ダイバーシティ&インクルージョン。労働生産性を高める組織になるには

ダイバーシティ&インクルージョン。労働生産性を高める組織になるには

日本でも組織の多様化は徐々に進んできています。しかし、ただ単に多様な人材を雇用するだけでは不十分です。多様性を最大限に活かし、組織の成果につなげる包容力が求められます。今回は、労働生産性を高める観点を踏まえて、日本企業になぜダイバーシティ&インクルージョンが必要なのか、そのメリットなどを解説します。

ダイバーシティ&インクルージョンとは

ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)とは、それぞれの個性(違い)を受け入れ、一人ひとりがその能力を発揮できる体制と環境を整え、個々を活かしていくことです。

ダイバーシティ(Diversity)とは、多様性を意味します。それぞれの性質の違いは人種や性別、年齢や国籍、身体的特徴(身体的な障害も含む)だけではありません。生活環境、バックグラウンド、宗教、生き方や価値観、性格や嗜好なども含まれます。

また、働く条件についての違いが存在すること(雇用形態、働く時間や場所の違い)も多様性となります。

一方、インクルージョン(Inclusion)とは包含・包括を意味します。個々の違いを受け入れる包容力のことです。組織の中でダイバーシティを考える際は、インクルージョンをセットにして個々の能力を最大限に発揮できる組織作りを意識します。

そのとき企業に求められることは、

  • 違いをもつ従業員同士が個々の違いを受け入れて協働できるようサポートする
  • それぞれが活躍できる環境や体制を整えて一体感を醸成する

包容力をもって、ひとりの人格を大切にする経営です。

日本企業のダイバーシティ&インクルージョン

日本企業のダイバーシティ&インクルージョン

海外では人種差別や性差別、宗教を理由にした差別等がありますが、日本には男尊女卑の歴史(固定的なジェンダー役割意識)があります。

そのような日本で女性に対する性差別を是正するために、男女雇用機会均等法などの制度が整備されたのが1980年代です。しかし、古くからの慣習(男性中心の社会構造)により、本当の意味での差別是正にはかなりの年数を要しています。

現在でも、欧米諸国との比較数値で女性の社会進出の遅れが指摘されるほどです。

世界経済フォーラム(WEF)が発表している「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2021」によると、日本の男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)は0.656で156ヶ国中120位でした。

日本はG7の中で圧倒的に最下位かつ、同じアジアの中国(107位)、韓国(102位)よりも下(男女格差が存在する)でした。

では、日本企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの現状をみていきましょう。

日本企業の意識

ダイバーシティ推進施策として、どのようなことに取り組んでいるか

出典:日本の人事部 人事白書2020

日本企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの意識は、女性の社会進出(のちに女性の活躍促進)に向いています。

「日本の人事部」正会員4,783人に対して実施されたオンライン調査(2020年3月16日-4月10日)によると、ダイバーシティ推進施策として最も多かった取り組みは「女性の活躍推進」で82.1%でした。

つまり、日本企業は ”性別” という多様性の一側面にフォーカスをあてています。そのようなことからか、日本では女性の起用や抜擢だけが多様性の包含になるという勘違いが先行する風潮が広がっています。

このことが日本社会全体のダイバーシティ&インクルージョンへの誤解につながっているとも考えられます。

ダイバーシティ&インクルージョンの重要性

日本企業が今後さらに取り組むべき課題

出典:PwC Japanグループ コーポレートサステナビリティ日本企業の長期的価値創造に向けて

PwCが東証1部上場企業に勤務する正社員(役員、経営者除く)2,471人に対して実施したオンライン調査(2018年10月9日-10月11日)によると、日本企業が今後さらに取り組むべき課題の上位3つが「労働環境の改善(42.3%)」「ダイバーシティの推進(37.4%)」「社会の直面する中長期的な課題を踏まえたビジネス戦略の実行(29.4%)」でした。

これからの日本企業にとって、なぜダイバーシティ&インクルージョンが重要になってくるのか。3つの視点から考えます。

視点1.少子化、人口減少

日本の人口減少により、日本企業の優秀な人材確保は今後困難に直面します。2020年9月1日時点での日本人総人口は1億2575万4千人で、減少し続けています。2050年には総人口が1億人を割るという推計もあります。

結婚や出産を機に離職をした女性も、結婚や出産の前は企業にとって有力な人材だったはずです。定年を迎えたシニア層もビジネス感覚や経験値では若手より頼りになることも多いです。

このような労働力として活かしきれていない人材を活かしてもなお足りないほど、日本の人口減少は深刻です。

これからの日本企業は、事業を継続するためにも多様な人材を受け入れていく必要性が高まっています。

視点2.日本マーケットの縮小

人口減少ともかかわってきますが、日本のマーケットは低成長が続いており縮小傾向です。日本企業は縮小していく日本市場以外のマーケット(海外)で事業を展開していかなければ、持続的な成長は難しくなってきています。

ただし日本国内のマーケットで競争力を高めてきた企業は、海外での事業運営に関するリテラシーが低い傾向にあります。グローバルに事業を展開する上で、外国籍の人材も含め国際舞台で活躍できるリーダー人材の確保も急務となっています。

これからの日本企業は、事業を成長させるために日本人に限らず、あらゆる人種や国籍の人材と一緒に成果を出す必要があります。

今の日本人は異なる国の文化や宗教などの違いを受け入れることが苦手である、ということはよくいわれています。

これには日本人の同質意識や” ウチとソト” の概念などが関連しているのではないかとも考えられています。いずれにせよ、こうした意識をもとに構成された企業であれば特に、ダイバーシティ&インクルージョンの必要性と難易度は高くなります。

視点3.付加価値創造(イノベーション不足)

社会の変化が一段と激しくなり、複雑化して、日本企業の競争環境は大きく変化をしました。これまでの日本の経済発展をけん引してきたのは、製造業でありその技術力でした。

しかし、世界にさまざまなモノが溢れ、テクノロジーが進歩して、安価で性能がよいモノが手に入るようになった昨今、モノづくりだけで顧客に新しい付加価値を提供することは難しくなっています。

モノを売った後のユーザー体験で新たな付加価値を創造する、バリュージャーニー型に変革していく必要があります。

世の中のユーザーは新しい価値を求め続けます。そのニーズに対応するには、さまざまな視点や発想を集結、統合する必要があります。

これからの日本企業は、事業を発展させるためにあらゆる属性のユーザーを理解する力や対応力、そこから新しい付加価値を創造する力を備える必要があります。

ダイバーシティ2.0 経済産業省のガイドライン

ダイバーシティ2.0

経済産業省は、日本企業の経営力と国際競争力を高め、企業価値を向上させるために「ダイバーシティ2.0」を推進しています。2017年3月には「ダイバーシティ2.0」行動ガイドラインが制定されました。

刻々と変化する社会情勢やビジネス環境に合わせた改訂も進められ、2018年6月に改訂版も公表されています。

詳しい内容は、経済産業省の資料を確認してください。

ダイバーシティ&インクルージョンのメリット

ダイバーシティ&インクルージョンのメリット

多様な人材を受け入れて、それぞれが一体感をもって能力を発揮できる組織は、さまざまなメリットが得られます。ここでは、企業側と従業員側の視点に分けて得られるメリットを紹介します。

企業視点でのメリット

企業メリット1.人材確保(採用と定着)

組織構成に多様性をもたせると、採用条件を柔軟にすることにつながります。必然的に対象母数が大きくなります。さらにダイバーシティ&インクルージョンにより働きやすい環境を整備することは、採用した従業員の活躍・定着につながります。

企業メリット2.企業評価の向上

ダイバーシティ&インクルージョンは、働きやすい労働環境をつくり従業員の満足度にも反映されます。

また多様性の確保により、取締役会の監督機能が向上することで外部からもよい評価を受け、企業価値を高めることにつながります。

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企業メリット3.イノベーションの創出

多様性を受け入れられる組織は、多様な人材のアイデアや発想、もち得るスキルが統合され、組織全体でイノベーションを生み出す力が高まります。

似通った人材の集まる同質的集団と比較すると、発想力、柔軟性、品質、スピードともに向上する傾向があります。発想力、柔軟性、品質、スピードの向上により、多様化する顧客ニーズに対してタイミングを逃さず仕掛けることが可能です。

ボストンコンサルティンググループの調査によると、ダイバーシティとイノベーションの成果との間には統計的に有意な関係があることが明らかになっています。

ダイバーシティへの包括的なアプローチは、イノベーションの成果という点で非常に有益という結果が出ています。

企業メリット4.ハラスメント発生リスクの低減

ダイバーシティ&インクルージョンによる従業員の意識教育が機能すれば、従業員は仕事上で関わる人たちを尊重できるようになります。

違いをもつ従業員をひとりの人格として大切にできれば、数あるハラスメント(パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど)の発生にも一定の抑止効果が期待できます。

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従業員視点でのメリット

従業員メリット1.企業との相互理解

企業と働く個人の心理的距離が縮まりやすくなります。属性で差別されることなく他者から理解され、受け入れられているという認識は、組織に対する安心や信頼感を生み出すことにつながります。

このことは近年、心理的安全性(psychological safety)というキーワードで労働生産性との相関が注目されています。

従業員メリット2.活躍の場が広がる

企業が個々の違いや長所・短所を理解し、社内全体にもその理解が浸透していれば、従業員一人ひとりが活躍できる場が広がります。

従業員メリット3.視野が広がる

多様な人材との接点は自己成長を促進します。違いを受け入れ協働していくことは、個人の視野を広げることにつながります。

視野を広げることは、ひとつの企業に長く勤務することで狭い視野をもちがちな日本のビジネスパーソンに必要なことといえるでしょう。

従業員メリット4.意識が変わる

これまであげてきたメリットを集約すると、ダイバーシティ&インクルージョンによって環境は大きく変わります。環境で人は変わります。

多様な人材が集まり、活躍し、刺激を受け、イノベーションを創出し、働きがいと働きやすさのある労働環境に身を置くことで、従業員一人ひとりの行動や意識に良い影響を与えます。

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ダイバーシティ&インクルージョンと労働生産性

ダイバーシティ&インクルージョンと労働生産性

さらに具体的に、ダイバーシティ&インクルージョンが組織にどのような変化をもたらすのかについて紹介します。

常識にとらわれない、「ファーストペンギン」になる

日本には長く続いている企業や、後世に伝承すべき価値あるものがたくさんあります。

しかし、同じことをただ繰り返すばかりでは時代や市場のニーズに沿うことができません。常識だと思い込んでいるものが、時代とともに非常識になっていることもあります。積極的に新しいビジネスモデルを生み出していかなければ、存続すら難しい時代です。

品質を重視して、慎重・確実に進めることが日本企業の特徴といわれていますが、その進め方が新たなビジネスモデルの創出の弊害になることもあります。とりあえず世に出してみて、ユーザーの反応をみながら変えていくという進め方は歓迎されません。

また、日本企業には失敗する者を認めない企業文化が色濃くあります。下から上に上がっていく社内出世競争において、失敗はマイナスでしかありません。競争が激しく上が詰まっている(減点主義の)大企業ほど、失敗を恐れます。

これでは、新しいビジネスモデルは生まれません。日本企業には常識を疑い、失敗を許容しながら大きな先行者利益を得る「ファーストペンギン」になる勇気が必要です。こうした突破力は、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する多様性のある企業風土を醸成することで培うことができます。

いわばダイバーシティ&インクルージョン自体が既存組織(それまでの常識)の破壊でもあります。失敗と挑戦の繰り返しで市場から学びを得て、伸びていく従業員の力が、新しいビジネスモデルの創出に寄与します。

人材の多様性・柔軟性による新しい付加価値の創造

ダイバーシティ&インクルージョンは、遅かれ早かれすべての企業が直面する課題です。これに早い段階から取り組んでいるか、それとも着手せずに放置しておくかで、今後の企業としての持続可能性は大きく変わってきます。

早い時期にダイバーシティ&インクルージョンを推進している組織は、試行錯誤を繰り返すことで組織に柔軟性をもたせ、多様な人材の確保も容易になります。そのような多様な人材の受け入れが組織を強くし、新しい付加価値の創造ができる組織として持続的に成長します。

一方、ダイバーシティ&インクルージョンを無視・放置すれば、先進企業の背中を追い続けることしかできず、先頭に立つことはできなくなります。これまでになかったサービスや新しい付加価値の創造で水を開けられてしまうと、この距離を詰めるのは非常に難しくなります。

特に先行してダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んだ企業に比べ、優秀な人材の確保は一層厳しさを増すことになるでしょう。

仮に優秀な人材を採用できたとしても、優秀で他とは違う人材ほど、個々の違いを大切にしない組織には居場所がないと考えます。そのような組織に対する貢献意欲はなく、早期離職は避けられません。新しい付加価値を創造する源泉である優秀な人材が確保できない企業にイノベーションは起きません。

早く実践して、早く失敗して、早く学ぶ、という意味でも、ダイバーシティ&インクルージョンは早くから推進・実践することが望ましいです。

リーダー人材の集中育成と組織づくりによる企業変革

日本企業の中には、すべての人材を均一・均質に育成し、皆で協力して伸びていこうという企業が多いです。出る杭は打たれる、異質排除の文化も見え隠れします。

属性で差別することなく、ポテンシャルを秘めた人材をみつけて、一握りの人材の能力や専門性に賭けてリーダー・幹部候補として育てる企業は少ないのではないでしょうか。

しかし現実問題、均一・均質育成の中から真のリーダーが出てくることは稀です。多様性を受け入れた上で、絞り込んで注力(選抜・育成)するという育成体制も、組織全体の労働生産性を高めるためには必要です。

新卒一括採用で採用されてから配属が決まり、個々の能力とは関係なくジョブローテーションと称して配属が定期的に変わり、管理職としての資質があるかないかに関わらず年功昇進でポジションにつく人事では、真のリーダー人材は出てきづらいです。

人を能力や実績で公平に評価した上でリーダー人材の集中育成をすることは、ダイバーシティ&インクルージョンにつながる部分があります。

デジタル・ICT利活用の推進による労働生産性の向上

日本企業のデジタル・ICT利活用は、主に仕事の効率化やコスト削減を目的として進められています。確かに無駄な業務をシステム化、ロボットによる自動化(RPA)することで効率面では有効です。

しかしデジタルやICTの利活用は手段でしかありません。それらの導入・利活用が目的になってしまっているようでは、労働生産性は高められません。

また、そもそも日本企業にはICTの利活用や情報システムの導入を企画、推進、運用できるIT人材が不足しています。

2019年に経済産業省が発表している「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給の差は2020年で30万人、2030年には45万人の不足という試算を出しています。

終身雇用のもと、人にポストを用意して定期人事異動(ジョブローテーション)で雇い続けるという慣行では、IT人材は育ちません。新卒一括採用によって同質性を高め、合理的な人材育成をしていてはIT人材のような「新しい芽」は出てきません。

そうした同質的集団の中で出世してきた経営層のデジタルやICTへの理解のなさも問題です。

同質性の呪縛を解き、多様性を最大限に活かしている組織では、新しい時代に必要とされる人材の採用・育成が進みます。

職務に対してITリテラシーを有した適材を、適所への配置転換や業務分担の変更をするなど検討することが求められるでしょう。必要であれば、中途採用や外国籍人材の採用も検討すべきです。

組織のダイバーシティ&インクルージョン推進によって、新しい時代に必要とされる人材が活躍し、商品やサービスに対する新しい付加価値を生み、労働生産性の向上を実現することが期待されています。

ダイバーシティ&インクルージョンが抱える問題

ダイバーシティ&インクルージョンが抱える問題
ダイバーシティ&インクルージョンの推進によって、生じやすい問題点もあります。それらを踏まえた上で推進・実践することが大切になってきます。

問題点1.コミュニケーション障害が起きやすい(ハラスメントの発生リスク)

多様な人材を受け入れると、それだけ組織の中に違いの要素が増えます。価値観の違う者同士の対立や摩擦も起きやすくなることは否めません。

企業メリットとしてハラスメントの低減をあげましたが、無理解や低モラルの環境下では、逆にハラスメントの発生率は高まります。

こうした問題を解決するためには、全従業員に対する教育を行い、経営トップが排他意識・差別意識の改善を宣言し、実行に責任をもつことが望まれます。

また、ハラスメント発生時の処罰を決めておくことで、常に意識を高くもってひとりの人格を大切にできる労働環境を整えられれば、問題は解消します。

問題点2.組織内が混乱しやすい(チームワーク、パフォーマンスの一時的低下)

従業員が個々の違いに対し、偏見や先入観をもっていることがあります。たとえば、子どもがいるから無理だろう、障害者だからできないだろう、女性は競争意識が強いなど無意識に決めつけてしまっていることがあります。

決めつけられた人にとっては、そうした固定観念や先入観が違和感や不快になることもあります。このような誤解が積み重なってくると、チームワークの低下を招きやすくなります。

また働き方が多様化すると、これまではひとつの場所(オフィス)で一緒に完結してきた仕事も、働く時間や場所がバラバラになることで連携は明らかに変化します。その変化が混乱を招き、従業員やチームのパフォーマンスが低下することもあります。

こうした問題を発生させないために、オープンなコミュニケーションの時間をもつことが求められます。

どのような仕事ができるか、どのような仕事がしたいか、という働き方の方針のすり合わせを適宜行い、同時に進捗状況やトラブル、仕事上の悩みなどを共有することで、組織内の混乱は避けられます。

問題点3.待遇・評価が複雑になる(不平不満の発生)

人材が多様化すると、必然的に人事評価も複雑になります。それぞれの状況や個々の違いを尊重しながら対応し、働きやすさのための待遇を提供しなければなりません。

それこそが必要な取り組みなのですが、さまざまな待遇や条件のもとで働く従業員に対する人事評価は、一律では不公平が生じます。これらに不公平さを感じれば、従業員の不満や離職につながる可能性が出てきます。

このような問題の解決のためには、事前に職務を明確に定義し、その評価体系などについて十分に周知し、理解を求める必要があります。また、極力分かりやすい評価軸を設けることで、理解を促進していくことが重要です。

完璧な人事評価は存在しません。評価について不満がないかを聞き、必要であれば評価制度の見直しを行います。

失敗しない人事評価制度の作り方。よくある失敗例や運用に必要なポイント

まとめ

「ダイバーシティ&インクルージョン。労働生産性を高める組織になるには」のまとめ
経営にとって不可欠になったダイバーシティ&インクルージョン。3つの視点から、日本企業にとってダイバーシティ&インクルージョンが重要になってくる。

  • 視点1.少子化、人口減少
  • 視点2.日本マーケットの縮小
  • 視点3.付加価値創造(イノベーション不足)

ダイバーシティ&インクルージョンのメリットは、企業側と従業員側双方にある。企業側のメリットは、主に4つ。

  • 企業メリット1.人材確保(採用と定着)
  • 企業メリット2.企業評価の向上
  • 企業メリット3.イノベーションの創出
  • 企業メリット4.ハラスメント発生リスクの低減

従業員側のメリットも、主に4つ。

  • 従業員メリット1.企業との相互理解
  • 従業員メリット2.活躍の場が広がる
  • 従業員メリット3.視野が広がる
  • 従業員メリット4.意識が変わる

ダイバーシティ&インクルージョンの推進が組織にもたらす変化は、4つ。

  • 常識にとらわれない、「ファーストペンギン」になる
  • 人材の多様性・柔軟性による新しい付加価値の創造
  • リーダー人材の集中育成と組織づくりによる企業変革
  • デジタル・IT利活用の推進による労働生産性の向上

ダイバーシティ&インクルージョンが抱える問題は、3つ。

  • 問題点1.コミュニケーション障害が起きやすい(ハラスメントの発生リスク)
  • 問題点2.組織内が混乱しやすい(チームワーク、パフォーマンスの一時的低下)
  • 問題点3.待遇・評価が複雑になる(不平不満の発生)

既存の日本企業の仕組みの中で、ダイバーシティ&インクルージョンだけを推進・実践しようとしても、うまくいきません。

新卒一括採用、年功序列的な人事制度、評価制度、経営者の意識等々、組織を構成している諸々の要素を連動して変えなければ、ダイバーシティ&インクルージョンは定着しません。

近い将来、副業・兼業人材は珍しくなくなります。専門的な知見やスキルをもつ人材は、副業・兼業という働き方を選択できるようになります。企業側にも、そのような外部人材の受け入れによって、イノベーションの創出につなげようとする動きは出てきています。

副業・兼業は働き方の多様化です。このような今までになかった働き方を組織の中に包含しようとすると、今までの人事制度や評価制度、労働環境では対応しきれません。

ダイバーシティ&インクルージョンは、経営戦略への組み込みが不可欠です。旧制度を一旦リセットして再構成し直すくらいの企業変革(Corporate Transformation)をしなければなりません。

持続的な成長を可能にする労働生産性の高い組織になるため、いろいろなことが変化している今こそ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進・実践するチャンスです。