
ラーニングピラミッドとは?効果的な学びを実現する法則
みなさんはどれだけ頑張って勉強しても成果が出ずに困った経験はないでしょうか?
あるいは限られた時間でどうすれば効率よく学べるかと考えたことがあるでしょうか?
そんな問いへのヒントとなるのが「ラーニングピラミッド」という概念です。
ラーニングピラミッドは、さまざまな学習方法とそれによる定着率の違いを視覚的に表していて、どのような方法なら学習効果が高いのかを示しています。
ラーニングピラミッドは、自分に合った学び方を見つけるための指針となり、学びの効率を高める手助けをしてくれるでしょう。
今回は、このラーニングピラミッドの基本や構造、そして日々の学びにどう活かすかについて詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.ラーニングピラミッドとは?
- 2.ラーニングピラミッドの構造と詳細
- 2.1.講義形式(学習定着率5%): 受け身学習の限界
- 2.2.読書(学習定着率10%): インプット重視の学び
- 2.3.視聴覚教材(学習定着率20%): 視覚と聴覚の活用
- 2.4.デモンストレーション(学習定着率30%): 見て理解する学び
- 2.5.グループ討論(学習定着率50%): 意見交換で理解を深める
- 2.6.実践・練習(学習定着率75%): 経験から学ぶアクティブ学習
- 2.7.他者に教える(学習定着率90%): 学びの最高効率を実現する方法
- 3.アクティブラーニングとラーニングピラミッドの深い関係
- 4.ラーニングピラミッドを活かす具体的な学習アプローチ
- 4.1.アウトプットを重視する
- 4.2.主体的な学びを実践する
- 4.3.学習効果を定着させるための取り組みを行う
- 5.ラーニングピラミッドのまとめ: 学びを深めるために
ラーニングピラミッドとは?
ラーニングピラミッドとは、学習方法に応じた定着率の違いを視覚的に表現したピラミッド型のモデルです。
これは、アメリカ国立訓練研究所が学習活動の概念として研究したもので、次の区分であるとされています。
-
学習定着率が最も高い:「実践的な学習」や「教えること」
学習定着率が最も低い「読書」や「講義を聴くこと」
ピラミッドは上から下に向かって、学習定着率が高くなる方法(例:教える、議論する、実践する)と低くなる方法(例:聴く、読む)を示しています。
このモデルを活用すれば、より効果的な学習方法を選び、学んだ内容を長期間にわたって定着させるための指針を得ることが期待できるでしょう。
ラーニングピラミッドの構造と詳細
ラーニングピラミッドの構造は学習方法を段階ごとに示すもので、次の流れで学習効率が高まります。
- 講義
- 読書
- 実践
- 教える
それぞれの特徴についてみていきましょう。
講義形式(学習定着率5%): 受け身学習の限界
講義形式とは、学校の授業やセミナー、座学形式の研修のように教師や講師の話を聞く学習方法です。
講義形式の学習は、学習定着率がわずか5%とされています。
この低い定着率には理由があります。
それは、この形式が受け身学習になりがちであるからです。
教師や講師の話を一方的に聞くので、生徒や参加者は自ら考えたり、意見を述べたりする機会が限られてしまいがちです。
受け手が情報をただ受け取るだけでは、十分に理解や記憶には結びつきにくいと言われています。
一方的に聞くだけだと学習内容の理解や記憶の定着が進みにくくなってしまうのです。
読書(学習定着率10%): インプット重視の学び
読書を通じた学習は、主に情報や知識をインプットすることに焦点を当てた方法です。
書籍や文献を読むことで、多くの新しい知識や視点を得られます。
しかし、読書による学習では、情報の受け取りが主体となるため、学習定着率の観点では一定の限界があります。
読書を通じて理解を深めることは可能ですが、単に情報をインプットするだけでは学んだ知識をしっかりと定着させるのが難しい場合があるのです。
学習内容を脳内で再構築し、自分の言葉で説明できるようにするためには、さらなるアウトプットや実践的な取り組みが必要です。
視聴覚教材(学習定着率20%): 視覚と聴覚の活用
視聴覚教材は、視覚と聴覚の両方で認識できる教材を使った学びの方法です。
視覚的な要素は、内容を分かりやすくするだけでなく、記憶に残りやすくする役割も果たします。
読書と異なり動きがあるため、より記憶に定着しやすいとされています。
一方で、聴覚的な要素は、情報を深く理解する助けになります。
こうした視覚と聴覚のバランスが取れた視聴覚教材を使うと、学習内容が頭に定着する割合を20%ほどまで高めることが期待できるのです。
例えば、eラーニングや動画サイトで公開されている講義動画は、目で見て耳で聞きながら学べる学習媒体として、多くの人に利用されています。
これらの教材を使えば、文章を読む以上に理解を深められます。
►eラーニングを使った企業での成功事例を次の記事で纏めていますので、併せてご覧ください。
eラーニング成功事例11選|他社の施策から人材育成を見直そう!
デモンストレーション(学習定着率30%): 見て理解する学び
デモンストレーションは、理論や抽象的な説明だけでは伝わりにくい内容を、実際の動作を通じてわかりやすく示す方法です。
例えば、料理教室で先生が調理する様子を見ると、文字で手順を読むだけではイメージしにくい部分が、実際に作る様子を目で確認することで理解しやすくなります。
同じように、技術指導やトレーニングの場においても、理論を聞くだけではなく、実際の動きを見ることで説明だけでは伝わりづらいことも具体的にイメージしやすくなります。
実演があると、学習者はそのまま手本を真似できるため、学んだことを実際にやってみるハードルがぐっと下がるのです。
グループ討論(学習定着率50%): 意見交換で理解を深める
グループ討論は、他者と意見を交わすことで、自分の考えを深めたり、新たな視点に気付いたりできる学習方法です。
話し合いを通じて、自分では気づかなかったアイデアや考え方に触れることができ、それが理解の幅を広げるきっかけになります。
単に知識を覚えるだけでなく、それをどう使うかを考える過程を体験することで、学びがより実践的なものへと変わります。
研修などにおいてディスカッションやワークショップを取り入れると、参加者は自分の意見を言葉にする機会を得るだけでなく、他の人の考えを聞くことで新たな刺激を受けられます。
このような双方向のやり取りは、ただ受け身で情報を得るだけの学習とは異なり、内容への深い理解を促してくれるでしょう。
実践・練習(学習定着率75%): 経験から学ぶアクティブ学習
実際に「やってみる」方法は、経験を通じて学ぶ実践的な学習として知られ、学習定着率は75%に達すると言われています。
簡単に言えば、机上で学んだ理論を実生活に応用すると理解が深まるということです。
例えば、プログラミングは本や講義で学ぶだけでは不十分で、実際にコードを書くことでより知識が定着しやすくなります。
スポーツでも、ルールや作戦を理解するだけでは上達せず、実際に練習することで技術が磨かれるでしょう。
職業訓練も、座学ではなく実際の作業を繰り返し経験することでスキルが向上します。
このように、実践を通じて学ぶことは、知識を活用できる形にし、問題解決能力や対応力を高めます。
知識を本当に「自分のもの」にするためには、実際の場面で活用することが重要です。
他者に教える(学習定着率90%): 学びの最高効率を実現する方法
他者に教えることは、ラーニングピラミッドで定義されている学習法の中で知識が最も定着する学習方法の1つです。
なぜなら、相手に何かを教えるには相手にわかりやすく伝える必要があり、教える過程で自分が何を理解していないのかに気付けるからです。
自分が理解している部分と理解できていない部分のギャップを埋められれば、知識がさらに深く定着します。
また教えるときには、ただ伝えるだけでなく、質問に答えたり、内容を工夫して説明したりすることで、自分の知識を実際に活用する力が養われます。
「学びながら教える」スタイルの勉強会や研修は、この方法を最大限に活かす場となるでしょう。
自ら学びながら他者に学習を教えられる勉強会や研修に参加すれば、次の様なメリットを得られます。
- 教えられるほど理解が進んでいないと感じた箇所を補う機会が得られる
- 他の参加者からのフィードバックを通じて新たな視点や知識を吸収できる。
結果として、教える側と聞く側が共に学ぶ環境が育まれ、全員が知識の向上を図れるのです。
アクティブラーニングとラーニングピラミッドの深い関係
アクティブラーニングは、学習者が主体的に学びを進める方法で、ラーニングピラミッドで定着効果が高いとされている方法と強く関連しています。
ラーニングピラミッドでは、「他者に教える」「実践・練習」「グループ討論」などのアクティブな手法が効果的であるとされています。
これらの方法のうち、実践・練習やグループ討論を重点的に行うのがアクティブラーニングです。
学んだ知識を単に記憶するのではなく、実際に使ったり他者に説明したりすることで、理解を深めると同時に記憶に定着させる力を高めるのです。
ラーニングピラミッドを活かす具体的な学習アプローチ
ラーニングピラミッドの法則を取り入れることで、学びの効果を飛躍的に向上させられます。
具体的な学習アプローチを通じて、その効果を最大限に引き出す方法を探りましょう。
アウトプットを重視する
学んだことをアウトプットすれば、情報を受け取るだけでは得られない、知識を整理して理解を深める過程が生まれます。
アウトプットの具体的な方法には、次のようなさまざまな手法が挙げられるでしょう。
- 学んだ内容を他の人に説明してみる
- 学んだことをもとに文章を書いてみる
- その知識を使って実際に問題を解決してみる
たとえば、企業のハラスメント研修や情報研修なども、eラーニングで従業員に受けさせることが多いと思います。
これを受講して終わりではなく、最後に数問の選択式のテストを用意するだけでも、実現が可能です。
これらを用意にするサービスとしてはLMS(ラーニングマネジメントシステム)という物があり、詳細は次の記事で紹介しています。
►LMSとは?学習管理システムの主な機能やメリットを徹底解説!
効率的なアウトプットを実践するためのコツ
効果的にアウトプットを行うためには、以下のような工夫が役立ちます。
- ノートにまとめる:図や表を活用し、視覚的に整理すると理解が深まります。
- 他者と共有する:他人に伝えることで、自分の理解の曖昧な部分が明確になり、より深い学びへとつながります。
- デジタルツールを活用する:ノートアプリやSNSを使えば、手軽に情報を整理・共有できます。
アウトプットするメリットと効果
アウトプットを行うことで、次のような学習効果が期待できます。
- 理解の深化:情報を単に覚えるのではなく、自分の言葉で説明することで理解が深まります。
- 知識の整理:どこまで理解しているのか、どこが曖昧なのかが明確になります。
- 学びの定着:他者に説明したり共有したりすることで、学習内容が長期記憶に残りやすくなります。
アウトプットを積極的に取り入れることで、学んだ知識を確実に身につけることができます。
研修の際は、ぜひアウトプットのプロセスを意識してみてください。
主体的な学びを実践する
主体的な学びは、自分で学習を管理し、積極的に参加することで効果を発揮します。
この方法を取り入れることで、学びの質が向上し、より深く理解できるようになるのです。
ここからは、具体的な方法について見ていきましょう。
①グループ討論・ディスカッションの効果的な進め方
グループ討論は、多様な意見を出し合い、深い学びを得るための貴重な機会です。
より効果的に議論を進めるためには、準備が大切です。
- 事前準備:テーマを明確にし、関連資料を用意し、役割を決める。
- 討論中の姿勢:積極的に発言し、相手の意見を尊重しながら耳を傾け、疑問点は積極的に質問する。
- 振り返りと共有:議論後に学んだ内容を整理し、共有することで、より深い理解につながる。
②講義と実践を組み合わせたハイブリッド教育法
講義と実践学習を組み合わせたハイブリッド教育法とは、講義で学んだ内容を実際にやってみることで、より深く理解し、応用力を高める学習方法です。
例えば、料理を学ぶうえでは、料理教室(講義)でレシピを学び実際に料理を作る(実践)ことで、料理の楽しさやコツを深く理解できます。
これは料理に限った話ではなく、さまざまな分野の学習においても同じことが言えます。
ハイブリッド教育法のメリット
- 知識の定着:座学だけでなく実践を通じて学ぶことで、より深く理解できる。
- 問題解決能力の向上:学んだ内容を応用し、実際に活用することで、柔軟な思考が養われる。
- 能動的な学習:従来の座学中心の学習に比べて、積極的に学ぶ姿勢が身につく。
ハイブリッド教育法を取り入れることで、知識の習得だけでなく、実践的なスキルを身につけることが可能になります。
学習効果を定着させるための取り組みを行う
学習内容を定着させるためには、学習後の取り組みが重要です。
ここでは具体的な方法を探ってみましょう。
①学習効果の測定とフィードバックの重要性
学習効果を最大限に引き出すためには、単に知識を習得するだけでなく、その知識をどのように活用できているのかを調べることが大切です。
学習効果の測定は、学習者の理解度を把握し、さらに学習内容の改善に役立ちます。
次の様なさまざまな方法で測定を行う事ができて、学習者の強みと弱みを特定できます。
- テスト
- 課題
- ポートフォリオ など、
そして、これらは、LMS(ラーニングマネジメントシステム)を活用することで容易に実施が出来ます。
この結果を踏まえて、学習者に具体的なアドバイスや改善点を与えるフィードバックを行うことで、学習意欲を高め、より深い理解へと導きます。
*ただし、フィードバックを行う際には、単に正誤を指摘するだけでなく、学習者の思考過程を理解し、今後の学習に繋がるような具体的なアドバイスを行うと良いでしょう。
例えば、「この問題は、〇〇という概念を理解していれば解けるはずです。もう一度教科書を見直してみましょう」といったように、学習者が自ら考え、解決できるよう支援することが大切です。
②学びを定着させるフォローアップの具体的手法
学習後に復習や振り返りを行うと、知識がしっかり身につきやすくなります。
なぜなら、少し時間を空けて学んだ内容を見直すことで、記憶が強まり、忘れにくくなるからです。
授業やセミナーで新しいことを学んだら、ノートや録画を活用して復習の時間を作るのがおすすめです。
また、定期的に振り返る習慣を持つと、過去に学んだことと新しい知識が結びつき、理解がさらに深まります。
こうしたフォローアップを続けることで、学んだ内容を実践で活かせるようになります。
そのため、研修後には、フォローアップを行うまでをプログラムに組み込みましょう。
ラーニングピラミッドのまとめ: 学びを深めるために
学びを効率よく進めるためには、ラーニングピラミッドの概念を理解し、特性を活かした学習方法を取り入れることが重要です。
講義や読書のような受動的な学習に頼るだけでなく、グループ討論や実践、さらには他者に教えるなどの能動的な学びを意識することで、学習定着率を大幅に高められます。
また、アクティブラーニングやアウトプットを重視する学び方を取り入れれば、知識をより深く定着させることが可能です。
今回の記事で紹介した方法をヒントに、企業の研修内容を「インプット中心」から「アウトプット重視」へと進化させてみませんか?
ラーニングピラミッドの考え方を意識し、主体的な学びを日々の生活に取り入れることで、確実に成果が変わってくるはずです。
ぜひ実践し、従業員の効果的な学びを見つけてみてください。
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