50人未満の企業でもストレスチェックは義務化?準備の進め方とは
ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルスを守るために重要な仕組みで、50人以上の企業ではすでに実施が義務化されています。
さらに、50人未満の企業に対しても義務化を進める動きがあり、近く、これらの企業でもストレスチェックの実施が必須になるかもしれません。
この記事では、ストレスチェック義務化の背景と、50人未満の企業がどのように対応すべきかを具体的に解説します。
目次[非表示]
- 1.従業員が50人未満でもストレスチェックは必要?
- 1.1.現状は努力義務
- 1.2.今後は50人未満の企業へも義務化拡大見込み
- 1.3.従業員が50人未満の企業へも義務化を拡大する背景
- 1.4.従業員が50人未満の企業におけるストレスチェックの実施状況
- 2.そもそもストレスチェックとは?
- 2.1.ストレスチェックとは
- 2.2.ストレスチェックが制度化された背景
- 2.3.ストレスチェックを実施するメリット
- 3.ストレスチェック義務化に向けて準備するべきことは?
- 3.1.実施体制の整備
- 3.2.従業員への周知
- 3.3.予算の確保
- 3.4.実施後の対応準備
- 3.5.データ管理体制の構築
- 4.従業員50人未満の企業が効果的にストレスチェックを実施するには?
- 5.まとめ:ストレスチェックの義務化拡大に向けて50人未満の企業でも準備を進めよう
従業員が50人未満でもストレスチェックは必要?
従業員が50人未満の企業に勤めている人事・総務担当者の中には、自社でストレスチェックが必要かどうか迷っている人も多いでしょう。
小規模の企業に対する現状や、今後の義務化拡大の可能性について詳しく解説します。
現状は努力義務
従業員50人未満の企業におけるストレスチェックは、2024年現在「努力義務」とされています。
つまり、法的に強制されるものではなく、事業主が自主的に従業員のメンタルヘルス管理を行うことが推奨されている状態です。
このため、ストレスチェックの実施は事業主の判断に委ねられています。
一部の従業員50人未満の企業では、自社の働きやすい環境作りのために、自主的に導入している例もあります。
今後は50人未満の企業へも義務化拡大見込み
2024年10月、厚生労働省が発表した「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の中間取りまとめにより、今後、従業員50人未満の企業にもストレスチェックの義務化が適用される方針となりました。
これまで50人以上の企業が義務化の対象となっていたストレスチェック制度が、全ての企業に拡大されることになります。
従業員が50人未満の企業へも義務化を拡大する背景
日本の企業の95.9%は従業員数が50人未満の企業です。
こうした企業で働く人は全体の約57.6%を占めています。
データを見ると、小規模の企業が日本の経済を支えていることがわかります。
しかし、従業員が50人未満の企業ではストレスチェック実施が義務化されていないため、多くの企業が十分なメンタルヘルス対策を行えていないのが現状です。
少人数の職場ではストレスチェックを実施することによって生じるプライバシーの問題が課題となっています。
しかし、今では外部機関のサポートが充実してきたことで第三者がストレスチェックを行えるようになりました。
こうした変化も義務化拡大が検討されている理由の1つです。
【出典】 「令和3年経済センサス‐活動調査 結果の概要」 (総務省・経済産業省)
従業員が50人未満の企業におけるストレスチェックの実施状況
2024年現在、従業員50人未満の企業でのストレスチェック実施率は約32.3%と低い状況です。
一方、50人以上の企業では84.7%が実施しており、実施率には大きな差があります。
この差には、次の課題が影響しています。
- 事業主の認識不足
- 実施にかかるコスト
- 体制の課題
厚生労働省の第14次労働災害防止計画では、「2027年までに50人未満の企業でのストレスチェック実施率を50%以上にする」という目標が設定されています。
しかし、現状ではこの目標にはまだ遠い状況です。
実施率向上のためには、コストや手間を削減する取り組みが必要であり、事業主と従業員の意識改革も求められます。
【出典】 「ストレスチェック制度 の実施状況(令和4年)」 (厚生労働省)
【出典】 「第 14 次労働災害防止計画」 (厚生労働省)
そもそもストレスチェックとは?
ストレスチェックの準備の仕方を説明する前に、まずはストレスチェックがどのようなものなのかを解説します。
ストレスチェックとは
ストレスチェック制度は、従業員の心理的なストレス状況を測定し、メンタルヘルスリスクを早期に発見するための制度です。
2015年に労働安全衛生法が改正され、従業員50人以上の企業では年1回の実施が義務付けられました。
チェック結果は本人に提供され、自己のストレス状況に気づくきっかけとなります。
また、結果を集団分析することで職場環境の問題点を明らかでき、改善策の検討に役立ちます。
►集団分析の実施方法や詳細について知りたい方は、次の記事もご一読ください。
ストレスチェックが制度化された背景
ストレスチェックが制度化された背景には、過重労働や職場環境の悪化などによる、従業員の精神的な健康問題があります。
精神障害による労災認定件数の増加を受け、従業員のメンタルヘルス対策が急務となりました。
従業員がメンタルの面でも健康に働くための取り組みとして導入されたストレスチェックは、職場環境の改善とメンタルヘルスケアへの意識を高める役割を果たしています。
►過重労働や職場環境の悪化などの詳細については、次の記事ストレスチェックの詳細について知りことが出来ます。
ストレスチェックを実施するメリット
ストレスチェックの実施を通して従業員のストレスを早期に発見すれば、適切な対策を講じることができます。
これにより職場環境が改善され、生産性の向上や離職率の低下が期待されます。
さらに、メンタルヘルスケアを重視することで従業員の満足度が高まり、職場全体のパフォーマンスも改善されるでしょう。
►メンタルヘルスを行う事で得られるメリット詳細については、次の記事で深く解説しています。こちらも併せてご覧ください。
ストレスチェック義務化に向けて準備するべきことは?
ここからはストレスチェックの準備について解説します。
ストレスチェックの義務化に備えるためには、いくつかの準備することがあります。
準備ポイントごとに詳しく説明します。
実施体制の整備
ストレスチェックを円滑に実施するためには、まず実施体制を整える必要があります。
具体的には、社内で担当者を決め、実施の流れやルールを明確にすることから決めます。
►この準備段階で、産業医の先生と連携を図ることで、より有効なストレスチェックの実施が可能となります。
従業員への周知
ストレスチェックの目的や意義を従業員にしっかりと伝えることが大切です。
まずはストレスチェックが従業員自身の健康管理や職場環境の改善につながることをわかりやすく説明しましょう。
加えて、個人情報の取り扱いについても伝達し、従業員が安心して取り組めるようにします。
予算の確保
ストレスチェックを実施するには、次の予算が想定されます。
-
外部機関を利用した場合、1人あたり数百円から1000円程度
- また高ストレス従業員への医師による面接には1人あたり約2万円が必要
事前に予算を確保しておくことで、スムーズに準備が進みます。
►リロクラブがご提供するストレスチェックでは、4つのメニューで構成されており、各社の課題やニーズにあわせたストレスチェックの実施が可能です。
安価でお手軽な物や高機能なものもご用意しておりますので、まずは、ご相談ください。
実施後の対応準備
ストレスチェック後には、結果にもとづいて適切な対応を行うことが重要です。
特に、高ストレスと判定された従業員に対しては、専門的なカウンセリングやメンタルヘルス支援を提供できる体制を整える必要があります。
高ストレスとは、仕事の負担や心理的なストレスが強く、健康に悪影響を及ぼすリスクが高い状態を指します。
対応策としては、次の様なことがが挙げられるでしょう。
- 産業医や専門カウンセラーによる面接指導
- 職場環境の改善
コミュニケーションの改善や業務負担の軽減策を検討するなど、職場全体でストレス要因を減らす取り組みを進めることが求められます。
►株式会社イトーキさまでは、職場環境の改善を通じて、エンゲージメントスコアを10%向上させました。
次の資料で事例の詳細を紹介していますので、併せてご覧ください。
データ管理体制の構築
ストレスチェックのデータは個人情報を含むため、慎重に管理する必要があります。
データのアクセス制限、セキュリティ対策を行い、情報漏洩リスクを抑えましょう。
また、ストレスチェック結果のデータは5年間の保管が求められます。
従業員50人未満の企業が効果的にストレスチェックを実施するには?
50人未満の企業でも、外部機関や補助金を効率的に活用することで、ストレスチェックを効果的に実施できます。
外部機関を利用
従業員50人未満の企業では、産業医を選任する義務がないため、ストレスチェックの実施体制が整っていないことが多いです。
そこで、外部機関の活用が推奨されています。
外部機関を利用することで、専門的なサポートを受けながら正確な評価と中立的な分析が行え、担当者の負担も軽減されます。
助成金の活用
従業員50人未満の企業がストレスチェックを実施する際、以前は「ストレスチェック助成金」が利用できましたが、2022年に廃止されました。
現在は、「団体経由産業保健活動推進助成金」という助成金が新たに設けられています。
この助成金は、事業主団体を通じて申請するもので、企業が個別で申請することはできません。
事業主団体に所属している場合は、この助成金の活用が可能です。
【参考】 「団体経由産業保健活動推進助成金のご案内」 (労働者健康安全機構)
まとめ:ストレスチェックの義務化拡大に向けて50人未満の企業でも準備を進めよう
ストレスチェックの義務化が50人未満の企業にも拡大される動きが進んでいます。
このため、事業主は早めに準備を始める必要があります。
実施体制や社内ルールの整備、予算の確保などの取り組みを計画的に進め、無理なく義務化に対応できるようにしましょう。
また、外部機関や助成金を活用すれば、負担を軽減しつつ、効率的にストレスチェックを実施することが可能です。
従業員の健康管理を重視し、働きやすい職場づくりを進めることは、企業の成長にもつながります。
しっかりとした準備を行い、従業員のメンタルヘルスを管理していきましょう。
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