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「子の看護休暇」のポイント、時間単位でも取得可能

子の看護休暇の取得は、未就業児の子どもを抱える従業員の権利です。

申請があれば、速やかに対応できるよう、担当者は制度内容をきちんと把握しておく必要があります。

ここでは、子の看護休暇の概要、条件や対象者、新しく改定された内容、助成金に関することまで詳しく説明します。


目次[非表示]

  1. 1.「子の看護休暇」とは
  2. 2.他の休暇・欠勤との違い
    1. 2.1.「子の看護休暇」は欠勤扱いになる?
    2. 2.2.介護休暇との違い
  3. 3.利用する際の条件
    1. 3.1.利用可能な労働者の雇用形態
    2. 3.2.利用できるシーン
    3. 3.3.申請・取得の流れ
  4. 4.何歳までの子どもに使える?
  5. 5.「子の看護休暇」で取得できる日数
    1. 5.1.取得可能な日数/年
    2. 5.2.時季変更権の有無
    3. 5.3.給与の有無
  6. 6.育児・介護休業法施⾏規則にて、時間単位で取得可能
    1. 6.1.過去の状況
    2. 6.2.現在の状況
  7. 7.子の看護休暇に関わる国の助成金
    1. 7.1.助成金の種類
    2. 7.2.助成金対象となる企業の条件
    3. 7.3.助成金額

「子の看護休暇」とは

「子の看護休暇」とは

子の看護休暇とは、子どもが病気やケガをした際に看護のために取得できる休暇制度です。

この制度は育児・介護休業法に基づき、対象となる子どもを持つ従業員が取得できる権利として定められています。

企業は、就業規則などに子の看護休暇の内容を明記する義務があります。

法で定められている子の看護休暇は最低限の条件であり、企業がそれを上回る条件で独自に制度を設けることも可能です。

いずれの場合も、具体的な内容を就業規則に詳細に記載しておくことが重要です。

なお、2025年4月の法改定により、制度の名称は「子の看護休暇」へ変更されます。

この改定に伴い、企業は就業規則の更新を忘れずに行う必要があります。

他の休暇・欠勤との違い

他の休暇・欠勤との違い 子の看護休暇は欠勤扱いになるのか、また、他の休暇との違いを見ていきましょう。

「子の看護休暇」は欠勤扱いになる?

子の看護休暇を欠勤扱いにするかどうかは、企業の裁量に任された範囲です。

欠勤(無給)とする場合でも、子の看護休暇は法律で定められた休暇ですので、「通常の欠勤」と「子の看護休暇での欠勤」は別扱いにしなければなりません

欠勤扱いにすると、評価や査定に影響する可能性もでてきます。

育児・介護休業法では、子の看護休暇の取得によって従業員に不利益が発生することを禁じています。

査定項目と区別する規則も制定しておかなければなりません。

有給にするか無給にするかも企業判断の範疇ですが、内容については就業規則などに明確に記載し、雇用契約時点で労使双方が同意しておく必要があります

有給に関する基本情報については、以下の記事よりご確認ください。

  【総務人事担当者必読】年次有給休暇の付与日数とは?年次有給休暇の基本 年次有給休暇の付与日数と基本について徹底解説!労働基準法の改正に基づき、全ての労働者に年次有給休暇を適切に付与し、取得率を向上させる方法を詳しく説明します。フルタイムやパートタイム労働者の違い、半日休暇・時間単位年休、時季変更権の活用法など、経営者や総務人事担当者に役立つ情報満載です。 株式会社リロクラブ


介護休暇との違い

介護休暇と子の看護休暇は、日数条件など制度内容が似ています。

この2つの大きな違いは、対象者の違いです。

介護休暇は、要介護状態にある家族の介護を行う従業員が対象となります。

要介護とは、国の要介護認定を受けていない場合もあてはまります。

病気や骨折などで、2週間以上に渡って介護が必要な場合は利用できます。

【介護休暇の家族範囲】

配偶者、子ども、実父母、配偶者の父母のほか、扶養中の同居の祖父母、兄弟姉妹や孫までが含まれます。

利用する際の条件

利用する際の条件 子の看護休暇は、子どもをもつすべての従業員が対象とはされていません。

育児・介護休業法で定められている利用条件を確認しましょう。

利用可能な労働者の雇用形態

子の看護休暇は、正社員に限らず、ほぼすべての雇用形態の従業員が利用できます

契約社員やパートタイム、アルバイトも該当します。

対象外(利用不可)として認められるのは、以下の場合です。

  • 日雇い従業員
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の従業員(労使協定により)

上記が育児・介護休業法で定められた最低限の適応条件となります。

これらを満たした上で、対象範囲を広げることは可能です。

参照:育児休業制度(PDF資料)|厚生労働省

2025年4月1日施行の育児・介護休業法改正による変更点

2025年4月1日施行の改正により、労使協定によって「雇用期間が6ヶ月未満の従業員」を子の看護等休暇の対象から除外することができる規定が廃止されます。

これにより、雇用期間に関わらず、すべての労働者が子の看護等休暇を取得できるようになります。

参照:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

利用できるシーン

子の看護休暇が、どのようなシーンで利用できるのかを確認しましょう。「子どもの健康面に関する理由」での休暇と考えることができそうです。

  • 子どもの体調不良、病気、ケガ
  • 子どもの通院
  • 乳幼児健診
  • 子どもの予防接種

2025年4月1日施行の育児・介護休業法改正による変更点

2025年4月の改正により、子どもの健康管理や育児に関する幅広いシーンで休暇を取得しやすくなります。

  • 感染症の流行等による保育所や学校の休業(例:学級閉鎖)
  • 子どもの入園式や入学式への参加

以上の二点も休暇対象の条件となります。

申請・取得の流れ

子の看護休暇の取得申請は、電話などの口頭での申出も認められています

子どもの病気やケガは予測が難しく、当日の申請が必要になるケースも多いため、柔軟な対応が求められます。

企業は、必要に応じて証明書類の提出を求めることができますが、提出時期は後日でも差し支えありません。

ただし、企業が規則で証明書類の提出を義務付けている場合であっても、提出がないことを理由に労働者の子の看護休暇の権利が消滅することはありません

また、育児・介護休業法では、子の看護休暇の取得により従業員が不利益を被ることを禁じています。

そのため、評価や査定に影響しないよう、就業規則に明確に規定し、従業員へ周知することが重要です。

ポイント:

  • 申請方法の柔軟性:労働者が子の看護休暇を取得する際、電話などの口頭申請も可能であり、企業はこれを受け入れる必要があります。
  • 証明書類の取扱い:企業は必要に応じて証明書類の提出を求めることができますが、提出時期については柔軟に対応し、後日の提出を認めることが望ましいです。
  • 労働者の権利保護:証明書類の未提出を理由に労働者の子の看護休暇の権利を制限することはできません。
  • 不利益取扱いの禁止:育児・介護休業法により、子の看護休暇の取得を理由に労働者が不利益を受けることは禁じられています。

これらを踏まえ、企業は就業規則や社内手続きを整備し、労働者が安心して子の看護等休暇を取得できる環境づくりを進めることが求められます。

何歳までの子どもに使える?

何歳までの子どもに使える? 子の看護休暇は「小学校就学の始期に達するまで」の子どもの病気やケガの際に利用できます。年齢でいうと6歳です。小学校に上がる年齢ですが、6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日までとなっています。

上記は、あくまで育児・介護休業法に定められた最低条件です。

6歳以降も子の看護休暇の取得を認める企業も増えています。

2025年4月1日施行の育児・介護休業法改正による変更点

「小学校第3学年修了前」の子どもの病気やケガの際に利用できます。

具体的には、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもが対象となります。

これは、従来の「小学校就学の始期に達するまで」(6歳)からの拡大となります。


変更前


変更後

対象年齢


小学校就学の始期に達するまで(6歳)


小学校第3学年修了前(9歳)


具体的な対象年齢


6歳の誕生日を含む年度の3月末日まで


9歳に達する日以後の最初の3月31日まで

「子の看護休暇」で取得できる日数

では、子の看護休暇の年間日数の定め方を説明します。 子どもが複数になる場合は、これらが変動します。時季変更権、給与関連についても触れていますのでご確認ください。


取得可能な日数/年

取得可能な日数は、子ども1人につき年間(一年度)に5日間です。4~3月が通例ですが、企業の会計年度などに合わせて1~12月などに変更することも可能です。この場合も、就業規則などへの記載は必須です。 該当年齢の子どもが2人以上いる場合は、10日間となります。3人の場合でも10日間が限度で、人数に比例するわけではないので注意してください。


時季変更権の有無

時季変更権とは、企業の繁閑期(季節や時期)に応じて休暇取得の可否を調整できる企業側の権利のことです。子の看護休暇については、企業は時季変更権をもちません。ですので、企業側は子の看護休暇の申し出を拒むことはできません。子どもの看護の必要性は1年中発生する可能性があり、労働者本人がコントロールできるものではないからです。


給与の有無

子の看護休暇の制度は、休暇取得の権利の発生を定めたものです。賃金については育児・介護休業法で定められていません。したがって、子の看護休暇の取得に対し、賃金を支払うかどうかは企業の判断に委ねられています。有給でも無給でも良いということになります。 無給とされる場合は、子どもの病気やケガのときに、年次有給休暇を優先して取得申請されるケースが多いでしょう。賃金としてではなく、別途、子の看護休暇に対して一定額を支給しているところもあるようです。有給かそうでないかは、企業の福利厚生の充実度を示す要素のひとつといえるでしょう。

■参考記事;福利厚生とは?人気の種類・導入方法やおすすめの代行サービスを解説!


育児・介護休業法施⾏規則にて、時間単位で取得可能

育児・介護休業法施⾏規則等の改正で時間単位で取得可能に ⼦の看護休暇が時間単位で取得できるようになっています。

過去の状況

2021年の育児・介護休業法改正前は、子の看護休暇は半日単位の取得しかできませんでした。

しかし、実際の利用の現状をみると、重症の看病が必要な場合を除いては、予防接種や軽度の症状に対する診察など、数時間で終えられるようなものもありました。

半日単位では子の看護休暇を柔軟に取得ができないということで、時間単位で取得できるようになりました。


現在の状況

2021年以降の現在の状況は以下の二点の通りです。

  • ⼦の看護休暇が時間単位で取得できる
  • すべての労働者が取得できる

これまで、子の看護休暇の取得は半日単位でした。それが、より柔軟な時間単位(1時間の整数倍の時間)に変更になっています。また、1⽇の所定労働時間が4時間以下の労働者は、子の看護休暇を取得できませんでした。その制限条件がなくなりました。

参考:⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!|厚生労働省(PDF資料)



子の看護休暇に関わる国の助成金

子の看護休暇に関わる国の助成金 子の看護休暇を導入・運用し、一定の条件を満たす企業は、国からの助成金を受けられる場合があります。

とくに、育児をしながら働く女性従業員のいる企業は、確認されることをおすすめします。 助成金受給対象の条件に該当しているのであれば、管轄機関に申請をしましょう。これにより、有給とする場合でも、企業負担を軽減できます。

助成金の種類

子の看護休暇に関する助成金は、両立支援等助成金の「育児休業等支援コース」にある「職場復帰後支援」に該当します。

したがって、育児休業から復帰した従業員の子の看護休暇制度利用に対する助成となります。

助成金対象となる企業の条件

助成金対象となる主な要件は以下のようになっています。

  • 中小企業である
  • 法定範囲を上回る子の看護休暇制度(A)を導入している
  • 法定範囲を上回る保育サービス費用補助制度(B)を導入している
  • 子の看護休暇制度を導入し、育児休暇から復帰後の利用実績* があること *利用実績は具体的に子の看護休暇制度(A)であれば10時間以上(有給)の取得、または保育サービス費用補助制度(B)であれば3万円以上の補助実績

助成金額

制度導入に対して、28.5万円<36万円>の支給。

子の看護休暇制度(A)利用に対して、1,000円<1,200円>×時間が支給。

保育サービス費用補助制度(B)利用に対して、実費の2/3が支給。

上限

一企業あたり、3年以内5名(育児休業から復帰した従業員)までです。

子の看護休暇制度(A)利用に対して一企業あたり、200時間<240時間>* の上限があります。

また、保育サービス費用補助制度(B)利用に対しては一企業あたり、20万円<24万円>* の上限があります。

* <>内は、生産性向上が認められた場合

参照:2021年度両立支援等助成金のご案内(PDF資料)|厚生労働省




RELO総務人事タイムズ編集部
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