加すると、所属部署という垣根を越えたつながりが生まれるでしょう。すると従業員同士の人間関係にも変化が生まれ、より働きやすい環境を構築できるはずです。
株式会社サイブリッジ
メンター制度
株式会社サイブリッジでは、サイブリッジらしさを正しく伝えるためにメンター制度を導入しています。新入社員1人につき先輩社員が1人ついて悩みがないかを観察したり、業務における指導をしたりします。任期は一般的な試用期間である半年を目安にしており、その間に新入社員は同社で働くうえで必要な知識を身につける仕組みです。
効果
新入社員にメンターとなる先輩社員をつけることで、相談しやすい環境を作っています。直属の上司には話しかけづらいと悩む新入社員であっても、いつも身近にいる先輩社員であれば話せる人も多いでしょう。本来の業務以外に「サイブリッジらしさ」も学べるため、同社の伝統を正しく引き継いでいけます。
株式会社バンク・オブ・イノベーション
花粉症手当
株式会社バンク・オブ・イノベーションでは、福利厚生に花粉症手当を盛り込んでいます。診察代や上質なティッシュ、マスク、目薬などを支給するため、従業員の経済的な負担を軽減できます。通院費用も年1回まで負担されることから、花粉症に悩む従業員に人気の高い福利厚生といえるでしょう。
効果
花粉症になると毎年あらゆる対策が必要となり、多くのコストがかかります。症状のひどい人は常に上質なティッシュを使ったり、定期的な通院が必要だったりするでしょう。そこを同社が福利厚生で負担することにより、より業務に集中できる環境を構築しています。
株式会社ヤプリ
lily制度
株式会社ヤプリでは、仕事とプライベートをより充実させるためにlily制度を導入しました。lily制度とは妊活・不妊治療をサポートする制度のことで、従業員1人あたり最大で50万円までを負担してくれます。 他にも妊活・不妊治療時に使える特別休暇があったり、結婚祝い金として10万円受け取れたりします。この制度を活用すると、働きながら子どもを持ちたい従業員の負担を減らせるでしょう。
効果
妊活・不妊治療を受けると肉体的にも精神的にも大きな負担が生まれます。そこで同社の福利厚生を受けることによって、働きながら子どもを持つのも可能になるでしょう。従業員だけではなく、その家族の生活も守る同社の福利厚生に魅力を感じる人は多いはずです。
参考:ヤプリ、新人事制度「lily制度」を導入開始 〜 働き方支援制度が更に充実、妊活・不妊治療費の補助も開始 〜
さくらインターネット株式会社
子どもに関する支援制度
さくらインターネット株式会社では、子どもに関する支援制度が充実しています。例えば次世代育成手当として、子ども1人につき13,000円を支給しています。20歳以下の子どもがいる家庭が対象となるため、経済的な負担を軽減できるでしょう。 またさくらの祝い金として保育園や幼稚園、小学校などに入学するときお祝い金を受け取れます。子どもが進学するときは金銭的な負担も大きくなるため、従業員を経済的にサポートしています。
効果
子どもを育てていると金銭的なダメージは大きく、働いても出費に追いつかないと感じる家庭は多いです。同社の子どもに関する支援制度を活用すると、金銭的な負担を軽減しながら子育てを行えます。
ユニークな福利厚生制度を取り入れる際のポイント
ユニークな福利厚生を取り入れる際のポイントは、以下のとおりです。
- 従業員の目線に立って制度を導入する
- 社外へのアピールも怠らない
それぞれのポイントについて解説します。
従業員の目線に立って制度を導入する
ユニークな福利厚生を導入するときは、従業員が必要としているかどうかを見極めましょう。たとえユニークさがあっても、従業員に必要とされていない制度を導入したら意味がありません。
無駄なコストがかかるだけで、企業にとっても損となるでしょう。
そのため福利厚生を導入する際は「従業員がほしいと思う制度はなにか」「どのような制度があれば働きやすい環境になるか」などを考慮してみてください。
なかなか候補が見つからない場合は、従業員に直接アンケートを取ってみてもいいでしょう。
良さそうな福利厚生が見つかったら、本格的に導入する前にお試し期間を設けて従業員の意見を聞いてみるのもおすすめです。
社外へのアピールも怠らない
ユニークな福利厚生を導入したら、従業員だけではなく社外へもアピールしていきましょう。
例えばホームページや求人欄に記載してみるのも効果的です。
あらゆる場所でユニークな福利厚生について紹介すると、自社に興味を持った求職者が集まりやすくなるはずです。
福利厚生は求職者の多くが重視しているポイントであるため、自社独自のユニークな制度があればより関心を集めやすいでしょう。
ユニークな福利厚生を考えてみよう!
ユニークな福利厚生を導入すると、従業員の満足度を向上できるほか求職者からの関心も集まりやすくなります。
独自の福利厚生を導入することで他社との差別化にもつながり、より自社の魅力を発信しやすくなるでしょう。
今回紹介した実例を参考に、自社に合ったユニークな福利厚生を考えてみてください。 なお低コストで充実した福利厚生を考えているのであれば、弊社が提供している福利厚生倶楽部がおすすめです。
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