離職防止のための対策と、定着率を上げる具体的な5つの取り組み

従業員の離職を防止するための対策と、定着率を上げるためにできること

近年、日本では人材不足に悩まされる企業が増加しています。少子高齢化、団塊世代の大量退職により、働き手が少なくなっていることが原因のひとつですが、働きづらさから離職率が高まり人材不足に陥っていることも大きな問題になっています。

離職率については、さまざまな離職防止対策を講じることで改善する余地があります。優秀な人材の流出を防ぐためにも、企業にとって離職防止対策はとても大切なことです。そこで今回は、離職の原因を把握したうえで、離職防止対策、人材の定着率を上げるための取り組みを紹介していきます。

離職防止の成否は採用活動を左右する

離職防止の成否は採用活動を左右する

従業員は事業成長にとって大切な経営資産です。優秀な人材確保の重要性は多くの企業が理解し、採用活動に力を入れています。

採用活動について考えるとき、忘れてはいけないのが離職率についてです。「離職率が高い=人材が定着しにくい環境」を意味するので、離職する人が多い企業は、採用活動を繰り返しても優秀な人材が定着することがありません。人材が定着しない企業が優先すべきことは、離職防止の対策であって採用活動の強化ではありません。

それでは、離職率の改善策を考える前に、まずは離職率の高さが意味することを確認しておきましょう。

離職率の高さは、求心力を低下させる

離職率が高い企業は、事実はどうあれ、悪い企業イメージをもたれる可能性があります。人材の流動が活発になっている現代では、元従業員の経験談やSNS上のクチコミ、転職エージェントの評判から人材が定着しにくい企業の情報は広がります。その情報がもとになった悪い企業イメージは、勝手に醸成されていきます。そうなってしまうと、そもそも優秀な人材が集まらなくなり、人材確保に苦労をします。

逆に離職防止対策が機能して離職率が改善されれば、「人材が定着しやすい環境=働きやすい企業」というポジティブなイメージをもたれやすくなり、求心力が高まります。優秀な人材が定着していれば、そういう人と一緒に仕事がしたいと考える外部の優秀な人材が集まりやすくなるかもしれません。

離職の原因を知る

離職の原因を知る

従業員が退職を決める原因は、

  • 給与水準が低い
  • 仕事に興味がもてない
  • 人間関係の悪化

などのさまざまなことが考えられます。

組織で働いている人の多くが、何らかの不満を抱えながらも仕事に取り組んでいます。しかし、その不満を我慢できなくなったり外の環境と比べてしまうことで、今の職場を離れ、別の職場へ移ってしまいます。

前職を辞めた理由について、厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果の概要」をみてみると、

「その他の理由(出向を含む)」男性29.4% 女性25.5% 
男女ともに1位の理由
「定年・契約期間の満了」男性16.9% 女性14.8% 
男女ともに2位の理由
「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」女性3位 13.4%
「給料等収入が少なかった」男性3位 10.2%

で全体の50%以上を占めています。「労働条件が悪かった」「収入が少なかった」以外は必ずしもネガティブな理由で辞めているわけではなく、定年にいたってはなかなか止められるものではありません。

それ以外の理由では、

「職場の人間関係が好ましくなかった」女性4位 11.8%
「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」男性4位 10.0%
「給料等収入が少なかった」女性5位 8.8%
「職場の人間関係が好ましくなかった」男性5位 7.7%

が次いで多くなっています。順位こそ違うものの、男女とも前職を辞めた理由は「その他」「定年・契約期間の満了」「労働条件」「収入」「人間関係」が上位を占めています。

離職防止の対策を職場環境、労働条件、人間関係の観点から考える

離職の3大要素。職場環境、労働条件、人間関係

離職につながる3大原因が、職場環境、労働条件、人間関係です。しかし、職場環境や労働条件は一朝一夕で改善できるものではありません。なぜなら、改善するために企業側は時間を割き、投資をしていかなければならないからです。

例えば、労働条件の見直しのためには経営や管理職が現状を把握し、会議などで議論する時間が必要です。職場環境の改善のためには働きづらさのボトルネックを洗い出し、改善するための設備やシステムに投資する資金がかかります。

また、それらを継続的に維持・改善できる体制が必要になるでしょう。何を取り入れ何を削減するのかを、時代の流れを考慮してしっかり考えて取り組むとなると、すぐに対策ができ効果が出せるわけではありません。

人間関係の悪化による退職も無視できない問題です。業務内容や労働条件にあまり不満がなくても、嫌な上司や扱いづらい従業員がいるだけでもストレスが溜まります。人間関係の悪化を改善するためには、適切な人材配置や職場のコミュニケーションを円滑にするなどの対策が必要になります。

人間関係の改善は、場合によっては比較的短期間で手が打て、すぐに効果が出てくることがあります。ストレスの原因を作り出している人を外せば、状況は多少なりとも変わります。「外す」といっても日本では簡単に解雇することができないので、別な活躍の場を与えるといった対応です。

離職率の改善対策を怠ることで発生するリスク

百歩譲って退職者が出てしまうことは仕方ないとしても、その原因を放置していると企業が人材不足に陥ることはもちろんですが、その他にもさまざまなマイナス要素があります。以下のようなマイナス要素です。

今いる従業員の業務負担増加

退職した従業員の業務が今いる従業員へ割り振られることで、従業員一人に対する業務負担が大きくなります。それにより、今いる従業員のモチベーションや生産性の低下につながります。最悪の場合、新たな退職者を出すリスクがあります。

欠員補充のための費用と時間

退職した従業員の欠員補充をすることもあるでしょう。その場合、まず採用活動と人材教育に費用がかかります。補充した従業員のサポートとして、先輩従業員が時間を割く必要があるかもしれません。結果としてやることが増えるので、企業や従業員の大きな負担となります。そのため、一時的に生産性は落ちてしまいます。

優秀な人材の流出

最も避けなければならないのは、優秀な人材がフリーライダー社員のせいで退職してしまうことです。優秀な人材から退職していき、生産性を下げるフリーライダー社員が残ることは、組織存続の危機を招きます。

フリーライダー社員がいる限り、新たに採用した優秀な人材が定着しないため、採用活動と人材教育にかけた時間と費用は無駄になります。フリーライダー社員の存在が人材流出の原因になっている場合は、最優先でフリーライダー社員対策が必要です。

フリーライダー社員の対策方法とは?組織の生産性を落とすフリーライダー

フリーライダー社員の対策方法とは?組織の生産性を落とすフリーライダー

【対策】退職する可能性が高い従業員への接し方

退職する可能性が高い従業員への接し方

退職を決断する従業員は、仕事を辞めたいと思ってからすぐにその意志を伝えるわけではありません。少なからず葛藤し、さまざまな事態を検討した上で、最終的に判断するものです。

そのため、従業員が「辞めたい」と上司などに相談した時には、すでに意志は固まっていることが多いです。できれば、辞める意志が固まる前に退職する可能性が高い従業員への対策はしておきたいところです。今いる従業員が、本当にずっとその企業で働いてくれるのかをしっかりと見極めて、人材流出の可能性が高い場合は早急に手を打ちましょう。

退職する可能性が高い従業員の特徴

退職する可能性が高い従業員をそのまま放っておくと、100%ではありませんが高い確率で辞めてしまいます。なぜなら、そのままにしておいても従業員の不満がなくなるわけでないからです。日々の業務や労働環境により、さらに不満を抱えて辞めたい気持ちが高まるだけです。

その不満を知ることができれば、離職防止の対策を検討することはできます。しかし不満を聞き出すこと自体、簡単にできません。上司が直接「何か不満があるのか」と質問しても、「はい、不満があるので辞めたいです」と答える部下は、ほとんどいないはずです。

そのため、まずはアンケートなどを行い、従業員の気持ちを間接的に聞き出しましょう。問いに関しても、YESかNOかの答えだけでなく、「今後のことは分からない」「少なくとも1年以上は継続して働く」など、曖昧なニュアンスの答えを用意することも必要になります。これらの質問から、少なくとも退職を考えている予備軍を予測することは可能です。

最近は離職者データを蓄積し、従業員の離職予兆を検知する科学的な離職防止ツールも出てきています。人では検知しづらい部分を、パーソナルデータ・エモーショナルデータ・動的データといった多角的な視点からAIでスコア化し、早期発見をするツールです。

また、退職の意志を誰にも伝えずに過ごしていくことも難しいはずです。親しい同僚などには、辞めたいという意志を伝えていることもあります。そのため日々のコミュニケーションのなかで、退職を考えている従業員と親しい人物から懸念事項を聞き出すことも可能です。

さらに、退職しようと思っている従業員は、業務に対しての意欲が低い特徴があげられます。

例えば、業務に対して

  • ミスを連発する
  • 失敗を反省しない
  • 誰かに仕事を任せることが多い

などです。日々の行動観察から、退職する可能性が高い従業員の発見につながることもあります。

【取り組み】定着率を上げる具体的な取り組み

定着率を上げる具体的な取り組み

企業にとって欠かすことのできない人材をひとりでも多く定着させるには、自社の問題を解決する適切な取り組みを実施する必要があります。まずは自社の労働環境や条件面に問題点がないか、点検するところからはじめましょう。先の「離職の原因」が自社内に存在していないかの点検のほか、離職率が低い企業の特徴や取り組みを参考にするのもおすすめです。

離職率が低く、人材が定着しやすい企業には以下のような特徴があります。

  • 休暇が取得しやすく、勤怠管理がしっかりしている
  • 社内コミュニケーションが活発で風通しがよい
  • 評価制度が確立されている
  • 柔軟な働き方ができる(テレワーク、フレックスタイム制など)
  • 福利厚生が充実している

自社の実態と照らし合わせてギャップがある場合は、改善の余地があります。

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定着率を上げる取り組み①労働時間の適正管理・休暇取得の励行

長時間労働の常態化や休日出勤、サービス残業が横行している場合は、速やかに勤怠管理を見直し、休暇取得を推進しましょう。

労働基準法において、企業は従業員の労働時間を適正に管理することが義務づけられています。また2019年4月からは、法改正により有給休暇の取得が義務化されました。そのため、法令遵守の観点からも従業員の労働日数や有給休暇の取得日数、始業・終業時間を把握する必要があります。

自己申告制ですと適正な管理は難しいので、タイムカードやICカード、勤怠管理システムを導入し、従業員の労働実態を本気で「見える化」します。

定着率を上げる取り組み②社内コミュニケーションを活性化させる工夫

職場の環境や雰囲気に問題がある場合は、職場内のコミュニケーションを活性化させることも大事な取り組みのひとつです。

これは、ただ会話をする機会を増やすのではなく、

  • 企業のことを従業員に伝える
  • 上司や部下との意思疎通
  • 部署間の壁をなくす

などのタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションの機会を増やすことです。そうすることで視野が広がり、従業員が退職を考える以外の方向性を広げることができます。例えば、業務や上司などに不満があれば他部署への異動も検討できるなどがあげられます。

また最近では、従業員同士で感謝や称賛を送り合う「ピアボーナス」も、職場内のコミュニケーションを活性化させる仕組みとして注目されています。表彰のような大きな評価でなくても、近くの人が頻繁に評価をしてくれることは励みになります。

代表的な「ピアボーナス」サービスを3つ紹介します。

リロクラブ「ポイント型サンクスカード」

リロクラブ 「ポイント型サンクスカード」

福利厚生パッケージサービス「福利厚生倶楽部」を提供しているリロクラブの「ポイント型サンクスカード」。従業員同士がパソコンやスマートフォンを使用し、メッセージとポイントを添えて感謝の気持ちを伝え合う仕組みです。最大の特徴はポイント利用の範囲の広さです。

貯めたポイントは魅力ある商品に利用できるだけでなく、リロクラブが提携する宿泊施設や、レジャー施設、フィットネス、映画館、劇場などのサービスでも1ポイントから利用できます。

基本情報
主な機能メッセージ&ポイント送信機能、ランキング、インセンティブ機能追加など
料金100名未満600円 / 一人あたり月額(※別途初期費用30万円とポイント費用)
ホームページhttps://www.reloclub.jp/fukuri/thanks-card/

Fringe81「Unipos」

Fringe81「Unipos」

日常的にオープンな場で同僚から感謝のメッセージと少額のボーナスを受け取れるピアボーナス「Unipos」。シンプルな機能で、導入も運用も手軽です。

基本情報
主な機能スマートフォンやチャットツールから簡単投稿
(Slack,Chatwork,Workplace,Microsoft Teams連携対応)
タイムライン共有、ハッシュタグ、拍手で賞賛に便乗など
料金Basicプラン 50名以下一律35,000円 / 月額
(※別途初期費用20万円)料金は要相談
ホームページhttps://unipos.me/ja/

シンクスマイル「RECOG」

シンクスマイル「RECOG」

シンクスマイルの社内モチベーションSNS「ホメログ」をベースに生まれた「RECOG」。仲間への称賛を伝えるレター機能を中心に、ピアボーナス機能も使えるようになりました。

基本情報
主な機能レター機能、投稿フィード、チャット機能、ランキング
インセンティブポイント連携のピアボーナス(有料オプション)など
料金Basicプラン 50名以下一律30,000円 / 月額
(※ピアボーナス機能は有料オプション)
ホームページhttps://www.recog.works/ja/

定着率を上げる取り組み③柔軟な働き方ができる環境整備

労働条件の折り合いがつかず人材が流出している場合は、柔軟な働き方ができる環境の整備に取り組むことをおすすめします。

具体的には、

  • テレワークができる労働環境
  • フレックスタイム制の導入
  • 時短勤務

など、労働時間と勤務場所に柔軟性をもたせた働き方です。

柔軟な働き方ができれば、働く時間と場所の固定が原因の離職は多少解消されます。特に育児や介護などで労働条件の折り合いがつかない従業員にとっては、助かる労働環境です。

また、働き方を固定しないという観点から、視野とつながりを広げる副業の解禁も柔軟な働き方の提供です。今の職場に残るか別の職場に移るかの二者択一ではなく、両方で働くという新しい選択肢の提示です。

定着率を上げる取り組み④福利厚生の充実

企業と従業員とのエンゲージメント(つながり・結びつき)に問題がある場合は、福利厚生の充実が離職率の改善につながります。例えば、余暇支援として国内宿泊施設利用に補助を出したり、健康支援としてスポーツクラブをお得に利用できる福利厚生サービスの導入です。

また、生活支援として昼食代などの飲食費を負担する食事補助や、健康支援の一環として福利厚生でマッサージサービスを導入する取り組みは利用しやすく企業の思いやりが伝わりやすいので、企業と従業員のエンゲージメント強化に効果的です。

福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法

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福利厚生でマッサージや整体を導入する企業が増加。従業員への健康投資

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定着率を上げる取り組み⑤人事部や管理職のスキルアップ

職場の人間関係に問題がある場合は、人事部や管理職の人がマネジメントスキルを磨くためにセミナー・研修に参加することをおすすめします。

人事や管理職は、

  • 業務の維持管理
  • 業務を効率化するためなどの構造改革
  • 従業員の管理
  • 人材教育

などのさまざまな知識が必要になります。その知識やマネジメントスキルをより向上させることで、組織の人材活用が効果的になり、人材定着につながるのです。また、新たな視点で一から物事を考え直すことで、組織運営にイノベーションが生まれる可能性があります。

人事部や管理職向けのセミナー・研修

セミナーや研修に参加することで、他の企業と交流する機会もあります。同じ業務でも企業によってまったく違う考え方や、さまざまなアイデアを知ることが可能です。多くの刺激を受けるので、外部の情報に接することは有意義な時間になります。

離職防止につなげる適切な対策と取り組み

離職率が高い企業がすべてブラック企業とは限りません。しかし、離職率が高く人材が定着しにくい企業のイメージは、マイナス方向に傾きやすいのが現実です。

安定した企業経営や企業としての成長を考えたとき、人材の確保は業種や規模の大小を問わず重要な問題です。

一人ひとりの働き方に対する意識が変わりつつある昨今、企業としても時代に合った労働環境を整備する必要性が高まっています。離職率の高さを放置していると、企業イメージの悪化を招き、新たな人材確保がさらに困難になるでしょう。

反対に、いち早く離職防止対策・定着率を上げる取り組みに着手すれば、人材が定着しやすくなり、生産性向上も期待できます。人材流出の問題点をチェックし、自社にとって効果的な離職防止対策を講じましょう。

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