フリーライダーとは、昔でいうところの仕事をあまりしていない「給料泥棒」のようなものです。「教育する時間がない」「そこまで従業員にコストをかけられない」「とりあえずおいておく」などの理由で放っておくと、企業に大きな悪影響を与えることがあります。フリーライダー社員が生まれる原因と対策、組織に与える影響などについて説明していきます。
フリーライダーとは?
フリーライダーとは、経済学用語などで使われる言葉です。意味としては、
- 活動に必要なコストを負担せず利益だけを受ける者
- 不労所得者
- 交通機関にただ乗りする者
などがあります。
経済学においては、公共財などに対価を支払わないで便益(都合がよく利益のあること)を享受する者を指す用語です。要するに、「ただ乗りする人」となります。
ここでいうフリーライダーとは、企業などで仕事をあまりしていないにもかかわらず対価を受ける従業員のことです。また他人があげた成果を、自分のことのように振る舞い他人を利用して昇給や昇進を目論む場合を指します。
社内で、「仕事をあまりしていないのに、給料を多くもらっている人」を見かけたことがあるでしょう。そういった人のことを「フリーライダー社員」といいます。
フリーライダー社員が生まれる原因
フリーライダー社員が生まれる原因として、昔と今の雇用事情の違いがあります。昔は安定した雇用形態に加え、労働者の数が多く人材教育に回すコストなどに余裕がありました。また、昇給や昇進などの将来性も比較的用意されており、同じ企業で一生働くことに何の不都合もなかったのです。
真面目に働き長く勤めることが、企業に貢献することでした。
しかし現在では、ある程度企業の基盤が出来上がっており、誰にでも昇進のチャンスがあるわけではありません。出世は一部の限られた人のみの狭き門になっています。さらには、雇用形態の多様化により人の入れ替わりが激しく、正規従業員として雇用される人数も減っています。
これらの理由により、真面目に仕事をしていても自分の利益につながらないと考える人が、フリーライダー社員になるといわれています。
フリーライダーの傾向が強い人の特徴
従業員のフリーライダー化を防ぐには、その特徴を知る必要があります。なぜなら、今はフリーライダー社員ではなかったとしても、いつかはフリーライダー社員になってしまう予備軍がいるからです。さらに、自身がフリーライダー社員だという自覚がない人もいます。これらの人には、意識の改善や人材教育の機会を設けることが重要です。
そのために、まずはフリーライダーの傾向が強い人を見極める必要があります。
業務に時間がかかる
業務を遂行する時間は、人によって変わります。ただ、仕事に対してやる気がない人や業務を遂行するのに時間がかかる人は、フリーライダー社員の可能性が高いです。「最低限の仕事しかしたくない」「他の仕事を回されたくない」などの理由で、必要以上の時間をかけて仕事をしている場合があります。
さらに悪質なものであれば、わざと残業をして残業代を稼ごうとする人もいるでしょう。
仕事に責任感がない
仕事に対して責任感がない人は、ミスをしても何かしらの言い訳をして責任をとろうとしません。また、他人に責任を押し付ける場合もあります。これは、自分に不利益なことを、最大限回避しようとする考えからくるものです。責任感がない人は仕事に対する失敗を恐れ、何らかの対策や改善をすることがありません。
無責任がゆえに、無理やり業務を遂行することもあります。ですので、大きな失敗につながる前に、人材教育や意識改善を行う必要があります。
他人に仕事を任せっきり
自分が仕事をしたくないばかりに、他人に仕事を押し付けるのもフリーライダー社員の特徴です。また、簡単な仕事や比較的楽な仕事を、何らかの理由をつけて自分が行い、複雑な仕事を他人に振ることもあります。
他人を批判する
フリーライダー社員は、自分の業務が増える可能性がある場合、ネガティブな言動などで他人の仕事内容や提案を否定することがあります。本人は、正しいことを言っていると思っていても、周囲の人には責任逃れや仕事逃れをしているようにしか見えません。
また、そういった理由で他人を批判している人の多くが、自分のことを棚に上げています。そのため、批判内容にはあまり説得力がありません。
フリーライダー社員が組織に与える悪影響
フリーライダー社員が社内にいると、思わぬ悪影響が出てしまいます。部署全体の空気が悪くなったり、業績が落ちたりするのであまり軽く考えないほうが良いです。「業務が遅い」「仕事に責任感がない」などのフリーライダー社員(予備軍)がいた場合は、放っておかないようにしましょう。
フリーライダー社員が、組織に与える悪影響の一例が以下の通りです。
周りの従業員がフリーライダー化してしまう
フリーライダー社員がいると「あの人だけ楽をしている」「自分のほうが仕事をしているのに、あの人のほうが給料が高い」など、周りの従業員にもネガティブな影響を与えてしまいます。影響を受けた従業員は「あの人も楽をしているから」「自分だけ頑張るのが馬鹿らしい」と思ってしまい、フリーライダー化してしまう可能性があります。
つまりフリーライダー社員の存在は、他の従業員が仕事をサボる免罪符を与えることになります。
その悪循環に陥ってしまうと、
- 業務の効率が悪くなる
- 社内のコミュニケーションが少なくなる
などの影響が出てしまいます。社内の雰囲気が悪くなる原因にもなるので、早めの対策が必要です。
企業の不利益につながる
業務の効率が落ちても仕事量は変わらないので、誰かがその分の仕事を負担しなればなりません。負担を強いられた従業員のモチベーション低下につながり、最悪の場合、優秀な人材が離職する可能性もあります。
複数で行う業務の場合、フリーライダー社員が仕事をしないことで、グループの雰囲気が悪くなりコミュニケーション不足に陥ることもあるでしょう。グループ全体のコミュニケーション不足は、業務の質や生産性の低下につながります。よって、最終的には企業の不利益になるでしょう。
フリーライダー社員の対策方法
フリーライダー社員をフリーライダーから脱却させることができれば、企業の生産性向上につながります。また、職場の空気も良くなり、円滑なコミュニケーションの向上を図ることが可能です。フリーライダー社員の対策方法は、いくつかありますので一つひとつ見ていきましょう。
「誰が」「何の仕事をしているか」が分かるようにする
フリーライダー化する原因のひとつは、「仕事がサボれる環境である」ことです。同じ部署内でも、全員が全員、仕事内容を把握している訳ではないでしょう。また、上司が部下の仕事内容を把握仕切れていないケースもあります。それらの場合、「バレていないから」といって、フリーライダー化する人が現れることもあります。
まずは、日報や週報などを定期的に行い、従業員一人ひとりがなんの仕事をしているか確認できるようにします。ただし、業務に支障が出ては意味がないので、最初は軽い報告程度で大丈夫でしょう。
人材教育する時間を設ける
最近では、即戦力になる人材を求めている傾向が強いです。確かに、教育にコストをかけず業務に入れる人材を確保することは、とても大きなメリットがあります。しかし、企業によって業務の仕方や社内のルールなど、さまざまな違いがあるものです。企業と即戦力の人材の間に意見の相違があっては、後々のトラブルにつながります。
それが原因で、フリーライダー化してしまうことがあります。きちんと人材教育し、納得した上で業務を遂行してもらうことが、理想の形だといえるでしょう。
業務の成果やプロセスに応じて、適切な評価をする
業務の成果はもちろんのこと、成果に至るまでのプロセスも評価することが重要です。適切な評価は、従業員の業務に対するモチベーションの向上が期待できます。また、仕事に対してより良い成果を出そうと、前向きに考える従業員を増加することにもつながることでしょう。
なぜプロセスまで評価対象にするかというと、成果だけでは適切な評価が難しいからです。実際に業務に取り組む従業員と、報告を受ける側の上司では、その業務に対する評価が必ずしも同じとは限りません。
成果に見合う評価を与えるには、業務に取り組んだ従業員が納得できるものにする必要があります。そのため、プロセスや成果などを見て総合的に判断しましょう。
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