テレワーク導入で福利厚生はどう変わる?他社事例と導入のポイント
ライフワークに合わせて多様な働き方が選択できる「働き方改革」にともない、テレワークを導入する企業も年々増えてきました。 テレワーク導入で福利厚生はどのように変化させれば良いのでしょうか。本記事では他社で導入している福利厚生の事例や導入のポイントも合わせて紹介します。ぜひ参考にして、自社の福利厚生を見直してみましょう。
目次[非表示]
- 1.福利厚生とは
- 2.なぜテレワークの導入は増え続けるのか
- 3.テレワーク導入後に行いたい福利厚生の見直しとは
- 4.テレワークに対応した福利厚生
- 4.1.在宅勤務手当/テレワーク手当
- 4.2.環境整備手当
- 4.3.食事支援
- 4.4.コミュニケーション支援
- 4.5.健康サポート支援
- 5.テレワークに特化した福利厚生の他社事例とは
- 5.1.株式会社サイバーエージェント
- 5.2.リクルートグループ
- 5.3.株式会社チャットワーク
- 5.4.株式会社エージェントグロー
- 5.5.ヤフー株式会社
- 5.6.note株式会社
- 5.7.株式会社ZOZO
- 5.8.サイボウズ株式会社
- 5.9.株式会社ポニーキャニオン
- 6.他社事例から学ぶ福利厚生のメリット
- 6.1.エンゲージメントの向上
- 6.2.信頼度や認知度の向上
- 6.3.離職率の低下と求職者の増員
- 7.テレワーク対応の福利厚生を導入する際のポイント
- 7.1.就業規則の見直しを行う
- 7.2.公平を保つ内容である
- 7.3.外部アピールができる
- 8.テレワークを導入したら福利厚生をしっかり見直そう
福利厚生とは
福利厚生とは、自社で働く従業員へ給料やボーナスなどの基本報酬以外で提供される非金銭報酬のことです。 福利厚生は主に2つあり、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が自由に設定できる「法定外福利厚生」に分類されています。
中でも、法律で義務付けられている「法定福利厚生」は、最低限の福利厚生制度です。主に、健康保険や介護保険、雇用保険、労災保険、介護保険などが該当します。 一方で、企業が独自に導入できる「法定外福利厚生」は、従業員のモチベーションアップや定着率の向上を主軸としたユニークな内容が特徴です。資格取得のバックアップ制度や、スポーツ観戦や大会の開催、コミュニケーション活性化のための飲み会費用のサポートなどがあります。企業ごとに特色豊かなことが特徴として挙げられるでしょう。
福利厚生を充実させることで従業員の離職を防ぎ、パフォーマンスやモチベーションの向上、会社への愛着度や貢献度を底上げすることが可能です。 福利厚生についてもっと詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
■参考記事;福利厚生とは?人気の種類・導入方法やおすすめの代行サービスを解説!
なぜテレワークの導入は増え続けるのか
世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の流行に伴い、多くの企業がテレワークへ移行しました。2023年現在も依然としてテレワークの導入は増え続けています。
2023年3月東京都の調査によると、従業員30人以上の企業でのテレワーク実施率は51.6%。2月の前回調査に比べて0.5ポイント増加しています。また、テレワークを週3日以上実施している企業は全体の43.8%。
こちらも前回に比べて、0.8ポイント増加しています。
もともと新型コロナウイルス感染症のパンデミック前からテレワークを導入する企業は多くありました。中でも、労働人口の減少やICTツールの普及、国を挙げての働き方改革の推進などが主な理由です。また、3.11の東日本大震災以降は、地震や台風などの自然災害に備えて導入を検討する企業が増えていることも理由の1つでしょう。
このようにテレワークを推進する企業は多くあり、今後も遠隔での仕事は増え続けていくと予想されます。そのため、テレワークに合っていない福利厚生を続けていても意味がありません。 使わない福利厚生や使えない施策は、その分余計な費用や負担になってしまいます。また、社員のモチベーションや帰属意識の低下にもつながるでしょう。
そのため、テレワークに対応した福利厚生の見直しが必要です。
テレワーク導入後に行いたい福利厚生の見直しとは
テレワークを導入した後は、テレワークに合った福利厚生の見直しが必要です。いままでのような通勤・交通費などは不要になる一方で、在宅手当や環境構築費が必須です。 見直しの対象となるのは主に3つです。
- テレワーク導入による通信費や環境の構築費用
- コミュニケーション不足解消のサポート体制
- 健康促進やメンタルマネジメントへの対応
通勤費などの浮いた経費を別のサポートに充て、それぞれのニーズにあった施策への改変と実行が先決です。社員のニーズや時代背景に合わせた柔軟な福利厚生が重要といえます。
テレワークに適した形で福利厚生の見直しをすることで、社員のモチベーションアップ、定着率・作業効率の向上につながるでしょう。また、優秀な人材の確保や災害時でも継続して業務を行えるなど、さまざまなメリットがあります。
テレワークに対応した福利厚生
本章では、テレワークを支援できる福利厚生を紹介します。 快適に仕事ができる環境への対応や、コミュニケーションを通じた活動を支援したりサポートをすることがポイントです。主に以下5つが挙げられます。
- 在宅勤務手当/テレワーク手当
- 環境整備手当
- 食事支援
- コミュニケーション支援
- 健康サポート支援
在宅勤務手当/テレワーク手当
テレワークへ移行するには、従業員の自宅の電気代・通信費など、オフィスワーク時には不要だったコストが余分に発生します。
そうした負担をフォローするための福利厚生が在宅勤務手当やテレワーク手当です。 月に一律手当を支給するか、在宅勤務にかかった電気代や通信費などの必要経費を算出し精算するかなど、企業によって手当の内容はさまざまです。
環境整備手当
自宅内にテレワーク環境を構築する際に必要となる備品を取り揃えるための福利厚生です。 主にデスクや椅子、PC、WEBカメラなどが該当します。
IT機器は、必要な機器を会社で購入し社員に貸与するか、リースやレンタルなどで対応する2通りの方法があります。社内の資産管理、保管や発送の手間を考慮して選択しましょう。 環境を整える事で、作業効率のアップや集中力の持続性も高まり、より利益効率のよい働き方ができます。
食事支援
社員食堂の利用ができなくなるため、その代わりとして昼食を提供します。 いままでは、社員食堂や近くの飲食店へ行っていた社員へ、食事負担の軽減や健康サポートも含めた支援を目的としています。体調を整えて本来のパフォーマンスを発揮できるようにサポートすることが目的です。
また昨今は、健康志向のニーズが向上している背景もあり、バランスのよい食事の提供が求められています。社食宅配サービスを用いたり、定期的にオンラインでランチミーティングを開催したりなど、さまざまな支援があります。
コミュニケーション支援
テレワーク導入での社内コミュニケーション不足は大きな問題の1つです。その問題を解決するために、コミュニケーション支援があります。
例えば、終業後のオンライン飲み会に必要な飲食物の費用を一部負担する飲み会手当や社員旅行、クラブ活動支援まで、ユニークな支援があることが挙げられます。 コミュニケーションの改善を後押しすることで、社内で団結力や帰属意識が高まり、より一丸となって仕事に取り組むことができるでしょう。
健康サポート支援
通勤がなくなり在宅時間が増えると、運動不足に陥りやすくなります。運動不足になりやすい環境をフォローすることで健康を維持する支援もあります。
内容は、筋トレやヨガなどのオンラインプログラムサービスやフットサル、テニス、ゴルフなどの部活動の支援など。ほかにも、アウトドアやキャンプなどの課外活動のサポートもあります。
テレワークに特化した福利厚生の他社事例とは
他社で導入しているテレワークに対応した福利厚生の事例を紹介します。 その会社の事業内容や働き方に合わせた福利厚生が特徴です。具体的な事例は以下の9つです。それぞれ簡単に見ていきましょう。
- 株式会社サイバーエージェント
- リクルートグループ
- 株式会社チャットワーク
- 株式会社エージェントグロー
- ヤフー株式会社
- note株式会社
- 株式会社ZOZO
- サイボウズ株式会社
- 株式会社ポニーキャニオン
株式会社サイバーエージェント
メディア事業やインターネット広告事業、ゲーム事業などを主とするサイバーエージェントでは、テレワーク環境構築の福利厚生に力を入れています。 セキュリティ管理を行っている安全な経路を使ったVPN回線の提供や、多人数の同時接続によるVPN回線の遅延回避対策を実施しています。また、ビデオ会議システムを導入したり、業務用フォルダをクラウド化したりするなど、ストレスなく業務を遂行できる土台を構築しています。 遠隔でも滞りなく、仕事のパフォーマンスを維持できるような福利厚生が特徴です。
リクルートグループ
求人広告や人材紹介などの人材領域事業と、住宅や生活、美容などの販促領域の2つの事業を展開しているリクルートグループでは、リモートワークの柔軟性を高める支援を強化しています。 全社でリモートワークを導入し、労働時間や作業する場所の選択が可能に。また、いままでの通勤交通費は実費支給へと変更になり、これまで認められていなかった特急料金も支援の範囲内になりました。 昨今、都会を離れて田舎暮らしを選択するニーズの高まりや働き方改革を踏まえているため、遠方からでも通勤がしやすい体制を整えています。
株式会社チャットワーク
クラウド型ビジネスチャットツールである「Chatwork」の提供などを行っている株式会社チャットワークでは、最新デバイス購入支援制度を導入しています。 この制度は、パソコンなどの最新機器の購入費用を半額負担する制度です。1台につき上限4万円で、社員1人当たりの年間支援総額は14万円です。 昨今の半導体不足によるIT機器の価格高騰で、業務にパソコンを必須とする業界では嬉しい施策でしょう。金銭的な負担軽減はもちろん、最新機器の導入によって仕事をスムーズに処理・対応できるなど、モチベーションアップにも繋がっています。
株式会社エージェントグロー
システムエンジニアリングサービス事業を展開している株式会社エージェントグローでは、気軽に誰もが利用できる福利厚生として、2016年から「チケットレストラン」を導入しています。 チケットレストランは、全国250,000店以上の飲食店やコンビニで利用できる食事補助サービスです。オフィスワークやテレワークなど働く環境にかかわらず、全国どこでも公平に使えることが魅力の1つでしょう。 また、配達型の食事支援のサービスではメニューに飽きたり、テレワーク社員のみしか使うことができなかったりといったデメリットもありますが、チケットレストランではそういった不平等さがないこともポイントです。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)では、2022年に「どこでもオフィス」制度を導入しました。全国どこからでもリモートワークが可能で、飛行機での通勤も認めています。 従来は、交通費は1日片道6,500円だった上限を撤廃。全国どこでも居住が可能になりました。また、タブレット端末の貸与や懇親会費の補助も施策に盛り込んでいます。
note株式会社
デジタルコンテンツの企画や制作、配信事業を行うnote株式会社では、2020年からテレワーク勤務に切り替え、必要に応じて出社を認めるフレキシブル出社制度を導入しました。また、テレワーク勤務者には、定額手当を実施しています。 同社が掲げる「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」を目標に、多様性や社員のニーズに応えた福利厚生でサポートし、パフォーマンスの最大化を目指しています。
株式会社ZOZO
日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するインターネット企業の株式会社ZOZOでは、個性的な福利厚生が多くあります。 「FRIENDSHIP DAY」と名付けられたイベントでは、従業員同士が親友のような関係になることを目標とし、プレゼント交換やアクティビティーを通して部署を越えて交流する機会を設けています。 他にも「家族時短」制度では、従業員が「家族」と認識する人や動物のサポートが必要な場合、1日最大2時間の時短勤務をすることができる制度も整えています。
サイボウズ株式会社
ソフトウェア開発を担うサイボウズ株式会社では、最長6年間の介護と育児休暇が取得可能です。要介護度や回数の制限なしに取得できることも魅力の1つ。今後の高齢化社会を見据えた事例として話題に挙がっています。 また、同社では28%まで上がっていた離職率が、制度導入後は4%にまで下がりました。 1つの福利厚生で、数値の変貌を遂げた好事例です。
株式会社ポニーキャニオン
フジサンケイグループの大手映像・音楽ソフトメーカーの株式会社ポニーキャニオンでは、デジタルサービス利用手当を導入しています。これは、サブスクリプションの利用料金を、毎月3,000円まで会社が負担する制度です。 動画配信サービスや電子書籍の購入費、オンラインサロンの月会費なども対象となっており、映像メーカーならではの福利厚生と言えるでしょう。テレワークで在宅時間が多くなる環境においては、ユニークながらもモチベーションの上がる有益な施策です。
他社事例から学ぶ福利厚生のメリット
各社の事例を紹介しましたが、それぞれ会社の社風や事業内容に沿った福利厚生が特徴といえます。新しい福利厚生や社風に特化した福利厚生を導入するメリットは、下記の3つの通りです。
- エンゲージメントの向上
- 企業の信頼度や認知度の向上
- 離職率の低下や求職者の増員ができる
エンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、社員の会社に対する愛着心や思い入れなどが強まることです。福利厚生がしっかりしていると、社員のモチベーションアップに繋がり、会社と社員の双方にとって有益になるでしょう。
信頼度や認知度の向上
しっかりとしたサポート体制を整えることで、内外の信頼度がアップします。また、ユニークな施策を導入すると社外へアピールでき、必然的に認知度の向上にもつながります。
離職率の低下と求職者の増員
サイボウズ株式会社の事例でも取り上げたように、数値として離職率が大幅に減少しました。このように福利厚生を整えると離職率の低下を実現できます。また、福利厚生が魅力的だと求職者や応募者が集まりやすく、よりスキルの高い人材の確保も容易でしょう。
テレワーク対応の福利厚生を導入する際のポイント
テレワークのために新しい福利導入を検討する際は、3つのポイントが重要です。
- 制度導入前に就業規則の見直しを行う
- 全員が利用できる不公平のない内容とする
- 外部にもアピールできる福利厚生の内容である
それぞれ解説します。
就業規則の見直しを行う
新たに福利厚生を導入するためには、就業規則の見直しは必須です。 テレワークの定義決めや対象者などの基本項目から、就業時間や休憩時間、時間外労働など細かなものまで、漏れがないように規則に盛り込む必要があります。そのため、事前に規則の見直しをしっかりと行いましょう。
公平を保つ内容である
2つめは公平を保つ内容であることです。例えば、大多数の社員は制度を利用できるにもかかわらず一部の社員は制度を活用できない、などの不利益があってはいけません。一部で使えない社員のフラストレーションが溜まり、離職率が増えたり、属人化したりなどの問題が発生してしまいます。 社内の全員が制度を利用できるような制度を構築しましょう。
外部アピールができる
最後は、外部アピールにつながる内容がおすすめです。企業が設定できる「法定外福利厚生」は、時代のニーズによって変化を求められています。人材を積極的に集めるため、また定着率を上げ離職率を減らすためにも、独自の福利厚生を設定している企業は多いでしょう。 また、就職や転職時に福利厚生の内容をチェックし判断材料にする人も多いため、企業ごとに自由に設定できる法定外福利厚生で知名度のアップや自社アピールをすることも可能です。
テレワークを導入したら福利厚生をしっかり見直そう
企業側は、テレワークの普及や時代の変化に合わせて、福利厚生も刷新しなければなりません。高度経済成長期の福利厚生にはリゾート施設の利用やアクティビティー利用サポートなどが多かったように、現在ではリモート環境に合わせた環境構築費やIT機器の購入補助、健康面をサポートする食事や運動などに福利厚生のニーズは置き換わっています。
従業員の会社に対しての愛着や貢献度合いであるエンゲージメントを向上させるためにも、時代の移り行く歩幅に合わせて柔軟に社内規定を見直し、新しい風を取り込んでいきましょう。 「どのように福利厚生を整えていいか分からない」という企業担当者の方は、リロクラブのサービスをご利用がおすすめです。詳しくは下記のボタンからご覧ください。