ウェルビーイングとは?実現するためのオフィス環境や成功事例を紹介
「働きやすい会社」を目指し、ウェルビーイングを高める取り組みをする企業が増加しています。では、なぜウェルビーイングが働きやすさにつながるのでしょうか。本記事ではウェルビーイングの基礎知識とオフィス環境に取り入れる方法を解説します。
「働きやすい会社」を目指し、ウェルビーイングを高める取り組みをする企業が増加しています。ウェルビーイングの導入は、従業員が働きやすくなるだけでなく企業もあらゆるプラスの効果を得られます。効果を得るために必要なのはオフィス改善をおこなうことです。本記事では、ウェルビーイングの意味やメリット、オフィス環境を整える方法を解説します。
目次[非表示]
- 1.ウェルビーイングとは
- 2.ウェルビーイングを取り入れるメリット
- 2.1.ワークエンゲージメントが向上し生産性がアップする
- 2.2.離職率が低下する
- 2.3.優秀な人材の確保につながる
- 2.4.健康経営を促進できる
- 3.ウェルビーイングに取り組む4つの方法
- 3.1.心身の健康状態のセルフチェック・ケアを促進する
- 3.2.福利厚生を充実させる
- 3.3.労働環境を見直す
- 3.4.オフィス環境を改善する
- 4.オフィスにおけるウェルビーイングとは
- 5.オフィス改善が必要な理由
- 5.1.従業員の心身の健康状態に影響を与えるから
- 5.2.業務効率にかかわるから
- 5.3.人材定着率に影響するから
- 6.オフィス改善をおこなうメリット
- 6.1.生産性が高まる
- 6.2.エンゲージメントが向上する
- 6.3.ストレス軽減につながる
- 6.4.採用に有利になる
- 7.ウェルビーイングを高めるオフィス環境改善方法
- 7.1.レイアウトを変更する
- 7.2.機能性の高い家具を取り入れる
- 7.3.温度・照明を調整する
- 7.4.1人ひとりの作業スペースを確保する
- 7.5.休憩できるスペースをつくる
- 7.6.防音スペースや個室ブースを設置する
- 8.オフィス環境を改善する際の4つのポイント
- 8.1.従業員目線で考える
- 8.2.専門業者の意見を取り入れる
- 8.3.WELL認証取得を目指す
- 8.4.ウェルビーイングを実現した企業事例を参考にする
- 9.オフィス環境改善でウェルビーイングを実現した企業事例
- 9.1.出社したくなる楽しい雰囲気のオフィスに|フリー株式会社
- 9.2.気軽にコミュニケーションが取れるスペースを設置|株式会社スタメン
- 9.3.バイオフィリックデザインを意識したオフィス|四国計測工業株式会社
- 10.オフィス環境を改善してウェルビーイング経営に取り組もう
ウェルビーイングとは
ウェルビーイングとは肉体的・精神的に健康で社会的にも満たされた状態のことです。WHOでは、ウェルビーイング(well-being)は「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。
ウェルビーイングを構成するのは「PERMA」と米国ギャラップ社が定義したものの2つがあります。
PREMAはポジティブ心理学の目線でウェルビーイングを考えたもので、前向きな気持ちから仕事や趣味に取り組み、ポジティブに人生を歩める状態を指すことが多いです。
一方米国ギャラップ社が定義したものは、アメリカの世論調査やコンサルティングをおこなう企業が考えたもので、職場においてあらゆる面で満たされた状態を指しています。
これらの考え方からわかるように、仕事への満足感や良好な人間関係など生き生きと過ごせる状態であることがウェルビーイングだということです。企業経営のうえで従業員一人ひとりの満足度を上げることが欠かせない昨今で、ウェルビーイングで自分らしく働けること・ワークエンゲージメントを高めることは欠かせないといえるでしょう。
ウェルフェア・健康経営・ウェルネスとの違い
肉体的・精神的に健康で社会的にも満たされた状態を指すウェルビーイングと似た言葉に、「ウェルフェア」「健康経営」「ウェルネス」があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
ウェルフェアとはウェルビーイングを実現するための手段です。具体的には、家賃補助や社員食堂などの福利厚生を通して肉体的・精神的・社会的に満たすことを指します。ウェルビーイングは目的で、ウェルフェアはそれを実現させるための手段であるため、ウェルフェアはウェルビーイングを構成する要素のひとつだといえます。
健康経営とは、企業目線で身体的・精神的な健康のために取り組みを進めることです。ウェルビーイングは従業員目線で肉体的・精神的に加え、社会的にも満たされているかにも着目するため、2つの意味は異なることがわかります。
また、健康経営は健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に取り組み目的を達成すること、ウェルビーイングはパーパス(社会的な存在価値)を達成し続けて経営目的を達成することが目的となることも違いのひとつです。
最後にウェルネスとは、より良く生きようとするライフスタイルのことをいいます。肉体的・精神的な健康において幸福を意識して行動することを意味します。ウェルビーイングは目的で、ウェルネスは目的を達成するプロセスだと考えるといいでしょう。
ウェルビーイングが注目される理由
ウェルビーイングが仕事において注目されている理由は主に以下の4つです。
- 労働人口が減少し人材不足が慢性化しているから
- 働き方改革が促進されているから
- 多様な価値観に対応する必要があるから
- テレワークが普及し従業員の健康への影響が問題視されているから
年々人口が減少し労働人口が減っている中で企業を経営するためには、労働環境を整えて働きやすい企業にすることが重要です。また、さまざまな事情や価値観を持つ人々が生き生き働ける環境づくりも欠かせないといえるでしょう。
さらに、新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及したことで、従業員の心身の健康状態に影響を与えると言われているため、企業は健康維持のために取り組みを進めなければなりません。
このような問題を解決するためにウェルビーイングが必要なのです。
ウェルビーイングを取り入れるメリット
従業員の心身の健康、社会的に満たされることを目的に取り入れるウェルビーイングには、企業にとってメリットはあるのでしょうか。
ウェルビーイングを取り入れるメリットは以下4つがあります。
- ワークエンゲージメントが向上し生産性がアップする
- 離職率が低下する
- 優秀な人材の確保につながる
- 健康経営を促進できる
順に解説します。
ワークエンゲージメントが向上し生産性がアップする
1つ目のメリットはワークエンゲージメントが向上し生産性がアップすることです。
仕事への満足感や良好な人間関係など生き生きと過ごせる状態を指すウェルビーイングでは、従業員が働きやすい環境を整えます。具体的には、仕事に没頭したりリフレッシュできたりするストレスや疲れを感じづらい環境をつくります。
このような環境をつくることで「熱意」「没頭」「活力」が揃った状態であるワークエンゲージメントが高まるでしょう。従業員は仕事に対して前向きになりやりがいを感じながら働ければ、最大のパフォーマンスを発揮して生産性を高められます。
離職率が低下する
2つ目のメリットは離職率の低下です。
ウェルビーイングで働きやすい職場を実現することは自社への満足度向上につながります。また、従業員の心身の健康の変化を感じ取りやすく、離職防止のために行動できます。優秀な人材の流出も避けられるでしょう。
「自分らしく働ける」「ストレスなく働ける」と感じられれば、自然と離職率が低下します。
優秀な人材の確保につながる
離職率の低下により、優秀な人材の確保につながることもメリットのひとつです。
企業に対して従業員の満足度が高く離職率が低いと、求職者は「働きやすい環境」とプラスのイメージを抱きます。企業のイメージアップは採用活動に有利になることはもちろん、優秀な人材の確保にもつながります。
健康経営を促進できる
4つ目のメリットは健康経営を促進できることです。
健康経営とは従業員の健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に取り組むことをいいます。ウェルビーイングは従業員の健康を考えた取り組みをおこないます。
これらのことから2つは結びついているといえるため、ウェルビーイングの導入は健康経営の促進につながっているのです。
ウェルビーイングに取り組む4つの方法
ウェルビーイングに取り組む方法として、主に4つがあげられます。
- 心身の健康状態のセルフチェック・ケアを促進する
- 福利厚生を充実させる
- 労働環境を見直す
- オフィス環境を改善する
順に解説します。
心身の健康状態のセルフチェック・ケアを促進する
1つ目の方法は、心身の健康状態のセルフチェック・ケアを促進することです。
肉体的・精神的に健康で社会的にも満たされた状態にするためには、従業員が心身の健康を理解して改善できる環境が必要です。
具体的には、健康診断や予防接種、検診の費用補助などで肉体的な健康をサポートしたり、ストレスチェックや産業医との個別面談などで精神的な健康をサポートしたりする方法があります。
テレワークを実施する企業の場合、従業員の健康状態の把握が難しいでしょう。健康状態を把握できる健康管理アプリを導入したり、コミュニケーションを活性化させて体調を確認できるようにしたりして対応することが大切です。
福利厚生を充実させる
福利厚生の充実でもウェルビーイングを取り入れ高められます。
具体的には、休日を楽しむサービスの提供や食生活のサポート、子育てや介護の支援があげられます。利用する福利厚生を従業員が選択できるシステムの導入で、ワークライフバランスの支援やリフレッシュにつながります。
福利厚生制度を充実させたいときにおすすめなのが、株式会社リロクラブの「福利厚生俱楽部」です。
福利厚生俱楽部は19,200社が導入する福利厚生サービスで、大企業並の福利厚生サービスを低コストで導入できることが特徴です。幅広いサービスを提供しているため、従業員の満足度を上げるウェルビーイングに役立ちます。
福利厚生俱楽部の詳細や自社に最適なプランが知りたい場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
労働環境を見直す
3つ目の方法は労働環境を見直すことです。具体的には、残業時間の見直しや柔軟な働き方の検討があげられます。
勤務時間の管理やアンケートの実施で現状を把握し、残業時間の減少のために働きかけましょう。
また、従業員の声を聞くことでどのような働き方がしたいかも明らかになります。時短勤務やフレックスタイム制の導入を検討して、どの従業員も働きやすい環境を築くといいでしょう。あらゆる働き方ができると、新しい人材の確保にもつながるかもしれません。
オフィス環境を改善する
4つ目の方法はオフィス環境の改善です。
オフィスのレイアウト変更やテレワーク環境の整備などによって、従業員の働きやすさが向上します。コミュニケーションを活性化するスペースやミーティングスペース、個室のワーキングスペースなど、働きやすい環境をつくりましょう。
オフィスにおけるウェルビーイングとは
オフィスにおけるウェルビーイングとは従業員や職場環境に焦点を当てて、心身の健康や満足度を高める取り組みのことです。
オフィスでウェルビーイングへの取り組みが注目されている理由は、働き方の多様化に応える必要があるからです。ウェルビーイングの視点で働きやすい環境を整えることは、企業にとって欠かせない取り組みになっています。
オフィス改善が必要な理由
オフィスでウェルビーイングを実現するためには、オフィス改善が必要不可欠です。では、なぜオフィス改善が必要なのでしょうか。その理由は大きく3つ考えられます。
- 従業員の心身の健康状態に影響を与えるから
- 業務効率にかかわるから
- 人材定着率に影響するから
順に解説します。
従業員の心身の健康状態に影響を与えるから
オフィス改善が必要な理由の1つ目は、従業員の心身の健康状態に影響を与えるからです。
厚生労働省の調査によると、職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者は8割超であることがわかっています。また、メンタルヘルス不調によって休職・退職した労働者は年々増加しています。
そのため、オフィス改善により少しでも従業員へのストレスを軽減する必要があります。
例えば「照明が暗い」「作業スペースが不十分」「通路が狭く移動が大変」などのオフィス環境では、ストレスを感じてしまうでしょう。ストレスを感じ続ければ、意欲のある従業員でもモチベーションを維持して高いパフォーマンスを発揮するのは難しくなります。
オフィス改善をおこなうことは従業員にとってのストレス排除はもちろん、企業の成長にも欠かせないものだといえます。
参考:厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課「職場におけるメンタルヘルス対策の現状等」
業務効率にかかわるから
2つ目の理由は業務効率にかかわるからです。
資料や備品が整理整頓されていない職場は不便なうえ時間がかかり、業務効率が低下します。また、空調が適切な温度でなかったり照明が暗かったりなどの快適に過ごせない環境でも業務効率を下げてしまうでしょう。
スムーズに業務を進められる環境を整えることも、ウェルビーイングの実現に必要不可欠です。
人材定着率に影響するから
3つ目の理由は人材定着率に影響するからです。
オフィス環境は働くうえで非常に重要な要素です。そのため、ストレスを感じるオフィス環境であるとよりよい環境の企業に転職してしまう可能性があります。
また、コミュニケーションを活性化して良好な人間関係を築くためにもオフィス環境が大切です。相談や雑談などコミュニケーションを取りづらい環境は転職の要因になります。
オフィス改善で働きやすい環境を整えれば、モチベーション高く仕事に取り組めるだけでなくエンゲージメントも高められます。そのため、オフィス改善の必要があるのです。
オフィス改善をおこなうメリット
オフィス改善をおこなうメリットは以下の4つです。
- 生産性が高まる
- エンゲージメントが向上する
- ストレス軽減につながる
- 採用に有利になる
順に解説します。
生産性が高まる
1つ目のメリットは生産性が高まることです。
一般社団法人 日本オフィス家具協会の調査によると、6割以上がオフィス環境の良し悪しで仕事の成果を上げることに影響し、7割以上が仕事へのモチベーションに影響すると回答していることが明らかになりました。
この結果からもわかるように、円滑にコミュニケーションが取れる導線であること、資料や備品が整理整頓されていること、リラックスできるスペースがあることなど、オフィス環境が整っていることは、生産性の向上につながっていることがわかります。
従業員がモチベーションを高め成果を上げることは企業にいい影響を与えるため、オフィス改善にはメリットがあります。
参考:一般社団法人 日本オフィス家具協会「『オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド』を探るための調査の実施と、分析結果を踏まえた提言・提案」
エンゲージメントが向上する
2つ目のメリットはエンゲージメントの向上です。
快適なオフィス環境は仕事に前向きに取り組めるだけでなく、明るい雰囲気づくりや良好な人間関係の構築につながります。
また、従業員の声を取り入れてオフィス改善をおこなえば、「従業員を大切にしてくれている」と感じやすく、エンゲージメントが高まります。エンゲージメントが高まることで人材定着にもつながるでしょう。
ストレス軽減につながる
3つ目のメリットはストレス軽減につながることです。
移動しにくい導線や座り心地の悪い椅子などを改善することでストレスを感じる要因を減らせます。ストレスに感じることは何かを把握し改善することは企業の成長にとって欠かせません。そのため、ストレスの要因を取り除けるオフィス改善は実施することにメリットがあるといえます。
また、仕事に集中できるオフィス環境の整備でストレスが軽減することはもちろん、労働時間が減ってワーク・ライフ・バランスの実現が可能です。
さらに、オフィス改善でのストレス軽減は不要なコスト削減にもつながります。不調で休職してしまった従業員を担保する新たな人材の採用コスト、長時間労働で使われていた光熱費などの削減が可能です。
採用に有利になる
4つ目のメリットは採用に有利になることです。
整理整頓されたきれいなオフィスやおしゃれなオフィスは求職者にとって非常に魅力的です。オフィス環境を採用ページに掲載すれば働きたいと思う人を増やせるでしょう。
また、オフィス改善によりエンゲージメントが高まり人材定着率が高まれば、「働きやすい会社なんだ」と感じる方が多いです。
これらの理由から、オフィス改善は採用に有利になるといえます。
ウェルビーイングを高めるオフィス環境改善方法
ウェルビーイングを高めるためには、どのようにオフィス環境を改善すればいいのでしょうか。本章ではおすすめのオフィス改善方法を7つ紹介します。自社に取り入れられるものがないか参考にしてください。
レイアウトを変更する
オフィスのレイアウトは従業員の働きやすさに大きく影響します。例えば、デスクの配置だけでもコミュニケーションの活性化や集中力の高まりを期待できます。デスクの配置方法は主に以下の4つです。
種類 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
---|---|---|---|
同向式 |
同じ方向に向けてデスクを配置 |
・目が届きやすく従業員の管理がしやすい |
・コミュニケーションが取りづらい |
背面式 |
背中あわせでデスクを配置 |
・集中力が高まりやすい |
・目が届きづらく従業員の管理がしづらい |
左右対向式 |
半個室のようにパーテーションとデスクを配置 |
・十分な作業スペースを確保しやすい ・プライバシーを確保できる |
・コミュニケーションが取りづらい |
対向式 |
向かいあわせにデスクを配置 |
・コミュニケーションがとりやすい |
・プライバシーを確保しにくい |
他にも動きやすく設備を使いやすい導線にすることも重要です。コピー機などの設備周りは通路を広くしたり、作業スペースまで直線的に行けるようにしたりなどの工夫ができます。
これらの要素を取り入れたレイアウトに「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」「フリーアドレス」があります。1つずつどのようなレイアウトなのか解説します。
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは、仕事をする場所を自由に選択する働き方のことです。
集中したいときは個室や隔離されたスペース、ミーティングなどをおこなうときは作業エリアなど、業務内容や気分によって働く場所を選択します。一人ひとりが働きやすい場所で仕事に取り組めることが特徴です。
フリーアドレス
フリーアドレスとはノートパソコンなどを使って好きな席で仕事をする働き方のことです。
個人の席を決めずに空いている席で仕事ができるため、部署にかかわらずコミュニケーションがとりやすいことが特徴です。
機能性の高い家具を取り入れる
2つ目の方法は機能性の高い家具を取り入れることです。
オフィス家具でもっとも重要なのはデスクと椅子です。長時間利用するものなので、腰痛や肩こり予防・改善ができるもの、お尻が痛くなりづらいもの、背中が丸まらないものなど、正しい姿勢で座り快適に過ごせるものを選びましょう。
また、営業職は資料が収納しやすいデスク、デスクワークが多い事務職はアジャスト機能がついた椅子など、職種に合わせて選択することも大切です。
温度・照明を調整する
温度・照明を調整することもオフィス改善として大切です。
温度や湿度などが適切でないと集中力を低下させてしまいます。どの場所でも温度と湿度が一定になっているか確認し、温度や湿度に合わせてエアコンとサーキュレーターを併用するなど工夫しましょう。
また、換気で空気の流れをよくすることでも集中力を高められるうえ、感染症対策にもなります。
不適切な照明も集中力や疲労の要因になります。オフィスに明るさが足りない場合は、照明の種類を変えたり数を増やしたりすることが有効的です。
また、デスク周りは集中しやすい昼光色の照明、会議室には明るい雰囲気になる昼白色、休憩室やリラックススペースには暖色系など、スペースの用途に合わせて照明を選ぶことも重要です。
1人ひとりの作業スペースを確保する
4つ目の方法は1人ひとりの作業スペースを確保することです。
1人当たりの作業スペースの目安は約3坪といわれています。3坪以下になると生産性が下がったり、窮屈感から働きづらさを感じたりしてしまいます。
作業スペースを確保するために、オフィス内に不要なものがないかをチェックしましょう。使っていないものや部署間で共有できるものを処分したり、私物を減らしたりすることで作業スペースの確保につながります。
休憩できるスペースをつくる
休憩できるスペースをつくることも、ウェルビーイングを高めるオフィス改善として役立ちます。
勤務時間中に気分転換や休憩ができるスペースは、心身の疲労やストレスの軽減に役立ちます。適度にリフレッシュすることで集中力も高まり、業務効率や生産性の向上にもつながるでしょう。
また、従業員同士のコミュニケーションの場ともなり、良好な人間関係の構築やチームワークの向上に役立ちます。
防音スペースや個室ブースを設置する
次に、静かな場所でWeb会議や電話対応したいとき、会議中の声を気にせず集中して作業したいときなどに使える防音スペースや個室ブースを設置する方法があります。作業に集中できる場所となるだけでなく、情報漏えいを防ぐ場所ともなります。
スペースをつくるのが難しい場合は、デスク毎に吸音シートを貼ることを検討してみましょう。
バイオフィリックデザインの導入や配色の変更をおこなう
オフィス改善の方法として、バイオフィリックデザインの導入や配色の変更をおこなう方法があります。
バイオフィリックデザインとは、自然光や植物、水を取り入れた空間デザインのことです。特に観葉植物など緑を取り入れることは目の疲れやストレスを軽減する効果が得られます。集中力も高まりやすく、生産性もアップするでしょう。
また、オフィスの配色を考えることも有効的です。意見交換をしながら和気あいあいと仕事をする場合には暖色系の配色にするなど、社風に合わせて選ぶことがおすすめです。
オフィス環境を改善する際の4つのポイント
オフィス環境を改善するときは、以下4つのポイントをチェックしておきましょう。
- 従業員目線で考える
- 専門業者の意見を取り入れる
- WELL認証取得を目指す
- ウェルビーイングを実現した企業事例を参考にする
順に解説します。
従業員目線で考える
オフィス改善をするときは経営者や担当者など企業目線で考えるのではなく、実際に職場で働いている従業員目線で考えることが大切です。
従業員目線で考えられなければウェルビーイングのメリットであるワークエンゲージメントの向上や離職率の低下の効果が得られません。アンケートを取って従業員のニーズや意見を尋ね、オフィス改善策に取り入れるようにしましょう。
専門業者の意見を取り入れる
2つ目のポイントは専門業者の意見を取り入れることです。
ウェルビーイングを高めるオフィスにすることは簡単ではありません。そのため、従業員の声やイメージに応えられる技術やノウハウを持った専門業者に相談することがおすすめです。
また、専門業者にオフィス改善を依頼すれば担当者の負担も軽減できます。
WELL認証取得を目指す
オフィス改善をおこなうときにWELL認証取得を目指すこともポイントのひとつです。
WELL認証とはウェルビーイングなオフィス環境を評価する国際的な認証制度です。認証に必要な必須項目、加点項目を参考にすれば、ウェルビーイングを高められるオフィス空間に近づけられます。
実際にWELL認証が取得できれば、企業ブランドの高まりや採用力強化などのメリットが得られます。
ウェルビーイングを実現した企業事例を参考にする
ウェルビーイングを実現した企業事例を参考にすることも、オフィス改善に役立つポイントです。
同じ業界のオフィスや似たオフィス環境を持つ企業の事例を参考にすれば、「どのようなレイアウトが効果的か」「どのようなデザインが集中力を高められるか」などを考えやすいです。
オフィス環境改善でウェルビーイングを実現した企業事例
ここからは、オフィス環境改善でウェルビーイングを実現した事例を3つ紹介します。自社のオフィス改善に役立ててください。
出社したくなる楽しい雰囲気のオフィスに|フリー株式会社
クラウド会計ソフトなどを展開するフリー株式会社では、同じ職場の従業員同士で熱意・共感が生まれて伝播し、成長していくオフィスであってほしいという思いからオフィス改善を実施しました。
同社のオフィスの特徴は、駄菓子屋やパーティールームをモチーフとしたコンセプト会議室があります。同社だからこそ実現できるオフィスを提案してほしいと社内SNSで呼びかけ、オフィスに戻ってきたくなる仕掛けをつくりました。
仕事の中で楽しさを感じたり、リラックスしたりすることで間接的に生産性アップにつながるように工夫しているそうです。
参考:Worker's Resort「オフィスは、価値を生み出す場。社員を巻き込み「出社したくなる空間」を創出 | フリー株式会社」
気軽にコミュニケーションが取れるスペースを設置|株式会社スタメン
ITテクノロジーを活用した事業を展開する株式会社スタメンでは、移転をきっかけに生産性の向上・組織エンゲージメント向上を目的にオフィス改善をおこないました。
同社のオフィスの特徴は「自分たちの居場所」と感じられる適度にリラックスできる空間なことです。靴を脱いで上がれる畳スペースでは、ミーティングやランチなどさまざまな用途で使われているそうです。
また、コミュニケーションがとりやすいような座席をレイアウトしたり、カジュアルミーティングスペースを設置するなど、オープンな雰囲気づくりでコミュニケーションの活性化を図っています。
参考:株式会社スタメン「News 【関東拠点移転】事業拡大のため、五反田から鎌倉へオフィスを拡大移転いたしました。」
バイオフィリックデザインを意識したオフィス|四国計測工業株式会社
電気制御機器メーカーである四国計測工業株式会社では、心身ともに落ち着ける環境を目標にオフィス改善をおこないました。
同社のオフィスの特徴はバイオフィリックデザインを意識していることです。エントランスに入ると見えるカフェエリアにはテーブルに植木を設置しました。従業員同士でコミュニケーションをとりながら休憩したり、外や植木を見ながらリラックスしたりできる空間になっています。
また、執務エリアにもどこを見渡しても緑が見えるように観葉植物を設置しています。オフィス全体が心地いい雰囲気であることで、ストレスなく働ける環境になったそうです。
オフィス環境を改善してウェルビーイング経営に取り組もう
従業員がモチベーションを高く持ち生産性高く働くには、心身の健康を維持して満足度を高めるウェルビーイングの導入が欠かせません。
オフィス環境の改善はウェルビーイングを高める重要な要素です。自社のオフィス環境の課題は何か、従業員が求めていることは何かを考え、改善していきましょう