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日本企業の離職率の平均は?離職率を高める労働環境の特徴と離職理由

高い離職率は人材の流出を招くだけでなく、業務効率の低下や職場の士気にも悪影響を及ぼし、結果として企業の成長を大きく阻害する要因とになりかねません。

この記事では、離職率の基本的な概念や算出方法、そして離職率を改善するための実践的なポイントを解説します。

企業が持続的に成長していくためには、この重要な指標を深く理解し、その背景を把握した上で、戦略的かつ継続的に対策を講じることが重要です。


目次[非表示]

  1. 1.離職率とは
    1. 1.1.離職率の定義
    2. 1.2.定着率との違い
    3. 1.3.退職率との違い
  2. 2.離職率の計算方法と見方
    1. 2.1.離職率の計算方法
    2. 2.2.離職率の見方
  3. 3.離職率の平均
    1. 3.1.日本企業における離職率の平均
    2. 3.2.産業別の離職率
    3. 3.3.新規学卒者離職率(753現象)
    4. 3.4.新規学卒の離職率が高い業界
  4. 4.離職率が高い場合の影響
    1. 4.1.労働環境が悪化する
    2. 4.2.企業イメージが低下する
    3. 4.3.人材育成が難しくなる
    4. 4.4.採用や教育コストが増える
  5. 5.離職率の高い労働環境の特徴
    1. 5.1.特徴1.長時間労働×休暇取得ハードル
    2. 5.2.特徴2.不公正な評価と低水準の報酬
    3. 5.3.特徴3.コミュニケーション不足と組織分断
    4. 5.4.特徴4. ハラスメントの横行
    5. 5.5.特徴5.職務範囲・キャリアパスの不透明さ
    6. 5.6.特徴6.教育やフォロー体制の不備
    7. 5.7.特徴7.働き方の選択肢が少ない
    8. 5.8.特徴8. ノウハウ流出による生産性低下
  6. 6.離職理由
    1. 6.1.給与や評価への不満
    2. 6.2.上司との相性、職場の人間関係の問題
    3. 6.3.企業の将来に対する不安
    4. 6.4.新卒特有の離職理由
  7. 7.離職率を改善するためのポイント
    1. 7.1.労働条件を改善する
    2. 7.2.柔軟な働き方を導入する
    3. 7.3.福利厚生を充実させる
    4. 7.4.人事評価制度を見直す
    5. 7.5.教育や研修の機会を提供する
    6. 7.6.採用時のミスマッチを防止する
    7. 7.7.コミュニケーションを活性化する
    8. 7.8.社員の本音や不満を把握する
    9. 7.9.離職率改善のための対策を継続する
  8. 8.離職率を改善して持続可能な組織づくりを実現しよう

離職率とは

離職

離職率は、企業が人材の安定性を把握し、組織の健康状態を測定するために活用される代表的な指標のひとつです。

ここでは、離職率の定義や関連する概念との違い、そして日本の労働市場に特有の傾向について説明します。

離職率の定義

離職率とは、一定期間内に企業を退職した社員の割合を表す数値です。

厚生労働省の定義によれば「常用労働者に対する離職者数の割合」とされています。

常用労働者とは、雇用期間の定めがない者や1カ月以上の契約で雇用されている者を指します。

この指標は単なる統計データにとどまらず、企業の職場環境や人事政策の健全性を反映しています。

離職率が高ければ、労働環境やマネジメントに何らかの課題が潜んでいる可能性があります。

反対に離職率が低ければ、社員が働きやすさや待遇に満足している職場であると判断できます。

したがって、離職率を定期的に確認し、その変動の原因を分析することが、人材戦略の改善において重要と言えます。

定着率との違い

離職率と対照的に使われる指標が「定着率」です。

離職率が「離職した社員の割合」を示すのに対し、定着率は「職場に残り続けた社員の割合」を意味します。

離職率と定着率は表裏一体の関係にあり、「定着率 = 100% - 離職率」で算出できます。

例えば、離職率が20%の場合、定着率は80%となります。特に、新卒や中途採用者における定着率の推移は、採用や育成の効果を示す重要な指標です。

高い定着率は、社員の満足度やエンゲージメントの高さを反映しており、長期的な人材活用が可能な職場であることを示唆しています。

※定着率が高い企業の事例などを知りたい場合は、次の記事も併せてご覧ください「定着率とは?計算方法や重要性、定着率を上げるためにできること

退職率との違い

「離職率」と「退職率」はほぼ同じ意味で使われているため混同されやすい用語ですが、厳密には使われ方が異なる場合があります。

離職率は単純に企業を離れた社員の割合を指すのに対し、退職率はその理由によって「自己都合退職率」「会社都合退職率」のように細かく分類して使われることがあります。

そのため、他社との比較や社内分析を行う際には、指標の定義と計算基準を明確にし、統一的な視点で管理することが重要です。

離職率の計算方法と見方

離職率

離職率を正確に把握することは、人材戦略を設計・評価する上で欠かせません。

ここでは、一般的な計算方法と、その数値の読み取り方について説明します。

離職率の計算方法

離職率の計算には、厚生労働省が雇用動向調査で用いる方法が一般的に採用されています。

雇用動向調査は、日本の労働市場の実態を把握するために厚生労働省が実施する統計調査です。

この計算式は、労働市場全体の動向を把握する上で重要な指標となっています。

具体的な計算式は以下の通りです。
 
離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 ×100
 
この計算方法では、1月1日時点の常用労働者数を基準として、その年の離職者数との比率を算出します。

例えば、1月1日時点の常用労働者数が100人で、その年の離職者数が10人だった場合、その年の離職率は10%となります。

ちなみに、常用労働者とは、雇用期間の定めがなく雇用されている労働者のことを指します。

したがって日雇い労働者や派遣社員は常用労働者に含まれません。

また、雇用されている労働者が対象なため、社長や役員も対象外です。

離職率の見方

離職率は数値そのもの以上に、その背景を読み解くことが重要です。

同じ数値であっても、業界や企業規模、職種によってその意味合いは大きく異なります。

重要なのは、離職者の発生時期や理由、年齢層、職種、勤続年数など、属性別に詳細な分析を行うことです。

業界平均や過去の自社データと比較することで、改善の余地や成功要因が見えてくるでしょう。

離職率の平均

離職推移

厚生労働省『令和5年雇用動向調査結果の概況』より離職率推移をまとめ

では、近年の日本全体の平均離職率を確認しましょう。自社の数値と比較してみてください。

日本企業における離職率の平均

令和5年1年間の離職率は15.4%でした。人数でいくと、7,981千人が離職しています。

性別にみると、以下の通りです。

  • 男性:離職率13.8%(前年+0.5pt)
  • 女性:離職率17.3%(前年+0.4pt)

前年の令和4年と比較すると、15.0%から0.4ポイント上昇いたしました。

2009年から2023年の推移を折れ線グラフで厚生労働省のデータからまとめていますが、15-16%で推移しています。

産業別の離職率

厚生労働省の調査によると産業別の離職率を高い順に掲載すると以下の通りになります。

  • 生活関連サービス業・娯楽業: 28.1%
  • 宿泊業・飲食サービス業: 26.6%

  • サービス業(他に分類されないもの): 23.1%

  • 電気・ガス・熱供給・水道業: 10.4%

  • 不動産業・物品賃貸業: 16.3%

  • 医療・福祉: 14.6%

※こちらは、パートタイム、一般労働者問わず全体での集計になります。

参考:厚生労働省『令和5年雇用動向調査結果の概況』より

新規学卒者離職率(753現象)

新卒採用者の離職傾向を表す用語に「753現象」があります。

これは、「中学校卒業者の7割、高校卒業者の5割、大学卒業者の3割が3年以内に離職する」傾向があることを示すものです。

厚生労働省が毎年公表している就職後3年以内の離職率によると、令和3年3月に卒業した新規学卒者の場合、中学卒業者は50.5%、高校卒業者は38.4%、大学卒業者は34.9%となっています。

実際は「7・5・3」の割合ほどではないものの、早い段階で離職している新卒採用者が多いことが伺えます。

※参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表

新規学卒の離職率が高い業界

離職率は業界ごとに大きく異なります。

厚生労働省の調査によれば、令和3年3月の大学卒業者の場合、それぞれ次の水準となっています。

  • 宿泊業・飲食サービス業:56.6%
  • 生活関連サービス業・娯楽業:53.7%
  • 教育・学習支援業:46.6%
  • 小売業:41.9%
  • 医療・福祉業:41.5%

これらの業界では、勤務時間の不規則さや業務の過重、賃金の低さに加え、将来的なキャリアの見通しが立てにくいといった点が共通の課題として挙げられています。

例えば、宿泊業では、深夜勤務やシフト制が生活リズムに与える影響が大きく、小売業では体力的な負担と顧客対応のストレスが離職の要因となっています。

※参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表

離職率が高い場合の影響

離職率悪化サイクル

離職率が高い状況は、企業にとってさまざまな面で悪影響を及ぼします。

これは単なる数値の問題にとどまらず、組織の機能や人材マネジメント、さらには企業文化にまで深刻な影響を及ぼします。

労働環境が悪化する

高い離職率は、残った社員に過度な業務負担を強いる結果となりがちです。

人員が不足すれば、その分を既存の社員が補わなければならず、業務の偏りや長時間労働が常態化するおそれがあります。

このような状態が続くと、社員のストレスが蓄積され、職場全体の雰囲気が悪化し、新たな離職を招く悪循環に陥りやすくなります。

企業イメージが低下する

離職率の高さは、就職・転職希望者から「働きにくい職場」や「労働条件が悪い企業」といったマイナスイメージを抱かれる大きな要因です。

口コミやSNSでの評判が広がれば応募数や応募の質に影響し、人材不足がさらに深刻化します。

その結果、企業の評判は、顧客や取引先との信頼関係にも影響を及ぼすかもしれません。

人材育成が難しくなる

社員が次々と辞めていく職場では、知識や技術が十分に蓄積されず、若手への継承も困難になります。

特に、熟練した社員が辞めてしまった場合、その貴重なノウハウの喪失は、生産性や品質にも直結する手痛い損失となるでしょう。

採用や教育コストが増える

社員が離職するたびに新たな人材を採用し、教育するためのコストが発生します。

求人広告費や選考の手間だけでなく、新入社員の教育にも多くの時間とエネルギーを注がなければなりません。

高い離職率は、これらのコストを繰り返し発生させる原因となり、企業の経営資源を圧迫していきます。

離職率の高い労働環境の特徴

離職率の高い労働環境の特徴

離職率の高い労働環境にはいくつかの特徴があります。このうちのどれか、もしくは複数が合わさり、離職の決定要因になっています。

離職率を高める労働環境の主な特徴を8つ挙げます。

特徴1.長時間労働×休暇取得ハードル

業務量に対して、人員が不足していると、残業や休日出勤が常態化しやすくなります。

さらに、休暇制度はあるが、取りづらい職場では疲労回復のチャンスすら奪われがちになります。

結果として、エンゲージメントが下がり、メンタル不調を起こし、離職決断という負の連鎖を招きます。

これらを起こさないためには、平均産業時間、有給取得率、36協定違反件数などを観測するのが始まりになります。

▶関連記事:有給休暇の付与日数・取得ルールの基本と、制度改善に向けた実務対応策

特徴2.不公正な評価と低水準の報酬

成果が昇給・昇格に反映されない評価制度では「頑張っても報われない...」という無力感が蔓延します。

特に、市場価値の高い若手・専門職は報酬ギャップに敏感で、競合他社へ流出しやすくなります。

典型例

  • 年功序列で勤務年数が短い社員は低評価
  • 評価項目が曖昧で納得感が無い
  • ベース給与が業界中央値を下回る

これらを起こさないためにも、賃金の業界平均を把握しておく、評価面談の実施率、退職理由の分析を行うことが大事です。

特徴3.コミュニケーション不足と組織分断

"縦"にも"横"にも情報が流れにく組織では、業務の進捗が遅れたり質が低下したりします。

議論が尽くせない、安心して発信できない等の環境は「誤解・不信・不満・不安」が増幅し、最終的に退職を選ぶ社員が出てきます。

兆候

  • オフラインとリモート間での情報格差
  • 部署間での責任の押し付け合い

▶関連記事:「社内コミュニケーション活性化の成功事例12選!効果的な導入方法もあわせて解説

特徴4. ハラスメントの横行

悪質ないじめやハラスメントのある労働環境に居心地の良さはありません。

直接の被害者でなかったとしても、その職場の雰囲気を察知して離職を考える人もいます。

その状況が自分に対するリスクだけでなく、企業にとってのリスクであることを知っているからです。

■参考記事;パワハラとは?パワハラ防止法の施行で知っておきたい定義と行為類型

特徴5.職務範囲・キャリアパスの不透明さ

日本企業では、勤務地や職務を限定しないメンバーシップ型雇用が主流です。

職種別採用で必要な組織能力を確保するジョブ型雇用と異なり、メンバーシップ型雇用は「入社してから業務内容を決めていく」「会社主導の異動や配置(キャリアは会社主導)」という雇用の考え方のため、割り当てられる業務内容が不明瞭になりやすいです。

結果として、入社後に聞いていなかった配属、転勤になるなど認識の不一致が発覚して早期離職となるケースも少なくありません。

また、職務分掌が不明確なために他の雑務ばかりに時間を奪われて、自分の本来業務が遂行できない労働環境では、不満をもつようになります。

■参考記事;職務分掌とは?組織を円滑に動かす職務分掌規程の作成のポイント

特徴6.教育やフォロー体制の不備

研修・OJT・メンター制度が機能していないと、「成長できない会社」というラベルが貼られて、転職サイトの口コミなどで加速度的に拡散します。

典型的な不備課題

  • 新人オンボーディング資料が未整備
  • 上司が指導時間を確保できない
  • "教える文化"がなく属人的にスキルが埋没

■参考記事;従業員満足度が生産性を高める。職場の従業員満足度は下がってないか?

特徴7.働き方の選択肢が少ない

一人ひとりの労働者は、それぞれに仕事以外の事情を抱えています。

家族、子育て、介護、学び直しなど、折り合いをつけつつ働いています。

仕事を最優先としない傾向も高まっており、独自のワーク・ライフ・バランスを実現して豊かに生きたいと考える人が増えています。

このような考えをもつ人にとって場所と時間に縛られる選択肢が少ない労働環境は「働きにくさ」、QOL(Quality of Life:生活の質)を下げるように感じます。

個人の多様な生き方と硬直化した働き方のギャップから、離職を選択する人もいます。

■参考記事;ワーク・ライフ・バランス推進のメリットや必要性を解説

特徴8. ノウハウ流出による生産性低下

高離職率が続くと、熟練者の退職とともに暗黙知が残りません。

属人化⇒生産性低下⇒業績悪化⇒追加退職という"負のスパイラル"が発生します。

業務マニュアルの整備、定期的なクロストレーニングが会社を強くしていきます。

離職理由

離職理由 日々転職者と相対する転職コンサルタントを対象に、転職者が企業に伝える離職理由のホンネとタテマエを聞いたところ、転職・退職理由の”本音”としては以下のような項目が上位にあげられました。企業側にはあまり伝えられることがない”本音”=本当の退職理由を確認しましょう。

参照:転職コンサルに聞いた!求職者の「転職理由(退職理由)のホンネとタテマエ」|エン人事のミカタ by エン・ジャパン 

給与や評価への不満

“本音” 報酬をあげたい(57%)、評価に納得できない(48%) 離職理由 給与や評価に対する不満

出典:エン 人事のミカタ

給与や評価に対する不満が、離職の理由です。成果を上げてもほとんど昇給しなかったり、ボーナスに反映されなかったりすると「ここにいても正当に評価してもらえない」と考えるようになってしまいます。

また、人事評価の基準が曖昧な場合もモチベーションに悪影響を及ぼします。 ただし、不満をぶつけたところで給与が上がり評価がいいほうに変わるわけではありません。

もし、不満を訴えることで給与や評価が即座に変わるようなことがあれば、そんなに曖昧な評価制度はありません。

企業側としても、一個人の不満のために給与体系や評価制度を変えることは、そうありません。

転職市場に出れば、今よりも高く評価をしてくれる企業があるかもしれませんので、離職者にとっては前向きな離職です。

■参考記事; 失敗しない人事評価制度の作り方。よくある失敗例や運用に必要なポイント


上司との相性、職場の人間関係の問題

“本音” 上司と合わない(48%)、職場の人間関係が合わない(48%) 離職理由 職場の人間関係の問題

出典:エン 人事のミカタ

「気軽に相談しにくい」「社内のハラスメントが黙認されている」「同じ職場の人間が働かない、非協力的」など上司や職場の同僚との人間関係が悪いと、ストレスが溜まって労働意欲低下につながります。 このストレスの原因である職場の人間関係の悪化が、離職理由です。

しかし、上司や職場の人間との距離は配置転換によって変えることができます。ですので、本当にそれだけが離職の理由であれば、上司や人事に訴えてみる価値はあります。

にもかかわらず、この”本音”を聞き出せない状態をつくり出しているのは、企業側に問題があります。日頃のコミュニケーション不全問題です。

給与や評価の不満は、そう簡単に変わりません。

一方、人間関係の不満は配置・配属を変えれば変わります(別の問題が発生するかもしれませんが)。人間関係を理由に優秀な人材が辞めてしまうのは、止められたかもしれない離職ですので、非常にもったいない人材流出です。


企業の将来に対する不安

“本音” 会社の将来に不安を感じる(37%) 離職理由 会社の将来に不安を感じる

出典:エン 人事のミカタ

不安とはどことなく感じる恐怖ですので、漠然としています。ですので、具体的に何が不安なのかを明確にすることはできないのですが、企業の先行き不安が離職の理由です。

事業を取り巻く外部環境の変化スピードに不安を感じているのかもしれません。新しい価値を生み出すための企業の力不足に不安を感じているのかもしれません。

教育やフォロー体制がない、人が育たない労働環境に不安を感じているのかもしれません。

いずれにしても、未来永劫絶対安定の企業は存在しません。企業側としても、とにかく変化をする組織であり、人を育てる組織であり、産業の未来を描いている姿勢を伝えることしかできません。 それでも不安があるということで外に出ていくことは、その人の可能性や仕事の領域を広げるきっかけになるので、これは止めることはできない前向きな離職です。

新卒特有の離職理由

新卒入社の労働者に限定してみると、どのような理由で離職を決めているのでしょうか。

主なものとしては、以下のような離職理由が挙げられます。

  • 仕事内容が合わない
  • 人間関係が悪い
  • 勤務時間・休日への不満

その他にも、収入面、ハラスメント、将来に不安を感じたなどがあります。「仕事内容があわない」以外は、先に挙げました離職理由と違いはありません。

参照:「とりあえず3年」は根拠なし?新卒3年以内で転職した理由ランキング|Biz Hits

離職率を改善するためのポイント

離職率をむやみに高めないために

離職率の改善は、企業の健全な成長と持続的な人材確保に向けた重要な取り組みです。

さまざまな背景を持つ社員が安心して長く働ける環境を整えることが、結果として離職率の低下につながります。

以下では、具体的な改善施策について紹介します。

労働条件を改善する

社員の満足度を高め、離職を防ぐには、まず労働条件の見直しが欠かせません。

長時間労働をなくすためするためには、残業時間の上限設定や業務効率化のための研修などを導入し、全体の生産性を引き上げていきましょう。

また、社員の頑張りが正当に報われる評価制度を設けることで、仕事へのモチベーションも維持されやすくなります。

さらに、有給休暇の取得を促進し、休みやすい企業風土を醸成することも大切です。

こうした取り組みは、社員の生活の質を向上させると同時に、企業の魅力を高めます。

柔軟な働き方を導入する

働き方の柔軟性を高めることは、さまざまなライフスタイルを持つ社員の離職防ぐ上で効果的です。

テレワークの導入やサテライトオフィスの活用によって、場所に縛られない働き方を実現できます。

また、フレックスタイム制を採用すれば、社員は自分の生活に合わせて働き方を選べるようになり、ワークライフバランスの向上が期待できます。

加えて、育児や介護といった個人事情に寄り添った時短勤務制度の整備も重要です。

これらの制度が整っていることで、社員はライフステージの変化にも柔軟に対応しながら、長く働き続けられるでしょう。

福利厚生を充実させる

福利厚生制度の充実は、社員の満足度を高め、「この会社の一員でいたい」という気持ちを育みます。

例えば、社員食堂の設置や食事手当、宅手当などは日々の経済的な負担を軽くしてくれます。

また、定期的な健康診断やメンタルヘルスサポートで社員の健康を支えれば、心身の安定にもつながるでしょう。

社員のニーズを的確に把握し、それに基づいた制度設計を行うことで、時代に合った魅力的な職場環境を構築できます。

人事評価制度を見直す

公平で透明性の高い人事評価制度は、社員のやる気を引き出し、職場への定着を促進するための土台となります。

評価の基準を明確にし、「何をすれば評価されるのか」を分かりやすく示すことで、社員は自らの成長を実感しやすくなります。

年1回の評価だけでなく、1on1ミーティングなどを通じたこまめなフィードバックも、目標達成への意欲を高める上で効果的です。

適切な評価と報酬が連動すれば、社員は公正な環境で働けていると感じ、長期的なキャリア形成に前向きになれるでしょう。

教育や研修の機会を提供する

社員の成長意欲を刺激し、キャリア形成を支援するためには、継続的な教育・研修体制の整備が欠かせません。

実務に直結するスキルを習得できる研修や業務関連の資格取得を支援する制度を設けることで、社員は自信を持って業務に取り組めるようになります。

外部セミナーへの参加支援や社内での知識共有の機会を増やせば、常に最新の業界動向に触れることができ、意識の高い職場風土の醸成につながります。

また、若手社員の指導を担うメンター制度の導入は、経験の浅い社員の不安を和らげ、職場に早くなじむ手助けとなるでしょう。

採用時のミスマッチを防止する

入社後の早期離職を防ぐには、採用の段階でお互いの認識をすり合わせることが重要です。

企業の理念や求める人物像を明確に伝えるとともに、具体的な仕事内容や求められるスキル、給与や勤務体系といった労働条件についても詳細に説明することで、応募者との相互理解が深まります。

また、入社前にオフィス見学や体験入社の機会を設けることで、職場の雰囲気や業務の実態を応募者自身の目で確かめてもらえるようになります。

現役社員と交流する機会を設けるのも、働くイメージを具体的にしてもらう良い方法です。

コミュニケーションを活性化する

職場内の信頼関係を築くためには、日常的なコミュニケーションの促進が欠かせません。

部署の垣根を越えた社内イベントや、社内SNSの活用は、社員同士の一体感を生み出します。

さらに、経営層と社員が直接話せる場を設けることで、企業のビジョンや方針が共有され、社員の意見を経営に活かすきっかけにもなります。

チーム単位での活動も推進すれば、協働の意識が高まり、生産性や働きがいの向上につながるでしょう。

社員の本音や不満を把握する

離職のサインを見逃さないためには、社員の不安や不満を早めにキャッチする姿勢が求められます。

定期的な1on1ミーティングでは、上司と部下が直接対話しながら課題や要望を共有できます。

また、社員満足度調査を通じて組織全体の傾向を把握することも効果的です。

さらに、退職者へのヒアリングで離職理由を明らかにできれば、より的を得た再発防止策を講じることが可能です。

こうした取り組みの積み重ねが、職場に対する信頼と安心感を生み出します。

離職率改善のための対策を継続する

離職率の改善は、一度対策を講じて終わりではありません。

企業が健全に成長し続けるためには、導入した施策の効果を定期的に測定し、継続的に改善していくことが何よりも大切です。

施策導入後の離職率の変化や社員アンケートの結果など、具体的なデータをもとに効果をチェックします。

もし改善が見られない、あるいは新たな課題が浮上した場合は、その原因を深掘りし、施策の内容や運用方法を改善します。

例えば、導入した評価制度が社員に十分に理解されていないのであれば、説明会を増やす、運用ガイドラインを整備するといった改善策を講じましょう。


離職率を改善して持続可能な組織づくりを実現しよう

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今回は離職率についてあらゆる角度から解説をしました。

離職率の改善は、単なる数字合わせではなく、企業の文化や働き方を根本から見直し、未来につながる組織を築くための取り組みです。

高い離職率が続く職場では、労働環境や人材戦略、ひいては企業の将来にまで大きな影を落とします。

逆に、社員が安心して働ける環境が整備されていれば、自然と離職率は下がり、定着率が高まるだけでなく、新しい人材も集まりやすくなるでしょう。

離職率の改善に向けた取り組みは、企業が社員の声に耳を傾け、変化をおそれず前進する姿勢を示すものでもあります。

変化の激しい現代社会では、こうした姿勢を示すことが企業成長のカギを握っていると言えるでしょう。

RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムズ編集部
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