
転職者へのアプローチは福利厚生が要|人気の制度や導入のコツも
自社の福利厚生は魅力的でしょうか。
転職希望者にとって、福利厚生は重要な要素の1つです。
しかし、企業の採用担当者からしてみると、どのようにして求職者の転職に優位性を付ければよいのかと悩むことは多いはずです。
本記事では、なぜ福利厚生の拡充が必要なのか、なぜ転職者にフォーカスするのかなどを解説します。
また、人気の福利厚生制度や導入のコツも紹介するため、ぜひ本記事を参考にして、福利厚生で転職者へのアプローチを成功させましょう。
目次[非表示]
- 1.転職者の採用強化には福利厚生の拡充が必要
- 1.1.なぜいま転職者にフォーカスするのか
- 1.2.人手不足も再び右肩上がりの傾向へ
- 1.3.中小企業では従業員の採用や確保が困難
- 1.4.人手不足が企業に及ぼす影響
- 2.転職者の採用で福利厚生を充実させる3つのメリット
- 2.1.優秀な人材を確保しやすい
- 2.2.企業のイメージアップにつながる
- 2.3.入社後も人材が定着しやすい
- 3.福利厚生の充実度は転職先の決め手になる
- 4.従業員が転職を考えるときの5つのポイント
- 4.1.人間関係の問題
- 4.2.仕事内容の問題
- 4.3.勤務時間や労働時間
- 4.4.給与や評価問題
- 4.5.プライベートや生活状況の変化
- 5.従業員や転職者に人気の福利厚生3種
- 5.1.柔軟な働き方ができる福利厚生
- 5.2.ライフワークバランスの両立ができる福利厚生
- 5.3.経済的負担や不安軽減になる福利厚生
- 6.従業員や転職者が期待していない福利厚生
- 6.1.社員旅行・レクリエーション
- 6.2.家族手当
- 7.転職者採用を成功させる福利厚生充実のコツ
- 7.1.福利厚生以外も充実させる
- 7.2.従業員目線を重視する
- 7.3.福利厚生導入は慎重に行う
- 8.福利厚生を充実させるなら導入企業数No.1のリロクラブ
- 9.転職者のニーズにあった福利厚生で企業価値の最大化へ
転職者の採用強化には福利厚生の拡充が必要
採用力を強化して優秀な人材を確保するためには、福利厚生を充実させることが重要です。
その理由は2つあります。1つは、働き手の労働人口が減る中で転職者を優位に求人できる点、2つめは優秀な人材を吸収することで企業価値の上昇につながる点です。 福利厚生で企業の魅力づけや競合他社との差別化を図り、採用活動の強化が期待できるでしょう。
福利厚生について詳細は下記記事参照。
福利厚生とは?
なぜいま転職者にフォーカスするのか
新卒採用ではなく、なぜ転職者へフォーカスするのでしょうか。
その理由は働き手の労働人口が減る中で、転職者を優位に吸収することで企業価値の上昇につながるためです。 また、昨今は多くの人が転職を考えています。
下記は、BizReachが調査した転職希望者数の推移です。2020年に男女比の比率が足並みをそろえた後、2022年までの2年間で男性の転職希望者数が急上昇していることが分かります。また、全体を通して転職希望者数は年々増えており、多くの人が転職を考えている結果となりました。 参照:転職等希望者「1,000万人時代」 2022年、約8%の大幅増|BizReach
そして、厚生労働省の調査でも同じデータが出ています。2022年の転職等希望者数は、前年から71万人増えて968万人。45~54歳男性の希望者数は4年で1.5倍へと膨れ上がりました。 令和2年10月1日時点でも一般労働者がいる事業所のうち、「転職者がいる事業所」の割合は 33.0%、「雇用期間の定め無しの転職者がいる事業所」は 28.9%、「1年以上の雇用期間の定め有りの転職者がいる事業所」は 8.7%となっています。
参照:令和2年転職者実態調査の概況|厚生労働省
2つのデータから分かるように、年々転職希望者数は伸びています。 新卒を採用し、1から教育をするには多くのコストが必要です。しかし、就業経験や社会人経験がある人材であれば、基礎ルールやスキルが身についているため、即戦力となる可能性が高いといえます。
中には他社では成績が振るわない求職者であっても、自社なら優秀な人材になる可能性をも秘めているのです。そのため、転職者にフォーカスすることが重要といえます。
人手不足も再び右肩上がりの傾向へ
株式会社帝国データバンクが調査した「人手不足に対する企業の動向調査」では、人手不足はコロナ禍を経て再び右肩上がりの傾向を見せています。
参考:人手不足に対する企業の動向調査(2023年10月)|株式会社帝国データバンク
人手不足の割合は、2018年の過去最高値に届きそうな勢いです。
2018年(過去最高値) |
2023年 |
|
正社員 |
53.9% |
52.1% |
非正社員 |
34.9% |
30.9% |
また「三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の11都府県)」よりも、「地方圏」の方が人手不足の傾向が強いことも判明しています。
下記のグラフは、厚生労働省が調査した地域別・企業規模別の人手不足感D.I.(ディフュージョン・インデックス:景気動向の方向性を示す指数)の動向です。グラフからも分かるように「地方の中小企業を中心」に、正社員の人手不足の傾向が顕著といえます。
参考:第1章 我が国を取り巻く人手不足等の現状|厚生労働省
人手不足の解消や優秀な人材を採用するためには、福利厚生の拡充を図り社内外へアピールすることが大切だといえるでしょう。
中小企業では従業員の採用や確保が困難
福利厚生の拡充を図り採用力を強化する理由は、中小企業での採用や人材確保の困難さを解消するためでもあります。
従業員が30人未満の企業では、約68.2%の多くの企業で採用や確保が「困難」「やや困難」だとするデータが出ています。 困難だと感じる割合は、従業員数が300人以上の大企業との最大差は4.5ポイントと、中小企業の方が採用活動に苦戦している結果です。
参照:企業における福利厚生施策の 実態に関する調査|労働政策研究・研修機構
そして最も大きな違いは、中小企業の福利厚生制度の導入割合は40%程にとどまっている点です。長引く人手不足は「福利厚生の充実度」も関係しているのではないでしょうか。
参考; 中小企業でも福利厚生を充実できる!おすすめの福利厚生施策と外部サービス
人手不足が企業に及ぼす影響
人手不足が企業に及ぼす影響は測り知れません。
-
企業運営に影響を与える
-
労働環境の悪化
- 従業員のパフォーマンス低下
企業運営そのものに影響を与えることはもちろんですが、労働環境の悪化や従業員パフォーマンスの低下にもつながります。
特に、昨今では国が推進する「働き方改革」や、SDGsの観点から人々の健康を考える「ウェルビーイング」「健康経営」などが見直されています。
前時代的な経営方針だと、優秀な人材を吸収することは難しいでしょう。 このようなことから、人手不足を解消し企業価値を底上げするためには、福利厚生を充実させて転職意思がある求職者へしっかりとアプローチしていく施策が重要です。
転職者の採用で福利厚生を充実させる3つのメリット
本章では、転職者を採用する際に福利厚生を充実させておくメリットを紹介します。 メリットは下記の3つです。
-
優秀な人材を確保できる
-
企業のイメージアップにつながる
- 入社後も人材が定着しやすい
それぞれ解説します。
優秀な人材を確保しやすい
1つめは、優秀な人材の確保につながる点です。
優秀な人材はさまざまな企業から必要とされているため、複数の選択肢から就職先を決めるのが一般的です。
優秀な求職者は、給与や賞与だけではなく福利厚生の充実度も考慮したうえで就職先を決めるため、優秀な人材を確保しやすいといえるでしょう。 競合他社と条件を同じにする必要はありませんが、求職者にとって福利厚生が就職先を決める際の大きな判断材料となるのは明確です。 企業側は、働く従業員や求職者にとって「魅力的」な福利厚生の充実を目指しましょう。
企業のイメージアップにつながる
2つめは、企業のイメージアップやブランド力になる点です。
福利厚生がしっかりと整っていれば、安定した会社経営が行われていると判断できるためです。 また福利厚生が整っていれば、健康的な経営方針であったり風通しの明るい企業だったりといったイメージにもつながるでしょう。
また、企業自体の認知度向上にも役立ちます。
入社後も人材が定着しやすい
最後のメリットは、入社後も人材の定着率が高い点です。
福利厚生がしっかり導入されていれば、職場環境の改善やワークライフバランスの充実、従業員満足度やエンゲージメントの向上などさまざまなポイントが改善されます。 福利厚生の導入や強化によって改善されるポイントが多ければ多いほど、従業員は居心地のよさを感じてずっと同じ企業で働く意欲が高まることが予想できるでしょう。
また、従業員1人ひとりが高い満足度を感じながら業務を行なえば、社内全体の生産性もアップします。より働きがいを感じて、定着率もおのずと高まるでしょう。
福利厚生の充実度は転職先の決め手になる
福利厚生の充実は転職先の決め手の1つになります。
下記は、就職みらい研究所が調査した「就職先を確定する際に決め手となったこと」をグラフ化した表です。 参照:保護者が知っておきたい 就職活動に関するデータ|就職みらい研究所
1位は「自らの成長が期待できる」で45.8%と、約過半数が就職先の決め手として考えていることが分かりました。
そして、次の2位が「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」が34.4%と、多くの求職者が決め手にしていると回答しています。
ここからも分かるように、福利厚生の導入や拡充、改善を図り充実度を上げることは、企業の1つの強みとして採用強化につながるといえるでしょう。
従業員が転職を考えるときの5つのポイント
本章では、従業員が転職を考えるときのポイントを紹介します。 ポイントは下記の5つです。
-
人間関係の問題
- 仕事内容の問題
- 勤務時間や労働時間
- 給与や評価問題
- プライベートや生活状況の変化
それぞれ解説します。
人間関係の問題
1つめは、人間関係の問題です。 そもそもの相性や、コミュニケーションの齟齬などが原因ですれ違ってしまうことは多々あります。 業務がうまく進まずにストレスを感じ続けると、体調不良やメンタルヘルスの問題につながり、休職や退職へとつながってしまうでしょう。 良好な人間関係が構築できている職場なら、1人ひとりのパフォーマンスも改善されます。
仕事内容の問題
2つめは、仕事内容に関する問題です。 希望の職種だと思って入社したにもかかわらず、希望の部署に配属されなかったり全く違う業務内容だった場合も退職や転職を考える大きな原因の1つでしょう。 仕方なく仕事を続けた場合でも、やりがいにつながらず、モチベーションの低下を招いてしまいます。このような状況が続けば、企業にとっても生産性の低下や利益損失につながってしまうでしょう。
勤務時間や労働時間
3つめは、勤務内容に関する問題です。 実際に働き始めると、就業規定には記載されていなかったような残業時間や拘束時間が発生したというケースは多々あります。 また、実際の労働環境がキツいと感じたり、ハードだと感じたりすることもあるでしょう。 勤務時間や労働時間なども転職を検討する1つの要因です。
給与や評価問題
4つめは、給与や社内評価に関する問題です。 正しい評価を得られることも仕事を続けるうえで大切なことの1つです。 働き方に対して正当な評価が貰えず、低い給与で働くことは誰にとってもストレスになり転職を考えるきっかけになるでしょう。
プライベートや生活状況の変化
最後は、ワークライフバランスに関する問題です。 転職を検討する場合、職場の要因だけではありません。 引越しや出産、介護など、ライフステージにはさまざまな問題や課題、イベントがつきものです。職場を離れたくない、両立させたいと思っていても、必ずしも両立できるわけではありません。 このようなライフイベントに関しても、転職を考える要因といえます。
参考; 従業員の介護離職を防止するために企業が取るべき対策とは?
従業員や転職者に人気の福利厚生3種
本章では、従業員や転職者に人気の福利厚生を3種類紹介します。 3つの種類は下記のとおりです。
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柔軟な働き方ができる福利厚生
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ライフワークバランスの両立ができる福利厚生
- 経済的負担や不安軽減になる福利厚生
これらの人気度は、下記のエン転職が2023年2月に実施した1万人アンケートで「企業選びで特に重視する項目」から考慮したものです。 参照:採用強化につながる福利厚生とは? 求職者に喜ばれる制度|エン転職
それぞれ解説します。
柔軟な働き方ができる福利厚生
最も人気な福利厚生は「柔軟な働き方ができる福利厚生」です。
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フレックスタイム
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テレワーク
- 時差・時短勤務
始業や終業時刻、労働時間を自由に決めることができる制度や働く場所を選ばない自由な選択肢が人気です。 特に国が推進する「働き方改革」に伴って、自由な労働を求める人が多くなっています。
ライフワークバランスの両立ができる福利厚生
2つめは「ライフワークバランスの両立ができる福利厚生」です。
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特別休暇
- 出産・育児に関する休暇
- 施設・レジャー割引
特に出産や育児休暇に関する福利厚生は、年々重要度が増しています。 2023年の育休取得率は24.4%。2019年の育休取得率9.6%と比較すると、5年間で約2.5倍に伸びていることがわかります。
また、育児と関連性の高い福利厚生の1つ「施設・レジャー割引など」の活用も広まりを見せています。
参照:男性育休白書2023|積水ハウス
経済的負担や不安軽減になる福利厚生
最後に人気な福利厚生は「経済的なサポートにつながる福利厚生」です。
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財産形成制度
- 食事手当・補助
- 住宅手当
NISAやiDeCo、企業型DC(企業型確定拠出年金)などは、人生100年時代という老後の資金問題を解決する一石になりえます。
財産形成制度が充実していれば、従業員の将来的な不安もなくなり、安定した心身バランスを保つことにもつながります。 このような心身バランスを企業がサポートして保つことはSDGsの取り組みの1つである「健康経営」や「ウェルビーイング」にもつながり、社内外に大きくアプローチできる施策となるでしょう。 従業員が経済的にも健康で安心していれば、企業へのエンゲージメント向上や生産性向上にもつながります。 また、従業員の金融リテラシーを高めることで、企業へのエンゲージメントが向上するという調査結果もでています。
参照:従業員エンゲージメントと金融リテラシーの関係性|三菱UFJ年金情報
従業員や転職者が期待していない福利厚生
本章では、従業員や転職者に魅力的ではない福利厚生を紹介します。 期待されていない制度は下記の2つです。
- 社員旅行・レクリエーション
- 家族手当
どちらの福利厚生も、以前までは人気施策の1つでしたが現在では時代の変化とともに人気も移り変わっています。 それぞれ解説します。
社員旅行・レクリエーション
1つめは社員旅行やレクリエーションイベントなどです。
「会社が全額費用を負担してくれる」「気分転換になる」など、満足している理由が挙げられている一方で「休日返上で参加しなければならない」「休日まで職場の人と会うのは避けたい」など不満の声も大きいのが特徴です。
また、レクリエーションや飲み会に関しては、お酒を飲むこと自体が好きな人は50%の過半数を超えますが、職場の飲み会が好きだという人は30%程度という結果もあります。
参照:飲みニケーションは好きですか?|株式会社産労総合研究所
以前までは社員旅行やレクリエーション、飲み会は社内の1大イベントでしたが、現在ではビジネスライク重視がポイントです。
家族手当
最後に期待されていない福利厚生は「家族手当」です。 「扶養家族が多いとお金がかかるので助かる」と評価する従業員がいる一方で、「独身の場合はもらえないため不平等」といった声もあります。
2023年に発表された生涯未婚率は、男性が28.25%、女性が17.85%。今後も生涯未婚率は上がり続け、2035年には男性30%、女性20%以上になると推計されています。
参照:独身で生涯を終える男性は将来3割に上昇|PR TIMES
このような時代背景から、家族手当などの福利厚生はあまり歓迎されていないといえるでしょう。 また、福利厚生は平等であることが必須条件です。仮に家族手当の福利厚生を続けるなら、独身者への別途サポートを行う必要があります。
参考;家族手当とは?時代の流れで意義が問われる家族手当の廃止理由
転職者採用を成功させる福利厚生充実のコツ
本章では、転職者採用を成功させる福利厚生のコツを解説します。 福利厚生充実のコツは下記の3つです。
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福利厚生以外も充実させる
-
従業員目線を重視する
- 福利厚生導入は慎重に行う
それぞれ解説します。
福利厚生以外も充実させる
従業員や転職希望者は福利厚生以外に「やりがい」や「自由な働き方」も重要視しています。
そのため、福利厚生以外も充実させることがポイントです。 企業独自の福利厚生を導入し、従業員満足度を向上させることが重要です。
従業員目線を重視する
企業目線ではなく、働く従業員目線で福利厚生を導入しましょう。
福利厚生が大切だ、といっても誰も使わない・使えない福利厚生では意味がありません。 福利厚生の導入の際には「全従業員が使えるか」「全従業員にとって有意義な制度か」の2つのポイントを重視して施策に生かしましょう。
福利厚生導入は慎重に行う
福利厚生は1度導入すると、変更がしづらいため慎重に行うことがベストです。
従業員への説明や面談を通じて、賛成票を獲得したら変更できる可能性もありますが、大変な労力が必要になります。 また、無理な福利厚生は経営状況を圧迫しかねません。 自社にあった範囲やコスト内で、導入できる福利厚生を選択することが重要です。
福利厚生を充実させるなら導入企業数No.1のリロクラブ
「優秀な転職者を優位に吸収したい」「転職者へのアピールにつなげたい」という企業にとって、福利厚生を充実させることが重要です。
しかし、福利厚生の導入を検討しても「自社の課題に合った福利厚生がわからない」と悩む担当者の方もいるでしょう。 リロクラブでは従業員の健康やメンタルヘルス対策、資格やスキルアップ、資産運用や金融リテラシーの向上はもちろん、プライベートで楽しめるエンタメや食事補助などさまざまな福利厚生を支援しています。
また100名未満の企業様ならお1人様あたり1,000円と低価格で充実の福利厚生を提供可能です。自社に合った提案・サポートをいたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。
転職者のニーズにあった福利厚生で企業価値の最大化へ
転職者へのアプローチは福利厚生が要です。企業価値を高めるためにも優秀な転職者へアプローチを行い、積極的な採用活動を展開しましょう。 また、福利厚生は時代のニーズにあった制度であることが重要です。 従業員や転職者が求めていない福利厚生では、優秀な人材への訴求はもちろん、既存の従業員の定着率やエンゲージメント向上にもつながりません。 自社の中で有意義な福利厚生を正しく取捨選択して、企業価値の最大化を図りましょう。