LMSとeラーニングの違いは?LMSの必要性や効果的な導入方法を解説!
eラーニングの導入を考えているとLMS(学習管理システム)という言葉をよく目にしますよね。しかし、eラーニングとLMSの意味は異なります。本記事では、eラーニングとLMSの違いをわかりやすく解説します。また、LMSを導入するメリットや導入方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
eラーニングと似た言葉にLMS(学習管理システム)があります。同じものだと捉えやすいですが、eラーニングはオンライン上の学習のこと、LMSはeラーニングを効率的に運用するためのものであるため意味が異なります。LMSの導入で、eラーニングの課題を解決できるため、多くの企業ではeラーニングとLMSの両方を取り入れています。では、どのような課題が解決できるのでしょうか。LMSの効果的な導入方法もあわせて解説します。
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目次[非表示]
- 1.LMSとeラーニングの違い
- 2.eラーニングの課題を解決するLMSの機能
- 2.1.受講者の管理機能
- 2.2.学習状況の管理機能
- 2.3.教材(コンテンツ)の管理機能
- 2.4.学習データの管理機能
- 2.5.コミュニケーションの促進機能
- 2.6.セキュリティ機能
- 3.【企業側】LMSを導入するメリット
- 3.1.学習効果を分析できる
- 3.2.従業員に合った教材を提供できる
- 3.3.研修コストを削減できる
- 4.【従業員側】LMSを導入するメリット
- 4.1.自分の能力を把握できる
- 4.2.自分のペースに合わせて学べる
- 4.3.キャリア形成に役立つ
- 5.LMSの活用シーン
- 6.LMS2つの導入形態と特徴
- 7.LMS導入までにするべき3つのこと
- 7.1.導入する目的を明確にする
- 7.2.予算を決める
- 7.3.運用体制・環境の検討
- 8.LMS導入の流れ
- 8.1.LMSの選択
- 8.2.契約締結
- 8.3.運用体制・環境の構築
- 8.4.社内周知
- 8.5.運用開始
- 9.自社に合ったLMSの選び方
- 9.1.操作しやすいか
- 9.2.目的に合った教材があるか
- 9.3.教材を自社作成できるか
- 9.4.運用サポートが充実しているか
- 9.5.導入実績が豊富か
- 10.LMSを効果的に活用する方法
- 10.1.学習効果の分析と教材の改善を継続しておこなう
- 10.2.身につけた知識を実践する場を設ける
- 11.おすすめLMS7選
- 11.1.Reloかんたんラーニング
- 11.2.LearningWare
- 11.3.学び~と
- 11.4.AirCourse
- 11.5.Leaf
- 11.6.Cloud Campus
- 11.7.learningBOX
- 12.eラーニングにおけるLMSの活用事例
- 12.1.海外拠点の教育も少人数で運用|株式会社タカラトミー
- 12.2.遠隔地の従業員も同じ質の教育が受けられるように|セガサミーホールディングス
- 12.3.従業員1人ひとりに合った学習を提供|株式会社メガネトップ
- 13.eラーニングとLMSを活用して学習効果を高めよう
LMSとeラーニングの違い
eラーニングとLMSは似た言葉ですが、意味は異なります。
簡単にいうと、eラーニングはオンライン学習方法のひとつで、LMSはeラーニングを効果的に運用するシステムのことです。eラーニングの実施にLMSの導入が必要不可欠ではありませんが、LMSはeラーニングを補完するような存在のため、eラーニングを導入する多くの企業がLMSを導入しています。
ここからは、LMSとeラーニングの意味や特徴を詳しく解説します。
eラーニングとは
eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを用いてインターネットを利用して実施するオンライン学習のことです。配信される動画やテキスト、スライドで学習しテストを通して理解度を測ります。
オンラインで学習する方法のため、従来の集合研修と異なり同じ時間・同じ場所に集まる必要がありません。受講者の都合に合わせて、いつでもどこでも学習できることがeラーニングの特徴です。
時短勤務で集合研修に参加できなかった従業員や、中途採用で十分な研修を受けられなかった従業員など、全従業員が同じ質の研修を受けられることも特徴的です。
▼より詳しく知っておきたいという方は次の記事も併せてご確認ください。
LMSとは
LMSとは、eラーニングの学習状況の管理、教材の管理ができるシステムのことです。
LMSなしでeラーニングを実施すると、配信環境づくりや教材管理、受講者ごとの学習状況管理が難しく、スムーズにeラーニングを進められません。LMSは以下のような流れで活用できるため、スムーズかつ効果的にeラーニングを実施できます。
1.システムの導入または構築
2.教材を配信
3.受講者がインターネット上で学習
4.学習状況や進捗などのデータの可視化
5.データの管理、運用
教育担当者が教材をアップロードしたりLMS上の教材を使用したりして受講者が学習し、「どの範囲を学んだか」「理解度はどの程度か」という学習状況を管理できる仕組みです。
▼より詳しく知っておきたいという方は次の記事もご参考にしてください。
eラーニングの課題を解決するLMSの機能
eラーニングには以下のような課題があります
- 学習管理が難しい
- 教材の管理が難しい
- 教材や情報の更新に時間がかかる
- セキュリティ対策が難しい
- 配信環境を整えるのが大変
LMSの以下6つの機能で課題を解決できます。それぞれの機能について詳しく解説します。
受講者の管理機能
1つ目の機能は受講者の管理機能です。
LMSでは、受講者の登録・削除がおこなえます。階層・職種別にグループ化した管理も可能です。受講者の管理をおこなえることで、「新入社員にビジネスマナー講座を受講させたい」「営業職を対象に営業スキル講座を受講させたい」という割り当ても簡単です。
また、教育担当者や上司が受講者の情報を閲覧することで、従業員1人ひとりの知識レベルや学習状況も把握できます。
学習状況の管理機能
2つ目の機能は学習状況の管理機能です。
自分のペースで進めるeラーニングは教育担当者の目が行き届きにくく、十分な教育効果が得られないことがあります。また、従業員も「何を学べばいいかわからない」と学習方法に迷ってしまうこともあるでしょう。
LMSでは、進捗や成績、知識レベルなどの学習状況を自動でデータ化してくれます。教育担当者が1人ひとりの学習状況をまとめる必要がないため、業務コストの削減につながります。
また、学習状況が管理しやすいことで従業員の教育のサポートやフィードバックもしやすくなるでしょう。
教材(コンテンツ)の管理機能
3つ目の機能は教材(コンテンツ)の管理機能です。
eラーニングでは、教育担当者が教材の配信・管理をおこなう必要があります。LMSを活用しないと、教材を従業員にメールで送ったり、動画をサイトにアップロードしてURLを送ったりして配信する必要があるため、手間がかかるだけでなく送信漏れが起きたり従業員に合わせた教材が配信できなかったりするデメリットがあります。
また、教材の数が増えてきたり、従業員に割り当てしなければいけなかったりすると、管理が難しくなるでしょう。
LMSではLMS上に教材を登録して受講者がアクセスするだけでeラーニングを実施できます。また、教材のカテゴリ分けや教材の修正も可能なため、管理もしやすいです。
学習データの管理機能
4つ目の機能は、学習データの管理機能です。
教材がLMS上にデータとして登録されていることで、理解度や受講人数などの記録を根拠として教材の改善ができます。教材を更新できれば、さらに学習効果が生まれるでしょう。
また、学習スケジュールの設計にも役立ちます。学習状況がデータとして可視化されることで、「次に身につけるべき知識は何か」「どの知識を身につければステップアップできるか」を把握でき、キャリア形成に役立ちます。
コミュニケーションの促進機能
5つ目の機能は、コミュニケーションの促進機能です。
従業員のペースで受講するeラーニングは、コミュニケーションを十分に取れず学習状況や理解度が把握しづらいです。また、従業員が学習中に疑問が生まれても、簡単に質問できず、モチベーションが下がってしまう可能性もあります。このように、教育担当者の目が届かないと育成の効果が軽減することがあります。
LMSの中には、従業員と教育担当者がコミュニケーションを取れるチャット機能がついていることがあります。従業員の疑問を解決しやすかったり、学習状況に合わせてサポートやフィードバックがしやすかったりするでしょう。
チャット機能以外にも、教材に対するアンケート機能やお知らせを掲載する機能、日報機能などがついていることもあります。
セキュリティ機能
6つ目の機能はセキュリティ機能です。
eラーニングの実施には、多くの場合教材をインターネット上にアップロードします。オープンな場所に手軽にアップロードできることは便利ですが、従業員以外がアクセスしてしまうなどセキュリティ面に危険が生じます。自社のノウハウや社外秘の内容が含まれた教材が社外に公開されることもあり、LMSを活用しないeラーニングはセキュリティ面に課題があるといえるでしょう。
LMSは企業ごとにシステムを構築するものであるため、セキュリティ面への不安が少ないです。また、LMSにもセキュリティ対策が施されているため安心して利用できます。万が一トラブルがあっても、LMS提供会社がサポートしてくれるでしょう。
【企業側】LMSを導入するメリット
企業側がLMSを導入するメリットは主に以下3つです。
- 学習効果を分析できる
- 従業員に合った教材を提供できる
- 研修コストを削減できる
1つずつ解説します。
学習効果を分析できる
1つ目のメリットは、学習効果を分析できることです。
LMSでは受講者の進捗や理解度をデータ化して分析する機能やアンケート機能がついています。データ化されていることで「この教材は理解度が高いから効果的な教材だ」「アンケート結果が悪いから改善が必要」などと簡単に分析できます。
簡単に客観的に評価できることで、迅速により効果的な教育機会の提供が可能になるでしょう。また、分析にかかる手間も減少するため、業務効率化や担当者の負担軽減にもつながります。
従業員に合った教材を提供できる
2つ目のメリットは、従業員に合った教材を提供できることです。
LMSを活用すると、従業員の階層や職種、知識レベルに合わせた教材を振り分けられます。階層や職種、知識レベルに合わせたコースを作成すれば、従業員一人ひとりに合わせた学習機会を提供できるでしょう。
また、人事異動時の学習機会の提供にも役立ちます。異動の際には、従業員が受講した教材や知識レベルを異動先に正確に伝える必要があります。LMSにはすべてのデータが蓄積されているため、手作業で引き継ぎする必要がありません。異動先の担当者が状況を把握できることで、従業員に合った教材を提供しやすいです。
さらに、LMSにアクセスするだけで学ぶべきものがわかるため、従業員も学習を進めやすくなります。
研修コストを削減できる
3つ目のメリットは、研修コストを削減できることです。
従来の研修では、研修会場や講師の手配、教材の準備、出欠確認などのコスト・手間がかかります。eラーニング実施の際にも、システムの構築や教材をアップロードしたサイトのURLを1つひとつ送信するなどの業務が必要です。また、学習状況の確認にも時間がかかるでしょう。
LMSはシステム構築の手間なく、一度教材をアップロードすることで全従業員に提供できたり、学習状況の確認ができたりします。このようにコストや労力が削減できることは企業にとって大きなメリットではないでしょうか。余裕のできたコストと労力で、教材の改善や受講者とのコミュニケーションを取るなど、人材育成を効果的におこなう時間にできます。
【従業員側】LMSを導入するメリット
従業員側がLMSを導入するメリットは主に以下3つです。
- 自分の能力を把握できる
- 自分のペースに合わせて学べる
- キャリア形成に役立つ
1つずつ解説します。
自分の能力を把握できる
1つ目のメリットは、自分の能力を把握できることです。
普段の業務や従来の研修では、自分の強みや苦手分野の把握が難しいです。強みや苦手がわからず、強みを伸ばしたり苦手を克服したりできなければスキルアップも難しいでしょう。また、自己評価が低い従業員は自信が持てず業務へのモチベーションが下がってしまうこともあります。
LMSを活用すると、「どのようなスキルが身についているか」「どのレベルの知識があるのか」を把握できるため自分の強みや苦手を理解することに役立ちます。強みや苦手を理解できれば、「次はこの知識を身につけよう」「このスキルを伸ばそう」ということがわかり、目標を立てモチベーション高く学習を進められます。
自分のペースに合わせて学べる
2つ目のメリットは自分のペースに合わせて学べることです。
従来の研修は対象従業員が一斉に学ぶため、「ついていけなかった……」「自分にはレベルが高かった」となる可能性があります。従業員ごとにレベルや成長スピードに違いがあると、研修内容のレベルに達している従業員が研修を受ける時間やコストの無駄になることもあります。
LMSには複数の教材をアップロードできたり、従業員ごとに教材を割り当てられたりするため、従業員1人ひとりに必要な教材を活用して学習できます。企業から与えられた教材だけでなく、従業員自身が教材を選んで学習できることでモチベーション高く知識を身につけられるメリットもあるでしょう。
また、成長スピードが速い従業員はさらにレベルの高い学習をおこなってキャリアアップを目指したり、成長スピードがゆっくりな従業員は繰り返し学ぶことで知識の定着を目指したりできるため、従業員の能力開発にもつながります。
キャリア形成に役立つ
3つ目のメリットはキャリア形成に役立つことです。
LMSを活用すると、「今何を学べばいいのか」「何を学べばどのような役職や職種にステップアップできるのか」を理解できます。例えば、リーダーになるためにはコミュニケーション能力やマネジメントスキルが必要です。階層別の教材をLMSを利用して提供することで、どのようなステップで成長すればいいのかのイメージがつきやすく、自社で働くことに安心感を得られます。
「この会社でステップアップできるのだろうか」「将来設計が立てられない」という不安も軽減し、離職の可能性も下がるでしょう。
LMSの活用シーン
LMSは以下のシーンで活用できます。
- 階層別研修
- 職種別研修
- 全社研修
- 社内面談
1つずつ解説します。
階層別研修
1つ目は階層別研修です。
LMSを活用したeラーニングでは、新入社員にはビジネスマナーやコンプライアンス研修、若手社員には後輩育成スキルや職種ごとの専門スキル、中堅社員にはリーダーに必要なスキル、管理職にはマネジメントスキルなど、従業員のレベルに合わせて教材を配信できます。
従来の研修でも階層別研修を実施できますが、個人レベルや習熟度に合わせて進められるLMSを活用したeラーニングをおこなうことで、効率的に学習を進められるでしょう。
職種別研修
2つ目は職種別研修です。
LMSを活用したeラーニングでは、階層別研修のように個人レベルや習熟度、身につけるべき専門スキルに合わせた教材を配信できます。
従来の集合研修は一斉に同じ内容を学ぶため、従業員によっては業務に必要ない知識である場合があります。例えば、人事職であるのに営業にかかわる知識を学んでも、業務で十分に活かせません。
LMSを活用したeラーニングをおこなうことで、職種ごとに必要な知識を効率的かつ効果的に学べるでしょう。
全社研修
3つ目は全社研修です。
企業の考え方やビジョン、コンプライアンスやセキュリティに関することなどは従業員全員が理解しておくべきです。また、社内外の情報や社内ノウハウを共有することも人材育成にとって重要です。しかし、集合研修での実施は講師が異なると教える内容が食い違ったり、離れた拠点があると何度も研修をおこなう必要があったりするデメリットがあります。
LMSを活用したeラーニングでは、一度教材をアップロードすることで全従業員が同じ質の知識を身につけられます。また、何度も研修を開催する必要がなく、コストや労力を軽減できるでしょう。
このように、従業員1人ひとりに合った教材の提供だけでなく、全従業員を対象にしたコンテンツも提供できるのです。
社内面談
4つ目は社内面談です。
LMSには従業員ごとの学習状況や習熟度、知識レベルのデータが蓄積されています。これまでどのような知識を身につけているのか、どの分野の知識が足りないのかを理解できれば、社内面談で今後の業務や学習のサポートがしやすくなります。
LMS2つの導入形態と特徴
LMSには「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つの導入形態があります。それぞれの特徴を紹介したうえで、どちらを導入すべきなのかを解説します。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社のサーバーにLMSをインストールまたは構築する導入形態です。自社内で構築するため、パッケージ型の会計ソフトと同じように社内ネットワークを利用します。
オンプレミス型のメリットは以下の通りです。
- カスタマイズがしやすい
- 外部とやりとりする必要がない
- システム変更が簡単にできる
- セキュリティを強化できる
自社で構築するオンプレミス型は、LMSを提供する会社とやりとりする必要がないため、時間の無駄なくトラブルの対処やシステム変更ができます。また、1からシステムをつくるため、機能や操作性など自社に合わせたLMSを作りやすいことも特徴的です。
一方、デメリットは以下の通りです。
- システムの構築に時間がかかる
- システム構築や管理に詳しい人材が必要になる
- 初期費用が高額になりやすい
オンプレミス型は、専門知識がある方に1からシステムを構築してもらうため、すでに構築されているクラウド型より運用に時間がかかります。システム構築や管理に関する知識を持つ方がいない場合は、外部に委託しなければなりません。また、トラブルに自社のみで対処しなければならないのもデメリットです。
オンプレミス型がおすすめできるのは、初期費用がかかってもランニングコストをおさえたい企業や、自社に合ったLMSを長期的に運用したい企業です。
クラウド型
クラウド型とは、LMSを提供する会社がすでに構築したものをインターネットを介して導入する形態です。LMSに登録して教材をアップデートしたり既存教材を利用したりして学習できます。
クラウド型のメリットは以下の通りです。
- 構築や管理、トラブル対応、セキュリティ対策を自社でおこなう必要がない
- 短期間で運用を開始できる
- 初期費用が少ない場合が多い
- どこでも学習できる
クラウド型はすでにできあがったLMSを利用するため、構築やセキュリティ対策をする必要がなく、短期間で運用を開始できます。専門知識を持った人材も必要なく、簡単に運用できることもメリットです。また、月額料金の支払いで利用できるLMSが多いため、初期費用をおさえられることもうれしいポイントです。
一方、デメリットは以下の通りです。
- カスタマイズに制限がある
- 自社でセキュリティ対策ができない
完成されたLMSであるクラウド型は、オンプレミス型のようにカスタマイズの自由度が低いです。操作面や機能面を詳細にカスタマイズできないため、自社にぴったりなLMSを利用したい企業には向いていないかもしれません。しかし、多くのクラウド型のLMSには豊富な機能が搭載されています。操作性もいいため、多くの企業がクラウド型を利用しています。
LMS導入までにするべき3つのこと
LMSを導入する前には、「導入の目的」「予算」「運用体制・環境」を検討し明確にしておく必要があります。具体的にどのようなことをすればいいのか解説します。
導入する目的を明確にする
はじめにおこなうのは、「どのような課題を解決したいのか」という導入目的を明確にすることです。
目的を明確にしないまま導入すると、自社に合ったLMSを選択できず十分な効果を得られない可能性が高いです。
例えば、自社独自の教材を提供したいのであれば教材作成ツールがあるLMS、継続して学習してもらう環境を整えたいのであれば従業員のモチベーション維持をサポートできるLMS、人事評価に使いたい場合は学習状況や成績の管理・分析ができるLMSを選ぶといいでしょう。
予算を決める
次に予算を決めましょう。
前述の通り、LMSにはオンプレミス型とクラウド型があります。それぞれの特徴と予算をふまえてどちらを導入するか検討しましょう。相場は以下の通りです。
【オンプレミス型】 |
|
初期費用 |
100~500万円 |
月額料金 |
- |
カスタマイズ料金 |
100万円~ |
【クラウド型】 |
|
初期費用 |
0~20万円 |
月額料金 |
従量課金型:200~1,000円/人
月額固定型:5~20万円
|
カスタマイズ料金 |
5~20万円 |
これらは相場であり、LMSによって費用は異なります。単に低価格なLMSを選ぶのではなく、以下のポイントをチェックしてLMSを選択することが大切です。
- 必要な機能がついているか
- 適切な費用であるか
- 簡単に操作できるか
- 取り入れたい研修・教材があるか
- オリジナル教材が作成できるか
- サポート体制があるか
また、予算を決定するために複数のサービスを比較することもおすすめします。
運用体制・環境の検討
3つ目におこなうのは、運用体制・環境を検討することです。
LMSの導入後には、以下のようなことを実施する必要があります。
- 教材の準備・配信
- 受講者や教材の管理
- 社内システムとの連携
- 問い合わせ対応
すべてをおこなうためには複数のスタッフが必要です。いつ誰がどのようにおこなうのかを考えておきましょう。
運用体制を正確に決めておくことで、スムーズな運用が可能になります。
LMS導入の流れ
LMSは以下の流れで導入できます。
- LMSの選択
- 契約締結
- 運用体制・環境の構築
- 社内周知
- 運用開始
具体的に解説します。
LMSの選択
はじめに、どのLMSを導入するか選択します。
LMSはさまざまな企業から提供されているため、複数のLMSを比較検討することが大切です。自社の目的に合ったものをピックアップして、機能・操作性・コスト・サポート体制・セキュリティ面などを比較しましょう。導入実績をチェックすることも重要です。
スムーズに運用するため、デモやトライアルを利用して操作しやすいかを受講者・管理者ともにチェックしておきましょう。
契約締結
導入するLMSが決まったら、契約を締結します。
ベンダーから提供される契約書や同意書などの必要書類だけでなく、社内で必要な書類がないかも確認します。セキュリティ関連の契約書や同意書などが必要ないか自社の情報システム部門や法務部門などに確認しておきましょう。
運用体制・環境の構築
次にLMSを利用するための運用体制・環境を構築します。
ベンダーが提供するパッケージに加えて、外部のeラーニングシステムの教材連携、人事データの連携などオプションの追加やカスタマイズをおこなう場合は、ベンダー側に設定してもらうことがあります。カスタマイズを検討する場合は契約前に対応してくれるのか、対応までにどの程度時間がかかるのかを確認しておきましょう。
必要な設定が完了したら、運用開始に近づきます。スムーズに運用するため、操作方法のレクチャーなどをしてくれるベンダーがおすすめです。
社内周知
運用体制が整ったら、社内周知をおこないます。
LMSを利用するためのマニュアルを配布したり説明会を実施したりして、従業員がすぐに活用できるようにしましょう。また、「なぜLMSを活用したeラーニングを導入したのか」を伝えると社内に浸透しやすく、従業員もモチベーションを高く持って取り組めると期待できます。LMSを利用しない上長にも伝えて、浸透度のアップやフォローアップ実施のしやすさにつなげましょう。
運用開始
社内周知をおこない、運用を開始しましょう。運用開始の際には、受講開始の案内メールを送ります。LMS内のメール機能やチャット機能を使うと便利です。
運用直後には予期しない問題が起きる可能性もあります。社内にサポート体制を整えることはもちろん、ベンダーにサポートしてもらえるように依頼しておきましょう。
運用して終わりではなく、PDCAを回していくことが重要です。学習状況の分析や従業員からの意見をもとに、改善をおこないます。定期的に改善をおこなうことで、より効果的な学習につなげられます。
自社に合ったLMSの選び方
自社に合ったLMSを選ぶために、以下5つのポイントをチェックしましょう。
- 操作しやすいか
- 目的に合った教材があるか
- 教材を自社作成できるか
- 運用サポートが充実しているか
- 導入実績が豊富か
1つずつ解説します。
操作しやすいか
1つ目のポイントは操作のしやすさです。
操作が難しいLMSは管理者・受講者ともに使いづらく、業務や学習の負担になります。管理業務が効率的に進まず十分に活用できなかったり、受講者のモチベーションが下がり学習効果が得られなかったりする可能性があります。
シンプルで操作しやすいLMSを選べるよう、デモやトライアルを利用するといいでしょう。
目的に合った教材があるか
2つ目のポイントは、目的に合った教材があるかどうかです。
LMS内の既存教材を使用する場合は、どのような従業員を対象にした教材があるのか、どのような内容の教材なのかを確認することが大切です。
自社に合った教材がないと学習効果を得られません。事前に資料請求やデモを利用するなどして、目的に合った教材があるかを確認しておきましょう。
教材を自社作成できるか
3つ目のポイントは、自社のノウハウや知識を学習させたい場合教材を自社作成できるかも確認しておくことです。
自社で教材を作成する場合は、簡単に作成できるかも確認します。イメージがつかない場合はデモやトライアルを利用できるか問い合わせましょう。
自社作成だけでなく、教材作成を依頼できるベンダーもあります。教材作成が困難であれば、教材作成依頼ができるかもチェックしておくといいでしょう。
運用サポートが充実しているか
4つ目のポイントは運用サポートが充実しているかどうかです。
操作方法の説明、導入から実装までのレクチャー、トラブル時のサポートなどがパッケージに含まれているか確認します。運用サポートが充実していると、万が一トラブルが発生した際も安心です。
また、チャットやメールでのサポートだけでなく、電話サポートがあると素早く対処してもらえるでしょう。
導入実績が豊富か
5つ目のポイントは導入実績です。
導入企業数やユーザー数、導入事例などをチェックすると、自社に合ったLMSなのか確認しやすいです。
しかし、導入企業数やユーザー数が多いと機能面や操作面に優れている可能性が高いですが、自社にマッチしたLMSだとは限りません。導入実績は参考程度にして、自社の目的に合ったLMSであるかをしっかりと確認することが重要です。
LMSを効果的に活用する方法
LMSを効果的に活用するためには以下2つのことを実施することが重要です。
- 学習効果の分析と教材の改善を継続しておこなう
- 身につけた知識を実践する場を設ける
1つずつ解説します。
学習効果の分析と教材の改善を継続しておこなう
LMSは導入して終わりではありません。学習効果の分析と教材の改善を継続しておこなうことで、学習効果を高められます。
「従業員の苦手分野が共通しているものはあるか」「進捗が遅い部署や従業員は誰か」を分析することで、人材育成の課題が明らかになり改善策を考えられます。
受講者の学習状況の統計や成績データ、受講者からの意見をもとに教材の改善もおこないましょう。
身につけた知識を実践する場を設ける
2つ目のポイントは身につけた知識を実践する場を設けることです。
動画やスライドで知識を得たあとに身につけた知識をアウトプットする機会を提供することで、知識の定着度を高められます。
オンライン研修や集合研修、業務中に確認して、実際の業務に活用できるかをチェックしましょう。
おすすめLMS7選
本章ではeラーニングを効果的に運用できるおすすめのLMS7つをご紹介します。
Reloかんたんラーニング
Reloかんたんラーニングは、リロクラブが提供するLMSです。
eラーニングも備えた当社の商材は、直ぐに使えるような設計にしてあり、さらに福利厚生とセットとなって圧倒的にお手軽な価格設定となっています。
次のページより導入事例も確認できます。
サービス詳細は、次よりご確認できます。
LearningWare
LearningWareは2,800社以上が導入するLMSです。
LearningWareのおすすめポイントは誰でも使いやすいデザインであることです。操作性は管理者・受講者からもっとも好評なようです。すぐ学べ成長を実感してもらうために、講座や資料を探しやすく学びやすいことや進捗率がわかりやすいことが大きなメリットです。
また、教材を従業員ごとに自動で割り当てしてくれたり、アップロードした動画に自動字幕をつけてくれたりなど、管理者にとってもメリットがあります。
学び~と
学び~とは駿台グループが提供するLMSです。
学び~とのおすすめポイントは、PowerPointから教材を作成できることです。スライドを作成できることはもちろん、動画や音楽も簡単に挿入できるため満足度の高い教材となるでしょう。
自社での教材作成が難しい場合は、教材づくりのプロが作成をサポートしてくれます。はじめてeラーニングを取り入れる方も安心して導入できます。
参考:「学び~と」公式サイト
AirCourse
AirCourseはBOXIL SaaS AWARD Spring 2024というコンテストで受賞したLMSです。
AirCourseのおすすめポイントは動画教材が受け放題であることです。新入社員から管理職まで各階層で必要な知識を学べる850種類以上の動画を制限なく視聴できるため、「全社的にeラーニングを取り入れたい」という企業にぴったりです。
既存動画教材の視聴だけでなく、自社オリジナルの教材作成も可能です。PowerPointや動画をドラッグアンドドロップするだけで簡単に教材作成ができます。既存教材とオリジナル教材を掛け合わせて教育をしたい場合にもおすすめできます。
Leaf
Leafは320万人のユーザーが利用するLMSです。
Leafのおすすめポイントは「機能が充実したLMSを使いたい」「人事評価も一緒におこないたい」「LMS内の教材を利用したい」など企業ごとの課題やニーズに合わせ、4つのLMSから選べることです。
どのLMSが自社にマッチするかわからないときは、公式サイトから診断を実施してみてください。
参考:「Leaf」公式サイト
Cloud Campus
Cloud Campusは170万人以上が利用するソフトバンクグループ運用のLMSです。
Cloud Campusのおすすめポイントはユーザー登録が無制限であることです。LMS導入後に従業員が増えても料金が変わることがないため、安心して利用できます。ユーザー数が増えるほどお得に利用できるため、特に従業員数が多い企業におすすめです。
learningBOX
learningBOXはBOXIL SaaS AWARD Winter 2023で受賞したLMSです。
learningBOXのおすすめポイントは10人までであれば無料で利用できることです。期間に制限はなく、ほぼすべての機能が使えるため少ないユーザー数でLMSを導入したい企業にぴったりです。
また、専門知識がなくても簡単に問題が作成できることもおすすめポイントのひとつです。穴埋めや並び替えなどさまざまな問題形式で作成できるなど、ニーズに合わせた問題作成もできます。
eラーニングにおけるLMSの活用事例
本章では、eラーニングにおけるLMSの活用事例を3つご紹介します。
海外拠点の教育も少人数で運用|株式会社タカラトミー
1つ目に紹介するのは、海外拠点の教育を少人数で運用した株式会社タカラトミーです。
同社の課題は、コンプライアンス方針や行動規範といった全社共通認識であるべき知識を海外のグループ会社にも浸透できていないことでした。
eラーニング、研修の動画配信、コンプライアンス通信の配信などができるLMSを導入したところ、11カ国・8言語での配信が可能になり、国内外問わず同じ質の知識を身につけられるようになったそうです。
また、煩雑な業務が必要ないため、運用は3人でおこなっています。
このことから、言語問わず同じ質の研修ができること、人的コストをおさえられることがLMSのメリットだといえるでしょう。
参考:株式会社ライトワークス 「導入成功事例 〔株式会社タカラトミー〕11カ国・8言語での配信をわずか3人で運用 LMSをコンプライアンスの“インフラ”に」
遠隔地の従業員も同じ質の教育が受けられるように|セガサミーホールディングス
2つ目に紹介するのは、遠隔地の従業員も同じ質の教育の提供を可能にしたセガサミーホールディングスです。
同社の課題は、グループ間に物理的な距離があり同じ内容の教育を受けられないことでした。
LMSを導入したことで、クラウド上にアップロードした動画教材を遠隔地の従業員も視聴できるようになりました。同じ内容の研修を提供できることはもちろん、同じ研修を何度も実施する労力やコストが必要ないことがメリットではないでしょうか。
LMSを活用したeラーニングを利用した従業員からは、「時間に縛られず、都合のいいタイミングで受講できるという点が便利だ」という声が寄せられているそうです。
参考:株式会社プロシーズ「活用事例・導入実績 セガサミーホールディングス様」
従業員1人ひとりに合った学習を提供|株式会社メガネトップ
最後に紹介するのは、従業員1人ひとりに合った学習の提供を実現した株式会社メガネトップです。
同社の課題は、集合研修では従業員1人ひとりに合った学びを提供できないことでした。学習の効率が悪いことも課題のひとつです。
従業員がそれぞれ教材を選択できるLMSを導入すると、20%以上の従業員が受講する結果となったそうです。従業員からは「ビジネスパーソンとして、さまざまな学びに取り組めること自体が楽しい」という声が寄せられており、自ら学べる環境に満足している方が多いようです。
管理者の方もリアルタイムでお知らせを配信したり、教材の改善をおこなったりして自ら学べる環境づくりに工夫しています。LMSを導入するだけでなく、効果を上げるための施策を考えることも重要だとわかります。
eラーニングとLMSを活用して学習効果を高めよう
eラーニングとLMSの導入は、従業員が自分のスキルを把握してステップアップするために欠かせないものといえます。また、教育担当者も従業員のスキルをデータとして見ることができ、効率的かつ効果的な人材育成が可能になります。
eラーニングとLMSの違いを把握したうえで、人材育成を成功させるためにeラーニングとLMSの導入を検討しましょう。