子ども・子育て拠出金(旧:児童手当拠出金)は、企業が納付する義務を負う税金です。この子ども・子育て拠出金の拠出金率は、ここ数年、毎年引き上げられています。健康保険や厚生年金保険などの担当者は、逐次確認が必要です。今回は、子ども・子育て拠出金の内容から計算方法までを詳しく紹介します。

子ども・子育て拠出金とは?

子ども・子育て拠出金(児童手当拠出金)とは?
まず、子ども・子育て拠出金がどのようなものか、概要を確認します。

子ども・子育て拠出金とは、児童手当や子育て支援事業、仕事と子育ての両立支援事業などに充てられている税金です。企業や個人事業主が納めなければならないものです。企業や個人事業主が、国や地方自治体が実施をする子ども・子育て支援策に税金を納めるという形で協力することになります。

従業員の報酬をもとに算出するものですが、従業員の負担は発生しません。雇用者側が全額負担するものです。

以前は、「児童手当拠出金」という名称だったのですが、2015年に現在の「子ども・子育て拠出金」という呼称に変更されました。

この税金は、近年、内容も税率も頻繁に改定されているため、担当者は最新情報を確認しておくことが大切です。経理システムなどを導入されているところも多いと思いますが、改定後は速やかに拠出金率を変更しましょう。現状の拠出金率は、平成30年4月より改定された0.29%です。

子ども・子育て拠出金の仕組み

子ども・子育て拠出金の仕組み
では、子ども・子育て拠出金の仕組みを確認していきます。どの従業員が、子ども・子育て拠出金の徴収対象になるのか、その徴収方法もチェックしましょう。

徴収される対象者の条件

子ども・子育て拠出金徴収の対象となるのは、厚生年金の加入者(従業員)です。したがって、厚生年金に加入する従業員を抱えるすべての企業に納税する義務が課されます。

「子ども・子育て」という文言が含まれているため勘違いされることもあるようですが、その従業員に子供がいるかいないか、あるいは、既婚者か未婚かという点は関係ありません。厚生年金に加入している全員が対象となります。

徴収方法

子ども・子育て拠出金の徴収は、毎月発生します。企業がその拠出額を全額負担するため、従業員の給与などからの天引きは発生しません。他に企業が毎月負担している健康保険や厚生年金保険料と合わせて納付します。健康保険や厚生年金保険料は労使折半ですが、子ども・子育て拠出金は雇用者側の全額負担となる点には注意が必要です。

徴収は厚生年金保険と同じ日本年金機構の管轄ですが、子ども・子育て拠出金は「税金」です。

児童手当との違い

ここで、児童手当との違いについて確認しておきましょう。

児童手当は、国の子ども・子育て支援策の一環として支給されます。子どもを抱える父母が、安定的に子どもを養育できるよう養育費用を支援することや、子どもたちの健やかな成長をサポートする目的で制定されているものです。

0歳から中学卒業(15歳に到達後の最初の年度末まで)までの子供のいる家庭が支給対象で、養育者に支給されます。複数の養育者の場合、うち報酬の多い人(1人)が受給対象となるため、子どもがいるからといって全員が受給できるものではありません。

支給は毎月ではなく、2月、6月、10月です。

子供の年齢、子供の人数、受給者の所得額などに応じて受給額が区分されています。一般の会社員は、地方自治体から直接口座に振り込まれ、公務員は勤務先からの支給です。手続き関連は、養育者と自治体間で行われるもので申請や支給に関して企業の処理はありません。

この児童手当の財源の一部となっているのが、子ども・子育て拠出金なのです。財源は、この子ども・子育て拠出金の他、国と地方(都道府県、市区町村)で構成されています。

子ども・子育て拠出金の用途

子ども・子育て拠出金の用途
続いて、子ども・子育て拠出金がどのようなことに活用されているかを見ていきましょう。先ほど説明した児童手当が主な使い道ではありますが、その他にも、子どもの保育、育児、育成に関わるさまざまな事業に充てられています。

  • 児童手当の支給
  • 地域子ども・子育て支援事業
    放課後の児童クラブ、病児保育およびその設備等、延長保育事業
    親子の交流促進事業、育児相談、妊婦健診、乳児のいる家庭訪問
  • 仕事・子育て両立支援事業
    企業における保育事業やベビーシッター利用者支援へのサポート

子ども・子育て拠出金の拠出金率

では、実際の子ども・子育て拠出金の拠出金率について説明していきます。

拠出金率とは?

拠出金率とは、所得に占める割合、つまり、納税額を決める税率のことです。子ども・子育て拠出金の拠出金率は、国が制定し現状は日本年金機構が公表します。

仕事と子育ての両立支援や少子化対策の必要性が高まっていることから、関連制度の改定が活発になっています。子ども・子育て拠出金の拠出金率の改定も例外ではありません。1年単位で頻繁に引き上げられているため、注意が必要です。

直近の拠出金率は0.29%で、平成30年4月に改定されました。平成31年度も引き上げられる可能性がありますのでご注意ください。

拠出金率の推移

参考のために、直近の拠出金率の推移を紹介します。平成27年度以降は、毎年、改定されています。平成29年度と30年度の差は0.06で大きな引き上げが実施されました。

平成27年度(2015)0.15%
平成28年度(2016)0.2%
平成29年度(2017)0.23%
平成30年度(2018)0.29%

子ども・子育て拠出金の計算方法

子ども・子育て拠出金の計算方法
子ども・子育て拠出金の計算方法を説明します。

拠出額は、従業員個々の標準報酬月額及び標準賞与額に応じて算出し、その合算が納付額となります。従業員報酬の総額から算出するものではありません。

計算方法

従業員ごとの拠出金計算は2つのステップを踏みます。

  1. 標準報酬月額の確認
  2. 子ども・子育て拠出金率をかける(乗じる)

標準報酬月額の確認

まず、従業員の所得額から、標準報酬月額を確認します。標準報酬月額は、厚生年金保険料の算出で用いられる厚生年金保険料額表で割り出します。

標準報酬月額とは、報酬月額が31の等級に区分され、その従業員の報酬額があてはまる等級ごとに定められた報酬額のことを指します。

月額報酬が93,000円以下の場合は、1等級で標準報酬月額は一律88,000円です。
月額報酬が605,000円以上の場合は、31等級で標準報酬月額は一律620,000円です。

最新は下記の平成29年9月分(10月納付分)適用の内容となっています。

参照:
平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(PDF資料)|日本年金機構
厚生年金保険料額表|日本年金機構

子ども・子育て拠出金率をかける

最新の子ども・子育て拠出金率は0.29%です(2018年10月現在)。上記で確認した標準報酬月額に、0.29%をかけて計算します。1円未満の端数については、切り捨てます。

月額報酬が123,000円の場合、6等級で標準報酬月額は126,000円です。この標準報酬月額に子ども・子育て拠出金率の0.29%をかけた結果が、子ども・子育て拠出金です。

  • 算出式
    126,000 × 0.0029 = 365.4

この場合、子ども・子育て拠出金は365円(1円未満切り捨て)となります。

実際の給与をもとにした計算例

では、報酬(給与)例にあてはめて計算してみましょう。3人の従業員(A・B・C)を抱える企業を例にあげます。

  • 従業員A
    月額報酬:14万円
    標準報酬月額:14万2千円(8等級)
    142,000円 × 0.0029 = 411.8
    子ども・子育て拠出金 = 411円(1円未満切り捨て)
  • 従業員B
    月額報酬:30万円
    標準報酬月額:30万円(19等級)
    300,000円 × 0.0029 = 870
    子ども・子育て拠出金 = 870円
  • 従業員C
    月額報酬:27万円
    標準報酬月額:28万円(18等級)
    280,000円 × 0.0029 = 812
    子ども・子育て拠出金 = 812円
  • 企業が支払う子ども・子育て拠出金の合計
    = 従業員A(411円)+ 従業員B(870円)+ 従業員C(812円)= 2,093円