福利厚生のトレンド。福利厚生費からみる、最新のトレンド

福利厚生のトレンド。福利厚生費からみる、最新のトレンド

企業の福利厚生のあり方は、時代とともに変化をしています。福利厚生は、トレンドをおさえた導入・再構築が不可欠です。今回は、2018年度福利厚生費調査結果(日本経済団体連合会)をもとに、福利厚生のトレンドを数値やグラフを用いて解説していきます。

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福利厚生の最新トレンド

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福利厚生には、大きく分けて法定福利厚生と法定外福利厚生の2つがあります。企業がそれぞれ負担する費用は、時代の変化にあわせて増減しています。

では、企業が導入や見直しをしている福利厚生には、どのようなトレンドがあるのでしょうか。まずは企業が負担をしている福利厚生費から、全体像を捉えていきましょう。

法定福利厚生費が増加し、約8割を占める

 
福利厚生費の構成割合(2018年度)

2018年度の企業の福利厚生費は113,556円(従業員1人1ヶ月平均)で、過去最高額でした。そのうち法定福利厚生費は88,188円で福利厚生費全体の77.7%を占めています。

この法定福利厚生費は過去20年でみても、右肩上がりに上昇しています。法定福利厚生費は20年前の1998年度時点では63,162円、福利厚生費全体に占める割合は69.0%でした。それが10年後の2008年度には75,621円(構成割合73.2%)、さらに10年後の2018年度には88,188円(構成割合77.7%)にまで膨れあがっています。

この法定福利厚生費のうち、健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料が9割を占めています。少子高齢化が加速する日本では、これらの保険料がさらに引き上げられる可能性は高いです。

また、企業が全額負担をしている子ども・子育て拠出金の料率は段階的に引き上げられています。そのようなことを加味すると、今後も企業が負担をする法定福利厚生費は増加し続けるでしょう。

法定外福利厚生費は減少傾向

福利厚生費の推移(1998年度以降)

法定福利厚生費が増加している一方で、法定外福利厚生費は減少傾向にあります。

法定福利厚生費同様、過去20年の変化をみてみます。法定外福利厚生費は、バブル崩壊後で日本経済が低迷していた1998年度であっても28,413円あり、福利厚生費全体に占める割合は31.0%でした。それが10年後の2008年度には27,690円(構成割合26.8%)、さらに10年後の2018年度には25,369円(構成割合22.3%)にまで減少しています。

2018年度の福利厚生費は過去最高額でしたが、内訳をみてみると、法定福利費の負担が膨れあがっているだけです。企業が独自に導入をする法定外福利厚生は、むしろ減少しています。これが全体のトレンドです。

この福利厚生の全体トレンドは、今後も変わらないでしょう。

減少傾向の法定外福利厚生費ですが、項目ごとにみるとその中でも増えている項目、減っている項目があります。この法定外福利厚生費の項目ごとの費用変化が時代を反映しています。法定外福利厚生費の項目ごとのトレンドを捉えていきます。

法定外福利厚生費における項目ごとのトレンド

法定外福利厚生費における項目ごとのトレンド

法定外福利厚生費は企業が独自に選定し、費用を決めることができます。法律で義務付けられているわけではないので、なくても問題ありません。

企業ごとに取り組みは様々であるものの、費用増減にトレンドが反映されます。法定外福利厚生費の項目ごとの費用増減(トレンド)を確認していきます。

法定外福利厚生費の項目

まず、法定外福利厚生費の項目は大項目と小項目に分かれます。大項目は8項目あります。以下の8項目です。

  • 住宅関連
  • 医療・健康
  • ライフサポート
  • 慶弔関係
  • 文化・体育・レクリエーション
  • 共済会
  • 福利厚生代行サービス費
  • その他

2018年度の大項目それぞれの費用と法定外福利厚生費に占める割合は以下です。

  • 住宅関連 12,133円(47.8%
  • 医療・健康 3,161円(12.5%)
  • ライフサポート 6,103円(24.1%)
  • 慶弔関係 585円(2.3%)
  • 文化・体育・レクリエーション 2,124円(8.4%)
  • 共済会 265円(1.0%)
  • 福利厚生代行サービス費 305円(1.2%)
  • その他 692円(2.7%)
*( )内は法定外福利厚生費に占める割合
法定外福利厚生費の構成割合(2018年度)

住宅関連が約半数を占め、ライフサポート、医療・健康が続いています。項目ごとに、小項目を交えて詳細をみていきましょう。

住宅関連|減少傾向

 
住宅関連費用の推移(1998年度以降)

住宅関連の福利厚生費は、過去20年で減少し続けています。1998年度は15,448円でしたが、2008年度は13,211円、2018年度は12,133円と20年間で3,315円の減少です。

住宅関連の大項目は、2つの小項目に分かれます。住宅と持家援助です。住宅とは具体的には、社有や借上社宅や独身寮などです。一方の持家援助とは具体的には、利子補給の費用や転勤者の持家管理費用などです。ともに減少しています。

これからの働き方を考えると、必ずしも労働者が就職のために大都市圏に出てくることもなく、企業がハコモノの福利厚生施設を保有する必要もなくなってきます。また、マイホームを所有するという生き方がすべてではなく、賃貸住宅に住み続ける生き方もあります。

そのように考えると、住宅関連の福利厚生費の減少傾向は、今後も変わらないでしょう。

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医療・健康|増加傾向

 
医療・健康費用の推移(1998年度以降)

医療・健康の福利厚生費は、増加傾向にあります。1998年度は2,016円でしたが、2008年度は3,098円に増加、2018年度は3,161円と20年間で1,145円の増加です。

医療・健康の大項目は、2つの小項目に分かれます。医療・保健衛生施設運営とヘルスケアサポートです。

医療・保健衛生施設運営とはその名の通り、病院や診療所などの施設管理・運営費用です(人件費含む)。ヘルスケアサポートとは具体的に、健康診断や人間ドックの費用、診療・入院費の補助などです。

施設運営のほうがヘルスケアサポートに比べて大きな割合ですが、徐々に割合に変化が出てきました。ヘルスケアサポートの割合が増えてきています。

1998年度時点では比率が73:27(施設運営:ヘルスケアサポート)でしたが、2018年度は64:36とヘルスケアサポートへの費用負担にシフトしつつあります。

医療・健康への投資(企業の費用負担)は、今後も増えていくでしょう。しかし、施設運営費用は減少していくでしょう。施設の保有には管理維持費がかかります。利用されなくても、費用はかかります。

それであれば、必要な時に必要な補助ができるヘルスケアサポートのほうが、効果的な健康投資が可能です。そのように考えると、これからのトレンドは医療・健康分野のヘルスケアサポートの拡大です。

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ライフサポート|両立支援と保険の増加

 
ライフサポートの福利厚生費は大項目でみると、あまり大きな変化はありません。ライフサポートは細かな小項目から成り立っていて、10の小項目が存在します。この小項目の構成比の変化にトレンドが反映されています。

小項目は以下の10項目です。

  • 給食
  • 購買・ショッピング
  • 被服
  • 保険
  • 介護
  • 育児関連
  • ファミリーサポート
  • 財産形成
  • 通勤バス・駐車場
  • その他

20年間(1998年度から2018年度)の費用と構成比の変化は、それぞれ以下のようになっています。

ライフサポート費用の推移(保険の増加)
  • 給食 2,740円(45.9%)→1,824円(29.9%) 減少
  • 購買・ショッピング 336円(5.6%)→259円(4.2%) 減少
  • 被服 550円(9.2%)→538円(8.8%) 横ばい
  • 保険 633円(10.6%)→1,058円(17.3%) 増加
  • 介護 1998年度なし→27円(0.4%) 新規
  • 育児関連 25円(0.4%)→442円(7.2%) 増加
  • ファミリーサポート 99円(1.7%)→252円(4.1%) 増加
  • 財産形成 1,029円(17.3%)→1,036円(17.0%) 横ばい
  • 通勤バス・駐車場 455円(7.6%)→542円(8.9%) 増加
  • その他 98円(1.7%)→125円(2.1%) 増加
*( )内はライフサポートの福利厚生費のうちの割合

ライフサポート費用の推移(両立支援増加)

特に時代を反映しているのが、1998年度にはなかった介護と増加をしている保険、育児関連です。家庭と仕事を両立させたい人が増えていることと、働き方改革の追い風もあり、企業による介護と育児の支援は今後も間違いなく増えていきます。

また、将来の見通しが不透明な時代にあって、お金の不安を少しでもやわらげるために保険の加入や見直しをする人も増えています。団体生命保険等の保険料を企業が負担をしたり、保険の相談を企業が支援したりする動きは、しばらく続きそうです。

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慶弔関係|減少傾向

 
慶弔関係費用の推移(1998年後以降) 

慶弔関係の福利厚生費は、過去20年でみると減少傾向です。1998年度は934円でしたが、2008年度は790円、2018年度は585円と20年間で349円の減少です。結婚や出産などに伴う慶弔見舞金や永年勤続表彰金などの慶弔金、健保・労災の法定超付加給付ともに減少しています。

今後も慶弔関係が増えることはなく、むしろ今後は在宅勤務補助やリモートワークの環境設備補助など、時代にあった手当が増加するでしょう。

文化・体育・レクリエーション|活動補助の増加

文化・体育・レクリエーション|活動補助の増加

文化・体育・レクリエーション全体の福利厚生費は、過去20年でそこまで変わっていません。1998年度は2,474円でしたが、20年後の2018年度は2,124円で微減です。しかし、その内訳が大きく変わっています。施設運営から活動補助への移行です。

文化・体育・レクリエーションの福利厚生費は、施設運営と活動補助の2つの小項目があります。

1998年度時点では施設運営1,593円に対して、活動補助881円で64:36でした。それが2018年度には施設運営763円に対して、活動補助1,361円で36:64に逆転しています。20年前と真逆です。

この施設運営から活動補助への企業の費用負担シフトは、医療・健康と同じトレンドです。
ハコモノから補助へ。福利厚生施設を運営するよりも、従業員の自発的な活動を支援(補助)するのが福利厚生のトレンドになっています。

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共済会・福利厚生代行サービス費・その他|大きな変化なし、その他は減少

共済会の福利厚生費は、過去20年でそこまで変わっていません。1998年度は297円でしたが、20年後の2018年度は265円で微減です。

また、福利厚生代行サービス費は1998年度には存在していませんでしたので、2008年度からの10年間比較になりますが、大きな変化はありません。2008年度は342円でしたが、2018年度は305円と微減です。

その他項目は、各項目に振り分けられない費用が含まれますのでトレンドをみることはできませんが、20年間で半減しています。1998年度は1,279円でしたが、20年後の2018年度は692円まで減少しています。

これらの項目に目立ったトレンドはありませんが、今後福利厚生の管理・運用を自社ではなく代行企業にアウトソーシングをする企業が増えると、福利厚生代行サービス費が増えてくるかもしれません。

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カフェテリアプランのトレンド

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福利厚生制度をカフェテリアプランで運営している企業もあります。いまだ少数派のカフェテリアプランですが、導入企業はどのように推移しているのでしょうか。導入企業割合や企業規模別の分布を紹介します。

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カフェテリアプランの導入企業割合

カフェテリアプランの導入企業割合

カフェテリアプランを導入している企業は年々増加しているものの、2018年度時点で16.6%*とまだまだ少ないのが現状です。
* 回答企業数に対する導入企業数の割合

カフェテリアプランの調査開始は2002年度からですので過去10年のデータでみてみると、2008年度の11.9%(81社)から2018年度には16.6%(104社)まで増えています。わずかではありますが、増加傾向です。

今後、独自の福利厚生制度で公平性を保ちつつ、従業員の自主性を尊重したいと考える企業が増えてくれば、カフェテリアプラン導入企業はさらに増えていくでしょう。

従業員規模別の分布

 
全体的には、カフェテリアプランを導入する企業は増加傾向にあります。しかし、従業員規模別に導入企業をみると、明らかな差があります。従業員規模が大きければ大きいほど、カフェテリアプラン導入割合が高くなり、規模が小さい企業ほど導入割合が低くなるという差です。

2018年度においては、104社のカフェテリアプラン導入企業のうち、以下のような規模別内訳の結果が出ています。

  • 従業員数500人未満:9社
  • 従業員数500~999人:7社
  • 従業員数1,000~2,999人:26社
  • 従業員数3,000~4,999人:15社
  • 5,000人以上:47社

従業員数5,000人以上の企業が最もカフェテリアプランを導入しており、104社中47社(45.2%)です。1,000人以上というくくりにすると104社中88社、じつに84.6%を占めます。このカフェテリアプラン=大企業が多いという傾向は、過去10年の調査結果でも同じでした。

カフェテリアプランは従業員数が多いほど運営費用などの面でスケールメリットを活かしやすいこともあり、結果として従業員規模の大きい企業がカフェテリアプランを導入しているという実績につながっています。

カフェテリアプランのメニュー消化分布

カフェテリアプラン メニュー消化費用の割合(2018年度)

2018年度のカフェテリアプランで消化された費用は、4,881円(従業員1人1ヶ月平均)でした。10年前の2008年度は4,524円でしたので、ほぼ変わっていません。

2018年度の消化費用の内訳をみると、最も消化されている項目はライフサポートメニューです。2,689円の消化で、全体の55.0%を占めています。次いで、文化・体育・レクリエーションメニューの1,333円(構成割合27.3%)、住宅メニューの535円(構成割合11.0%)でした。

ライフサポートメニューの中でも消化されている小項目上位は、財産形成(739円)と保険(531円)です。企業負担の法定外福利厚生費同様、将来の見通しが不透明な時代にあって、従業員は「将来の資金」と「万が一の時のお金」に投資をしています。

従業員の関心が高まっている福利厚生

カフェテリアプランは、従業員が付与されたポイントの中で自主的にメニューを選択してポイントを消化します。そのような意味では、従業員が求める項目で消化が増加します。従業員はどのような福利厚生メニューに関心をもってポイントを消化しているのでしょうか。

前年増減率でみると、2017年度比で最も増加している項目は自己啓発の145.0%(147円)次いでファミリーサポートの63.9%(59円)、医療・健康メニューの60.7%(188円)でした。

変化の激しい時代を生きるために、従業員は自己啓発(学びなおしや資格取得など)に投資をしはじめています。また、医療・健康への投資は企業負担の法定外福利厚生費同様、今後も増えていくでしょう。

健康な体あっての労働という考え方は、福利厚生の大きなトレンドになっていくことは間違いありません。

まとめ

まとめ

福利厚生費は、時代の変化にあわせて変わっている。その費用の増減に、トレンドがあらわれている。

2018年度の企業の福利厚生費は113,556円で、過去最高額。

  • 法定福利厚生費88,188円(77.7%) 増加傾向
  • 法定外福利厚生費25,369円(22.3%) 減少傾向

法定外福利厚生費の項目別費用。

  • 住宅関連 12,133円(47.8%) 減少傾向
  • 医療・健康 3,161円(12.5%) 増加傾向
  • ライフサポート 6,103円(24.1%) 両立支援と保険の増加
  • 慶弔関係 585円(2.3%) 減少傾向
  • 文化・体育・レクリエーション 2,124円(8.4%) 活動補助の増加
  • 共済会 265円(1.0%) 変化なし
  • 福利厚生代行サービス費 305円(1.2%) 変化なし
  • その他 692円(2.7%) 減少傾向

大きなトレンドは、ハコモノから補助へ。

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伸びている領域。

  • 医療・健康
  • 両立支援(介護や育児関連)
  • 将来への備え(保険や財産形成)
  • 自己啓発

時代にあわない福利厚生は利用されません。利用されない福利厚生は、無駄な費用です。福利厚生費の推移からトレンドを読みとり、時代と自社にあった福利厚生を導入・充実させましょう。

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