子の看護休暇が、平成29年度1月から改定・施行されています。子の看護休暇の取得は、未就業児の子どもを抱える従業員の権利です。申請があれば、速やかに対応できるよう、担当者は制度内容をきちんと把握しておく必要があります。ここでは、子の看護休暇の概要、条件や対象者、新しく改定された内容、助成金に関することまで詳しく説明します。

「子の看護休暇」とは?

「子の看護休暇」とは?
子の看護休暇は、子どもの病気やケガなど看護が必要なときに利用できる休暇です。育児・介護休業法に定められた休暇規定のひとつで、対象児童をもつ従業員は休暇を取得する権利があります。企業は、就業規則などに内容を記載する必要があります。

法規定にある子の看護休暇は、最低限の条件です。上回る条件であれば、企業が独自に制定することもできます。いずれにしても詳細まで就業規則などに記載することが大切です。

他の休暇・欠勤との違い

他の休暇・欠勤との違い
子の看護休暇は欠勤扱いになるのか、また、他の休暇との違いを見ていきましょう。

「子の看護休暇」は欠勤扱いになる?

子の看護休暇を欠勤扱いにするかどうかは、企業の裁量に任された範囲です。欠勤(無給)とする場合でも、子の看護休暇は法律で定められた休暇ですので、「通常の欠勤」と「子の看護休暇での欠勤」は別扱いにしなければなりません

欠勤扱いにすると、評価や査定に影響する可能性もでてきます。育児・介護休業法では、子の看護休暇の取得によって従業員に不利益が発生することを禁じています。査定項目と区別する規則も制定しておかなければなりません。

有給にするか無給にするかも企業判断の範疇ですが、内容については就業規則などに明確に記載し、雇用契約時点で労使双方が同意しておく必要があります。

介護休暇との違い

介護休暇と子の看護休暇は、日数条件など制度内容が似ています。この2つの大きな違いは、対象者の違いです。介護休暇は、要介護状態にある家族の介護を行う従業員が対象となります。

要介護とは、国の要介護認定を受けていない場合もあてはまります。病気や骨折などで、2週間以上に渡って介護が必要な場合は利用できます。

【介護休暇の家族範囲】
配偶者、子ども、実父母、配偶者の父母のほか、扶養中の同居の祖父母、兄弟姉妹や孫までが含まれます。

利用する際の条件

利用する際の条件
子の看護休暇は、子どもをもつすべての従業員が対象とはされていません。育児・介護休業法で定められている利用条件を確認しましょう。

利用可能な労働者の雇用形態

子の看護休暇は、正社員に限らず、ほぼすべての雇用形態の従業員が利用できます。契約社員やパートタイムやアルバイトもあてはまります。

対象外(利用不可)として認められるのは、以下の場合です。

  • 日雇い従業員
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の従業員(労使協定により)
  • 雇用期間が6ヶ月に満たない従業員(労使協定により)

上記が育児・介護休業法で定められた最低限の適応条件となります。これらを満たした上で、対象範囲を広げることは可能です。

参照:育児・介護休業制度ガイドブック(PDF資料)|厚生労働省

利用できるシーン

子の看護休暇が、どのようなシーンで利用できるのかを確認しましょう。「子どもの健康面に関する理由」での休暇と考えることができそうです。

  • 子どもの体調不良、病気、ケガ
  • 子どもの通院
  • 乳幼児健診
  • 子どもの予防接種

申請・取得の流れ

従業員の取得申請は、電話などの口頭でも認められるものとされています。子どもの病気やケガはあらかじめ予測できるものではありませんし、当日に申請手続きの余裕がないことも多いでしょう。証明書類の提出を求めることもできますが、後日の提出でも可能とするのが適切です。

ただ、企業の規則として証明書類の提出を義務付けていて、もし提出がなかった場合でも、子の看護休暇の権利が消滅することはありません。

何歳までの子どもに使える?

何歳までの子どもに使える?
子の看護休暇は「小学校就学の始期に達するまで」の子どもの病気やケガの際に利用できます。年齢でいうと6歳です。小学校に上がる年齢ですが、6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日までとなっています。

上記は、あくまで育児・介護休業法に定められた最低条件です。6歳以降も子の看護休暇の取得を認める企業も増えています。

「子の看護休暇」で取得できる時間・日数

では、子の看護休暇の年間日数や時間数の定め方を説明します。

子どもが複数になる場合は、これらが変動します。時季変更権、給与関連についても触れていますのでご確認ください。

取得可能な日数/年

取得可能な日数は、年間(一年度)に5日間です。4~3月が通例ですが、企業の会計年度などに合わせて1~12月などに変更することも可能です。この場合も、就業規則などへの記載は必須です。

該当年齢の子どもが2人以上いる場合は、10日間となります。3人の場合でも10日間が限度で、人数に比例するわけではないので注意してください。

時間数の定め方

時間数の定め方
法定上は、1日単位、半日単位での取得が可能です。1時間単位で取得できると条件を広げている企業もあります。1時間単位の場合は、企業ごとに検討して就業規則などに記載します。

時間数で考える場合、通常は、各従業員の所定労働時間数が基準です。たとえば、1日の所定労働時間が6時間の従業員であれば、1日=6時間でカウントします。

半日単位の場合は、該当時間によって法定制度に絡む部分があるので、このあとの項目で詳細を確認してください。

時季変更権の有無

時季変更権とは、企業の繁閑期(季節や時期)に応じて休暇取得の可否を調整できる企業側の権利のことです。子の看護休暇については、企業は時季変更権をもちません。ですので、企業側は子の看護休暇の申し出を拒むことはできません。子どもの看護の必要性は1年中発生する可能性があり、労働者本人がコントロールできるものではないからです。

給与の有無

子の看護休暇の制度は、休暇取得の権利の発生を定めたものです。賃金については育児・介護休業法で定められていません。したがって、子の看護休暇の取得に対し、賃金を支払うかどうかは企業の判断に委ねられています。有給でも無給でも良いということになります。

無給とされる場合は、子どもの病気やケガのときに、年次有給休暇を優先して取得申請されるケースが多いでしょう。賃金としてではなく、別途、子の看護休暇に対して一定額を支給しているところもあるようです。有給かそうでないかは、企業の福利厚生の充実度を示す要素のひとつといえるでしょう。

福利厚生について詳しくは、こちらの「福利厚生で人気の種類一覧!これで理解できる福利厚生の費用とトレンド」もあわせてご覧ください。

平成29年1月の改正で半日からでも取得可能に

平成29年1月の改正で半日からでも取得可能に
平成29年1月の改正で加わった半日単位の取得について説明します。

改正の背景

改正前は、子の看護休暇は1日単位の取得しかできませんでした。つまり、子の看護休暇を取得すると、必然的に1日がカウントされたということです。しかし、実際の利用の現状を見ると、つきっきりの看病が必要な場合を除いては、予防接種や軽度の症状に対する診察など、数時間で終えられるようなものもあります。

1日単位だと年間5回しか取得できないことになります。半日単位の取得を認めれば、年間5日間ですから、年間10回は利用できることになります。幼児期の子どもの発熱や病気は回数にすれば、決して少なくはありません。親(従業員)としても、効率的で有効な時間活用ができるのです。

改正内容

では、改正内容について詳しく見ていきましょう。

半日単位の定義

半日とは、その従業員の1日の所定労働時間の2分の1を指します。日毎に労働時間数が異なる場合は、1年間の平均労働時間数を割り出し、その2分の1とします。もちろん、2分の1以上の時間を定めることも可能です。

半日単位が認められる従業員

子の看護休暇の半日取得は、1日の所定労働時間が4時間以上の従業員が対象です。

半日取得を認めなくてもいい従業員

今回の改定では、従来どおりの「1日単位の取得のみ」が適用できる従業員対象が設けられています。この場合も、就業規則などに明確に定め、労使の認識を一致させておく必要があります。

  • 1日の所定労働時間が4時間「以下」の従業員
  • 半日単位の取得が困難と認められる業務を行っている従業員

【半日単位の取得が困難と認められる業務】
たとえば、以下のようなケースが当てはまります。

  • 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
  • 従業員数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
  • 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
    (イ)流れ作業方式の製造業務などで短時間勤務の者を勤務体制への組み込みが困難
    (ロ)交替制勤務の製造業務で、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難
    (ハ)個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担され、代替が困難な営業業務

引用:育児・介護休業制度ガイドブック 7頁
育児・介護休業制度ガイドブック(PDF資料)|厚生労働省

子の看護休暇に関わる国の助成金

子の看護休暇に関わる国の助成金
子の看護休暇を導入・運用し、一定の条件を満たす企業は、国からの助成金を受けられる場合があります。とくに、育児をしながら働く女性従業員のいる企業は、確認されることをおすすめします。

助成金受給対象の条件に該当しているのであれば、管轄機関に申請をしましょう。これにより、有給とする場合でも、企業負担を軽減できます。

助成金の種類

子の看護休暇に関する助成金は、「両立支援等助成金」の「育児休業等支援コース」にある「職場復帰後支援」に該当します。したがって、育児休業から復帰した従業員の子の看護休暇制度利用に対する助成となります。

助成金対象となる企業の条件

助成金対象となる主な要件は以下のようになっています。

  • 中小企業である
  • 法定範囲を上回る子の看護休暇制度を導入している
  • 子の看護休暇制度を導入し、育児休暇から復帰後の利用実績があること
    →6ヶ月間で20時間以上の取得

助成金額

制度導入に対して、28.5万円<36万円>の支給。
制度利用に対して、1,000円<1,200円>×時間が支給。

一企業あたり、3年以内5名(育児休業から復帰した従業員)までです。
一企業あたり、200時間<240時間>の上限があります。
※<>内は、生産性向上が認められた場合
※保育サービス費用補助制度に対する補助金との並行受給は不可

参考:平成30年度両立支援等助成金のご案内(PDF資料)|厚生労働省