福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法

福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法

福利厚生の中でも、食事補助は従業員に人気のある制度です。マンパワーグループが18~60歳の男女972人を対象に行った調査によると、実際にあった福利厚生でよかったと思うものは「食堂、昼食補助」が最多で17.1%* でした。この制度は、社員食堂やお弁当配送サービス、チケットサービスなどさまざまな形で提供されています。これらの食事補助にはそれぞれ特徴があり、どの提供の仕方が最適かは企業の規模や業務形態によって変わります。
*マンパワーグループ調べ

今回は福利厚生の食事補助について、導入するメリットや主なサービスの特徴などを紹介していきます。また、食事補助を福利厚生費として計上するためには、要件を満たす必要があります。その要件や支給額の相場についても解説していますので導入の参考にしてみてください。

福利厚生で人気の種類一覧。福利厚生とは?の疑問にすべて答えます

■合わせてよく読まれている資料
福利厚生代行サービスを選ぶ時のポイントと比較表」も合わせてダウンロードいただけます。

福利厚生に含まれる食事補助とは?

福利厚生に含まれる食事補助とは?

食事補助とは、従業員の昼食代などの飲食費を企業側が負担する福利厚生です。食事補助の提供の仕方はさまざまですが、「社員食堂で食事を提供する」「配送サービスを利用してお弁当やお惣菜を提供する」などといった方法があります。

福利厚生費として食事補助を計上する場合には具体的な要件があるので、ある程度の決まった形で提供することになるでしょう。

食事補助を導入するメリット

食事補助を導入するメリット

従業員に対して昼食代などを企業が一部負担することで、従業員を労ることが食事補助の導入目的です。毎日の食費に関わることですから、1ヶ月に換算すると昼食代も決して少なくありません。その負担を軽くすることで、給与以外のところで従業員の経済的支援ができます。経済的支援は従業員からの好感を得やすいので、従業員満足度の向上を期待できます。

お弁当配送サービスや社員食堂で提供される食事は、専門のデリバリー業者や社員食堂の厨房でつくられています。栄養バランスやカロリーを考慮してつくるため、偏った食生活をしている従業員がいる場合は、食を通しての健康サポートにもなります。

企業側としては、毎月従業員の昼食代などを負担することにはなりますが、お弁当やお惣菜の提供であれば金額自体はそこまで高いものではありません。設備投資も不要です。住宅手当や家族手当と違って、全ての従業員が公平に受けられることもメリットになります。そのため導入する際の反発が少なく、従業員が不満をもつことも、ほとんどありません。

社員食堂を設置する場合には、さまざまな部署で働く従業員達のコミュニケーションの場を提供することにもつながります。社員食堂を、普段顔を合わせない人や、職場での立場に関係なく接することができる場として有効活用することが可能です。

食事補助が利用可能な場面

食事補助が利用可能な場面

企業の規模や業務の内容によって、食事補助の利用可能な場面と有効な方法は違います。

例えば、

  • 業務が主に内勤の場合
  • 業務で外出(近隣)が多い場合
  • 出張が多い場合

などです。こうしたどの場合でも、食事補助を利用することはできます。

従業員の業務が主に内勤の場合には、配送サービスによるお弁当やお惣菜の提供や社員食堂の設置が有効でしょう。業務で従業員が近隣に出向くことが多い場合や出張が多い場合には、飲食店の利用が割引になるサービスや外での飲食代の支払いにチケットが使えるサービスの提供が有効です。

また食事補助を導入する前に、まずそもそも自社で導入する必要があるかを検討する必要があります。

なぜなら従業員によっては、

  • 好んで外食やコンビニ弁当で食事を済ませている
  • 自宅で作ったお弁当を持参している
  • そもそも昼食を食べない

などそれぞれのスタイルがあるからです。

こうした全てのスタイルに対応できるわけではないので、食事補助を導入する場合には多くの従業員が利用できる有効な方法を検討することになるでしょう。

食事補助の主な提供方法

食事補助の主な提供方法

食事補助には主に4種類の提供方法(サービス)があります。従業員の働く状況などに合わせて、どの提供方法(サービス)を導入するか選択しましょう。

お弁当(食事)配送サービス

お弁当配送サービスは、電話やネットで注文すればオフィスまでお弁当を届けてくれる比較的導入しやすい食事補助です。基本的には社内で食事をする従業員が多い場合に有効です。

お弁当配送サービスの中には、法人向けに福利厚生に対応したプランを設けている場合があるので、簡単に食事補助を導入することができます

また最近では、オフィスに冷蔵庫(冷凍庫)や電子レンジを設置するだけで、食事を届けてくれるオフィス常駐型の配送サービスも出てきました。注文する必要はなく、配達員が商品の補充管理や集金管理を行ってくれるため、余計な手間はかかりません。

福利厚生代行サービス

福利厚生代行サービスは、全国にあるカフェ、ファストフード、ファミリーレストランなどで食事補助を利用できます。例えば、対象の飲食店で会員特典クーポンや会員証を提示すると、料金が割引されたりおトクなサービスを受けることができます。

全国でチェーン展開をしている飲食店で利用できることから、出張などで全国を飛び回る従業員や、外回りの従業員が多い場合に有効です。社内で業務する従業員が多い企業でも、食事補助を利用できる飲食店が近くにあれば問題ないでしょう。

こうしたさまざまなケースに対応できるため、福利厚生代行サービスは導入しやすい食事補助といえます。

チケットサービス

チケットサービスは、電子カードもしくは食事券を従業員に配布するタイプの食事補助です。福利厚生代行サービスと同様に、提携している全国の飲食店などでチケットが利用できます。また、全ての従業員に対して公平に提供しやすいという点も福利厚生代行サービスと同じです。

電子カードや食事券に加えて最近では、スマートフォンのアプリで管理できるようになっています。今月の残高や利用履歴などを、いつでも簡単に確認できます。管理のしやすさや使える店舗の幅広さから導入後の利用率が高く、外食をする従業員が多い場合にはとりあえずチケットサービスを入れてみるのもよいでしょう。

社員食堂の設置

一番大掛かりな食事補助は、社員食堂の設置です。社内に多くの従業員が集まることができる広いスペースを確保する必要があり、食堂運営に費用がかかるので、大企業などでしか見られません。最近では、法人を対象にした給食業務のアウトソーシングサービスも増えています。今後は大企業でなくとも、アウトソーシングサービスを利用した社員食堂の導入、運用事例が増えてくるかもしれません。

社員食堂は、栄養バランスやカロリーを考えたメニューや献立を計画できるため、従業員の健康管理、維持につながります。できたての温かい食事がすぐに食べられることも、社員食堂の魅力です。また、多くの従業員が集まる場所になるので、社内のコミュニケーションを活性化することも期待できます。

企業側が社員食堂の食事費用の一部を福利厚生費として負担するのであれば、社内で美味しい食事を安い金額で提供できるので、従業員満足度も高まることでしょう。

実際に運営するには、

  • 自社で調理師や栄養士などを雇用して運用する「直営方式」
  • 給食部門のみを別の企業として独立させ、その企業が社員食堂を運営する「準直営方式」
  • 食堂の運営や管理を外部委託業者に任せる「外部委託方式」

の大きく分けて3つの運用方式があります。

社員食堂は必要か?変わる働き方、変わる福利厚生、変わる社員食堂の意義

食事補助の支給額の相場

福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法

食事補助を導入している企業によって支給額はさまざまですが、一般的には1食あたり100〜150円程度が相場です。なぜなら、食事補助を福利厚生費として計上するためには、「月額3,500円(税抜き)以下」という要件があるからです。

もう一つ「従業員が食事費用の半分以上を負担していること」という要件があります。従業員が食事代の半分以上を負担する必要があります。ですので、企業負担額が月額3,500円の場合、従業員は月額3,500円以上を自己負担すれば、食事補助が福利厚生費として計上できます(非課税になります)。

お弁当配送サービスやチケットサービスで食事補助に対応した業者ですと、要件に合わせた金額のお弁当を提供していたり、上限の月額3,500円に合わせたプランがあるのですぐに導入することもできます。

もちろん、課税対象になってもよいのであれば、上限金額を気にする必要はありません。社員食堂が無料で利用できる企業もあるようです。

食事補助制度を活用している企業の例

食事補助制度を活用している企業の例

食事補助について、大まかな概要を説明してきました。ここでは、実際に食事補助を有効に活用している企業事例を紹介していきます。これから食事補助を導入して労働環境をよりよくしていきたいと思っている方は、こういった実例も参考にしてみてください。

中西製作所

全国の学校の給食室や給食センター向け厨房機器の製造・販売を手掛けている中西製作所は、2022年4月より、企業としては日本初の制度となる給食費補助制度を導入しています。

これは、小学生の子どもを持つ従業員に対し、給食費補助として子ども1人につき年額5万円を上限として給食費の実費を支給する制度です。

少子化の時代を迎え、企業として出産・子育ての切れ目のない支援を充実させ、安心して子どもを生み育てられる環境の整備を行う必要があると考え、社内提案制度にて社員から提案されたものを採用して実現した制度ということです。

また、この取り組みによって、学校給食事業におけるさらなるアイデアの発露やお客様への付加価値提供へと繋げたいという期待もあるようです。

Looop

電力小売り事業や太陽光発電所システムの販売などを行なっているLooopは、業務上、外出や出張で社内にいない従業員が多い企業です。そこで、チケットサービスの食事補助を導入。社外にいたとしても食事補助を受けられるということで、希望加入制にも関わらず導入後1ヶ月で従業員のほとんどが加入したそうです

導入したチケットサービスは、さまざまな店舗で使えるため選択肢が幅広く、なおかつ金銭的な負担も軽くなるので多くの従業員に評価されたそうです。

ベーシック

Webマーケティング事業などを展開するベーシックは、2018年8月に「クーリングブレイク」制度を導入しました。クーリングブレイクとは、サッカー用語で一定の気温に達した場合に設けられる給水時間のことです。毎年夏になると懸念される熱中症の対策として、ベーシックではこの福利厚生制度を導入しました。

具体的には、スポーツ飲料や塩飴、保冷タオルなどの配布です。特に外勤の従業員に対しては、徹底した水分補給をアナウンスしています。また内勤の従業員に対しては、ウォーターサーバーを設置していつでも水分補給ができるようになっています。

単純に食事費用の一部を企業が負担するという考え方にとどまらず、従業員の熱中症対策として食事補助を導入する柔軟性の高さが優れた事例です。

明治安田生命

生命保険を中心とした、総合保障サービスを提供している明治安田生命には社員食堂があります。従業員の好みを取り入れつつ管理栄養士などがメニューを作成し、飽きがこないよう工夫しているようです。人気メニューはすぐ売り切れてしまうといった好評ぶりで、毎日利用している人も多いようです。

社員食堂自体も綺麗に保たれており、10mの高さの吹き抜けで開放感を出すなど、気分転換しやすい雰囲気づくりも行なっています。毎日利用する従業員がいるからこそ、清潔感やリラックスできる雰囲気は重要です。

食事補助制度の導入方法

食事補助制度の導入方法

福利厚生として食事補助を導入するには、まずどの提供方法にするかを選択しましょう。

例えば、従業員のほとんどが内勤で、なおかつ大人数が集まれるスペースがあるのであれば、お弁当配送サービスを手配するか、社員食堂を設置する方法が当てはまります。

出張や外回りの業務で外勤の従業員が多い場合には、飲食店での割引ができる福利厚生代行サービスやチケットサービスを利用するのが最適でしょう。社内でアンケートをとり、従業員がどの食事補助を希望しているかを調査してみるのもよいかもしれません。

どの提供方法にするかが決定したら、費用について計算しましょう。なぜなら、企業が負担する金額や支給内容によって、福利厚生費として計上できるか(非課税になる)どうかが変わってくるからです。

福利厚生費として認められない場合、支給した金額は従業員の給与として計算されます。つまり課税の対象になるということです。税務調査などでトラブルにならないよう、懸念事項は事前に全て解消しておきましょう。

食事補助に限りませんが、制度を導入したからといってそれで終わりではありません。定期的に社内でアンケートをとるなどして、今後の改善点や従業員のニーズにあった食事を提供することで、継続的な労働環境の改善に努めましょう。

食事補助を福利厚生費として計上するためには?

食事補助を福利厚生費として計上するためには

最後に食事補助を福利厚生費として計上するための要件を確認します。繰り返しになりますが、食事補助を福利厚生費として計上するためには、2つの要件があります。

  • 従業員が食事費用の半分以上を負担する
  • 月々の企業負担額が、3,500円(税抜き)以下であること

この2つの要件を満たす必要があります。

この要件を満たしていないと、福利厚生費として計上できないので課税の対象になってしまいます。

また、残業時に支給する場合や深夜勤務者に対しては、食事補助の要件が少し変わります。残業や休日出勤の場合は、現物支給に限り全額を福利厚生費として計上できます。つまり社員食堂を無料で利用できたり、注文したお弁当を無料で食べられることになります。

深夜勤務者は、社員食堂などの調理施設がある場合には通常の要件と同じです。しかし調理施設がない場合、深夜だと食事の現物支給が難しい場合もあります。そのため、現物支給が困難な深夜勤務者に対して「1食あたり300円以下」の現金支給であれば、福利厚生費として認められます。

食事補助を福利厚生費として計上するためには、こうした要件を満たす必要があります。事前に「きちんと要件を満たしているか?」「残業や休日出勤時の対応はどうするか」といったことなどをチェックし、慎重に検討した上で導入してください。