
ウェルビーイング経営とは?効果や進め方・6つの成功事例も紹介
ヨーロッパをはじめとしてさまざまな国々でウェルビーイングが活発化しており、この影響を受けて日本でも多くの企業でウェルビーイング経営が推し進められています。
しかし、ウェルビーイング経営がどのようなメリットを生むのか、はっきりわからない方は多いのではないでしょうか。
また、ウェルビーイングが本当に離職率の低下や労働環境の改善につながるのか、半信半疑な方も少なくないでしょう。
ウェルビーイングは上記のような企業課題を解決し、健康的な経営を実現することに役立ちます。実際に自社で推進できるように、ウェルビーイング経営の効果や進め方、また6つの成功事例を解説します。 ぜひ自社の問題を解決し、健康的な経営を始めましょう。
目次[非表示]
- 1.ウェルビーイング経営とは
- 2.ウェルビーイングの5つの要素
- 3.ウェルビーイング経営が必要な理由
- 3.1.人口減少による人材不足
- 3.2.働き方改革による環境の変化
- 3.3.SDGs・サスティナブルな意識の高まり
- 4.ウェルビーイング経営のメリット3つ
- 5.ウェルビーイング経営のデメリット
- 6.ウェルビーイング経営への取り組み方
- 6.1.従業員の労働環境改善
- 6.2.コミュニケーションを活性化させる
- 6.3.従業員満足度調査の実施
- 6.4.ツールやシステム・福利厚生の導入
- 7.ウェルビーイング経営の成功事例6選
- 7.1.株式会社丸井グループ
- 7.2.積水ハウス株式会社
- 7.3.トヨタ自動車株式会社
- 7.4.株式会社アシックス
- 7.5.楽天グループ株式会社
- 7.6.味の素株式会社
- 8.中小企業でウェルビーイング経営はハードルが高いのか
- 9.ウェルビーイング経営を学ぶにはセミナー活用が有効
- 10.ウェルビーイング経営を学べるおすすめセミナー
- 10.1.株式会社リロクラブ
- 10.2.日経オンラインセミナー
- 10.3.ProFuture株式会社
- 11.ウェルビーイング経営で企業価値を向上しよう
ウェルビーイング経営とは
「ウェルビーイング経営」とは、自社の利益を追求するだけではなく、経営に関わる従業員や関係者全員の幸せを追求する経営方法のことです。 具体的には「身体的・精神的・社会的に満たされること」を目指して、組織の環境を整える取り組みを指します。
そもそもウェルビーイングとは
そもそも「ウェルビーイング(Well-being)」とは、WHO(世界保健機関)が定義した精神的・肉体的の健康と社会的な健康を意味する言葉です。外務省が公表している「世界保健機関憲章」には、健康とは病気であるかに関係なく、肉体的・精神的・社会的に満たされている状態だと説明されています。 また、ウェルビーイングには以下の2つがあります。
- 主観的ウェルビーイング
- 客観的ウェルビーイング
上記2つの側面から考えることが重要です。主観的ウェルビーイングは自己評価により測られるもので、人生の充実度や個人の幸福度を評価する側面があり、一方で客観的ウェルビーイングは外部から測られるGDP(国内総生産)や健康寿命などを示します。
経営には「主観的ウェルビーイング」の向上がポイント
ウェルビーイング経営を成功させるためには、個人の幸福度を示す主観的ウェルビーイングが重要です。たとえGDPや健康寿命が伸びたとしても、社会全体から見た幸福度は個人の幸福度には直接的な関係がないためです。
これゆえ、ウェルビーイング経営を成功させるには、企業の利益追求や健康的な取り組みを増やすだけでは実現できません。個人の生活と直結するような具体的な施策でなければ、主観的ウェルビーイングを向上させることは難しいでしょう。 具体的な取り組みには、勤務時間の短縮や自由度を上げること、休日や有給日数を増やすなどが該当します。
また、昨今では主観的ウェルビーイングは個人の人生に与える影響だけではなく、企業の利益や業績との関連性があることも分かってきました。企業の業績をアップさせるためにも、個人の生活向上につながる主観的ウェルビーイングを高めることを目指しましょう。
ウェルビーイング経営と健康経営の違い
ウェルビーイング経営と似た言葉で「健康経営」があります。分かりやすく図にまとめると下記のとおりです。
健康経営 (企業視点)
|
従業員の心身の安定によって労働生産性の向上や離職率の低下を図り、業績・株価などの企業価値の向上を目指すこと |
ウェルビーイング経営 (従業員視点)
|
従業員の健康や高いエンゲージメント、いきいきとした組織づくりから、企業の存在意義の達成を目指すこと |
健康経営は、従業員の心身の安定によって労働生産性の向上や離職率の低下を図り、業績・株価などの企業価値の向上を目指すもの。
一方のウェルビーイング経営は、従業員の健康や高いエンゲージメント、いきいきとした組織づくりから、企業の存在意義の達成を目指すことです。
従業員の視点で考え、現場の意見を取り入れて3つの福祉(身体・精神・社会的)を実現することがウェルビーイング経営であり、企業視点で考え、経営トップから施策を進め、身体・精神の2つの健康を実現するのが健康経営です。
このようにウェルビーイング経営の方が健康経営よりも広義の意味合いであり、かつ、より従業員の健康と幸福度を考える経営方針を取っていることが両者の違いだといえるでしょう。
ウェルビーイングの5つの要素
本章では、ウェルビーイングで活用される幸せを概念化した5つの要素を解説します。 そもそも、ウェルビーイングの考え方は「ポジティブ心理学」から生まれました。
ポジティブ心理学とは、人間の素晴らしいポイントに焦点を当てて、持続的な幸福を追及するための研究や学問のことです。幸福を追求するには一時的な幸福ではなく、幸福である状態を高いレベルで保つ(ウェルビーイング)ことが重要だとしています。
下記は、そのような特徴を持つポジティブ心理学やウェルビーイングで用いられるフレームワークです。
P(Positive emotion) |
ポジティブな感情・心身の健康 |
E(Engagement) |
没頭や没入・エンゲージメント |
R(Relationship) |
良好な人間関係・社内の雰囲気 |
M(Meaning) |
モチベーションや意義・生産性 |
A(Accomplishment) |
達成感や満足感・報酬の安定感 |
それぞれの頭文字を取って「PERMAモデル」とも呼ばれています。ウェルビーイング経営を成功させるためには重要な指標となるため、覚えておきましょう。
ウェルビーイング経営が必要な理由
ウェルビーイング経営が必要な理由は下記の3つです。
- 人口減少による人材不足
- 働き方改革による環境の変化
- SDGs・サスティナブルな意識の高まり
それぞれ解説します。
人口減少による人材不足
少子高齢化に伴い労働人口の減少が進んでいるため、多くの企業が人材不足に直面しています。また、その他にも終身雇用の崩壊や雇用の流動化が進んでいる現状もあるでしょう。 労働人口の減少や人材不足を解消するためには、自社へ人材が集まる求心力が必要です。
そのためには、求職者や従業員にとって「魅力的な環境づくり」が重要になってきます。この点においてウェルビーイング経営は魅力的な環境づくりの一環が担えるため、注目度が高まっているという訳です。
働き方改革による環境の変化
長時間労働の是正やフレックスタイム制、テレワーク制度の導入といった「働き方改革」が国を挙げて推進されていることも、ウェルビーイング経営の必要性を高めています。 前時代のようなハードワークは社会から好ましく思われません。従業員のライフワークバランスを重視し、健康的な労働環境の用意が必要です。
また、働く従業員も自由で柔軟な働き方を求めていることも多いため、時代やニーズの変化に対応することが企業には求められます。その対応策の1つがウェルビーイング経営といえるでしょう。
SDGs・サスティナブルな意識の高まり
SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに未来へ持続可能な資源を引き継ぎ、より良い世界を目指す17の国際目標のことです。昨今は国が推し進めるだけではなく、企業もSDGsへの貢献のためにサステナブル(持続可能)な取り組みをするべきだという意識が広がっています。
例えば、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」や、目標8「働きがいも経済成長も」の2つは、実際にウェルビーイング経営を施行すれば達成できる取り組みです。自社の利益だけではなく社会課題の解決も追求することで、よりウェルビーイングに近づけるはずです。
参考:3: すべての人に健康と福祉を|外務省
参考:8: 働きがいも経済成長も|外務省
ウェルビーイング経営のメリット3つ
本章では、ウェルビーイング経営に取り組むことで得られるメリットを3つ紹介します。メリットは下記のとおりです。
- 生産性の向上が期待できる
- 離職防止・求職者アピールにつながる
- 人的資本情報開示やSDGs推進つながる
それぞれ解説します。
生産性の向上が期待できる
まずは、生産性の向上が見込まれる点です。 「ウェルビーイングと仕事のパフォーマンスにおける相関」に関するデータ分析結果では、ウェルビーイングと生産性は大きく向上する関係にあると証明されました。下記の図は、ウェルビーイングが上がれば、仕事のパフォーマンスも比例して向上することを表しています。 このように、ウェルビーイング経営を導入することで、従業員のパフォーマンスが向上し、結果として生産性や業績の向上につながるといえます。
参照:ウェルビーイングと仕事のパフォーマンスにおける相関分析|株式会社 アドバンテッジリスクマネジメント
離職防止と求職者へのアピールにつながる
2つめのメリットは、離職率低下と求職率の向上につながる点です。 ウェルビーイング経営を進めて従業員のパフォーマンスや生産性が向上することによって、離職率は格段に下がる可能性が高くなります。やりがいを持って仕事に取り組むことは、前述したウェルビーイングの5つの要素の中の「Engagement」に該当し、積極的に関わるエネルギッシュさやエンゲージメントに関係するからです。 やりがいが生まれれば漠然とした不安やストレスがなくなり、結果として休職者や離職者を軽減できるでしょう。
また「ウェルビーイング経営に取り組んでいる」と社外にアピールすることで、求職者への訴求にもつながります。 より良い労働環境を求めている現代の求職者には、ウェルビーイング経営の実現は数ある中から企業を選ぶ際の1つの重要な指針となるでしょう。
人的資本情報開示による信頼度向上やSDGs推進につながる
人的資本情報開示とは「従業員の成長のために行った取り組み」を、財務情報と同じように社内外に向けて公表することです。
近年、人的資本情報を開示することは、投資家やステークホルダー(株主・経営者・従業員・取引先・金融機関・行政機関・各種団体など)から大きな関心が寄せられています。 企業側のメリットとしては人的資本情報開示により、企業運営の実態を明確化できることで、投資家からの融資が受けやすくなることや、人材確保が容易になる点が挙げられるでしょう。
さらにSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標8「働きがいも経済成長も」など、世界的にサステナブルの推進やエシカルな取り組みの高まりに応えることも、ウェルビーイング経営を導入するメリットといえるでしょう。
人的資本開示が必要になった理由
関心が寄せられるようになった理由は2008年のリーマンショックの事件が発端です。財務情報のみでは中長期的な企業価値を評価しづらいという理由から、人的資本の情報開示が求められるようになりました。
また、2018年にはISO(国際標準化機構)により「ISO30414」という情報開示のための国際的なガイドラインが発表されたため、人的資本情報の開示はステークホルダーからの信頼度の向上につながっています。
ウェルビーイング経営のデメリット
メリットが多いウェルビーイング経営ですが、デメリットも存在します。
- 従業員と企業の認識がズレる
- 長期的な施策が必要
- 仕組みづくりにコストがかかる
まず、ウェルビーイング経営が目指す目標を企業側と従業員側ですり合わせないとブレが生じることです。企業が思う経営的な理想と、従業員が考える経営陣への期待は、必ずしも合致するとは言い切れません。
そのため、企業はウェルビーイング経営の目的である「身体的・精神的・社会的」な施策を従業員に伝え、納得してもらえるようなサポートを行うことが重要です。 また、ウェルビーイング経営を定着させるには、長期的な施策が必要といえます。具体的にはフレックスタイム制の導入や働きやすいシフトの実現、労働環境の改善、法令遵守などが挙げられます。
ただし、これまでの方針から大きく舵を切る必要があるため、一度に180度変えるのは混乱を招く原因です。徐々に導入する対応部署を拡大したり、何度も普及に努めて全従業員に広く認知させたりする必要があるでしょう。
このような仕組みづくりは多大なコストとリソースが必ずかかります。改革のパワーがない中小企業などでは、いくらウェルビーイング経営を導入したいと思っても、大企業のように大改革を推し進めるにはパワー不足である点も懸念点の1つでしょう。
ウェルビーイング経営への取り組み方
本章では、ウェルビーイング経営の具体的な取り組みを4つ紹介します。
- 従業員の労働環境改善
- コミュニケーションを活性化させる
- 従業員満足度調査の実施
- ツールやシステム・福利厚生の導入
それぞれ解説します。
従業員の労働環境改善
ハードワークやオーバーワークなどが蔓延している労働環境は、すぐに改善するべき問題点です。 業務の効率化を図るためのツールやシステム導入、社内の部署や人員の整理、また働き方に合わせたテレワークの導入や時短勤務など、社内における働き方改革を実施しましょう。 また、下記のような従業員のヘルスケアのサポートも重要なウェルビーイング経営の施策の1つです。
- 健康診断、予防接種の実施
- がん検診の費用を負担
- ストレスチェックの実施
- 産業医との個別面談の設定など
社内報や社内メール、ツールなどを通じて啓発活動を行うとよいでしょう。
コミュニケーションを活性化させる
社内の人間関係や職場の雰囲気が悪いと、ストレスを感じて生産性が低下する原因になります。コミュニケーションを取りやすい環境を整え、職場の風通しを良くすることが大切です。 主なコミュニケーションの活性化方法は下記のとおりです。
- 社内の部活動を推奨する
- 懇親会などにかかる費用を補助する
- 休憩スペースや談話室を設置する
- コーヒーブレイクの実施など
ほかにも、社内ツールを活用して気軽なコミュニケーションを取りやすくすることもポイントです。
従業員満足度調査の実施
従業員が何を求めているかや、どのような不満を持っているのかを可視化する取り組みを行いましょう。社内アンケートや1on1のヒアリングなど、従業員の声に耳を傾けてニーズを引き出し、ウェルビーイング経営の改革を進めましょう。
また、近年は従業員の満足度という「結果」だけではなく、従業員が満足・不満足を持つようになる原因に着目した「従業員エクスペリエンス(EX)」の改善も求められています。 満足度が高いポイント、あるいは不満足になる原因が判明すれば、質の高い経営につながります。反対に悪い原因を突き止めることによって、再発防止策を練ることも可能です。
ツールやシステム・福利厚生の導入
コミュニケーションの活性化や満足度調査を行うためには、ツールの導入は欠かせません。例えば、従業員同士でお礼や「いいね!」を伝え合える気軽なコミュニケーションツールの導入などが必要になります。ほかにも、従業員の満足度調査の結果をシステム内に蓄積・分析することによって、適切な対策を打つことが可能です。
また、福利厚生を充実させることもウェルビーイング経営の施策の1つです。ただし福利厚生を導入する場合は、全従業員が平等に使えることが前提条件です。
一部の従業員のみにしか恩恵がないのは不公平感が募るため、正しい経営状況とは言いがたいでしょう。全員が福利厚生を利用できることと、もし一部の部署や従業員間で利用が難しい場合は代替案を用意し、過不足なく対応できるようにするなどの措置を行いましょう。
ウェルビーイング経営の成功事例6選
本章では、ウェルビーイング経営の成功事例を紹介します。自社の経営のヒントにしてください。
- 株式会社丸井グループ
- 積水ハウス株式会社
- トヨタ自動車株式会社
- 株式会社アシックス
- 楽天グループ株式会社
- 味の素株式会社
それぞれ解説します。
株式会社丸井グループ
首都圏を中心に百貨店やファッションビル業態の商業施設を展開する「OIOI(マルイ)」などを傘下に持つ丸井グループでは、従業員が主体的に行動する「手挙げ式」のウェルビーイングプロジェクトを推進しています。
具体的には、健康経営のビジョン策定や社内研修を企画するプロジェクトメンバーについて匿名性で募集を呼びかけたところ、応募が殺到しました。 メンバーを定期的に入れ替え、広く組織に浸透させる仕組みを作っています。
積水ハウス株式会社
大手住宅メーカーの積水ハウスでは「自社を世界一幸せな会社にする」をウェルビーイング経営の目標に掲げたのと同時に、企業理念にも盛り込みました。 企業理念には「人の幸せを願って親切に」と「感謝を伝え合うこと」を掲げ、全社に浸透を促しています。
また、同社は働き方改革とダイバーシティ(人材の多様性を認め互いに受け入れ合うこと)&インクルージョン(人材の属性に捉われることなく平等な機会と一体感を持って働く環境)、キャリア自律を柱とした従業員の成長を支援しています。 従業員同士の充実したコミュニケーションを重視しながら、企業理念に基づくウェルビーイングを推進しています。
トヨタ自動車株式会社
大手自動車メーカーのトヨタでは「自社の果たすべき使命」と「実現したい未来」を合わせた「トヨタフィロソフィー」を対外的に公表しています。
トヨタ最大のミッションである「幸せの量産」は、トヨタフィロソフィーの中心。自社ウェルビーイングとして、世界中の人たちが幸せになるモノやサービスの提供を推進しています。
株式会社アシックス
スポーツ用品を製造・販売しているアシックスは、アスリートを守るとともに社内の健康経営にも力を入れています。 具体的には、仕事後にスポーツを楽しめる空間を用意することや、全従業員にメンタルヘルス研修の開催、定期的な運動推進セミナーの実施などです。
また、効果検証のための定期健康診断やストレスチェック、社内の独自調査を定期的に実施しています。調査の結果に基づきウェルビーイング経営向上に力を入れています。
楽天グループ株式会社
インターネット関連サービスを中心に展開する楽天では、ウェルネス部・エンプロイーエンゲージメント部・サステナビリティ部の3つの部署を設けて、ウェルビーイングに取り組んでいます。 ウェルネス部ではカフェスペースやフィットネスサポートを通じて健康をサポート。 エンプロイーエンゲージメント部は、従業員と企業、部署同士のつながりやコミュニケーションをサポートし、サステナビリティ部では、ウェルビーイングに関する情報を日々発信しています。
また「仲間・時間・空間」の余裕や余白を持つことが組織の発展に重要だとし、ウェルビーイング経営を推し進めているのが特徴です。
味の素株式会社
食品企業で有名な味の素では「味の素で働いているだけで健康になる」ことを目指し、多くの取り組みを実施しています。 具体的には、健康状態を確認できるサイトの設置や、全員面談の実施、個別のメンタルヘルスサポート、労働時間の短縮などが挙げられます。
中小企業でウェルビーイング経営はハードルが高いのか
中小企業や事業を興したばかりのベンチャー企業など、ウェルビーイング経営にコストやリソースを割けないため「自社ではできない」と不安を抱えていませんか?
やり方次第でウェルビーイング経営は可能です。
確かに、ウェルビーイング経営の事例の多くが資本力を基にした施策であることが多く、ハードルが高く見えます。調べれば調べるほど自社には無縁だと感じたり、不可能だという気持ちになってしまうのが実情でしょう。
そこで、本章では中小企業でもウェルビーイング経営の実現できるポイントに触れます。
経営理念を再構築し社内に浸透させる
中小企業でもウェルビーイング経営を成功させるためのポイントは、従業員が拠り所にするべき経営理念が社内に浸透していることです。 経営理念が従業員の拠り所となっていないケースでは、指針がブレることによって従業員へストレスがのしかかります。
例えば、顧客満足を経営理念に掲げている場合、達成の仕方が「対応スピード」なのか「提案力」「価格」なのかによって違います。このようなばらつきがあることで、従業員のウェルビーイングを下げることにつながるのです。 経営理念や企業の取り組みが定まっていなければ、従業員は何を重要視して仕事を遂行すればいいのか迷ってしまいます。企業が概念化していない理念を従業員が汲み取ることは難しいでしょう。
また、重要視するポイントが相違していているために社内評価や人事評価がもらえない点も問題です。 そのため、経営理念を掘り下げて「対応スピードで顧客満足度を上げる」のように決めれば、企業と従業員間での価値観を統一することが可能です。
そうすれば、従業員は自信を持って行動しやすくなり、結果としてストレスを感じにくくなるためウェルビーイングにつながります。
さらには経営理念を掘り下げて設定することで、人事評価制度をブラッシュアップするきっかけにもなり、よりウェルビーイング経営に踏み込めるでしょう。
中小企業でもウェルビーイングは十分達成可能
中小企業でも、ウェルビーイング経営は十分可能です。まずは、従業員の拠り所となるような経営理念を浸透させ、お互いにブレや衝突、理不尽なことを解消していくことが解決の糸口となるでしょう。
そして、限られたリソースの中でも、現状の業務を大幅に改善できるツールやシステムの導入を採り入れたり、今までの体制を見直し業務フローを改めたりするだけでもウェルビーイング経営につながります。 大企業のように抜本的な改革を短期集中型で行うのではなく、長い視点で計画的に改革を進めることが重要です。
ウェルビーイング経営を学ぶにはセミナー活用が有効
ウェルビーイング経営を効率的に学ぶにはセミナーを活用するのがおすすめです。セミナー活用のメリットは以下のとおりです。
- 知識やノウハウが得られる
- 参加した人と人脈ができる
- 普段会えない人に会える
- 直接講師に質問・相談できる
- 動機付けになる・意欲が高まる
書籍やインターネット上でも知識を得ることはできますが、実際に指導者が居たほうが全体を通して体系的に学ぶことが可能です。
また、参加することで新たな人脈が広がり、普段会えないような人と出会う機会にもつながります。
そして、分からない部分や気になったポイントを、その都度講師に質問や相談をリアルタイムでできることも大きなメリットといえるでしょう。
すぐに疑問点を解消できると、学ぶ意欲が続き、よりウェルビーイング経営について知識を深める動機付けにもなります。 このように、セミナーを活用することで多くのメリットを獲得可能です。無料のセミナーも多くあるため、自社に合ったセミナーを見つけてみましょう。
ウェルビーイング経営を学べるおすすめセミナー
本章では、ウェルビーイング経営を学ぶおすすめセミナーを3つ紹介します。それぞれ特徴が異なるため、現状の課題や知りたい内容、日程などを考慮して検討してください。
株式会社リロクラブ
福利厚生代行サービスを提供しているリロクラブでは、さまざまなセミナーを開催しています。特にウェルビーイング経営に重要な「健康維持」「管理職研修」など、対象者に応じた集合研修を行っています。また、商品開発や販売促進、サービス品質の向上などビジネス全般で役に立つ「行動観察」などの工夫した研修まで提供可能です。
ほかにも、快眠セミナー・メタボ対策プログラム・オフィスや会議室などを活用して簡単にできるヨガ講習など、従業員の健康意識を底上げできるようなプログラムも豊富にそろっています。
ウェルビーイング経営をセミナーで学びつつ、プログラムを従業員へ提供することで、より健康経営的な考えを認知・普及・定着させることが可能です。
日経オンラインセミナー
日経オンラインセミナー(NEONセミナールーム)は、日本経済新聞社グループが開催するオンラインセミナーです。主に企業経営者、経営管理職層、ビジネスパーソンを対象にしたテーマを開催しています。
マネーセミナーのジャンルで多数開催されているため、特にウェルビーイング経営に絞って開催されている訳ではありませんが、今後開催予定の中には中小企業がウェルビーイングを推進していくためのセミナーも予定されています(2023年9月現在)。
詳しくはこちらをご覧ください。
ProFuture株式会社
人事向けポータルサイト「HRプロ」、日本最大規模の人事向けフォーラム「HRサミット」、「HRテクノロジーサミット」などを運営しているProFuture株式会社によるセミナーもあります。
今後開催予定の「HR SUMMIT 2023 ONLINE」では、専門分野の著名人を招き、HR分野全般のサミットを2023年9月20日~10月25日まで開催予定です。 オンライン・ストリーミング・アーカイブにも対応しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
ウェルビーイング経営で企業価値を向上しよう
ウェルビーイング経営は企業の価値向上に大きく貢献します。健康的な経営を推進することで全従業員のエンゲージメント向上、企業の生産性向上を見込めるでしょう。
さらには投資家やステークホルダーなど、社外の認知度や信頼度向上などのメリットも期待できます。
ウェルビーイング経営を成功に導くためにも、正しくウェルビーイング経営を学ぶことが重要です。多角的に情報を集めることはもちろん、実用的なセミナーへ赴いて学ぶこともポイントになります。
ウェルビーイングの基本的な「身体的・精神的・社会的」サポートを通して、ウェルビーイング経営を導入し、成功へ導きましょう。