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健康経営で生産性を上げる4つの方法!理由や導入のポイントも解説

仕事を円滑に進めるためには、コミュニケーション能力を高めることや生産性を上げることなどがよく取り上げられます。しかし、そもそもの土台である健康を軽視してはいけません。従業員の健康を促進する「健康経営」を行うことによって、エンゲージメントや生産性の底上げをすることができます。

本記事では、健康経営で生産性を上げるための方法や導入ポイント、また健康経営を目指すべき企業の特徴まで解説します。

「もしかすると自社が当てはまるかもしれない」と考えている企業担当者は、健康経営の戦略的な導入を学ぶことによって、社内の活性化を促してみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.健康経営とは何か
  2. 2.健康経営のメリット
    1. 2.1.従業員の健康を守れる
    2. 2.2.従業員のモチベーション向上
    3. 2.3.人材の定着率向上や長期化
  3. 3.健康経営を導入しないデメリット
    1. 3.1.疾病リスクが増える
    2. 3.2.企業の価値やイメージが低下する
    3. 3.3.離職率が増加する
  4. 4.健康経営で生産性が向上する理由
    1. 4.1.健康状態との関連性が高いため
    2. 4.2.仕事満足度との関連性が高いため
    3. 4.3.エンゲージメント向上との関連性が高いため
  5. 5.健康経営の導入で生産性を向上させた方が良い企業の特徴
    1. 5.1.勤怠が不安定である
    2. 5.2.残業が常習化している
    3. 5.3.離職率が高い
  6. 6.健康経営を実践して生産性を高めるための構築方法5ステップ
    1. 6.1.経営理念や方針の再設定
    2. 6.2.組織体制の構築
    3. 6.3.現状把握と検討
    4. 6.4.実行
    5. 6.5.効果の検証や改善
  7. 7.生産性向上につながる健康経営の具体的な取り組み
    1. 7.1.健康状況の可視化
    2. 7.2.残業や稼働時間の短縮
    3. 7.3.健康に関するイベントを開催する
    4. 7.4.ヘルスリテラシーの浸透と教育
  8. 8.健康経営を実践して生産性を高めよう


健康経営とは何か

健康経営とは、アメリカの心理学者であるロバート・ローゼンによる「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という経営戦略の1つです。日本でも経済産業省が中心となり、2009年から「健康経営銘柄」、2016年から「健康経営優良法人認定制度」といった、健康を促進する施策を実施しています。

このような厚生労働省から認定された企業(ホワイトマークの取得)は、採用面で強く、企業のイメージアップ、受注の拡大などのメリットがあります。

もし企業側が従業員へ無理な労働を強いたとすると、健康を損なう従業員が続出します。短期的な収益は見込めたとしても、長期的には良い成果を出すことは難しいでしょう。これらの理由から健康経営が必要になるのです。


健康経営のメリット

健康経営を取り入れるメリットは、主に4つです。

  • 従業員の健康を守れる
  • 従業員のモチベーション向上
  • 人材の定着率向上や長期化
  • 生産性の向上と業績アップ

それぞれ解説します。


従業員の健康を守れる

1つ目は、従業員の健康を守れることです。建設的な経営を維持するためには、第一に従業員が肉体的にも精神的にも安定して健康な状態であることが重要です。

また、健康であればあるほど企業が負担する医療費を抑えられるメリットもあります。


従業員のモチベーション向上

持病や何らかの疾病を抱えたままで業務を続けることは企業側には1つの足かせでしょう。

従業員が健康であれば、不要な心配や悩みを抱えず業務に集中することが可能です。これにより、従業員の仕事に対するモチベーションの向上が期待できます。その結果、生産性向上と業績向上も見込めるはずです。


人材の定着率向上や長期化

企業が健康維持をサポートすることで、福利厚生の充実が図れます。充実したサポート体制があれば新規の人材へのアピールポイントになったり、現在所属している社員の帰属意識を向上させたりすることも可能です。

離職率の減少によって、人材のスキルアップや育成もしやすくなるでしょう。


健康経営を導入しないデメリット

ここでは、経営戦略に健康経営を導入しない場合の懸念点を3つ紹介します。具体的には以下3つです。

  • 疾病リスクが増える
  • 企業の価値やイメージが低下する
  • 離職率が増加する

それぞれ解説します。


疾病リスクが増える

従業員の健康をないがしろにしていると、さまざまなトラブルが発生します。その1つが社内全体での疾病リスクの増加です。従業員が不健康な状態になってしまうと、欠員の増加や生産性の低下、保険料の増加などが懸念されます。


企業の価値やイメージが低下する

福利厚生が整っていない企業は、社内外問わずイメージの低下に繋がります。特に悪いイメージは1度つくと拭い切ることが困難です。これにより新規の人材が集まらなかったり、取引先との信頼関係にも影響を与えたりする可能性もあるでしょう。


離職率が増加する

最後の懸念点は離職率の増加です。従業員は企業の宝ともいわれるように、人がいないと事業を行うことはできません。その人員が離れると、残った人員でカバーしなければならないため、企業全体がブラック化し、負のループに陥ってしまいます。


健康経営で生産性が向上する理由

「健康経営を戦略に取り入れたからといって本当に生産性が伸びるのか」と疑問に思う方も多いはずです。 本章では、健康経営がなぜ生産性を向上させるのかを詳しく紐解きます。


健康状態との関連性が高いため

健康と生産性は結びつきがないように感じますが、そうではありません。 従業員が心身ともに健康を良い状態にできていれば生産性を向上させられる、という調査結果が出ているのです。 上記の図は、経済産業省が2018年に発表した「健康経営の効果と意義」からの抜粋です。

土木建築業大手23社を対象に健康調査を実施し、約3年間のデータをまとめたものです。上記の図では健康経営に力を入れている企業は、メタボ・喫煙・血糖値・脂質異常症・血圧のすべてのリスクが低かったことを示しています。

健康経営を的確に実施することで従業員の健康が保たれ、生産性の向上につながるといえるでしょう。


仕事満足度との関連性が高いため

2015年に厚生労働省が調査した「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告」でも、仕事満足度が上がると、生産性が改善されるとの結果が出ています。 参照:今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告|厚生労働省

従業員だけの満足度に留まらず、顧客との両方の満足度を重視する企業の方が、顧客満足度のみを徹底する企業よりも、業績の向上と人員確保が容易になったとの結果も出ています。

つまり、企業側は業績の向上や優秀な人材を確保するためには「従業員の満足度」を高めることが先決です。そのためにも、有効な健康経営を導入しましょう。


エンゲージメント向上との関連性が高いため

エンゲージメントが高い従業員は「企業の成長=自分自身の幸福」のような認識を持っているため、自発的な努力や工夫などの行動を起こします。

下記の図は、アメリカのGALLUP社が統計を取った「State of the Global Workplace Report」(グローバルな職場のレポート)です。このレポートには、エンゲージメントと営業収益の関係が示されています。

https://survey.lafool.jp/thanks/admin/より抜粋

上記の図から分かるように、エンゲージメントが高水準であればあるほど生産性だけではなく、収益や株価、顧客満足度も高いポイントを叩き出しています。

すなわち、健康経営を行うことでエンゲージメントや帰属意識が根付くと、自然と生産性が向上することが判明したのです。この調査にならうと、エンゲージメントを高めることによって健康経営を成功させることが可能になるといえるでしょう。


健康経営の導入で生産性を向上させた方が良い企業の特徴

生産性が向上する確証ができたところで、自社にも健康経営が必要かどうかが気になるでしょう。本章では、健康経営を導入するべき企業の特徴を3つ紹介します。

  • 勤怠が不安定である
  • 残業が常習化している
  • 離職率が高い

自社に当てはめてチェックしましょう。


勤怠が不安定である

従業員の遅刻や早退、欠勤が多いケースは健康経営の導入が必要です。勤怠が怠慢になっている理由は、労働環境が整っていないことが一因として考えられます。労働環境に対して何らかの問題を抱えているため、仕事へのモチベーションが上がらずに遅刻や早退を繰り返してしまうのです。

実際に定刻通りに出社していたとしても、モチベーションが無ければ生産性は低下し、退社時間までどうやってサボろうかと考える従業員も中にはいるでしょう。 このような不安定さや生産性の無さを回避するためにも、経営戦略を整えましょう。


残業が常習化している

残業が多い理由は、タスクが膨大すぎるか、生産性が落ちたことで仕事を捌き切れていないかの2パターンが考えられます。 就業時間内でその日の仕事を完了させるためには、集中して仕事に取り組む環境を提供しなければいけません。一方で、タスクが多すぎる場合では、経営リソースの再構築化が必要です。

どちらのケースでも、従業員の健康面が悪化している可能性が高いです。万が一、体調を崩し入院や通院などの措置が必要になれば、補欠人員の確保や引継ぎの手間がかかることはもちろん、企業が負担する医療費(保険料)の増額にも繋がります。 負のループに陥る前に、しっかりと経営を見直しましょう。


離職率が高い

離職率は必ず何らかの労働環境に一因しています。厚生労働省が発表している「平成30年雇用動向調査結果の概況」でも、離職原因のトップは労働環境だと結果が出ています。

また、前章で紹介したGALLUP社の「State of the Global Workplace Report」では、世界的に見ても日本のエンゲージメントは低下層にあり、熱意や情熱がある人材は全体の5%ほどです。最低限の仕事をこなして、静かに辞めていく退職者は62%にも上ります。 職場環境を改善することで、人材の確保につながり離職率の増加は防げます。離職を防いだ後はマネージメントに重きを置けば、より数値改善が見込めるでしょう。


健康経営を実践して生産性を高めるための構築方法5ステップ

健康経営の重要さがわかったところで、ここからは実際に健康経営を実践するための体制構築のための具体的な5ステップを紹介します。

  • 経営理念や方針の再設定
  • 組織体制の構築
  • 現状把握と検討
  • 実行
  • 効果の検証や改善


経営理念や方針の再設定

まずは「なぜ健康経営に取り組むのか」への理念をきちんと明文化しましょう。

  • 取り組む「背景」
  • どこを目指すかの「目的」
  • プロジェクトチーム発足などの「体制」
  • 展開・推進していくかの「予定」

背景・目的・体制・予定を明確にまとめ上げることで、社内へ実施表明をスムーズに行うことができます。


組織体制の構築

2つ目は、実行力のある組織体制の構築です。

具体的には健康経営プロジェクトチームを発足したり、人事・総務部などの部署を主担当に任命したりなどの主体を確立させましょう。従業員の中から主任者や実行者を任命して、健康経営を取り仕切り社内へ浸透させるリーダーシップを担える「健康経営アドバイザー」の資格を取得してもらうことも有効です。

ただし、従業員の資格取得が難しい場合は、外部から「健康経営アドバイザー」の上位資格である「健康経営エキスパートアドバイザー」を招くこともおすすめです。

健康経営は企業全体で実施するべき戦略なため、全体会議や役員会など都度議題に出して、管理体制や軌道修正を行いながら実施しましょう。


現状把握と検討

健康経営を実際に実行するためには、現状における従業員の健康課題を把握しておきましょう。具体的には健康診断やストレスチェックの実施、残業時間の把握、休職者や離職者数の推移を調査します。

データを集めて、自社の課題を見つけましょう。例えば「〇〇部署だけ残業時間が極端に多い」や「〇〇部署だけ健康診断の受診率が低い」などの課題が浮き彫りになります。各部署の課題や問題点が明らかになれば、ピンポイントで改善できたり、社内の価値観を大きく改変できたりするきっかけになるでしょう。


実行

体制が整い施策が決定したら、健康経営の制度開始をしましょう。健康経営は始めてすぐに効果が現れる施策ではありません。そのため、長期的な継続が必要です。

健康が重要だと周知・定着させるためにも、定期的な講演会や勉強会を開催したり、サポート体制が充実していることをアピールするためにポスターを掲示したりなど、施策を進めましょう。

まずは少ない負担で可能な取り組みを実行することが成功へのカギです。


効果の検証や改善

最後に、課題に対してどんな変化があったのかを検証します。

例えば、1カ月ごとに定期的な評価アンケートを実施して現状の効果を調査するのがおすすめです。健康経営は長期的な経営戦略であるため、改善を繰り返してブラッシュアップしていきましょう。


生産性向上につながる健康経営の具体的な取り組み

本章では、健康経営につながる具体的な取り組みを4つ紹介します。 自社でどのような施策を取り組めば良いか悩んでいる方は、参考にしてください。

  • 健康状況の可視化
  • 残業や稼働時間の短縮
  • 健康に関するイベントを開催する
  • ヘルスリテラシーの浸透と教育

それぞれ詳しく解説します。


健康状況の可視化

まずは「プレゼンティーズム」を軽減するために、全従業員の健康状態を可視化します。

プレゼンティーズムとは、体調やメンタルの不調により、本来もっている能力が低下し、パフォーマンスが充分に発揮されない状態です。プレゼンティーズムには、花粉症や睡眠不足などちょっとした体調不良も含まれます。 毎日出社したときにプチアンケートを実施したり、健康状態を図る計測機器を各部署に設置したりなど、常にデータで可視化できる環境を整えましょう。

血圧・活動量・脈拍・歩数・睡眠量などを計測して健康状態をチェックし、もし数値が思わしくない場合には面談や指導を行うことをおすすめします。


残業や稼働時間の短縮

労働時間の見直しは健康経営の実施には欠かせません。従業員それぞれのワークライフバランスを考慮して、希望者にはテレワーク・フレックスタイム・時差出勤などを取り入れてみましょう。効率が良くなれば、生産性も上がり、残業代の軽減にもつながります。

ただし、テレワークの導入にはさまざまな環境整備費用が発生したり、福利厚生の平等化が失われたりすることがあります。注意して導入を検討しましょう。


健康に関するイベントを開催する

健康関連のイベントやセミナーの定期実施、また定期検診への参加を促すことも重要な取り組みの1つです。「健康経営アドバイザー」や「健康経営エキスパートアドバイザー」を招いて、健康意識の向上へ一役買ってもらいましょう。

はじめは小さな活動でも、地道に続けていると、やがて大きな輪となり、社内全体へ広がっていきます。


ヘルスリテラシーの浸透と教育

健康に関するリテラシーが高い人材の教育と確保も重要です。実行部隊からリーダーを任命して、イベントやセミナーの幹事を取り仕切ってもらったり、「健康経営アドバイザー」の資格取得を後押ししたりしましょう。

リテラシーが高い従業員がいると、社内の意識も自然と底上げされることが期待できます。 また、欠勤や早退など業務ができない重度な状態である「アブセンティーズム」に陥らないためにも必須の取り組みです。


健康経営を実践して生産性を高めよう

従業員の健康に配慮する健康経営はスタンダードになりつつあります。まずは従業員の勤怠を把握し、健康データの収集を始めましょう。

長期的な経営戦略ですが、健康経営を実践することで生産性は確実に向上し底上げできます。現状、生産性が低迷していたり、業績が芳しくなかったりする企業では、いち早く健康経営の導入をおすすめします。 本記事を参考にして、生産性の高い企業の礎を築いていきましょう。

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