福利厚生の中でも、社員食堂の設置は、従業員に大変喜ばれている施策です。今回は、社員食堂の導入のメリット、運営方式や手順、運営上のポイントや注意点などをまとめました。中小企業でも、比較的コストを抑えて導入できるサービスも増えてきています。すでに導入している企業の特色も紹介していますので、参考にしてください。

福利厚生について詳しくは、こちらの「福利厚生で人気の種類はコレ!福利厚生検討前に知っておきたいアレコレ」もあわせてご覧ください。これを読めば、福利厚生の基本的なことはすべて理解できます。

社員食堂を導入するメリット

社員食堂を導入することで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。企業側、従業員側それぞれの視点で紹介していきます。

企業側のメリット

  • 社内の交流の場となり、コミュニケーションが活性化する
  • 従業員の健康管理、維持、増進のサポートができる
  • 採用時のアピール要素となり、人材確保にも有効

従業員のメリット

  • 飲食費を抑えられる
  • 外に出る必要がなく、すぐに食事ができる
  • 栄養バランスの整った食事ができる

社員食堂を導入している企業の割合

社員食堂を導入している企業の割合
労働政策研究・研修機構は、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査(2017年)」を行っています。2,809社の回答企業のうち、社員食堂を福利厚生施策として導入している企業は24%です。

コスト負担が大きいと捉えられがちな社員食堂ですが、法人を対象とした給食業務のアウトソーシングサービスも急速に増えています。従業員に人気のある福利厚生ですので、今後も、導入が増えていくと思われます。

社員食堂はこんな企業におすすめ

飲食関連の福利厚生制度は、従業員のニーズがとても高いです。従業員の日々の生活と業務に、大きな影響を与える施策です。労働環境を改善して人材の定着率を上げることが課題となっている企業は、検討する価値があると思います。

マンパワーグループの調査(2015年)では「会社の福利厚生として良いと思うもの」として33.9%の人が「食堂、昼食補助」と答えています。

従業員が多く、部門ごとに職場が仕切られており、全従業員の共通スペースが少ないという企業には、社員食堂がおすすめです。社員食堂が、他部署の誰かとコンスタントに顔を合わせられる場所となるでしょう。

社員食堂の運営方式

社員食堂の運営方式
社員食堂を導入している企業を見ていくと、各社さまざまな形態で運営しています。社員食堂の運営方式としては、どのような種類があるのか紹介します。

運営方式の種類

主な運営方式は、大きく分けると3つあります。とくに、資金面で懸念のある企業であれば、外部委託方式の情報を集めていくと、社員食堂導入の可能性がより広げられるでしょう。

直営方式

社員食堂の施設や設備を自社で準備し、食堂で働く調理師や栄養士なども直接雇用して、経営の一部として社員食堂を自社で運営していく方式です。

準直営方式

食堂事業を行う会社を別途新設して、社員食堂の業務を任せて運営をしていく方式です。

外部委託方式

社員食堂に必要な給食業務を外部委託する方式です。複数の委託会社を併用する場合もあれば、1社に一括で委託する場合もあります。調理スペースが作れなくても、すでに調理したものを外部委託業者に配達してもらうという方法もあります。

社員食堂を作るのにかかる費用項目

社員食堂を作るにあたり、かかる費用の項目を挙げてみます。

  • 調理スペース、厨房設備、調理器具
  • 従業員の飲食スペース
  • 水道光熱費
  • 食材費
  • 備品、食器類
  • 食堂業務人件費(栄養士、調理師、配膳)
  • アウトソーシング費用

社員食堂の運営にかかる費用は非課税になる?

社員食堂にかかる費用は福利厚生費として計上できる?
社員食堂の運営でかかる費用は、無条件で非課税になるわけではありません。非課税の福利厚生費として計上するためには、一定の要件が定められています。要件を満たさない場合は、課税対象になります。

どのような方法で提供しているかで算出方法なども異なり、やや複雑ですが、従業員負担(所得税)にも関わってくるので、きちんと押さえておく必要があります。

国税庁は、従業員の食事に関する費用を非課税とするための2つの要件を定めています。

  • 従業員が食事費用の半分以上を負担していること
  • 月々の企業負担額()が3,500円(税抜き)以下であること

食事の価額から従業員が負担している金額を引いた金額

つまり、社員食堂の食事を無料とした場合は従業員負担が少なくなるように感じますが、課税対象になるので注意が必要です。

社内で調理をして提供している場合は、調理にかかる材料費や調味料の合計額で計算します。お弁当などを支給している場合は、業者に支払う額での算出です。

社員食堂を導入している企業の事例

社員食堂を導入している企業の事例
社員食堂といっても、企業が変われば、社員食堂の特色もさまざまです。企業色豊かな各社の社員食堂を紹介します。

Yahoo

Yahooでは自社ビルの中の2フロアに社員食堂を設け、ひとつは社員専用、もうひとつは一般の人も利用できるようにしています。ランチだけでなく朝、夜の食事もあり、朝食は無料で提供されています。ランチ価格を「業績連動」としているところも面白いです。

伊藤忠

伊藤忠は、地下1階に850人収容できるカフェテリア形式の社員食堂を設置。朝8時前に出勤した社員には、チョイスが豊富な軽食を無料で配布しています。健康に配慮したヘルシーメニュ―、TFT(寄付金対応)メニューなども提供されています。

ソニー

ソニーの社員食堂は通常の配膳サービスに加えて、ビュッフェコーナー、リラックスゾーンを設置し、テイクアウトにも対応しているそうです。混雑を回避するため、部門ごとに利用時間をずらす工夫もされています。運営会社を2社導入して、質とサービスの向上が図られています。

タニタ

タニタは、ダイエットにもいい健康食を社員食堂で提供しています。そのメニューレシピはWEB上にも公開されており、社員食堂の存在を、自社事業に紐づけて有効活用しています。完全予約制というのが特徴で、一人ひとりの健康課題に合わせてメニュー選択できるところが魅力です。

はてな

はてなは、キッチンスペースとして近くのマンションの一室を賃貸。調理担当(まかないシェフ)を雇って、ブッフェ形式の社食(まかないランチ)を無料提供しています。このまかないランチは始まって以来、同じメニューが出たことはほぼないとのことで、飽きのこない配慮がされています。

ワークスメディア

ワークスメディアは、社内にキッチンはあるものの、従業員数が少ないため、社食提供は週3回の予約制になっています。調理は近所の主婦と契約しているそうです。余った食材は、従業員の夜食(無料)として提供されています。

日本オラクル

日本オラクルの社員食堂は、プレートA、B、カロリー600、パスタ、麺、丼ぶりのメニューから選べる、500円のワンコイン制です。朝8時から夜8時まで利用することができます。サラダバーやスムージーなども喜ばれているようです。

ルネサス エレクトロニクス

ルネサス エレクトロニクスは、「日本一野菜のおいしい社内カフェ」をテーマに社員食堂を運営しています。有機野菜など食材を提供する提携会社を厳選し、従業員の健康づくりに貢献しています。

社員食堂を導入する方法

社員食堂を導入する方法
では、実際に社員食堂を導入するまでの手順と、導入にあたり注意しておきたいポイントを説明します。

導入手順

運営方式を決定する

まずは、先に紹介した3種類の運営方式の中から、どの運用方式にするのかを決定します。

従業員ニーズの確認

早い段階で、従業員に意識調査を行うと役立ちます。たとえば、現在のランチの状況や希望、問題点、個人的な健康面の悩みなどを聞くことで、従業員のためになり、喜ばれる内容を整えやすくなるでしょう。

提供スタイルと配膳形式を決定する

提供スタイルは、単一日替わり方式、複数定食方式、複数の小鉢を選択できる自由選択式、ビュッフェスタイル、フードコート式などです。あわせて、配膳形式はセルフなのか、一部セルフにするのか、もしくは一般のレストランのようにフルサービスにするかも決めておきましょう。

レイアウトの決定

レイアウトは提供スタイルによっても異なりますが、十分な座席の確保が大切です。せっかくのスペースが閑散としてしまうと運営側としてはマイナスになります。逆にいつも混んでいるとなると、従業員がゆっくりと食事を楽しむことができません。従業員の利用率を予測しながらレイアウトを決定する必要があるでしょう。

スタッフの採用、確保

完全な外部委託ではない場合、社員食堂スタッフを確保します。食堂スペース、利用する従業員の規模に合わせて、必要なポジションを設置しましょう。調理師、栄養士、配膳スタッフなど、十分な数を検討して進めてください。上記で検討した内容にマッチする人材採用をおすすめします。

メニュー選定

具体的なメニューの種類や数を検討していきます。栄養バランスへの配慮も含め、調理師や栄養士の意見を取り入れましょう。また、従業員に対するアンケートやヒアリングなどで希望を把握し、選定材料にしていくことも大切です。

外部業者の選定

完全に自社で運営していく場合にも、食材や備品の取引をする業者の選定が必要です。また、一部外部委託にする場合も、自社の予算やニーズにフィットする委託先を選定します。

注意すべき点

法的問題をクリアする

飲食を扱うので、所定の書類を用意して保健所に届け出なければなりません。企業と従業員の負担割合も設定します。また、1回100食分を超えるなど、一定数の食事提供を行う場合は、栄養士の配置も義務付けられています。

メニューには細心の配慮を

費用や時間の面では有効性を感じても、メニューや味が伴わなければ、せっかくの導入が水の泡になることもあります。年代、男女でも好みは異なるため、極力、従業員ベースでメニューを整えることが大事です。

社員食堂は喜ばれる施策ですが、その一方で、頻繁に利用されるからこそ幻滅させる可能性も否めません。喜ばれ続けるためにも「質」は確保しておくべきところです。

軌道に乗るまでの担当者負担

社員食堂の導入から運営までが軌道に乗るまでは、自社側の担当者が必要でしょう。大規模になれば、専属の担当者が必要になるかもしれません。兼任する担当者であれば他の業務との兼ね合いも、あらかじめ考えて進めることが大切です。

社員食堂の管理、運営方法

社員食堂の管理・運営方法
社員食堂の管理、運営の方法について説明していきます。

1メニューあたりの値段設定

予算を考慮して、無理な運営にならないことが前提です。その上で、課税/非課税のライン、使う材料のバリューを踏まえて値段設定します。

300円~700円くらいの設定がよく見受けられます。一食500円がひとつの目安となるでしょう。一律にするか、メニューごとに分けるのかも検討ポイントです。

従業員への費用の負担方法

従業員との費用負担の分け合い方にもいろいろあります。

  • 全額を企業側が負担する
  • 直接費(食材費)の一部を喫食者が負担する
  • 直接費(食材費)の全部を喫食者が負担する
  • 直接費(食材費)の全部と間接費の一部を喫食者が負担する
  • 全額を喫食者が負担する

メニュー管理

メニューをどうするかは、社員食堂を利用する従業員の満足度を左右します。できるだけ豊富なほうが喜ばれるものですが、一定の種類しか出せない場合も、日替わりなどで対応できるといいでしょう。予算や仕入れ具合も影響するので、調理師と栄養士の意見をうまく活用してください。

定期的に従業員の評価や感想を反映させていく方法もおすすめです。

栄養(健康)管理

食事は健康への影響度も大きいため、栄養面にも気を配る必要があります。嗜好を満たすことも大切ですが、健康面に配慮されたメニューの提供は従業員への健康投資になり、結果的に従業員に喜ばれます。カロリー計算、栄養バランスを考えた食事を提供しましょう。

食べ残しなどの対応

食べ残しは、新たなコストを招いてしまいます。メニュー自体の変更、ボリュームを調節するなどの改善をしていきましょう。防止策として予約制にすることも一手です。分析のためのデータも集めやすくなるはずです。

社員食堂以外の食事補助の例

社員食堂以外の食事補助の例
社員食堂以外にも、食事補助となる施策はあります。最後に、その事例を紹介します。

オフィス常駐型サービス

オフィスに冷蔵庫(冷凍庫)や電子レンジを設置するだけで健康的な食事が届く、オフィス常駐型の配送サービスがあります。従業員の食事環境を整えたい、でも初期導入費用は抑えたい、という企業におすすめです。

OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)

OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)
オフィスに冷蔵庫(冷凍庫)を設置するだけでいつでも健康的な食事ができるOFFICE DE YASAI。オフィスやクリニッ ク、教育機関など1,000拠点以上に導入されていて、取扱商品数も50種類以上と豊富です。配達員が商品の管理や集金 管理を行ってくれるため、余計な手間をかけずに導入が可能です。

プランは2つで、新鮮なサラダやフルーツが届く「オフィスでやさい」と、無添加や国産にこだわった冷凍惣菜が届く「オフィスでごはん」があります。予算と従業員のニーズに合わせて選択することができます。

OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)OFFICE DE YASAI 詳細はこちら

オフィスおかん

オフィスおかん
オフィスおかんは、電子レンジを用意するだけで美味しくて安心なお惣菜がオフィスに届くサービスです。導入実績 は1,500社。従業員3名から1,000名を超える企業まで、規模を問わず、さまざまな業界で導入されています。

チケットサービス

外での飲食代の支払いにチケットを使えるサービスです。
従業員に「電子カード」もしくは「食事券」を配布し、全国で利用してもらうことができます。食事補助に使った飲食代を福利厚生費として計上処理するサポートも整っています。

オフィスコンビニ

オフィスの中に小さなコンビニのような販売スペースを置くという方法もあります。契約をすれば、ニーズに合わせて商品選択ができて、毎日、もしくは定期的に業者が補充に来てくれるサービスです。ドリンク、お菓子、軽食、お惣菜、パン、おにぎりなど低価格で提供できます。

食事補助について詳しくは、こちらの「福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法」もあわせてご覧ください。