メンタルコントロールの重要性とは?効果的なアプローチ方法
従業員のメンタルヘルスのコントロールは、企業にとって重要な課題となっています。
メンタルの状態が生産性やパフォーマンスに大きく影響を及ぼすことが働く人の間での常識となりつつあるからです。
人事担当者にとって、従業員のメンタルをいかにコントロールし、高いパフォーマンスを発揮する環境を整えられるかは大きな課題といえるでしょう。
この記事では、従業員のメンタルコントロールの重要性やメンタルヘルスを改善するための具体的なアプローチについてご紹介します。
ぜひこの記事を通して、効果的なメンタルヘルス管理の知識を深め、実践に役立ててください。
▼他企業さまの事例も併せてご参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.従業員のメンタルコントロールの重要性
- 2.従業員のメンタルヘルスの現状
- 3.効果的なメンタルコントロールのアプローチ方法
- 3.1.ストレスマネジメントを導入する
- 3.2.専門家によるカウンセリングを受けられる環境を整える
- 3.3.コミュニケーションを促進する
- 3.4.メンタルヘルスに特化したトレーニングプログラムを導入する
- 3.5.復職を支援する体制を整える
- 3.6.柔軟な働き方を推進する
- 4.テレワーク中の従業員に対するメンタルコントロールの方法
- 4.1.チャットツールの利用
- 4.2.上長との面談
- 4.3.積極的な情報発信
- 4.4.定例会議の実施
- 5.人事担当者が担うメンタルヘルス管理の役割と責任
- 6.適切なメンタルコントロールの施策を取り入れよう
従業員のメンタルコントロールの重要性
従業員のメンタルコントロールは、生産性の向上に直結します。
メンタルが安定している従業員は高い集中力を維持し、効率的に業務を遂行することができるからです。
業務量の多さにストレスを感じている従業員はパフォーマンスが低下しがちですが、適切なメンタルコントロールが行われている場合には、安定した成果を維持しやすくなるでしょう。
さらに、従業員のメンタルコントロールは企業の健全な業務環境を保つためにも大切です。
従業員一人ひとりのストレスや不安が減少することで職場が穏やかな雰囲気になりやすくなり、チームワークや従業員間の信頼関係が向上します。
このように、従業員のメンタルコントロールを重視することは、生産性の向上だけでなく、企業全体の業務環境を健全に保ち、持続可能な経営を実現するために欠かせない要素と言えるでしょう。
従業員のメンタルヘルスの現状
現代のビジネス環境では、従業員のメンタルヘルスの悪化を問題視している企業が少なくありません。
特に過重労働やストレス、職場でのハラスメントといった深刻な問題は、従業員の心の健康を害します。
また、心の不健康により、うつ病のようなストレス関連の病気で休職に追い込まれてしまっている従業員がいるのが現状です。
2021年に厚生労働省が調査した結果では、メンタルヘルス不調により連続一か月以上休業、または退職した労働者がいた事業所の割合は、10.1%(7,831所調査)つまり800か所近くが該当すると回答
前年対比では、0.9ポイント増加する結果となっています。
※参考情報:厚生労働省の2021年「労働安全衛生調査(実態調査)」
このような状況は企業の生産性にも影響を及ぼすため、問題解決のための取り組みが急務となっています。
効果的なメンタルコントロールのアプローチ方法
人事担当者は従業員が心身ともに健やかに働ける職場環境を作る必要があります。
そのためには、メンタルコントロールの効果的なアプローチ方法を取り入れるとよいでしょう。
ここでは、メンタルコントロールの具体的な方法について解説していきます。
ストレスマネジメントを導入する
たくさんの業務や多様なタスクを抱える従業員は、高い負荷がかかることでストレスを感じやすくなります。
ストレスマネジメントを導入してストレスを適切に管理することは、業務効率の向上だけでなく、離職率の低下にもつながります。
従業員のメンタルヘルスを保つために、ストレスマネジメントには企業として積極的に取り組むべきです。
具体的には、定期的なストレスチェックを実施することが有効です。
これにより、従業員一人ひとりのストレスレベルを把握し、早期に対策を講じることができるようになります。
また、リラクゼーションのためのプログラムを提供するのも効果的です。
例えば、福利厚生の充実、リラックスできるスペースの設置などが考えられます。
これらの取り組みは、従業員が日々の業務で感じるストレスを軽減し、心身の健康を維持するのに役立つでしょう。
▼福利厚生の観点から離職率を下げるポイントとして、以下の資料でもご紹介しております。
専門家によるカウンセリングを受けられる環境を整える
メンタルヘルスの専門家によるカウンセリングは、従業員のメンタルヘルスを支えるうえで重要な取り組みの一つです。
カウンセリングを気軽に受けられる環境が整っていれば、一人で悩みを抱え込む従業員を減らすことができます。
また、仕事のストレスやプライベートでの悩みに直面した場合、自分一人で解決しようとすると、さらに状況を悪化させることがあります。
専門家の視点を借りれば第三者の視点で現状を整理できるので、その従業員に合った解決策が見えてくるはずです。
コミュニケーションを促進する
職場でのコミュニケーションを促進することは、従業員の良好なメンタルヘルスの維持において必要不可欠です。
従業員同士のコミュニケーションは、良い人間関係を築く基礎となり、職場での孤立感やストレスを軽減することにつながります。
具体的なコミュニケーションの促進案としては、オープンドアポリシー(※)の採用が挙げられます。
オープンドアポリシーを実施することで、従業員にとっては自由に上司に相談を持ちかけられる環境が整い、問題が起きても早期に解決しやすくなります。
いつでも周りに相談できる体制があれば、従業員の自己肯定感も上がりやすくなり、安心して働けるようになるでしょう。
良好なコミュニケーション文化が職場に根付くことで、従業員は支え合い、自らの意見を発信しやすくなります。
このような環境は、精神的な健全性だけでなく、職場全体の活力を高める効果が期待できるのです。
※オープンドアポリシー…組織内でのコミュニケーションや透明性を図る方針の一つ。従業員が上司や経営陣に気軽に意見を言えるような環境を整えること。
▼コミュニケーション活性化の成功事例については、次の記事もご参考にしてください。
メンタルヘルスに特化したトレーニングプログラムを導入する
メンタルヘルスに特化したトレーニングプログラムの導入は、従業員のメンタルを安定させるために効果的です。
具体的なプログラム内容としては、瞑想やマインドフルネスのレクチャー、リラクゼーション法の指導、そして時間管理スキルのトレーニングなどが挙げられます。
こうしたトレーニングは自分の思考を見つめ直して物事をフラットに考える習慣を身につけさせるほか、安定したメンタルで日々の仕事をこなせるようにするために行うものもあります。
従業員が自分のストレスや今の感情を適切に認識し、それに対処するスキルを身につけることができれば、自分自身でメンタルの不調に気づいたり、解決に動いたりできるようになるはずです。
復職を支援する体制を整える
メンタルコントロールは、メンタルヘルスが良好の人のためだけでなく、メンタルヘルス不調に陥ってしまった人に対しても行います。
うつ病などのメンタルヘルス不調によって長期休業を余儀なくされている場合、症状がある程度落ち着いたとしても、勤務への根強い不安が残っており、本格的な職場復帰が難しいことがあるからです。
もし無理に復帰を急いだり、十分なサポートがないまま復帰させたりすると、再びメンタルヘルス不調を起こしてしまう可能性もあります。
休職している従業員が安心して職場に復帰できるようサポートするプログラムのことを、リワークと言います。
リワークの内容は実施場所によって多少異なるものの、比較的簡単なデスクワークや、認知行動療法(※)、従業員へのヒアリングを含むワークなどが主体です。
リワークは医療機関や公的機関が運営している施設で行うこともありますが、企業が独自に行うケースもあります。
企業内で実施すれば、社内の人間と連絡や連携が取りやすいので、復職時のギャップを少なくできるでしょう。
柔軟な働き方を推進する
柔軟な働き方を推進することは、現代のビジネス環境において欠かせません。
従業員が個々のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことで、仕事と生活の調和が図れ、結果的にストレスの軽減に役立つでしょう。
例えば、テレワークやフレックスタイム制度を導入すると、育児や介護、自己学習といった個々の生活の事情にも柔軟に対応できるようになります。
また、混雑した公共交通機関に乗るストレスを軽減できます。さらに、集中できる環境を自分で選んで仕事ができることは、心の安らぎにもつながります。
こうした制度は、従業員に働きやすさを感じさせ、メンタルヘルスによい影響を与えるでしょう。
実際に、日本国内で行われたアンケート調査によれば、勤務日や勤務時間、勤務場所の自由度が向上することで、従業員の仕事満足度や生活満足度が有意に向上することが分かっています。
この調査では、勤務日や勤務場所の自由度が1段階向上するごとに、仕事満足度や生活満足度がそれぞれ上昇することが示されました。
参考データ:リクルートワークス研究所(働き方が仕事満足度・生活満足度に 与える影響)
このように、柔軟な働き方を導入することで、従業員一人ひとりが仕事に対する意欲を高め、同時に生活全般の満足度を向上させる可能性があるのです。
テレワーク中の従業員に対するメンタルコントロールの方法
ここまで、従業員のメンタルを良い方向にコントロールには柔軟な働き方も大切なことを解説しました。
しかしテレワークは必ずしもメリットばかりではありません。
今まで意識せず行われていた対面での会話ができず、ちょっとしたコミュニケーションが取りづらくなるという一面もあります。
特に新入社員や若手社員にとっては軽い質問や相談がしづらい環境となるため、メンタルコントロールが難しくなる可能性があるのです。
ここからは、テレワーク環境で実施できるメンタルコントロールの方法を、テレワークの働き方と結びつけて解説します。
チャットツールの利用
チャットツールはテキストでやり取りが図れるため、電話やWeb会議と比べてコミュニケーションが取りやすいメリットがあります。
チャットツールを利用すれば気軽に同僚や上司に質問ができるので、従業員によってはいつでも相談できる環境が整います。つまり、従業員の心理的安全性を確保することができるのです。
また、チャットツールはチーム全体での情報共有に役立つため、オフィスで働いていたときと同じような一体感を感じやすくなります。
これにより、チームメンバーは各々が行っている作業の進捗状況を把握しやすくなるでしょう。
ただし従業員によってはテキストコミュニケーションを苦手に感じている人もいます。
したがって、現場で働く人は周囲のメンバーの特性に合わせて電話やWeb会議を使い分けることが求められます。
上長との面談
上長との定期的な面談はテレワーク中のメンタル維持に有効です。
テレワークは業務の進捗や課題が見えにくく、仕事が思うように進んでいないときは特に孤立感を感じやすいです。
こうした孤立感を取り除くのに、上長との面談が役に立ちます。
先述した通り、テレワークでは対面でのコミュニケーションが制限されるため、気軽に質問や相談をする機会が減少しがちです。
上長との定期的な面談は、テレワーク中の不安や疑問を解消するための大切な機会でもあります。
もちろん業務の進捗を把握するのも大切ですが、上長は従業員のメンタルに変化があるかどうか観察する必要があります。
とはいえメンタル面に寄り添った面談を行うにはコツがいるので、企業は上長が面談のやり方を学べる場を用意することが望ましいです。
具体的には傾聴スキルや相手に寄り添うことの大切さを理解できる研修などを準備すると良いでしょう。
積極的な情報発信
テレワーク中はコミュニケーションの機会が減るので、従業員同士が理解を深める場も少なくなります。
孤立感が出るのを防ぐために企業側が主体となって従業員のことを知れる情報を発信するのも、良好なメンタルを維持するためには大切と言えるでしょう。
情報発信の具体的な方法としては、社内報や月次のニュースレターなどが挙げられます。
従業員紹介や社内イベントの案内などを発信すれば、従業員は企業とのつながりを感じられるはずです。
また、成果を出した従業員や組織を称賛する発信を行えば、モチベーション向上の効果も期待できます。
積極的な情報発信を心がけ、社内報や社内ツールを駆使して従業員のメンタルケアに取り組みましょう。
定期的な情報発信は従業員に安心感を与え、テレワーク中のメンタルサポートに貢献します。
▼企業の情報発信ツールとしてもReloかんたんラーニングのLMSが活用できます。
定例会議の実施
上長との面談に加え、定期的なミーティングの実施も大切です。
オフィスで直接勤務しているときは自然に得られていたコミュニケーションが、リモート環境ではどうしても減少してしまいます。
そのため、意識的に定期的なミーティングを開催することが求められます。
オンライン定例会議を導入することで、チームメンバー同士が直接顔を合わせる機会が増え、リモートワーク特有の疎外感や孤独感を大きく軽減できます。
こうした顔を合わせる場は、直接の対話を通じたコミュニケーションを活性化させ、個々の意見や進捗を共有する貴重な機会です。
さらに、定例会議があることで、日々の業務における報告の場として機能し、勤務に対する区切りを明確できます。
定期的なミーティングがあることで自然と業務にメリハリが生まれ、集中力が維持しやすくなる効果もあります。
業務の進行状況をチーム全体で確認したり、問題を早期に発見し解決策を見つけやすくしたりする効果も期待できます。
人事担当者が担うメンタルヘルス管理の役割と責任
人事担当者はできるだけ早期にメンタルヘルスの問題を発見する仕組みを構築し、迅速に対応することが求められます。
早期の発見と対応が問題の深刻化を防ぐことにつながるからです。
例えばメンタルヘルスに関するアンケートの導入は、メンタルに異常が起きている可能性がある従業員の早期発見に有効です。
これにより、従業員の健康状態を定期的にチェックし、異常が見られた際には速やかに専門家によるカウンセリングを受けさせる体制を整えることができます。
こうした取り組みによって、メンタルヘルスの問題を適切に管理し、従業員が安心して業務に従事できる環境を提供することが可能になるのです。
▼リロクラブが提供するエンゲージメンタルサーベイを活用することで、気軽に従業員の状態をチェックし、改善に繋げることができます。
適切なメンタルコントロールの施策を取り入れよう
従業員のメンタルコントロールの重要性と効果的なアプローチ方法を理解することは、組織全体の生産性向上と従業員の幸福度向上につながります。
メンタルヘルスが労働環境における重要な要素として位置づけられる現代において、適切なメンタルコントロールは欠かせません。
今後は、定期的に従業員のメンタルヘルスの状況をチェックし、必要に応じて柔軟に施策を見直すことが求められます。
これにより従業員の状態を的確に把握し、変化に迅速に対応できるようになります。これからも、常に時代に合ったアプローチ方法を取り入れながら、組織全体でよりよい労働環境を作り上げていきましょう。
▼必要最低限のストレスチェックもご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。