
採用で大切な母集団形成とは?形成する具体的な手法や実施のポイント
「どうすれば優秀な人材を集められるのか」「効果的な母集団形成の方法は何なのか」といった悩みを抱えている採用担当者も多いのではないでしょうか。人材採用の競争が激化する中、多くの企業が母集団形成に頭を悩ませています。
この記事では、母集団形成の重要性や具体的な手法、実施のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.母集団形成の概要
- 1.1.母集団形成とは
- 1.2.母集団形成が重要な理由
- 2.母集団形成の効果
- 2.1.計画的な採用が可能
- 2.2.採用コストの削減
- 2.3.入社後の定着率の向上
- 3.母集団形成の手法
- 4.母集団形成を実施する上で大切なポイント
- 4.1.求める人材像の想定
- 4.2.魅力的な情報発信
- 4.3.複数の手法の組み合わせ
- 4.4.定期的な分析と改善
- 5.母集団形成の流れ
- 5.1.採用計画の立案
- 5.2.採用ターゲットの設定
- 5.3.募集活動の実施
- 5.4.採用活動の課題の洗い出しと改善
- 6.効果的な母集団形成で採用成功を実現しよう
母集団形成の概要
まずは母集団形成がどのようなものなのか、なぜ重視されているのかについて解説していきます。母集団形成への理解を深めていきましょう。
母集団形成とは
母集団形成とは、企業が求める人材を応募者として集める採用活動のことを指します。具体的には、求人広告の掲載やインターンシップの実施、採用イベントへの参加など、様々な手法を用いて潜在的な候補者にアプローチし、自社の採用プロセスに引き込むことを意味します。母集団とは、これらの活動を通じて企業に応募した人たちの集合体のことを指し、採用の成否を左右する重要な要素となります。
母集団形成が重要な理由
母集団形成が重要視される理由は、少子高齢化や人材獲得競争の激化により、従来の受け身の採用活動だけでは必要な人材を確保しにくくなっているためです。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は2025年8月時点で1.20倍で、売り手市場であることがわかります。(出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年8月分)について)
そのため、企業が自ら積極的に求職者にアプローチし、魅力的な候補者を集める必要があります。効果的な母集団形成により、自社にマッチした人材を確保しやすくなり、採用成功率の向上にもつながります。
母集団形成の効果
効果的な母集団形成は、企業の採用活動に多くのメリットをもたらします。では具体的にどのようなメリットがあるのか、一つずつ見ていきましょう。

計画的な採用が可能
母集団形成によって、企業は計画的な採用を進めやすくなります。過去の採用実績から必要な母集団の規模を想定できるようになり、それに基づいて採用活動を展開できます。
計画的な採用ができるようになると、採用担当者は目標値を設定し、それに向けて段階的に母集団を形成していくことが可能になります。結果として、採用プロセスの各段階で必要な候補者数を確保しやすくなり、採用目標の達成率が向上するのです。
採用コストの削減
適切な母集団形成は、採用活動の効率化につながり、結果的に採用コストの削減につながります。
求める人材像に合致した候補者で構成された母集団を確保できれば、選考にかかる時間を削減できます。なぜなら、応募者と求める人材像とのマッチング精度が高まるため、選考過程での不適合者を減らせるからです。
例えば、スキルや経験、価値観などの採用要件を明確にし、それに基づいて母集団を形成すれば、ミスマッチの発生が少なくなります。その結果、面接回数の削減や選考期間の短縮が可能となり、採用担当者の負担軽減にもつながるのです。
入社後の定着率の向上
効果的な母集団形成は、入社後のミスマッチを防ぎ、従業員の定着率向上にも貢献します。自社の企業文化や求める人物像に合致した候補者で母集団を形成することで、採用時点での適合性が高まります。これにより、入社後のギャップを最小限に抑えられるため、新入社員の早期離職を防げます。
►定着率の向上のためにできること、定着率の高い企業の特徴について、次の記事でまとめています。併せてご確認ください。定着率とは?計算方法や重要性、定着率を上げるためにできること
母集団形成の手法
母集団形成には様々な手法があり、それぞれに特徴や効果があります。企業の規模や採用ニーズ、ターゲットとする人材層に合わせて、適切な手法を選択し組み合わせることが重要です。ここでは、代表的な母集団形成の手法について詳しく解説します。
求人媒体
求人サイトや求人情報誌などの求人媒体を活用することは、母集団形成の基本的な手法の一つです。特に、登録者数の多い大手求人サイトを利用することで、幅広い求職者層にアプローチすることが可能です。これらのプラットフォームは、多くの求職者が日常的に利用しているため、自社の求人情報が目に触れる可能性が高くなります。また、求人媒体によって特徴や主要ユーザー層が異なるため、自社のターゲット層に合わせて適切な媒体を選択することが重要です。
ただし、求人媒体は多くの人の目に触れる一方で細かいターゲットの絞り込みには不向きです。応募者をあまり絞り込まず、多くの母集団を形成したい際には向いている方法と言えるでしょう。
オウンドメディア
自社のWebサイトや採用サイトなどのオウンドメディアは、直接的に企業の魅力を伝えられる手法です。オウンドメディアを通じて、企業の理念や事業内容、社風、従業員の声など、詳細な情報を発信することができます。これにより、自社に興味を持つ求職者を効果的に集めることが可能になります。
オウンドメディアの特徴は、情報の管理や更新を自社でコントロールできる点にあります。例えば、採用ページで社員インタビューや職場の雰囲気を伝える動画コンテンツを掲載したり、会社説明会やインターンシップの情報を随時更新したりすることで、常に新しい情報を提供できます。
SNS採用
ソーシャルメディアを活用した採用活動、いわゆる「ソーシャルリクルーティング」は、近年注目を集めている母集団形成の手法です。
SNS採用の特徴は、リアルタイムで幅広い層にリーチできる点です。特に若年層の求職者に対しては効果的なアプローチ方法となります。さらに、SNSの特性を活かしたターゲティング広告を利用することで、特定のスキルや経験を持つ候補者に絞ってアプローチすることも可能です。
SNSによっては利用者の属性や年齢に特徴が現れているものもあるため、利用するSNS次第ではターゲットの絞り込みが自然にできる点も特徴と言えるでしょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が直接求職者にアプローチする手法です。主に中途採用において活用され、スカウトメールの送信や直接的な連絡を通じて、特定のスキルや経験を持つ候補者を積極的に母集団に取り込みます。
この手法の特徴は、企業のニーズに合致した人材に的を絞ってアプローチできる点です。転職サイトのスカウト機能やSNSなどを活用し、候補者に直接コンタクトを取ります。ダイレクトリクルーティングでは優秀な人材や、特殊なスキルを持つ人材にもアプローチが可能です。また、候補者との直接メッセージのやり取りができるため、その過程で企業の魅力を詳細に伝えられます。
合同企業説明会
合同企業説明会は、複数の企業が自社情報を紹介する大規模イベントです。新卒採用で活用されるイメージですが、中途採用者向けの合同説明会も増えています。
合同企業説明会の特徴は、応募前の求職者と対面でコミュニケーションができる点です。企業の採用担当者や現役社員が直接説明を行うため、もし求職者から質問が来てもその場で答えられます。さらに、参加者の反応を直接観察できるため、自社の採用戦略の改善にも役立ちます。
インターン
インターンシップは、主に学生に実際の職場を体験してもらう取り組みです。特に新卒採用で効果的な母集団形成ができます。インターンシップの特徴は、企業と学生が、お互いの理解を深められる点です。
学生は実際の業務や職場の雰囲気を体験できるため、入社後のイメージを具体的に描けます。一方、企業側も学生の適性や能力を観察できるため、採用のミスマッチを極力減らせます。
人材紹介
人材紹介サービスは、専門のコンサルタントが企業と求職者のマッチングを行う手法です。主に中途採用で活用され、企業の採用ニーズに合致した候補者を紹介してもらうことで、効率的に母集団を形成できます。
人材紹介の特徴は、専門知識を持つコンサルタントのサポートを受けられる点です。業界や職種に精通したコンサルタントが、企業の要望に沿って候補者を絞り込むため、より質の高い母集団を形成できます。そのため、通常の人材募集では見つけにくい人材の獲得も可能です。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の従業員による紹介を通じて人材を採用する手法です。従業員の知人や元同僚などの候補者を母集団に取り込むことができます。
リファラル採用の特徴は、紹介者が自社の業務内容や企業文化を熟知しているため、ミスマッチが起こりにくい点です。また、従業員が企業に魅力を感じていないと知人を紹介しにくいため、間接的に従業員エンゲージメントを知る手段にもなり得ます。
リファラル採用を促すため、紹介した人材が採用されたときにインセンティブを設けている企業もあります。
ハローワーク
ハローワークは、国が運営する無料の職業紹介サービスです。幅広い求職者層にアプローチできる点が特徴で、特に地域密着型の採用や若年層の採用に効果的です。
ハローワークを通じた母集団形成の利点は、コストが大きくかからない点と、地域の求職者に直接アプローチできる点です。したがって中小企業や地方企業が母集団形成をしたいときに向いている方法と言えます。
母集団形成を実施する上で大切なポイント
ここまで、母集団形成の具体的な方法を解説しました。母集団形成を実現するためには用いる方法に関係なく、いくつかの重要なポイントがあります。今回紹介するポイントを押さえて、より効果的な母集団形成を行いましょう。
求める人材像の想定
母集団を形成するためには、具体的なスキルセット、経験年数、資格、期待する価値観や行動の特性など、できるだけ詳細に人物像を設定します。求める人材像の想定では人事部門だけでなく、実際に採用する部門の管理職や現場の社員の意見も取り入れるようにしましょう。
求める人物像は、定期的に見直すことが大切です。新規事業の立ち上げや組織改編など、人材像が再検討になるタイミングは存在します。また、思うような人材が集まらない場合も、人物像を見直したほうが良いタイミングとなります。過度に高いハードルを設定していないか、現実的な要件になっているかを確認し、必要に応じて調整します。
►求める人材像を定め、採用ターゲットに自社の強みを伝えることを、採用ブランディングといいます。以下の記事では、採用ブランディングの進め方をご紹介しています。 採用ブランディングとは?メリットやデメリット、進め方のポイント
魅力的な情報発信
効果的な母集団形成のためには、求職者が魅力的に感じる情報を発信することが重要です。企業の強みや働きがい、成長機会などを具体的かつ分かりやすく伝えれば、より優秀な人材の関心を引くことができます。
ただし、情報発信の際は過度に誇張せず、誠実な情報提供を心がけましょう。もし誇張した情報ばかりを出していると、採用活動の初期段階では一時的に応募者の関心を引けるかもしれません。しかし、入社後に「実際の職場環境や仕事内容が聞いていた話と違う」と感じることが多ければ、早期離職につながるリスクが高まります。
企業にとっては採用コストの無駄になり、求職者にとってもキャリアのロスにつながりかねません。
情報発信の際は、企業の理念や事業内容だけでなく、実際の職場環境や社員の声、キャリアパスの事例なども含めると効果的です。社員インタビューや職場見学会の様子をWebサイトやSNSで公開したり、業界内での自社の位置づけや将来のビジョンを明確に示したりしましょう。
►採用サイトで福利厚生の魅力を効果的に伝えるポイントは、以下のページにまとめています。ぜひご確認ください。採用サイトで福利厚生の魅力を効果的に伝えるためのポイント・注意点
複数の手法の組み合わせ
効果的な母集団形成を実現するには、複数の手法を組み合わせることも重要です。各手法にはそれぞれ特徴があり、アプローチできる対象も異なるため、複数の手法を適切に組み合わせることで、より幅広い母集団形成が可能になります。
例えば、新卒採用では、就職サイトへの掲載、合同企業説明会への参加、インターンシップの実施を組み合わせることで、多角的なアプローチが可能になります。
中途採用の場合は、求人サイトの活用、人材紹介サービスの利用、ダイレクトリクルーティングを組み合わせるなど、求める人材層に応じて戦略的に手法を選択します。
また、オンラインとオフラインの手法を併用することも効果的です。実際の対面イベントを増やせば、候補者との接点が増え、求職者がより企業のことを理解できるようになります。
定期的な分析と改善
効果的な母集団形成を継続的に行うためには、採用活動で得られたデータを定期的に分析し、改善を図ることが不可欠です。具体的には、各母集団形成の手法ごとの採用成果を検証し、費用対効果や質的な評価を行います。
分析のポイントは、応募者数、選考通過率、最終的な採用人数などの定量的データに加え、入社後の定着率や業績なども考慮することです。例えば、どの手法で採用した人材が長期的に活躍しているか、どの方法で集めた応募者のマッチ度が高いかなどを分析することで、より効果的な母集団形成の戦略を立てられます。
また、市場動向や競合他社の採用状況なども常にモニタリングし、必要に応じて戦略を修正することが重要です。例えば、特定の職種で人材獲得競争が激化している場合は、その職種に特化した母集団形成の施策を強化するなど、柔軟な対応が求められます。
定期的な分析と改善のサイクルを確立することで、長期的な視点での採用力の向上につながります。また、これらの分析結果を経営層や現場の管理職と共有することで、全社的な採用への理解と協力を得ることもできるでしょう。
母集団形成の流れ
効果的な母集団形成を実現するためには、適切な手順を踏むことが重要です。採用計画の立案から始まり、ターゲットの設定、募集活動の実施、そして課題の洗い出しと改善まで、一連の流れを体系的に管理することで、より効率的かつ効果的な採用活動が可能になります。
ここからは母集団形成の一連の流れについて、段階ごとに解説していきます。
採用計画の立案
母集団形成の第一歩は、明確な採用計画を立てることです。具体的には、採用する人数や時期など、採用目標を設定します。
「来年度の4月までに新卒10名、中途5名を採用する」といったように、具体的な数値目標を立てましょう。加えて、採用活動を行う具体的なスケジュールも策定します。新卒採用は比較的スケジュールが決まっているため、説明会の開催時期や選考期間、内定出しの時期などを決めます。中途採用の場合は企業ごとにスケジュールが異なるため、四半期ごとの採用目標や、募集から内定までの期間などを設定しましょう。立案した採用計画は、企業の事業計画や人員計画と連動させることが重要で、経営陣や各部門の責任者との協議を経て決定するのが望ましいです。
採用ターゲットの設定
次に、採用ターゲットを設定します。これは、前の見出しで説明した「求める人材像の想定」をより具体化する作業です。例えば、「営業職の場合、BtoBの営業経験が3年以上あり、顧客折衝能力が高い人材」といった具体的な条件を設定します。
採用ターゲットが具体化したら、母集団形成に用いるべき方法が見えてきます。求人媒体やオウンドメディア、会社説明会など、採用ターゲットに合わせた手法を選択しましょう。
募集活動の実施
設定した採用ターゲットと選択した手法に基づいて、募集活動を開始します。この段階では、求人を公開し、応募を受け付けます。例えば、求人サイトに掲載する場合、企業の魅力や仕事内容、求める人物像などを明確に記載した求人票を作成しましょう。
また自社サイトでの採用ページの更新や、SNSでの情報発信なども並行して行います。募集開始後は、応募状況を随時チェックし、必要に応じて募集内容の微調整や追加の施策を検討します。例えば、応募が少ない場合は、求人内容の見直しや、新たな募集チャネルの追加を検討します。一方、応募が多すぎた場合は、選考基準の明確化や、より詳細な応募条件の設定を検討すると良いでしょう。
採用活動の課題の洗い出しと改善
採用活動が終了したら、母集団形成の振り返りを行います。実際に応募してきた人が求める人材像に合致しているかを分析し、課題を洗い出しましょう。
例えば、「応募者数は多かったが、求めるスキルレベルに達している候補者が少なかった」といった課題が見つかったら、求人内容のより明確な記載や、ターゲットを絞った募集方法の採用などの改善策を検討します。また、求職者からフィードバックを集めるのも効果的です。もし求職者から、「求人内容と実際の仕事内容にギャップがある」といった意見があれば、求人情報の見直しを行います。
採用活動はPDCAサイクルを回すことが何より大切です。母集団形成も振り返りと改善を繰り返せば、母集団形成の精度もより高まっていくでしょう。
►求職者は、企業情報を知るために、採用サイトで見たい情報として第3位に福利厚生を挙げています。採用に有利な福利厚生代行サービスについて、以下の資料でご紹介しています。
効果的な母集団形成で採用成功を実現しよう
今回は母集団形成やその方法について解説しました。効果的な母集団形成は、優秀な人材の獲得だけでなく、企業の持続的な成長と競争力の維持にも大きく貢献します。適切な戦略があれば質の高い求職者が集まり、採用目標の達成につなげられます。
母集団形成で大切なのは、明確な人材像の設定、魅力的な情報発信、複数の手法の組み合わせ、そして定期的な分析と改善です。これらの要素を意識し、継続的に取り組むことで、長期的な採用力の向上が期待できます。採用市場の変化や自社のニーズの変化に応じて、柔軟に戦略を見直すことも重要です。ぜひ今回解説した内容を参考にして自社の母集団形成の現状を見直し、改善の余地がないか検討してみてください。





















